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{{ウィキポータルリンク|数学|[[画像:Nuvola apps edu mathematics-p.svg|none|32px]]}} [[解析学]]における'''半連続性'''({{lang-en-short|''semi-continuity''}})とは、[[拡大実数]]値[[関数 (数学)|関数]](値として ±∞ を取り得る)に対して定義される「[[連続 (数学)|連続性]]」よりも弱い性質である。概略的に言うと、拡大実数値関数 ''f'' が点 ''x''<sub>0</sub> で'''上'''('''下''')'''半連続'''であるとは、''x''<sub>0</sub> の十分近くで函数の値が ''f''(''x''<sub>0</sub>) に近いかもしくは ''f''(''x''<sub>0</sub>) よりも小さい(大きい)ことを言う。 == 例 == [[Image:Upper_semi.svg|thumb|right|上半連続な関数。青で塗り潰した点が''f''(''x''<sub>0</sub>)。]] ''x'' < 0 において ''f''(''x'') = –1、''x'' ≥ 0 において ''f''(''x'') = 1 と区分的に定義された関数''f''を考える。この関数は''x''<sub>0</sub> = 0において上半連続であるが、下半連続ではない。 [[Image:Lower_semi.svg|thumb|right|下半連続な関数。青で塗り潰した点が''f''(''x''<sub>0</sub>)。]] [[閉集合]]の[[指示関数]]が上半連続である一方、[[開集合]]の指示関数は下半連続である。与えられた実数''x''に対し、それ以下の最大の整数を返す[[床関数]] <math>f(x):=\lfloor x \rfloor</math> は、全ての点において上半連続である。同様に、[[天井関数]] <math>f(x):=\lceil x \rceil</math> は下半連続である。 関数は、左連続と右連続のいずれでもなくても、上または下半連続でありうる。例えば、関数 :<math>f(x) := \begin{cases} 1, & x < 1,\\ 2, & x = 1,\\ 1/2, & x > 1 \end{cases} </math> は''x'' = 1では左連続でも右連続でもないが、上半連続である。左からの極限は1、右からの極限は1/2であり、いずれも関数値の2とは異っている。同様に、関数 :<math> f(x) := \begin{cases} \sin(1/x), & x \neq 0,\\ 1, & x = 0 \end{cases}</math> は''x'' = 0において、左右からの極限値は存在すらしていないが、上半連続である。 == 厳密な定義 == ''X''を[[位相空間]]、''x''<sub>0</sub> を ''X'' 上の点とし、''f'': ''X'' → '''R''' ∪ {−∞, +∞} は拡大実数値関数とする。任意の ε >0 に対して''x''<sub>0</sub> の[[近傍 (位相空間論)|近傍]] ''U'' が存在し、''U'' に属するどの ''x'' に対しても ''f''(''x'') ≤ ''f''(''x''<sub>0</sub>) + ε となるとき、あるいは同じことだが、 :<math>\limsup_{x\to x_0} f(x)\le f(x_0)</math> となるとき、''f'' は ''x''<sub>0</sub> で'''上半連続'''であると言う。ここで lim sup は(''x''<sub>0</sub> における関数 ''f'' の)[[上極限と下極限|上極限]]である。 函数 ''f'' が'''上半連続函数'''であるとは、それが定義域の全ての点において上半連続であることをいう。函数 ''f'' が上半連続函数となるための[[必要十分条件]]は、集合 {''x'' ∈ ''X'' : ''f''(''x'') < α} がいずれの α ∈ '''R''' についても[[開集合]]となることである。 同様に、函数 ''f'' が点 ''x''<sub>0</sub> において'''下半連続'''であるとは、任意の ε > 0 に対し、''x''<sub>0</sub> の近傍 ''U'' で ''U'' の各点 ''x'' において ''f''(''x'') ≥ ''f''(''x''<sub>0</sub>) − ε となるようなものが存在すること、あるいは同じことだが、 :<math>\liminf_{x\to x_0} f(x)\ge f(x_0)</math> が成立することをいう。ここで lim inf は(点 ''x''<sub>0</sub> における函数 ''f'' の)[[上極限と下極限|下極限]]である。 函数 ''f'' が'''下半連続函数'''であるとは、それがその定義域の全ての点で下半連続となるときにいう。函数 ''f'' が下半連続函数となるのは、任意の α ∈ '''R''' に対して {''x'' ∈ ''X'' : ''f''(''x'') > α} が開集合となるときであり、かつそのときに限る。 == 性質 == 関数は ''x''<sub>0</sub> において上半連続かつ下半連続であるとき、その点において[[連続 (数学)|連続]]であり、かつ連続となるのはそのときに限る。従って、半連続性を連続性の証明に利用できる。 2つの実数値関数 ''f'' と ''g'' が共に ''x''<sub>0</sub> で上半連続ならば、''f'' + ''g'' もまた上半連続である。もしどちらの関数も非負であるなら、積関数 ''fg'' もまた ''x''<sub>0</sub> において上半連続である。 上半連続関数fに対し、−fは下半連続関数となる。また、正の上半連続関数fに対し、1/fは下半連続関数となる。 ''C'' が[[コンパクト空間]](例えば[[有界]][[閉集合|閉]][[区間 (数学)|区間]] [''a'', ''b''])で、''f'': ''C'' → [−∞, ∞) が上半連続ならば、''f'' は ''C'' 上で最大値をとる。(−∞, ∞]-値下半連続関数と最小値についても同様のことが言える(証明は[[最大値最小値定理]]を参照)。 空でない集合 ''I'' で添字付けられた函数の族 ''f''<sub>''i''</sub>: ''X'' → [−∞, ∞] が全ての添字 ''i'' について下半連続関数であり、''f'' が ''f''<sub>''i''</sub> たちの点ごとの[[上限 (数学)|上限]]、すなわち :<math>f(x)=\sup_{i\in I}f_i(x),\qquad x\in X</math> で定義されるものとするとき、''f''は下半連続である。全ての ''f''<sub>''i''</sub> が連続であったとしても、''f'' は必ずしも連続ではない。実際に、[[一様空間]](例えば[[距離空間]])における全ての下半連続関数は連続函数列の上限として現れる。 あらゆる開集合の[[指示関数]]は下半連続である。閉集合の指示関数は上半連続である。 関数 ''f'': '''R'''<sup>''n''</sup> → '''R''' は、その[[エピグラフ (数学)|エピグラフ]]([[グラフ (関数)|グラフ]]上、またはグラフより上の点の集合)が閉集合である時にのみ下半連続となる。 位相空間 ''X'' について、関数 ''f'': ''X'' → '''R''' が下半連続函数となることと、''f'' が '''R''' 上の{{仮リンク|スコット位相|en|Scott topology}} に関して連続であることとは同値である。 == 参考文献 == * {{cite book | last = Bourbaki | first = Nicolas | authorlink = ニコラ・ブルバキ | title = Elements of Mathematics: General Topology, 1–4 | publisher = Springer | date = 1998 | pages = | isbn = 0201006367 }}([[ニコラ・ブルバキ]]『数学原論』) * {{cite book | last = Bourbaki | first = Nicolas | title = Elements of Mathematics: General Topology, 5–10 | publisher = Springer | date = 1998 | pages = | isbn = 3540645632 }} * {{cite book | last = Gelbaum | first = Bernard R. | coauthors = Olmsted, John M.H. | title = Counterexamples in analysis | publisher = Dover Publications | date = 2003 | pages = | isbn = 0486428753 }} * {{cite book | last = Hyers | first = Donald H. | coauthors = Isac, George; Rassias, Themistocles M. | title = Topics in nonlinear analysis & applications | publisher = World Scientific | date = 1997 | pages = | isbn = 9810225342 }} {{DEFAULTSORT:はんれんそく}} [[Category:解析学]] [[Category:数学に関する記事]]
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