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{{測地学}} '''地球楕円体'''(ちきゅうだえんたい、{{lang-en-short|Earth ellipsoid}})とは、[[測地学]]において[[地球]]の[[ジオイド]]([[平均海面]])の形に近似した[[回転楕円体]]([[扁球]])を指す。その中心は地球の[[重心]]に、[[短軸]]は[[自転軸]]に一致させる。 現在の[[測地系]]は陸域では[[GRS80]]地球楕円体を採用する場合が多い。[[測量#測地測量(基準点測量)|測地測量]]の[[基準]]として用いる地球楕円体は「[[準拠楕円体]]」とも呼ぶ。 <!--地球楕円体と[[ジオイド]]のずれを、「ジオイドの高さ」と表現する。このずれは、地球の内部構造の不均一により生じる。ジオイド、すなわち地球の形は“[[西洋なし]]”型をしているため、[[扁球]]である地球楕円体(→[[扁平率#地球の扁平率|地球の扁平率]])と完全に一致する事はない。--> 地球楕円体の面に沿った経線弧(南北方向の[[測地線]])を[[子午線弧]]と呼ぶ。歴史的には、子午線弧の研究を通じて、地球が球体を成していることが示され、また地球楕円体は、[[赤道]]半径に比べて極半径の小さい[[扁球]]なのか、それとも[[長球]]なのかを決める研究が行われた。 <!--現在では、地球は回転楕円体のうち[[扁球]]に近いと解釈されているが、かつては地球の形状について扁球なのか[[長球]]なのかについて、学者の間で見解が二分されていた。この地球形状に係る解釈の論争の経緯については、{{see|子午線弧#フランス科学アカデミー遠征隊のペルーとラップランドへの派遣}}--> == GRS80楕円体 == {{main|GRS80}} GRS80は[[準拠楕円体]]のひとつで、現在世界の測地系で最も広く使われている。GRS80楕円体の[[長半径]]([[赤道半径]])''a'' 及び[[扁平率]] ''f'' は、 *<math>a=6\ 378\ 137{\rm m}\,</math> *<math>f=\frac{1}{298.257\ 222\ 101}</math> 肉眼だと、扁平率約1/300の[[回転楕円体]]と真球とを区別できない。 ただし、現実の地球上ではこの歪み(赤道半径と[[極半径]]の差)が約21kmに達する<ref>「[http://www.geod.jpn.org/web-text/part2/2-1/ 2-1.地球の形をどのように記載するか]」日本測地学会、2018年7月15日閲覧</ref>。 == WGS84楕円体 == 海域の[[測地系]]は[[:en:WGS84|WGS84]]を用いることが多い。WGS84楕円体の[[扁平率]] ''f'' は、GRS80楕円体とはごく僅か異なっている。 *<math>f=\frac{1}{298.257\ 223\ 563}</math> この差異は、地球の[[軌道短半径|短半径]]([[極半径]])にすると、約0.105mmだけ異なるものであり、実用上は全く問題とはならない差異である。 WGS84楕円体は元々はGRS80を基にしたものではあるが、数値の導出過程が異なっている。すなわち、扁平率を決定するに当たって、正規化された2次の帯調和重力係数から計算により導出した際に、基となるGRS80の力学的形状係数J2の有効数字を8桁で打ち切ったために、僅かな差が発生したのである。 == 日本 == 日本における準拠楕円体は、2002年まで[[フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセル|ベッセル]]により算出された値([[ベッセル楕円体]])を採用していた(「日本[[測地系]]」と呼称)が、[[海図]]の国際利用や精密な[[位置情報]]にもとづく[[地理情報システム|GIS]]データの整備の障害になりつつあったため、2002年4月1日から[[世界測地系]]として[[GRS80]]地球楕円体が準拠楕円体として採用された<ref>測量法第11条第3項各号<br> 1 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。<br> 2 その中心が、地球の重心と一致するものであること。<br> 3 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。</ref>。この新しい準拠楕円体の[[長半径]]([[赤道半径]])''a'' 及び[[扁平率]] ''f'' の値は、[[測量法]]施行令第3条<ref>測量法施行令第3条</ref>により定義され、GRS80楕円体の値である<ref>[https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/datum-main.html#p2 日本の測地系 測地系と準拠楕円体] [[国土交通省]][[国土地理院]] 2019年3月9日閲覧</ref>。 <!-- *<math>a=6\ 378\ 137{\rm m}\,</math>(正確に) *<math>f=\frac{1}{298.257\ 222\ 101}</math>(正確に) --> ===海上=== なお、日本の[[水路業務法]]施行令第2条<ref>水路業務法施行令第2条</ref>で定められている[[扁平率]]の値は、[[:en:WGS84|WGS84]]楕円体の値である。したがって上記の定義とはごくわずか異なっている。 <!--り、次の通りである。 扁平率:<math>f=\frac{1}{298.257\ 223\ 563}</math> 詳細は[[扁平率#地球の扁平率]]を参照のこと。この[[GRS80]]楕円体と[[:en:WGS84|WGS84]]楕円体との差異は、地球の[[短半径]]([[極半径]])が約0.105mmだけ異なるものであり、実用上は全く問題とはならない差異である。--> == 各種の準拠楕円体 == {| class="wikitable" ! 名称 !! 赤道半径<br/> a;メートル !! 扁平率の逆数<br/> <math>1/f\,\!</math> !! 使用している主要国 |- | ベッセル, 1841 | 6 377 397.155 | 299.152 813 | (2002年3月までの日本) |- | 改訂{{仮リンク|アレクサンダー・ロス・クラーク|label=クラーク|en|Alexander Ross Clarke}}, 1880 | 6 378 249.145 | 293.4663 | [[アフリカ]]各国 |- | [[:en:Feodosy Krasovsky|クラソフスキー]] (SK-42), 1940 | 6 378 245 | 298.3 | [[ロシア]] |- | [[ジョージ・エベレスト|エベレスト]], 1956 | 6 377 301.243 | 300.8017 | [[インド]] |- | [[オーストラリア]]国家, 1965 | rowspan="3" | 6 378 160 | rowspan="2" | 298.25 | |- | サウスアメリカ1969, 1969 | [[南米]]各国 |- | IAG67, 1967 | 298.247 167 | |- | WGS72, 1972 | 6 378 135 | 298.26 | |- | IAU76, 1976 | 6 378 140 | 298.257 | |- | [[GRS80]], 1979 | rowspan="2" | 6 378 137 | 298.257 222 101 | [[アメリカ]]、[[ヨーロッパ]]、[[日本]] |- | [[:en:WGS84|WGS84]], 1986 | 298.257 223 563 | [[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]、「海上での測量」に使用 |- | [[:en:IERS|IERS]], 1989<ref name="iers1989">{{Cite web|url=https://www.iers.org/IERS/EN/Publications/TechnicalNotes/tn03.html|title=IERS Standards (1989)|accessdate=2017-07-09}}</ref> | rowspan="2" | 6 378 136 | 298.257 | |- |[[:en:PZ-90|PZ-90]], 1990 | 298.257 839 303 | [[GLONASS]]に使用 |- | IERS, 2003<ref name="iers2003">{{Cite web|url=https://www.iers.org/IERS/EN/Publications/TechnicalNotes/tn32.html|title=IERS Standards (2003)|accessdate=2017-07-09}}</ref> | rowspan="2" | 6 378 136.6 | 298.256 42 | |- | GSK2011, 2011<ref name="gsk2011">{{Cite web|url=http://structure.mil.ru/files/pz-90.pdf|title=«ПАРАМЕТРЫ ЗЕМЛИ 1990 ГОДА»(ПЗ-90.11)|accessdate=2017-07-10}}</ref> | 298.256 415 1 | |} ==出典== <references /> == 関連項目 == * [[楕円体]] * [[回転楕円体]] * [[測地系]] * [[扁平率]] * [[ジオイド]] * [[測地学]] * [[ヘイフォード楕円体]] * [[測地線#回転楕円体面上の測地線]] == 参考文献 == * {{Cite book|和書 |author = [[国立天文台]]編 |title = 理科年表 平成22年 |url = https://web.archive.org/web/20060703125140/http://www.rikanenpyo.jp/ |publisher = [[丸善]] |year = 2009 |id = ISBN 978-4-621-08190-7 }} == 外部リンク == * 『[http://www.geod.jpn.org/web-text/ 測地学テキスト]』、日本測地学会、2004年。 ** 地球楕円体については、「[http://www.geod.jpn.org/web-text/part2/2-1/2-1-3.html 2-1-3 地球楕円体]」の節で解説されている。 {{earth-sci-stub}} {{DEFAULTSORT:ちきゆうたえんたい}} [[Category:地球物理学]] [[Category:測量]]
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