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原子空孔
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'''原子空孔'''(げんしくうこう)とは、[[結晶]]の格子点で[[原子]]があるべきところなのに原子が存在しないところを指す。温度が低いうちは空孔濃度が小さく[[電気抵抗]]、体積への影響は少ないが高温になると原子空孔による体積変化、電気抵抗の変化など物性の変化が確認できる。 == 空孔濃度 == 結晶は[[絶対零度]]でない限り、空孔が存在したほうが安定である。これを[[熱力学]]的に見る。[[自由エネルギー]]Fは、[[内部エネルギー]]をU、[[エントロピー]]をSとすると次のようになる。 {{Indent|<math>F=U-TS</math>}} まずは空孔ができることによる[[内部エネルギー]]変化をみる。空孔ができると[[内部エネルギー]]は大きくなる。なぜなら空孔を一切含まない理想的な結晶が最もよい凝縮状態だからである。一つの空孔をつくるのに内部エネルギーがE増加したとすると、n個の空孔ができると内部エネルギーはnE増加する。すなわち {{Indent|<math>U=nE</math>}} 次にエントロピー変化を見る。空孔が存在すると、空孔を格子にばらまく方法の多様性が[[配置エントロピー|配置のエントロピー]]を与える。[[ボルツマンの原理]]よりωを分配の仕方とすると {{Indent|<math>S=kln(\omega)</math>}} となる。N個の原子あるとし、その中にn個の空孔が存在するのでωは {{Indent|<math>\omega=\frac{(N+n)!}{N! n!}</math>}} したがってSは {{Indent|<math>S=k\ln(\frac{(N+n)!}{N! n!})</math>}} [[スターリングの近似]]より {{Indent|<math>S=k\{(N+n)\ln(N+n) - N\ln(N) - n\ln(n)\}</math>}} となる。またエントロピーは空孔が導入されたことにより熱振動が変化し、結果配置のエントロピー変化以外にも変化する。このエントロピーをS'とすると次のように書き換えることができる。 {{Indent|<math>S=k\{(N+n)\ln(N+n) - N\ln(N) - n\ln(n)\}+S'</math>}} 以上より、自由エネルギーを求めることができる。自由エネルギーが最も小さいところが平衡状態の空孔数なので自由エネルギーをnで[[微分]]すると {{Indent|<math>\frac{dF}{dn}=E-T\{S'+k\ln(N+n)-k\ln(n)\}=0</math>}} よって {{Indent|<math>\frac{n}{N+n}=\exp(\frac{S'}{k})\times\exp(\frac{-E}{kT})</math>}} 一般に空孔数は圧倒的に原子の数より少ないのでcを空孔濃度とすると {{Indent|<math>c=\frac{n}{N}=\exp(\frac{S'}{k})\times\exp(\frac{-E}{kT})</math>}} となる。 == 関連項目 == * [[固体物理学]] * [[物性物理学]] * [[材料工学]] {{DEFAULTSORT:けんしくうこう}} {{sci-stub}} [[Category:結晶学]] [[Category:固体物理学]] [[Category:材料工学]] [[en:Crystallographic_defect#Point_defects]]
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原子空孔
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