国際電気単位のソースを表示

'''国際電気単位'''（こくさいでんきたんい、{{Lang-en|International Electrical Unit}}）とは、国際オームと国際アンペア、および[[秒]]を[[基本単位]]とする[[単位系]]である。[[1908年]]に[[ロンドン]]で開催された万国電気単本位会議において決議された単位系である<ref name="nmij">[[#nmij|基本単位の標準（電気）]]</ref><ref name="Silsbee">[[#NBS-Monograph-56|Silsbee (1962)]]</ref>。
この決議に基づいた国際オームと国際アンペアの定義は以下である。
; '''国際オーム'''（{{en|International Ohm}}）
: [[温度]] 0&deg;C において、[[質量]]が {{val|14.4521|u=[[グラム|g]]}} で[[長さ]]が {{val|106.300|u=[[センチメートル|cm]]}} の[[水銀]]柱の[[電気抵抗]]
; '''国際アンペア'''（{{en|International Ampere}}）
: [[硝酸銀]][[水溶液]]から[[反応速度]] {{val|0.00111800|u=g/[[秒|sec]]}} で[[銀]]を[[析出]]させる[[電流]]

== 概要 ==
国際電気単位は、電気計測における{{仮リンク|測定標準|en|Standard (metrology)}}として、[[ジーメンス水銀単位|水銀抵抗原器]]と銀分離器により単位の[[現示]]の方法が定められている。これら単位の現示の条件は[[電磁気量の単位系#実用単位系|実用単位系]]（絶対単位）による[[オーム]]と[[アンペア]]に当時の測定技術の精度で等しくなるように、[[1893年]]の[[国際電気会議]]で定められたものである<ref name="Silsbee" />。なお、この際には[[電圧]]標準が[[クラーク電池]]を用いて定義されていたが、これは[[一貫性 (単位系)|一貫性]]がないため、1908年に決議された国際電気単位には含まれておらず、国際ボルトは国際オームと国際アンペアの積として組み立てられる。

1908年のロンドン会議では、原則として絶対単位であるQES電磁単位を用いることが決議されており、国際電気単位はQES系とは独立な単位系であるが、「電気計測の目的および立法を根拠付けるものとして採用すべき、充分にQES系と近しい単位系」として、当時の技術的な限界からやむを得ず定められたものである<ref name="Silsbee"/><ref name="miyake">[[#miyake|三宅 (1948)]]</ref><ref name="kobayashi">[[#kobayashi|小林 (1955)]]</ref>。国際電気単位に基づいて各国で原器が制作され、それらに基づいて国ごとの単位が定められており、日本でも1910年に[[電気測定法]]（明治43年3月26日法律第26号）が制定され、国際電気単位が採用された<ref name="ndl">[[#ndl|日本法令索引]]</ref><ref name="miyake"/><ref name="kobayashi"/>。各国が異なる原器に基づいて単位を定めるため、国際電気単位には国ごとの僅かな差が生じる。このため各国からマンガニン標準抵抗器と[[ウェストン電池|ウェストン標準電池]]を持ち寄って国際比較が行われ、単位が維持されていた。

1939年の電気諮問委員会では1940年1月1日より国際電気単位を廃止して絶対単位への移行が決定されたが、その年の[[国際度量衡総会]]（CGPM）が[[第二次世界大戦]]により中止となった。終戦後の1946年に[[国際度量衡委員会]]（CIPM）において1948年1月1日より絶対単位への移行が決議された<ref name="miyake"/><ref name="kobayashi"/>。日本では1966年に旧計量法の改正（計量法の一部を改正する法律、昭和41年7月1日法律第112号）に伴って電気測定法が廃止された。なお、絶対単位への移行後も各国ではマンガニン標準抵抗器とウェストン標準電池による単位の維持は続けられた<ref name="kobayashi"/>。

== その他の単位 ==
既に述べたように、国際ボルトは国際オームと国際アンペアの積
: <math>V_\text{int} =\varOmega_\text{int}\ A_\text{int}</math>
として組み立てられる。その他の電気単位も一貫性に基づいて
: <math>W_\text{int} =V_\text{int}\ A_\text{int}</math>
: <math>C_\text{int} =A_\text{int}\ \text{s}</math>
: <math>F_\text{int} =C_\text{int}/V_\text{int}</math>
: <math>H_\text{int} =\varOmega_\text{int}\ \text{s}</math>
で定義される。


== 脚注 ==
<references />

== 関連項目 ==
* [[電磁気量の単位系]]

== 参考文献 ==
* {{Cite book
 |title= MINUTES AND VERBATIM REPORT OF THE MEETINGS OF THE DELEGATES: TOGETHER WITH THE FINAL REPORT AND ITS TRANSLATION INTO FRENCH AND GERMAN
 |author= International Conference on Electrical Units and Standards
 |oclc= 12291389
}}
* {{Cite journal
 |title= Systems Of Electrical Units
 |author= Francis B. Silsbee
 |date= January 19, 1962
 |journal= JOURNAL OF RESEARCH
 |volume= 66C |number= 2 |page= 137
 |publisher= [[アメリカ国立標準技術研究所|National Bureau of Standards]]
 |url= https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/jres/66C/jresv66Cn2p137_A1b.pdf
 |format= PDF
 |ref= NBS-Monograph-56
}}
* {{Cite journal|和書
 |title= 電気単位に就て
 |author= 米田麟吉、石橋勇一
 |year= 1935
 |journal= 電気化学
 |volume= 3 |number= 11 |pages= 448-445
 |url= https://www.jstage.jst.go.jp/article/denka/3/11/3_448/_pdf
 |format= PDF
 |doi= 10.5796/denka.3.448
 |ref= yoneda
}}
* {{Cite journal|和書
 |title= 電気の単位について
 |author= 三宅修三
 |year= 1948
 |journal= 応用物理
 |volume= 17 |number= 10 |pages= 294-299
 |url= https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/17/10/17_10_294/_pdf
 |format= PDF
 |doi= 10.11470/oubutsu1932.17.10_294
 |ref= miyake
}}
* {{Cite journal|和書
 |title= 電気単位の絶対測定に用いる標準器の精密工作(1)
 |author= 小林昭
 |year= 1955
 |journal= 精密機械
 |volume= 21 |number= 242 |pages= 134-140
 |url= https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/21/242/21_242_134/_pdf
 |format= PDF
 |doi= 10.2493/jjspe1933.21.242_134
 |ref= kobayashi
}}

== 外部リンク ==
* {{Cite web|和書
 |url= https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/electric/
 |title= 基本単位の標準（電気）
 |accessdate= 2022-04-22
 |publisher= 計量標準総合センター
 |ref= nmij
}}
* {{Cite web|和書
 |url= https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000010972
 |title= 電気測定法
 |accessdate= 2022-11-03
 |website= 日本法令索引
 |publisher= [[国立国会図書館]]
 |ref= ndl
}}
* {{Cite web|和書
 |url= https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000057578
 |title= 計量法の一部を改正する法律
 |accessdate= 2022-11-03
 |website= 日本法令索引
 |publisher= 国立国会図書館
 |ref= ndl
}}
{{DEFAULTSORT:こくさいてんきたんい}}
[[Category:計量学]]
[[Category:単位系]]