可微分多様体のソースを表示

{{redirect|滑らかな曲線|代数幾何学における同値な概念|代数多様体の特異点}}

[[File:nondifferentiable atlas.png|right|frame|地球の座標近傍の微分可能でないアトラス。アトラスが微分可能でないとき微積分の結果は座標近傍間で両立可能とは限らない。[[北回帰線]]は真ん中の座標近傍では滑らかな曲線であるが、一方左の座標近傍では鋭い角を持つ。可微分多様体の概念は座標近傍の間の変換をする関数が微分可能であることを要求することによって多様体の概念を洗練する。]]

数学において、'''可微分多様体'''（かびぶんたようたい、{{lang-en-short|differentiable manifold}}）、あるいは'''微分可能多様体'''（びぶんかのうたようたい）は、局所的に十分[[線型空間]]に似ており[[微積分]]ができるような[[多様体]]である。任意の多様体は、[[チャート (多様体)|チャート]]（座標近傍、局所座標）の集まり、アトラス（座標近傍系、局所座標系）、によって記述することができる。各座標近傍は微積分の通常のルールが適用する線型空間の中にあるから、各々のチャートの中で考えるときには微積分学のアイデアを適用できる。チャートが適切に両立可能であれば（すなわち1つのチャートから別のチャートへの変換が[[微分可能]]であれば）、1つのチャートでなされた計算は任意の他の微分可能なチャートにおいても有効である。

フォーマルに言えば、'''可微分多様体'''は大域的に定義された{{仮リンク|可微分構造|en|differential structure}}を持つ[[位相多様体]]である。任意の位相多様体にはアトラスの[[同相写像]]と線型空間上の標準的な微分構造を用いて''局所的に''微分構造を与えることができる。同相写像によって誘導された局所座標系上の大域的な微分構造を誘導するためには、アトラスのチャートの共通部分上での[[合成関数|合成]]が対応する線型空間上の微分可能な関数でなければならない。言い換えると、チャートの定義域が重なっているところでは、各チャートによって定義された座標はアトラスのすべてのチャートによって定義された座標に関して微分可能であることが要求される。様々なチャートによって定義された座標を互いに結びつける写像を''変換関数'' (transition map/遷移写像/座標変換) と呼ぶ。

微分可能性は文脈によって[[連続微分可能]]、''k'' 回微分可能、[[滑らかな関数|滑らか]]、[[正則関数|正則]]といった異なる意味を持つ。さらに、抽象的な空間にそのような可微分構造を誘導できることによって微分可能性の定義を大域的な座標系なしの空間に拡張することができる。微分構造によって大域的に微分可能な[[接空間]]、微分可能な関数、微分可能な[[テンソル場]]や[[ベクトル場]]を定義することができる。可微分多様体は[[物理]]においても非常に重要である。特別な種類の可微分多様体は[[古典力学]]、[[一般相対論]]、[[ヤン・ミルズ理論]]といった物理理論の基礎をなす。可微分多様体に対して微積分を展開することが可能である。これによって[[外微分|exterior calculus]]（外微分法/外微分学）のような数学的機構が導かれる。可微分多様体上の微積分の研究は[[微分幾何学]]と呼ばれる。

== 歴史 ==
{{main|{{仮リンク|位相多様体と代数多様体の歴史|en|History of manifolds and varieties}}}}
はっきりした分野としての微分幾何学の出現は一般に[[カール・フリードリヒ・ガウス]]と[[ベルンハルト・リーマン]]によるものとされている。リーマンはゲッティンゲン大学の有名な教授就任講演<ref>B. Riemann (1867).</ref> で初めて多様体を記述した。彼は多様体のアイデアを与えられた対象を新しい方向に変える直観的な過程によって動機付け、続くフォーマルな発展において座標系とチャートの役割を先見の明を持って記述した：
: ''Having constructed the notion of a manifoldness of n dimensions, and found that its true character consists in the property that the determination of position in it may be reduced to n determinations of magnitude, ...''– B. Riemann

[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル]]<ref>マクスウェル自身はテンソルよりもむしろ[[四元数]]で研究したが、電磁気学の彼の方程式はテンソルのフォーマリズムの初期の例として使われた。次を参照 {{citation|title=Tensor Analysis and Nonlinear Tensor Functions|first=Yuriy I.|last=Dimitrienko|publisher=Springer|year=2002|isbn=9781402010156|page=xi|url=https://books.google.com/books?id=7UMYToTiYDsC&pg=PR11}}.</ref> のような物理学者と数学者[[グレゴリオ・リッチ＝クルバストロ]] (Gregorio Ricci-Curbastro) と[[トゥーリオ・レヴィ＝チヴィタ]] (Tullio Levi-Civita)<ref>See G. Ricci (1888), G. Ricci and T. Levi-Civita (1901), T. Levi-Civita (1927).</ref> の仕事は[[テンソル解析]]の発展と内在的な幾何学的性質を[[座標変換]]で不変な性質と同一視する[[一般共変性原理|共変性]]([[:en:general covariance]])の概念に導いた。これらのアイデアは[[アルベルト・アインシュタイン|アインシュタイン]]の[[一般相対性理論]]とその根本にある[[等価原理]]に重要な応用を見つけた。2次元多様体の現代的な定義は[[ヘルマン・ワイル]] (Hermann Weyl) によって[[リーマン面]]に関する 1913 年の本において与えられた<ref>See H. Weyl (1955).</ref>。[[アトラス (数学)|アトラス]]のことばによる多様体の広く受け入れられている一般的な定義は[[ハスラー・ホイットニー]]による<ref name="H. Whitney 1936">H. Whitney (1936).</ref>。

== 定義 ==
'''[[位相多様体]]'''とは、''チャート''と呼ばれる[[同相写像]]の集まり''アトラス'' によって線型空間に局所的に同相な[[第二可算]][[ハウスドルフ空間|ハウスドルフ]][[位相空間|空間]]である。1 つのチャートの、別のチャートの[[逆写像]]との合成は、[[変換関数]]と呼ばれる関数であり、線型空間の開部分集合から線型空間の別の開部分集合の上への同相写像を定義する。これによって「空間の断片を貼り合わせて多様体を作る」という概念が定義される――作られた多様体はまたどのように貼り合わせられたかのデータも持っている。しかしながら、異なるアトラス（貼り合わせ）から「同じ」多様体が作られるかもしれない。多様体は好みのアトラスで来ない。そして、したがって、'''位相多様体'''はアトラスの[[同値類]]とともに上のような空間と定義される。アトラスの同値性は以下で定義する。

変換関数にどれだけの微分可能性を要求するかに従って可微分多様体の異なるタイプがある。以下はいくつかの一般的な例である。

* '''可微分多様体''' (differentiable manifold) とは、変換関数がすべて微分可能なアトラスの同値類を伴った位相多様体である。より広いことばでは、[[滑らかな関数|''C''<sup>k</sup>]] 級多様体 (''C''<sup>k</sup>-manifold) は変換関数がすべて ''k'' 回連続微分可能なアトラスを持つ位相多様体である。
* '''滑らかな多様体''' (smooth manifold) あるいは ''C''<sup>∞</sup> 級多様体 (''C''<sup>∞</sup>-manifold) とは、すべての変換関数が[[滑らかな関数|滑らかな]]可微分多様体である。つまり、すべての階数の微分が存在する。なので滑らかな多様体はすべての ''k'' に対して ''C<sup>k</sup>'' 級多様体である。そのようなアトラスの同値類は{{仮リンク|滑らかな構造|en|smooth structure}}と呼ばれる。
* '''解析的多様体''' (analytic manifold) あるいは ''C''<sup>ω</sup> 級多様体 (''C''<sup>ω</sup>-manifold) とは、各変換関数が[[解析関数|解析的]]という追加の条件を持った滑らかな多様体である。つまり、各変換関数のテイラー展開がある開球上絶対収束しその関数に等しい。
*'''複素多様体''' (complex manifold) は[[複素数体]]上のユークリッド空間をモデルにしすべての変換関数が[[正則関数|正則]]な位相空間である。

''C<sup>k</sup>'' ''アトラス''の有意義な概念はあるが、''C''<sup>0</sup> （連続写像： 位相多様体）と ''C''<sup>∞</sup> （滑らかな写像： 滑らかな多様体）より他に ''C<sup>k</sup>'' ''多様体''の異なる概念は存在しない、なぜならば ''k'' > 0 のすべての ''C<sup>k</sup>'' 構造に対して、''C<sup>k</sup>'' 同値な ''C''<sup>∞</sup> 構造が一意的に存在する（すべての ''C<sup>k</sup>'' 構造は ''C''<sup>∞</sup> 構造に''一意的に滑らかにできる''）からである。これは[[ハスラー・ホイットニー|ホイットニー (Whitney)]]の結果である<ref name="H. Whitney 1936"/>。実は、すべての ''C<sup>k</sup>'' 構造は ''C''<sup>ω</sup> 構造に一意的に滑らか化できる。さらに、1つの ''C''<sup>∞</sup> アトラスに同値な 2 つの ''C<sup>k</sup>'' アトラスは ''C<sup>k</sup>'' アトラスとして同値なので、2 つの相異なる ''C<sup>k</sup>'' アトラスは衝突しない。詳細は [[:en:Differential structure#Existence and uniqueness theorems|Differential structure: Existence and uniqueness theorems]] を参照。したがって「可微分多様体」と「滑らかな多様体」という用語を入れ替え可能な同義語として使う。これは異なる ''k'' に対して意味のある違いのある ''C<sup>k</sup>'' ''写像''とは非常に対照的である。例えば、[[ナッシュの埋め込み定理]]は任意の多様体はユークリッド空間 '''R'''<sup>''N''</sup> に等長埋め込みできると述べている。ここで ''N'' は、任意の 1 ≤ ''k'' ≤ ∞ に対して十分大きい ''N'' が存在するのであるが、''N'' は ''k'' に依存する。

一方、複素多様体は著しい制限を受けている。例として、[[代数幾何学と解析幾何学#周の定理|周の定理]]は任意の射影複素多様体は実は[[射影代数多様体]]であると述べている。代数的な構造を持っているのである。

=== アトラス ===
{{main|アトラス (位相幾何学)}}
{{ Annotated image | caption=Charts on a manifold
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{{Annotation|45|70|<math>X</math>}}
{{Annotation|70|54|<math>U_\alpha</math>}}
{{Annotation|187|66|<math>U_\beta</math>}}
{{Annotation|42|100|<math>\varphi_\alpha</math>}}
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{{Annotation|87|112|<math>\varphi_{\alpha\beta}</math>}}
{{Annotation|90|145|<math>\varphi_{\beta\alpha}</math>}}
{{Annotation|55|183|<math>\mathbf R^n</math>}}
{{Annotation|145|183|<math>\mathbf R^n</math>}}
}}
位相空間 ''X'' 上の[[アトラス (トポロジー)|アトラス]]は''チャート''と呼ばれる対の集まり {{math|{{mset|(''U''<sub>α</sub>,φ<sub>α</sub>)}}}} である、ここで ''U''<sub>α</sub> は ''X'' を[[開被覆|覆う]]開集合であり、各添え字 α に対して
:<math>\varphi_\alpha \colon U_\alpha \to {\mathbf R}^n</math>
は ''U''<sub>α</sub> から ''n'' 次元実空間の開部分集合への[[同相写像]]である。アトラスの'''変換関数''' (transition map) は関数
:<math>\varphi_{\alpha\beta} = \varphi_\beta\circ\varphi_\alpha^{-1}|_{\varphi_\alpha(U_\alpha\cap U_\beta)} \colon \varphi_\alpha(U_\alpha\cap U_\beta) \to \varphi_\beta(U_\alpha\cap U_\beta)</math>
である。

すべての位相多様体はアトラスを持つ。''C<sup>k</sup>'' アトラスは変換関数が ''C<sup>k</sup>'' 級のアトラスである。位相多様体は ''C''<sup>0</sup> アトラスを持ち、一般に ''C<sup>k</sup>'' 級多様体は ''C<sup>k</sup>'' 級アトラスを持つ。連続アトラスとは ''C''<sup>0</sup> アトラスであり、滑らかなアトラスは ''C''<sup>∞</sup> アトラスであり、解析的アトラスは ''C''<sup>ω</sup> アトラスである。アトラスが少なくとも ''C''<sup>1</sup> であれば、''微分構造'' (differential structure) あるいは''可微分構造'' (differentiable structure) とも呼ばれる。''正則アトラス'' (holomorphic atlas) は台となるユークリッド空間が複素数体上定義されていて変換関数が[[双正則写像|双正則]]なアトラスである。

=== 両立するアトラス ===
異なるアトラスが本質的に同じ多様体を生じることがある。円を2つの座標チャートによって写すことができるが、これらのチャートの定義域をわずかに変えると同じ多様体に対する異なるアトラスが得られる。これらの異なるアトラスはより大きいアトラスに統合することができる。そのような統合されたアトラスの変換関数が構成成分のアトラスの変換関数ほど滑らかでないということが起こり得る。''C<sup>k</sup>'' アトラスを ''C<sup>k</sup>'' アトラスを構成するために統合できれば、両立できる (compatible) という。アトラスの両立可能性は[[同値関係]]である。ある[[同値類]]のすべてのアトラスを統合することによって'''極大アトラス''' (maximal atlas) を構成できる。各 ''C<sup>k</sup>'' アトラスはある一意的な極大 ''C<sup>k</sup>'' アトラスに属する。

== 別の定義 ==

=== 擬群 ===
擬群の概念<ref>Kobayashi and Nomizu (1963), Volume 1.</ref> は様々な異なる構造を統一的な方法で多様体に定義できるようにするためにアトラスの柔軟な一般化を提供する。''擬群'' (pseudogroup) は位相空間 ''S'' 集合 Γ からなる。Γ は ''S'' の開部分集合から ''S'' の他の開部分集合への同相写像で以下を満たすものからなる
# ''f'' ∈ Γ で ''U'' が ''f'' の定義域の開部分集合であれば、制限 ''f''|<sub>''U''</sub> も Γ に入る。
# ''f'' が ''S'' の開部分集合の合併 <math>\cup_i \, U_i </math> から ''S'' の開部分集合への同相写像であれば、すべての ''i'' に対して <math> f|_{U_i} \in \Gamma </math> であれば ''f'' ∈ Γ となる。
# すべての開集合 ''U'' ⊂ ''S'' に対して、''U'' の恒等変換は Γ に入る。
# ''f'' ∈ Γ であれば、''f''<sup>−1</sup> ∈ Γ である。
# Γ の 2 つの元の合成は Γ の元である。
最後の3つの条件は[[群 (数学)|群]]の定義と類似している。関数は ''S'' 上大域的に定義されていないから Γ が群であるとは限らないことに注意しよう。例えば、'''R'''<sup>''n''</sup> 上のすべての局所的な ''C<sup>k</sup>'' 級[[微分同相写像]]からなる集まりは擬群をなす。'''C'''<sup>''n''</sup> の開集合の間のすべての[[双正則写像]]は擬群をなす。さらなる例： '''R'''<sup>''n''</sup> の向きを保つ写像、[[シンプレクティック同相写像]]、[[メビウス変換]]、[[アフィン変換]]、など。したがって多種多様な関数のクラスが擬群をなす。

''U<sub>i</sub>'' ⊂ ''M'' から位相空間 ''S'' の開部分集合への同相写像 φ<sub>''i''</sub> のアトラス (''U<sub>i</sub>'', φ<sub>''i''</sub>) が擬群 Γ と''両立可能'' (compatible) であるとは、変換関数 φ<sub>''j''</sub> o φ<sub>''i''</sub><sup>−1</sup>: φ<sub>''i''</sub>(''U<sub>i</sub>'' ∩ ''U<sub>j</sub>'') → φ<sub>''j''</sub>(''U<sub>i</sub>'' ∩ ''U<sub>j</sub>'') がすべて Γ に入っていることをいう。

すると可微分多様体は '''R'''<sup>''n''</sup> 上の ''C''<sup>''k''</sup> 級関数の擬群と両立可能なアトラスである。複素多様体は '''C'''<sup>''n''</sup> の開集合上の双正則写像と両立可能なアトラスである。などなど。したがって擬群は微分幾何学や位相幾何学に重要な多様体の多くの構造を記述する1つだけの枠組みを提供する。

=== 構造層 ===
多様体に ''C<sup>k</sup>'' 構造を与える別のアプローチを使うことが便利なことがある。ここで ''k'' は 1, 2, ..., ∞, あるいは実解析的多様体に対して ω, である。座標チャートを考える代わりに、多様体自身の上に定義された関数から始めることができる。''M'' の[[層 (数学)|構造層]]、'''C'''<sup>''k''</sup> と表記する、は、各開集合 ''U'' ⊂ ''M'' に対して連続関数 ''U'' →  '''R''' の代数 '''C'''<sup>''k''</sup>(''U'') を定義する[[関手]]の一種である。構造層 '''C'''<sup>''k''</sup> が ''n'' 次元 ''C''<sup>''k''</sup> 級多様体の構造を ''M'' に与えるとは、任意の ''p'' ∈ ''M'' に対して、''p'' の近傍 ''U'' と ''n'' 個の関数 ''x''<sup>1</sup>, ..., ''x''<sup>''n''</sup> ∈ '''C'''<sup>''k''</sup>(''U'') が存在して、写像 ''f'' = (''x''<sup>1</sup>, ..., ''x<sup>n</sup>''): ''U'' → '''R'''<sup>''n''</sup> が '''R'''<sup>''n''</sup> の開集合の上への同相写像で、'''C'''<sup>''k''</sup>|<sub>''U''</sub> が '''R'''<sup>''n''</sup> 上の ''k'' 回連続微分可能な関数の{{仮リンク|逆像層|label=層の引き戻し|en|Inverse image sheaf}}となることをいう<ref>この定義は MacLane and Moerdijk (1992) にある。同値な ''ad hoc'' な定義は、Sternberg (1964) Chapter II を参照。</ref>。

とくに、この後者の条件が意味するのは、''V'' に対して任意の関数 ''h'' &isin; '''C'''<sup>''k''</sup>(''V'') は ''h''(''x'') = ''H''(''x''<sup>1</sup>(''x''),...,''x''<sup>''n''</sup>(''x'')), ただし ''H'' は ''f''(''V'')（'''R'''<sup>''n''</sup> の開集合）上の ''k'' 回微分可能な関数、と一意的に書けるということである。したがって、層論的な視点は、可微分多様体上の関数は局所座標において '''R'''<sup>''n''</sup> 上の微分可能な関数として表現でき、[[:en:A fortiori argument|''a fortiori'']] にこれは多様体上の微分構造を特徴づけるのに十分であるということである。

==== 局所環の層 ====
可微分多様体を定義する同様だがより技術的なアプローチは[[環付き空間]]の概念を用いて定式化できる。このアプローチは[[代数幾何学]]の[[スキーム (数学)|スキーム]]の理論に強く影響を受けているが、微分可能な関数の[[芽 (数学)|芽]]の[[局所環]]を用いる。これは''複素''多様体の文脈で特にポピュラーである。

'''R'''<sup>''n''</sup> 上の基本的な構造層を記述することから始める。''U'' が '''R'''<sup>''n''</sup> の開集合のとき、
:'''O'''(''U'') = ''C''<sup>''k''</sup>(''U'', '''R''')
を ''U'' 上のすべての実数値 ''k'' 回連続微分可能な関数からなるとしよう。''U'' が変化すると、これは '''R'''<sup>''n''</sup> 上の環の層を決定する。''p'' ∈ '''R'''<sup>''n''</sup> に対する茎 '''O'''<sub>''p''</sub> は ''p'' の近くの関数の芽からなり、'''R''' 上の代数である。とくに、これは一意的な[[極大イデアル]]が ''p'' で消える関数からなる[[局所環]]である。対 ('''R'''<sup>''n''</sup>, '''O''') は[[局所環付き空間]]の例である：各茎が局所環である層を伴った位相空間である。

（''C<sup>k</sup>'' 級の）微分可能多様体は対 (''M'', '''O'''<sub>''M''</sub>) からなる。ここで ''M'' は[[第二可算]][[ハウスドルフ空間|ハウスドルフ]][[位相空間|空間]]であり、'''O'''<sub>''M''</sub> は ''M'' 上定義された局所 '''R'''-代数の層であって、局所環付き空間 (''M'', '''O'''<sub>''M''</sub>) が ('''R'''<sup>''n''</sup>, '''O''') に局所同型なものである。このようにして、可微分多様体は '''R'''<sup>''n''</sup> をモデルとしたスキームと考えることができる。これが意味するのは<ref>Hartshorne (1997)</ref>、各点 ''p'' ∈ ''M'' に対して、''p'' の近傍 ''U'' と関数の対 (''f'', ''f''<sup>#</sup>) で次のようなものが存在するということである：
# ''f'': ''U'' → ''f''(''U'') ⊂ '''R'''<sup>n</sup> は '''R'''<sup>''n''</sup> の開集合の上への同相
# ''f''<sup>#</sup>: '''O'''|<sub>''f''(''U'')</sub> → ''f''<sub>*</sub> ('''O'''<sub>''M''</sub>|<sub>''U''</sub>) は層の同型
# ''f''<sup>#</sup> の局所化は局所環の同型
:: ''f''<sup>#</sup><sub>f(p)</sub>: '''O'''<sub>''f''(''p'')</sub> → '''O'''<sub>''M'', ''p''</sub>.

この抽象的な枠組みで可微分多様体を研究する重要な動機付けがいくつかある。まず、モデル空間が '''R'''<sup>n</sup> である必要性の ''[[アプリオリ|a priori]]'' な理由はない。例えば（とくに[[代数幾何学]]において）これを[[正則関数]]の層（したがって[[複素幾何学|複素解析幾何]]の空間に辿り着く）あるいは[[多項式]]の層（したがって複素''代数''幾何において興味の持たれる空間に到達する）を伴った複素数の空間 '''C'''<sup>''n''</sup> にとることができる。おおまかには、このコンセプトはスキームの任意の適切な概念に適合できる（[[トポス (数学)|トポス]]論を参照）。第二に、座標は構成にもはや明示的に必要でない。座標系の類似物は対 (''f'', ''f''<sup>#</sup>) であるが、これらは（チャートやアトラスのように）議論の中心にあるのではなく単に''局所同型''のアイデアを定めているだけである。第三に、層 '''O'''<sub>''M''</sub> は明らかに関数の層では全くない。むしろ、（局所環の極大イデアルによる商による）構成の''結果''として関数の層としてそれが出現する。したがってそれは構造のより原始的な定義である（{{仮リンク|綜合微分幾何学|en|synthetic differential geometry|preserve=1}}の項を参照）。

このアプローチの最後の利点は微分幾何と位相幾何の研究の基本的な対象の多くの自然な直接的記述ができることである。
* ある点での[[余接空間]]は ''I<sub>p</sub>''/''I<sub>p</sub>''<sup>2</sup> である、ただし ''I<sub>p</sub>'' は茎 '''O'''<sub>''M'', ''p''</sub> の極大イデアルである。
* 一般に、全[[余接束]]は関連したテクニックにより得ることができる（詳細は[[余接束]]を参照）。
* [[テイラー級数]]（および{{仮リンク|ジェット (数学)|en|jet (mathematics)|label=ジェット}}）は '''O'''<sub>''M'', ''p''</sub> 上の [[完備化 (環論)|''I''<sub>''p''</sub>-進フィルトレーション]]を用いて座標と独立にアプローチできる。
* [[接束]]（あるいはより正確には断面の層）は '''O'''<sub>''M''</sub> から[[二重数]]の環への射の層と同一視できる。

== 微分可能な関数 ==
''n'' 次元可微分多様体 ''M'' 上の実数値関数 ''f'' が点 ''p'' &isin; ''M'' において'''微分可能''' (differentiable) であるとは、''p'' のまわりで定義された任意の1つの座標チャートにおいて微分可能であることをいう。より正確に言えば、(''U'', φ) がチャートで ''U'' を ''p'' を含む ''M'' の 開集合で φ: ''U'' → '''R'''<sup>n</sup> をチャートを定義している写像とすると、''f'' が微分可能であることと
:<math>f\circ \phi^{-1} \colon \phi(U)\subset {\mathbf R}^n \to {\mathbf R}</math>
が φ(''p'') において微分可能であることが[[同値]]である。一般に利用可能なチャートはたくさんあるが、微分可能性の定義は ''p'' でのチャートの取り方に依らない。[[連鎖律|チェーンルール]]をチャート間の変換関数に適用すると ''f'' が ''p'' での任意の特定のチャートで微分可能であれば ''p'' でのすべてのチャートで微分可能であることが従う。類似の考察を ''C<sup>k</sup>'' 級関数、滑らかな関数、解析的関数、の定義に使える。

=== 関数の微分 ===
可微分多様体上の関数の[[微分]]を定義する様々な方法があるが、最も基本的なのは[[方向微分]]である。方向微分の定義は多様体が[[空間ベクトル|ベクトル]]を定義する適切な[[アフィン空間|アフィン]]構造を欠いているという事実によって複雑である。したがって方向微分はベクトルの代わりに多様体内の曲線を見る。

==== 方向微分 ====
''m'' 次元可微分多様体 ''M'' 上の実数値関数 ''f'' が与えられると、''M'' の点 ''p'' における ''f'' の方向微分は以下のように定義される。γ(''t'') を ''M'' 内の曲線で γ(0) = ''p'' で、任意の1つのチャートのとの合成が '''R'''<sup>''m''</sup> 内の[[曲線|微分可能な曲線]]であるという意味で''微分可能''なものとする。すると γ に沿った ''p'' での ''f'' の'''方向微分''' (directional derivative) は

:<math>\left.\frac{d}{dt}f(\gamma(t))\right|_{t=0}</math>

である。γ<sub>1</sub> と γ<sub>2</sub> が2つの曲線で γ<sub>1</sub>(0) = γ<sub>2</sub>(0) = ''p'' であり任意の座標チャート φ において

:<math>\left.\frac{d}{dt}\phi\circ\gamma_1(t)\right|_{t=0}=\left.\frac{d}{dt}\phi\circ\gamma_2(t)\right|_{t=0}</math>

であるとすると、チェーンルールによって、''f'' の ''p'' での γ<sub>1</sub> に沿った方向微分と γ<sub>2</sub> に沿った方向微分は同じである。これは方向微分は ''p'' での曲線の[[接ベクトル]]のみに依存することを意味する。したがって可微分多様体の場合に適合した方向微分のより抽象的な定義はアフィン空間における方向微分の直感的な性質を究極的に捉えている。

==== 接ベクトルと微分 ====
{{math|''p'' &isin; ''M''}} での[[接ベクトル]]は {{math|1=γ(0) = ''p''}} なる微分可能曲線 {{mvar|γ}} を、曲線の間に定まる[[接する]]（一次の[[接触 (数学)|接触]]を持つ）という同値関係で割った、[[同値類]]である。したがってすべての座標チャート {{mvar|φ}} において

: <math> \gamma_1\equiv \gamma_2 \iff \left.\frac{d}{dt}\phi\circ\gamma_1(t)\right|_{t=0} = \left.\frac{d}{dt}\phi\circ\gamma_2(t)\right|_{t=0}</math>

である。したがって同値類は {{mvar|p}} において定められた[[速度|速度ベクトル]]を持つような {{mvar|p}} を通る曲線たちである。{{mvar|p}} におけるすべての接ベクトルの集まりは[[ベクトル空間]]をなす。これが {{mvar|p}} における {{mvar|M}} の[[接空間]] {{math|''T{{sub|p}}M''}} である。

{{mvar|X}} が {{mvar|p}} での接ベクトルであり、{{mvar|f}} が {{mvar|p}} の近くで定義された微分可能な関数であれば、{{mvar|X}} を定義する同値類の任意の曲線に沿って {{mvar|f}} を微分することは {{mvar|X}} に沿った well-defined な方向微分を与える：
:<math>Xf(p) := \left.\frac{d}{dt}f(\gamma(t))\right|_{t=0}.</math>
再び、チェーンルールによってこれは同値類からの {{mvar|γ}} の選び方に依らないことが示せる、なぜならば {{mvar|p}} において互いに一次の接触を持つ任意の曲線は同じ方向微分を生み出すからである。

関数 {{mvar|f}} を固定すると、写像
:<math>X\mapsto Xf(p)</math>
は接空間上の[[線型汎関数]]である。この線型汎関数はしばしば ''df''(''p'') と表記され、{{mvar|f}} の {{mvar|p}} での'''[[函数の全微分|微分]]''' (differential) と呼ばれる：
:<math>df(p) \colon T_pM \to {\mathbf R}.</math>

=== 1の分割 ===
可微分多様体上の微分可能な関数の層のトポロジカルな特色の1つは[[1の分割]]を持つことである。これは一般には1の分割を持つことができない（解析的構造や正則構造のような）より強い構造から多様体上の可微分構造を区別する。

''M'' を ''C<sup>k</sup>'' 級多様体、ただし 0 ≤ ''k'' ≤ ∞, とする。{''U''<sub>α</sub>} を ''M'' の開被覆とする。このとき被覆 {''U''<sub>''α''</sub>} に従属する'''1の分割''' (partition of unity) とは以下の条件を満たす ''M'' 上の実数値 ''C<sup>k</sup>'' 級関数 ''φ''<sub>''i''</sub> の集まりである：
* ''φ''<sub>''i''</sub> の[[関数の台|台]]は[[コンパクト空間|コンパクト]]かつ{{仮リンク|局所有限族|label=局所有限|en|locally finite collection}}；
* ''φ''<sub>''i''</sub> の台はある ''α'' に対し ''U''<sub>''α''</sub> に完全に含まれる；
* ''M'' の各点において ''φ''<sub>''i''</sub> の和は 1 である：
::<math>\sum_i \phi_i(x) = 1.\,</math>
（''φ''<sub>''i''</sub> の台の局所有限性によってこの最後の条件は実は各点で有限和であることに注意。）

''C<sup>k</sup>'' 級多様体 ''M'' のすべての開被覆は ''C<sup>k</sup>'' 級の 1 の分割を持つ。これによって '''R'''<sup>''n''</sup> 上の ''C<sup>k</sup>'' 級関数のトポロジーからの構成を可微分多様体の圏に持ち越すことができる。とくに、ある特定の座標アトラスに従属する 1 の分割を選び '''R'''<sup>''n''</sup> の各チャートでの積分を実行することによって積分を議論することが可能である。したがって 1 の分割によって考えるべき他の種類の[[関数空間]]ができる。例えば、[[Lp空間|L<sup>''p''</sup> 空間]]、[[ソボレフ空間]]、積分を要求する他の種類の空間。

=== 多様体間の写像の微分可能性 ===
''M'' と ''N'' を次元がそれぞれ ''m'' と ''n'' の可微分多様体とし、''f'' を ''M'' から ''N'' への写像とする。可微分多様体は位相空間であるから ''f'' が連続であるとはどういう意味かを知っている。しかし ''k''&nbsp;≥&nbsp;1 に対して「''f'' は ''C<sup>k</sup>''(''M'', ''N'') である」とはどういう意味であろうか？''f'' がユークリッド空間の間の関数のときにはそれがどういう意味か知っているので、 ''f'' を ''M'' のチャートと ''N'' のチャートと合成してユークリッド空間から ''M'' へ行き ''N'' へ行きユークリッド空間へ行く写像を得ると、その写像が ''C<sup>k</sup>''('''R'''<sup>''m''</sup>, '''R'''<sup>''n''</sup>) であるということの意味を知っている。「''f'' は ''C<sup>k</sup>''(''M'', ''N'') である」ということを ''f'' のチャートとのすべてのそのような合成が ''C<sup>k</sup>''('''R'''<sup>''m''</sup>, '''R'''<sup>''n''</sup>) であるいうことだと定義する。再びチェーンルールにより微分可能性のアイデアが ''M'' と ''N'' のアトラスのどのチャートが選ばれたかに依らないことが保証される。しかしながら、微分そのものの定義はより微妙である。''M'' あるいは ''N'' がそれ自身既にユークリッド空間であれば、それをユークリッド空間に写すチャートは必要ない。

=== スカラーの多元環 ===
''C<sup>k</sup>'' 級多様体 ''M'' に対し、多様体上の実数値 ''C<sup>k</sup>'' 級関数全体の[[集合 (数学)|集合]]は点ごとの和と積によって[[体上の多元環|多元環]]をなし、スカラー場代数 (''algebra of scalar fields'') あるいは単に the ''algebra of scalars'' と呼ばれる。この多元環は乗法単位元として定数関数 1 を持ち、代数幾何学における[[多様体の射|正則関数]]の環の微分可能な類似物である。

多様体をその algebra of scalars から再構成することができる。まずは集合として、しかし位相空間としても。これは{{仮リンク|バナッハ・ストーンの定理|en|Banach–Stone theorem}}の応用であり、よりフォーマルには{{仮リンク|C*-環のスペクトル|label=C<sup>*</sup>-環のスペクトル|en|spectrum of a C*-algebra}}として知られている。まず、''M'' の点と多元環準同型 φ: ''C<sup>k</sup>''(''M'') → '''R''' の間には1対1の対応がある。準同型 ''φ'' は ''C<sup>k</sup>''(''M'') の余次元 1 のイデアル（すなわち ''φ'' の核）と対応する。これは極大イデアルでなければならない。逆に、この多元環のすべての極大イデアルはある1点で消える関数のイデアルであり、これは ''C<sup>k</sup>''(''M'') の MSpec が ''M'' を点集合として修復すること、実は ''M'' を位相空間として修復するのであるが、を証明している。

様々な幾何学的構造を algebra of scalars のことばで代数的に定義することができ、これらの定義はしばしば代数幾何学（環を幾何学的に解釈して）や[[作用素論]]（バナッハ空間を幾何学的に解釈して）に一般化する。例えば、''M'' の接束は ''M'' 上の滑らかな関数の多元環の微分として定義できる。

多様体のこの「代数化」(algebraization) （幾何学的な対象を多元環に置き換えること）は[[C*-環|C<sup>*</sup>-環]]の概念を導き――可換 C<sup>*</sup>-環はバナッハ・ストーンによってちょうど多様体の ring of scalars であり――''非''可換 C<sup>*</sup>-環を多様体の非可換の一般化と考えることができる。これは[[非可換幾何学]]の分野の基礎である。

{{Expand section|date=June 2008}}

== 束 ==

=== 接束 ===
{{details|接束}}

ある点の[[接空間]]はその点におけるあらゆる方向微分からなり、多様体と同じ次元 ''n'' を持つ。その点に局所的な（非特異）座標 ''x<sub>k</sub>'' の集合に対して、座標微分 <math>\partial_k=\frac{\partial}{\partial x_k}</math> は一般にその接空間の基底を定義する。すべての点における接空間の集まりに多様体の構造を入れることができ、[[接束]] (tangent bundle) と呼ばれ、次元は 2''n'' である。接束は[[ベクトル場|接ベクトル]]が住んでいるところで、それ自身可微分多様体である。[[ラグランジアン]]は接束上の関数である。接束を '''R''' （[[実数直線]]）から ''M'' への 1-{{仮リンク|ジェット (数学)|en|jet (mathematics)|label=jet}} の束として定義することもできる。

''U''<sub>α</sub> × '''R'''<sup>''n''</sup>, ただし ''U''<sub>α</sub> は ''M'' のアトラスのチャートの1つを表す、に基づいたチャートからなる接束のアトラスを構成できる。これらの新しいチャートの各々はチャート ''U''<sub>α</sub> の接束である。このアトラスの変換関数はもとの多様体上の変換関数から定義され、もとの微分可能性のクラスを保つ。<!-- C^r -> C^{r-1} -->

=== 余接束 ===
{{details|余接束}}
ベクトル空間の[[双対空間]]はベクトル空間上の実数値線型写像の集合である。ある点での[[余接空間]]はその点での接空間の双対であり、[[余接束]]はすべての余接空間の集まりである。

接束と同様余接束は再び可微分多様体である。[[ハミルトン力学|ハミルトニアン]]は余接束上のスカラーである。余接束の[[全空間]]は[[シンプレクティック多様体]]の構造を持つ。余接ベクトルを「[[線型汎函数|余ベクトル]]」(covector) と呼ぶことがある。余接束を {{mvar|M}} から {{mathbf|R}} への関数の 1-jet の束として定義することもできる。

余接空間の元を[[無限小]]の変位と考えることができる。{{mvar|f}} が微分可能な関数であれば、各点 {{mvar|p}} において余接ベクトル {{mvar|df{{sub|p}}}} を定義することができる。これは接ベクトル {{mvar|X{{sub|p}}}} を {{mvar|X{{sub|p}}}} に伴う {{mvar|f}} の微分に送る。しかしながら、すべての余ベクトル場がこのように表現できるわけではない。そのようにできるものを[[完全微分形]]と呼ぶ。与えられた局所座標 {{mvar|x{{sup|k}}}} の集合に対し、微分 {{math|{{subsup|dx|''p''|''k''}}}} は {{mvar|p}} における余接空間の基底を成す。

=== テンソル束 ===
テンソル束は接束と余接束のすべての[[テンソル積]]の{{仮リンク|ベクトル束の直和|label=直和|en|direct sum of vector bundles}}である。テンソル束の各元は[[テンソル場]]であり、ベクトル場上、あるいは他のテンソル場上、[[テンソル|多重線型作用素]]として作用することができる。

テンソル束は可微分多様体にはなれない、なぜならば無限次元だからである。しかしながらスカラー関数の環上の[[環上の多元環|多元環]]ではある。各テンソルはどれだけの接因子と余接因子をそれが持っているかを示すその階数によって特徴づけられる。ときどきこれらの階数は[[ベクトルの共変性と反変性|共変および反変]]階数、それぞれ接階数と余接階数を表す、と呼ばれることがある。

=== 枠束 ===
{{details|{{仮リンク|枠束|en|frame bundle}}}}
枠（あるいはより正確には接枠 (tangent frame/接標構)）は特定の接空間の順序付き基底である。同様に、接枠は '''R'''<sup>''n''</sup> からこの接空間への線型同型写像である。動く接枠は定義域の各点での基底を与えるベクトル場の順序付きリストである。動く枠を枠束 F(''M'') 、''M'' 上のすべての枠からなる集合からなる [[一般線型群|GL(''n'', '''R''')]] [[主束]]、の断面と見なすこともできる。''M'' 上のテンソル場を F(''M'') 上の{{仮リンク|同変|en|equivariant}}ベクトル値関数と見なすことができるので、枠束は有用である。

=== ジェット束 ===
{{details|{{仮リンク|ジェット束|en|jet bundle}}}}
十分滑らかな多様体上様々な種類のジェット束を考えることができる。多様体の（1階の）接束は多様体の曲線を[[接触 (数学)|一次の接触]]なる同値関係で割った集合である。類似的に、{{mvar|k}}-階の接束は {{mvar|k}}-次の接触関係で割った曲線の集まりである。同様に、余接束は多様体上の関数の 1-jet の束であり、''k''-jet 束はそれらの ''k''-jet の束である。ジェット束の一般的なアイデアのこれらおよび他の例は多様体上の[[微分作用素]]の研究において重要な役割を果たす。

枠の概念も高次ジェットの場合に一般化する。''k'' 階の枠を '''R'''<sup>''n''</sup> から ''M'' への[[微分同相写像]]の ''k''-jet と定義する<ref>See S. Kobayashi (1972).</ref>。すべての ''k'' 階の枠の集まり ''F<sup>k</sup>''(''M'') は ''M'' 上の主 ''G<sup>k</sup>'' 束である、ただし ''G<sup>k</sup>'' は{{仮リンク|ジェット群|en|jet group|label= ''k''-jet の群}}である、すなわち原点を固定する '''R'''<sup>''n''</sup> の微分同相の ''k''-jet からなる群である。GL(''n'', '''R''') は自然に ''G''<sup>1</sup>, およびすべての ''k'' &ge; 2 に対する ''G<sup>k</sup>'' の部分群に同型であることに注意する。とくに、''F''<sup>2</sup>(''M'') の断面は ''M'' 上の[[接続 (幾何学)|接続]]の枠成分を与える。したがって、商束 ''F''<sup>2</sup>(''M'')/ GL(''n'', '''R''') は ''M'' 上の線型接続全体からなる束である。

== 多様体上の微積分 ==
[[多変数微分積分学|多変数の微分積分学]]のテクニックの多くもまた、[[準用・類推適用|自然な修正を加えて]]、可微分多様体に適用する。例えば多様体の接ベクトルに沿った微分可能関数の方向微分を定義でき、これは関数の[[全微分]]を一般化する手段、微分、に導く。微積分学の観点から、多様体上の関数の微分は少なくとも{{仮リンク|局所的な性質|en|local property|label=局所的}}にはユークリッド空間上定義された関数の通常の微分と多くは同じように振る舞う。例えばそのような関数に対して[[陰関数定理]]や[[逆関数定理]]のバージョンが存在する。

しかしながら、ベクトル場（および一般にテンソル場）の微積分においては重要な違いがある。手短に言えば、ベクトル場の方向微分は well-defined でなく、あるいは少なくとも直截的な方法では定義されない。ベクトル場（やテンソル場）の微分のいくつかの一般化は確かに存在し、ユークリッド空間での微分のいくつかの形式的な性質を捉える。主なものは：
* [[リー微分]]、これは微分構造によって一意的に定義されるが、方向微分の通常の性質のいくつかは満たされない。
* [[アフィン接続]]、これは一意的には定義されないが、通常の方向微分の性質をより完全に一般化する。アフィン接続は一意でないので、それは多様体上特定されなければならない追加のデータである。

[[積分法]]からのアイデアも可微分多様体に持ちこされる。これらは[[外微分|外微分法]] と[[微分形式]]のことばで自然に表現される。多変数の積分の基本的な定理 &mdash; すなわち[[グリーンの定理]]、[[発散定理]]、[[ストークスの定理]] &mdash; は[[外微分]]と[[部分多様体]]上の積分を関連付ける定理（これもストークスの定理と呼ばれる）に一般化する。

===写像の微分===
{{main|写像の微分}}
2つの多様体の間の微分可能な関数は[[部分多様体]]の適切な概念や他の関連する概念を定式化するために必要である。''f'': ''M'' → ''N'' が ''m'' 次元の可微分多様体 ''M'' から ''n'' 次元の可微分多様体 ''N'' への微分可能な写像であれば、''f'' の[[微分 (微分幾何学)|微分]]は写像 ''df'': T''M'' → T''N'' である。これは ''Tf'' とも記され、'''接写像''' (tangent map) と呼ばれる。''M'' の各点においてこれは一方の接空間から他方への線型変換である：
:<math>df(p)\colon T_p M \to T_{f(p)} N.</math>
''f'' の ''p'' での'''階数''' (rank) はこの線型変換の[[行列の階数|階数]]である。

通常関数のランクは点ごとの性質である。しかしながら、関数が最大のランクを持てば、ランクは点の近傍で定数のままである。微分可能な関数は"通常"最大のランクを持つ。その正確な意味は[[サードの定理|サード (Sard) の定理]]によって与えられる。ある点で最大ランクの関数は[[はめ込み]]や[[沈めこみ]]と呼ばれる：

* ''m'' ≤ ''n'' で、''f'': ''M'' → ''N'' が ''p'' ∈ ''M'' においてランク ''m'' を持てば、''f'' は ''p'' での'''はめ込み''' (immersion) と呼ばれる。''f'' が ''M'' のすべての点ではめ込みであり像の上への[[同相写像]]であれば、''f'' は'''[[埋め込み (数学)|埋め込み]]'''である。埋め込みは ''M'' が ''N'' の[[部分多様体]]であるという概念を定式化する。一般に、埋め込みは自己交叉や他の局所的でない位相的特異性を持たないはめ込みである。
* ''m'' ≥ ''n'' で、''f'': ''M'' → ''N'' が ''p'' ∈ ''M'' でランク ''n'' を持てば、''f'' は ''p'' での'''沈めこみ''' (submersion) と呼ばれる。陰関数の定理は ''f'' が ''p'' での沈めこみであれば ''M'' は ''p'' の近くで局所的に ''N'' と '''R'''<sup>''m''−''n''</sup> の積であると述べている。正式に言えば、''f''(''p'') &isin; ''N'' の近傍における座標 (''y''<sub>1</sub>, ..., ''y<sub>n</sub>'') と、''p'' &isin; ''M'' の近傍において定義された ''m''−''n'' 個の関数 ''x''<sub>1</sub>, ..., ''x''<sub>''m''−''n''</sub> であって
::<math>(y_1\circ f,\dotsc,y_n\circ f, x_1, \dotsc, x_{m-n})</math>
:が ''p'' の近傍における ''M'' の局所座標系であるようなものが存在する。沈めこみは{{仮リンク|ファイブレーション|en|fibration}}と[[ファイバー束]]の理論の基礎をなす。

=== リー微分 ===
[[ソフス・リー]] (Sophus Lie) に因んだ[[リー微分]]は多様体 ''M'' 上の[[テンソル場]]の[[体上の多元環|多元環]]上の{{仮リンク|微分 (抽象代数学)|en|derivation (abstract algebra)|label=微分}}である。''M'' 上のすべてのリー微分からなる[[ベクトル空間]]は

:<math> [A,B] := \mathcal{L}_A B  = - \mathcal{L}_B A</math>

で定義される{{仮リンク|ベクトル場のリーブラケット|label=リーブラケット|en|Lie bracket of vector fields}}に関して無限次元[[リー代数|リー環]]をなす。

リー微分は ''M'' 上のフロー（{{仮リンク|active transformation|en|active transformation|label=active}}[[微分同相写像]]）の[[リー群#付随するリー環|無限小生成子]]として[[ベクトル場]]によって表現される。逆にみると、''M'' の微分同相の[[群 (数学)|群]]は[[リー群]]論の直接の類似の方法でリー微分の付随するリー環の構造を持つ。

=== 外微分法 ===
{{details|微分形式}}

外微分法によって[[勾配 (ベクトル解析)|勾配]]、[[発散 (ベクトル解析)|発散]]、[[回転 (ベクトル解析)|回転]]作用素の一般化ができる。

各点における[[微分形式]]の束はその点における接空間上のすべての[[反対称テンソル|反対称]][[多重線型]]写像からなる。それは自然に多様体の次元以下の各 ''n'' に対し ''n'' 形式に分割される。''n'' 形式は ''n'' 変数の形式で、''n'' 次の形式とも呼ばれる。1 形式は余接ベクトルであり、0 形式は単にスカラー関数である。一般に、''n'' 形式は余接ランク ''n'' で接ランク 0 のテンソルである。しかしすべてのそのようなテンソルが形式であるわけではない。形式は反対称でなければならないからである。

==== 外微分 ====
[[外微分]]と呼ばれるスカラーから余ベクトルへの写像
:<math>\mathrm{d} \colon \mathcal{C}(M) \to \mathrm{T}^*(M) : f \mapsto \mathrm{d}f</math>
であって
:<math>\mathrm{d}f \colon \mathrm{T}(M) \to \mathcal{C}(M) : V \mapsto V(f)</math>
なるものが存在する。

この写像は上でのべたように余ベクトルを無限小変位に関連づける写像である。いくつかの余ベクトルはスカラー関数の外微分である。''n'' 形式から (''n'' + 1) 形式の上への写像に一般化することができる。この微分を 2 回適用すると 0 になる。微分が 0 の形式は[[閉形式]]と呼ばれ、それ自身外微分であるような形式は[[完全形式]]と呼ばれる。

ある点での微分形式の空間は[[外積代数]]の原型的な例である。したがって ''k'' 形式と ''l'' 形式を (''k'' + ''l'') 形式に写すウェッジ積を持つ。外微分はこの代数に拡張し、[[積の微分法則|積の法則]]の1つのバージョンを満たす：
::<math>\mathrm{d}(\omega \wedge \eta) = \mathrm{d} \omega \wedge \eta+(-1)^{{\rm deg\,}\omega}(\omega \wedge \mathrm{d} \eta).</math>

微分形式と外微分から、多様体の[[ド・ラームコホモロジー]]を定義することができる。''n'' 次コホモロジー群は閉形式全体を完全形式全体で[[商群|割った群]]である。

== 可微分多様体のトポロジー ==

=== 位相多様体との関係 ===
1, 2, 3次元のすべての位相多様体は（微分同相の違いを除いて）一意的な微分構造を持つ。したがって位相多様体と可微分多様体の概念は高次元でしか区別がない。各高次元で滑らかな構造を持たない位相多様体や複数の微分同相でない構造を持つ位相多様体が存在することが知られている。

滑らかにできない多様体の存在は {{harvtxt|Kervaire|1960}} によって証明され、{{仮リンク|Kervaire多様体|en|Kervaire manifold}}参照、後に[[ドナルドソンの定理]]の文脈で説明された（{{仮リンク|ヒルベルトの第五問題|en|Hilbert's fifth problem}}と比較せよ）<ref>S. Donaldson (1983).</ref>； 滑らかにできない多様体の良い例は {{仮リンク|E8多様体|en|E8 manifold|label= E<sub>8</sub> 多様体}}である。

複数の両立不能な構造を持つ多様体の古典的な例は[[ジョン・ウィラード・ミルナー|ジョン・ミルナー]] (John Milnor) の{{仮リンク|異種球面|label=エキゾチック 7 次元球面|en|Exotic sphere}}である<ref>J. Milnor (1956). これはエキゾチック球面の最初の例である。</ref>。

=== 分類 ===
境界を持たないすべての第二可算 1 次元多様体は '''R'''（[[実数直線]]）と '''S'''（[[円周]]）の高々可算個のコピーの非交和に同相である。連結なのは '''R''' と '''S''' だけで、このうち '''S''' のみがコンパクトである。高次元では、分類理論は通常コンパクト連結多様体のみを考える。

2次元多様体の分類は、{{仮リンク|曲面|en|Surface_(topology)|preserve=1}}を参照：とくにコンパクトで連結な向き付けられた2次元多様体は非負整数である[[種数]]によって分類される。

{{仮リンク|3次元多様体|en|3-manifold}}の分類は、''原理的には''、[[幾何化予想|3次元多様体の幾何化]]と、[[モストウの剛性定理|モストウ (Mostow) の剛性定理]]や双曲群の同型問題に対するセラ (Sela) のアルゴリズム<ref>Z. Sela (1995). しかしながら、3次元多様体はすべてのコンパクト 3 次元多様体の非重複リストを生成する（実際的でない）アルゴリズムが存在するという意味で分類されるだけである。</ref> のような幾何化可能 3 次元多様体に対する様々な認知されている結果から従う。

''n'' > 3 に対する ''n'' 次元多様体の分類は[[ホモトピー同値]]の違いを除いてでさえ不可能なことが知られている。任意の有限[[群の表示|表示]]群が与えられると、その群を基本群に持つ 4 次元閉多様体を構成できる。有限表示群の同型問題を[[決定問題|決定する]]アルゴリズムは存在しないから、2つの4次元多様体が同じ基本群を持つかどうか決定するアルゴリズムは存在しない。前に書かれた構成が同相な4次元多様体のクラスになることとそれらの群が同型であることは同値であるから、4次元多様体の同相問題は決定不能である<!-- this is A.A. Markov's result -->。さらに、自明群を認識することさえ決定不能であるから、多様体が自明な基本群を持つかどうか、すなわち[[単連結]]かどうかを決定することさえ一般には可能でない。

単連結[[4次元多様体]]は[[交叉理論|交叉形式]]と[[カービー・ジーベンマン不変量]] (Kirby–Siebenmann invariant) を用いて[[マイケル・フリードマン|フリードマン]] (Michael Freedman) によって同相の違いを除いて分類されている。滑らかな4次元多様体の理論は、'''R'''<sup>4</sup> 上の[[エキゾチック R4|異種微分構造]]が示しているように、はるかに複雑であることが知られている。

しかしながら、次元が 5 以上の単連結な滑らかな多様体に対しては状況は扱いやすくなる。このときは{{仮リンク|h-コボルディズム論|en|h-cobordism theorem}}を分類をホモトピー同値の違いを除いた分類に還元することに使え、{{仮リンク|手術理論|en|surgery theory}}が適用できる<ref>See A. Ranicki (2002).</ref>。これは Dennis Barden によって単連結{{仮リンク|5次元多様体|en|5-manifold}}の明示的な分類を提供するために実行されてきた。

== 多様体上の構造 ==

=== （擬）リーマン多様体 ===
[[リーマン多様体]]とは接空間に微分可能なような[[内積空間|内積]]を入れた可微分多様体である。内積構造は[[リーマン計量]]と呼ばれる対称2階テンソルの形式で与えられる。この計量はベクトルと余ベクトルを相互変換するために、そして階数4の[[リーマン曲率テンソル]]を定義するために、使うことができる。リーマン多様体には、長さ、体積、角度の概念がある。任意の可微分多様体にはリーマン構造を与えることができる。

[[擬リーマン多様体]]はリーマン多様体の変種で、[[計量テンソル]]が（[[定符号二次形式|正定値]]とは対照的に）[[計量符号|不定値符号]]を持つことも許したものである。符号 (3,&nbsp;1) の擬リーマン多様体は[[一般相対論]]において重要である。すべての可微分多様体に擬リーマン構造を与えられるわけではない。位相幾何学的な制限があるのである。

[[フィンスラー多様体]]はリーマン多様体の一般化で、内積を[[ノルム|ベクトルノルム]]に置き換えたものである。長さは定義できるが、角度は定義できない。

=== シンプレクティック多様体 ===
{{details|シンプレクティック多様体}}

[[シンプレクティック多様体]]とは[[ポアンカレの補題|閉]][[非退化形式|非退化]][[2-形式|2形式]]を伴った多様体である。この条件からシンプレクティック多様体の次元は偶数でなければならない。[[ハミルトン力学]]において相空間として生じる余接束は動機づけとなる例であるが、多くのコンパクト多様体もまたシンプレクティック構造を持つ。[[ユークリッド空間]]に[[埋め込み (数学)|埋め込まれた]]すべての[[向き付け可能性|向き付け可能な]]曲面は[[シンプレクティック幾何学|シンプレクティック構造]]、ユークリッド[[内積]]に誘導された各[[接空間]]上の符号付き面積形式、を持つ<ref group="note">この形式は明らかに非退化であり、その[[曲面]]に関して top-dimensional であるから閉でなければならない。これは（シンプレクティック構造に対応する）[[シンプレクティック群]]と（向き付け可能構造に対応する）[[特殊線型群]]の間のリー群の{{仮リンク|例外的な同型|en|exceptional isomorphism}} <math>\mathrm{Sp}(2,\mathbb{R})\cong\mathrm{SL}(2,\mathbb{R})</math> を反映している。シンプレクティック構造は群のこの同型に加えてさらに可積分性条件を要求することに注意する。単なる{{仮リンク|G-構造|en|G-structure}}ではないのである。</ref>。すべての[[リーマン面]]はそのような曲面の例であり、したがって、[[多様体|実多様体]]と考えて[[シンプレクティック多様体]]の例である。

=== リー群 ===
{{details|リー群}}

[[リー群]]は ''C''<sup>∞</sup> 多様体であって[[群 (数学)|群]]でもあり積と逆元を取る演算が多様体の写像として滑らかであるようなものである。これらの対象は対称性の記述において自然に生じる。

== 一般化 ==
[[多様体の圏|滑らかな写像と滑らかな多様体の圏]]は望まれる性質をいくらか欠いており、人々はこれを修正するために滑らかな多様体を一般化しようとしてきた。{{仮リンク|微分空間|en|Diffeological space}}は "plot" と呼ばれるチャートの異なる概念を用いる。他の試みに {{仮リンク|Frölicher space|en|Frölicher space}} や{{仮リンク|軌道体|en|orbifold}} (orbifold) がある。

{{仮リンク|修正可能集合|en|rectifiable set}} (rectifiable set) は区分的に滑らかあるいは[[弧長#定義|求長可能な曲線]]の概念を高次元に一般化する。しかしながら、修正可能集合は一般の多様体にない。

== 関連項目 ==
*[[多様体]]
*[[アフィン接続]]
*[[アトラス (位相幾何学)|アトラス]]
*[[クリストッフェルの記号]]
*[[微分幾何学]]
*{{仮リンク|一般相対論の数学入門|en|Introduction to mathematics of general relativity}}
*{{仮リンク|リーマン幾何学の公式一覧|en|List of formulas in Riemannian geometry}}
*[[リーマン幾何学]]
*[[空間 (数学)]]

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{reflist|group=note}}

=== 出典 ===
{{reflist|2}}

== 文献一覧 ==
{{refbegin}}
* {{cite journal| author = [[Simon Donaldson|Donaldson, Simon]]| title= An application of gauge theory to four-dimensional topology| journal = Journal of Differential Geometry |volume = 18 |issue = 2 |year = 1983 | pages = 279–315| ref = harv}}
* {{cite book | first = Robin | last = Hartshorne | authorlink=Robin Hartshorne | year = 1977 | title = Algebraic Geometry | publisher = Springer-Verlag | isbn = 0-387-90244-9}}
* {{SpringerEOM|title=Differentiable manifold|urlname=Differentiable_manifold}}
* {{Cite journal|doi=10.1007/BF02565940|last=Kervaire|first1=Michel A.|authorlink=Michel Kervaire|title=A manifold which does not admit any differentiable structure|journal=Coment. Math. Helv.|volume=34|issue=1|pages=257&ndash;270|year=1960|ref=harv|postscript=<!--None-->}}.
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* {{cite journal|first = Gregorio|last = Ricci-Curbastro| title = Delle derivazioni covarianti e controvarianti e del loro uso nella analisi applicata (Italian)| year =1888|ref = harv}}
* {{cite journal|first = Bernhard|last=Riemann|title = Ueber die Hypothesen, welche der Geometrie zu Grunde liegen （幾何学の基礎をなす仮説について） | journal = Abhandlungen der Königlichen Gesellschaft der Wissenschaften zu Göttingen| volume=13 |year = 1867|ref = harv}} [http://www.maths.tcd.ie/pub/HistMath/People/Riemann/Geom/ Available online at Trinity College Dublin]
* {{cite journal|first = Zlil| last = Sela | title = The isomorphism problem for hyperbolic groups. I| journal =  [[Annals of Mathematics]]| volume = 141 | year = 1995 | pages =  217–283 | doi = 10.2307/2118520|issue = 2|publisher = Annals of Mathematics|ref = harv|jstor = 2118520}}
* {{cite book|first=Shlomo|last=Sternberg|authorlink=Shlomo Sternberg|title=Lectures on Differential Geometry|year=1964|publisher=Prentice-Hall}}
*{{cite web
 |url = http://mathworld.wolfram.com/SmoothManifold.html
 |title = Smooth Manifold
 |accessdate = 2008-03-04
 |author =
 |last = Weisstein
 |first = Eric W.
}}

* {{cite book| first = Hermann| last = Weyl| title = Die Idee der Riemannschen Fläche | publisher = Teubner| year = 1955}}
* {{cite journal | first = Hassler| last = Whitney| title = Differentiable Manifolds | journal = [[Annals of Mathematics]] | volume =37 | year= 1936| pages = 645–680| doi = 10.2307/1968482 | issue = 3 | publisher = Annals of Mathematics | ref = harv | jstor = 1968482}}
{{refend}}

* {{Cite book
 | 和書
 | last1 = 松本
 | first1 = 幸夫
 | year = 1988
 | title = 多様体の基礎
 | series = 基礎数学5
 | publisher = 東京大学出版会
 | isbn = 978-4-13-062103-8
 | ref = harv
}}
* {{Cite book
 | 和書
 | last1 = 坪井
 | first1 = 俊
 | year = 2005
 | title = 幾何学I　多様体入門
 | series = 大学数学の入門4
 | publisher = 東京大学出版会
 | isbn = 978-4-13-062954-6
 | ref = harv
}}
* {{Cite book
 | 和書
 | last1 = 松島
 | first1 = 与三
 | year = 2008
 | title = 多様体入門
 | series = 基礎選書5
 | publisher = 裳華房
 | edition = 第37版
 | isbn = 978-4-7853-1305-0
 | ref = harv
}}

{{Normdaten}}

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[[Category:滑らかな多様体|*]]
[[Category:数学に関する記事]]