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[[Image:Unit disk open.svg|thumb|right|ユークリッド単位開円板]] [[数学]]における[[平面]]上の点 ''P'' の周りの(あるいは ''P'' を中心とする)'''単位開円板'''(たんいかいえんばん)もしくは'''開単位円板'''(かいたんいえんばん、{{lang-en-short|''open unit disk''/''disc''}})とは、点 ''P'' からの距離が 1 より小さい点全体の成す集合 :<math>D_1(P) = \{ Q : d(P,Q)<1\}</math> を言う。同様に点 ''P'' を中心とする'''単位閉円板'''(たんいへいえんばん)もしくは'''閉単位円板'''(へいたんいえんばん、{{lang-en-short|''closed unit disk''}})とは、点 ''P'' からの距離が 1 以下となるような点の軌跡 :<math>\bar{D}_1(P)=\{Q: d(P,Q) \leq 1\}</math> を言う。単位円板は[[円板]]や[[単位球体]]の特別な場合である。 特段の限定なしに単に'''単位円板'''と言ったときは、[[原点]]中心の[[ユークリッド距離|通常のユークリッド計量]]に関する開円板 <math>D_1(0)</math> を意味するのが普通である。これは原点を中心とする半径 1 の[[円 (数学)|円周]]が囲む領域の[[内部 (位相空間論)|内部]]である。また[[ガウス平面]] '''C''' を考えれば、[[絶対値]]が 1 より小さい[[複素数]]全体の成す集合とも同一視される。'''C''' の部分集合と見たときの単位円板はしばしば <math>\mathbb{D}</math> ないし <math>\Delta</math> で表される。 == 開単位円板、平面、上半平面 == [[複素函数]] : <math>f(z)=\frac{z}{1-|z|^2}</math> は単位開円板からガウス平面への[[実解析函数|実解析的]]かつ[[全単射]]な函数の一例である(逆函数もまた解析的)。従って、二次元の{{仮リンク|解析多様体|en|analytic manifold|label=実解析的多様体}}と見做した単位開円板は、平面全体と(実解析的)同型である。特に、単位開円板は全平面に[[同相]]である。 しかし単位開円板から全平面への[[等角写像|等角]][[全単射]]は存在しないから、単位開円板と[[ガウス平面]]は[[リーマン面]]としては異なる。 一方、単位開円板から[[上半平面]]への等角全単射が存在するから、リーマン面としては単位円板は上半平面に同型(双正則または等角同値)である(もっと一般に、[[リーマンの写像定理]]は「ガウス平面上の全平面でない任意の[[単連結]][[開集合]]から単位開円板への等角全単射がとれる」ことを主張する)。これにはよく用いられるものが二種類あり、その一つは[[メビウス変換]] : <math>g(z)=i\frac{1+z}{1-z}</math> (これは{{仮リンク|ケーリー変換|en|Cayley transform}}の逆変換)である。幾何学的には、実軸を折り曲げて圧縮して、上半平面を単位円板の内部に、実軸をその円周に(一番上の点には「無限遠点」がくるように)したものと考えればよい。また別の等角全単射を二つの[[立体射影]]の合成として構成することもできる。初めに、射影の中心としての単位球面の「南極」をとることにより、単位円板は単位上半球面の[[全射|上へ]]立体投影される。次にこの上半球面は、接点と反対側にある半球面上の点を射影の中心とすることにより、それに接する垂直半平面の上へ横向きに射影される。 単位円板と上半平面は[[ハーディ空間]]に対する領域としては置き換えが可能でない。この違いを生む理由として、単位円は(一次元の)「有限」[[ルベーグ測度]]を持つが、実数直線はそうでないという事実がある。 == 双曲空間 == {{main|ポアンカレの円板モデル}} 単位開円板上に[[ポアンカレ計量]]と呼ばれる新しい計量を導入することにより、単位開円板は[[双曲空間|双曲平面]]の模型としてしばしば用いられる。既に述べた単位開円板と上半平面との間の[[等角写像]]を用いれば、この模型は双曲平面の[[ポアンカレの上半平面モデル|ポアンカレ上半平面模型]]に読み替えることができる。ポアンカレ円板とポアンカレ上半平面はともに双曲空間の「等角」模型(即ち、両模型における角度 (angle measure) は双曲空間におけるそれと一致する)であり、その結果それらの間の変換で小さな図形の「形」は保たれる(ただし「大きさ」は変わるかもしれない)。 単位円板上には{{仮リンク|ベルトラミ-クライン模型|en|Klein model|label=クライン模型}}と呼ばれる双曲空間の別な模型も構築することができる。これは等角模型ではないが、この模型における直線が双曲空間における直線に対応するという性質を持つ。 == 通常以外の距離に関する単位円板 == [[Image:Unit disc.svg|thumb|right|上から[[ユークリッド距離]]、[[タクシー距離]]、[[チェエビシェフ距離]]に関する単位円板]] 通常の距離以外の[[距離函数]]に関する単位円板を考えることもできる。例えば[[タクシー距離]]や[[チェビシェフ距離]]に関する単位円板は正方形のように見える(しかし、台となる[[位相空間|位相]]はユークリッド距離からはいるものと同一である)。 ユークリッド単位円板の面積は [[円周率|π]] でありその[[周長]]は 2π であったが、それと対照的に、タクシー距離に関する単位円板の周長は 8 である。1932年に{{仮リンク|スタニスラフ・ゴウォンブ|en|Stanisław Gołąb|label=ゴウォンブ}}は、[[ノルム]]から生じる距離であってそれに関する単位円の周長が 6 から 8 の任意の値を取るようにできるものが存在することを証明し、それらの極値(6 および 8)が得られる必要十分条件が、単位円板がそれぞれ[[正六角形]]および[[平行四辺形]]となることであることを示した。 == 関連項目 == * {{仮リンク|単位円グラフ|en|Unit disk graph}} * [[ド・ブランジュの定理|ビーベルバッハ予想]] * [[円板被覆問題]] == 参考文献 == * S. Golab, "Quelques problèmes métriques de la géometrie de Minkowski", Trav. de l'Acad. Mines Cracovie 6 (1932), 179. == 外部リンク == * {{mathworld |urlname=UnitDisk |title=Unit disk}} * [https://web.archive.org/web/20080704123740/http://www.math.poly.edu/~alvarez/pdfs/disc.pdf On the Perimeter and Area of the Unit Disc], by J.C. Álvarez Pavia and A.C. Thompson {{DEFAULTSORT:たんいえんはん}} [[Category:円 (数学)]] [[Category:位相幾何学]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:1]]
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