地軸のソースを表示

[[File:Earth's Axis.gif|240px|thumb|right|地球の自転とその地軸を視覚化したアニメーション]]
'''地軸'''（ちじく）とは、[[地球]]が[[地球の自転|自転]]する際の軸（自転軸）であり、[[北極点]]と[[南極点]]とを結ぶ運動しない直線を指す。[[地球]]以外の[[惑星]]及び[[衛星]]についてもそれぞれの[[自転]]の軸を地軸と呼ぶ。
以降、特に断らない限り本項では、地球の自転軸について述べる。

地球の自転軸は、[[公転]]軸<ref>公転軸は公転面に対する[[法線ベクトル]]と同じく公転面に対して垂直である。</ref>に対して約23.4度傾いており<ref name=kahaku>国立科学博物館  [https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/uranus_neptune/urnsnept03.html 「天王星は横倒しにまわっているって本当ですか？」] </ref>、公転面に対する角度は約66.5度である<ref>{{kotobank|2=[[日本大百科全書]] (ニッポニカ) }}</ref>。

== 地軸の傾き ==
[[File:AxialTiltObliquity.png|240px|thumb|地球の自転軸の傾き<br>
公転面に直交する破線（公転面に対する法線ベクトル）に対して自転軸（実線）は約23.4度傾いている。公転面（Ecliptic）と赤道面（Celectial Equator）も同様。]]
{{See also|自転軸傾斜角}}
地球は[[太陽]]の周りを回る公転の他に、自らが公転軌道上で[[独楽]]の如く回転する自転運動をしている。この二つの回転運動はそれぞれの公転面（[[黄道]]面）と自転面（[[赤道]]面）もしくは公転軸と自転軸との関わりで捉えられる。自転軸が公転軸と平行であれば公転面と赤道面が同一面となり、地軸（地球の自転軸）は公転面に対して垂直（90度）である。地球の場合は自転軸は公転軸より約23.4度傾いており、地軸と公転面の角度は約66.5度となっている。

=== 地軸と季節の変化 ===
{{疑問点範囲|地軸の傾きが日常生活に最も関連するのは季節の移り変わりだろう|title=回帰線の内側でこの説明は成立するのでしょうか。日本国内では成立しても、全世界的に成り立つのかは疑問です。JPOVに注意しつつ改稿が必要に思われます。|talksection=季節に関する説明について|date=2018年12月}}。地軸が傾いていることから、例として北半球では夏季に日が高く昇り、昼の時間が長く、冬季には日が低く、昼が短い。単位面積当たりの太陽エネルギーの照射量と日照時間とが変化することで、季節が生じる。北緯23.43度（23度26分）を走る北[[回帰線]]上では、1年に1度、[[夏至]]に太陽の[[正中|南中]]高度が90度になる。また[[北極圏]]では、夏至に近い時期はに太陽が常に沈まず([[白夜]])、[[冬至]]の頃には日が昇らない([[極夜]])。南極圏ではそれぞれ時期が6か月異なる。

== 地軸と北極星 ==
地軸は、公転の影響を受けないため、常に一定の方向を指す。そのため、[[天球]]の[[北半球]]と地軸の交点付近の[[恒星]]である[[北極星]]は、1日のどの時刻であっても、1年のどの季節であっても同じ高度（角度）に見える。この高度は観測者の居る地点の緯度によってだけ決まるので、北極星の高度を測定すれば（もちろん北極星の見える北半球においてであるが）、地球上のどの地点であっても[[緯度]]を計算できるのである。[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]などが発達する以前、数百年にわたって北極星が[[航海]]などに役立ってきたのは、こうした地軸の性質による。

ただし、非常に長い期間を想定した場合、地軸自体の指す方向は変化する。これを[[歳差運動]]と呼ぶ。歳差運動自体は珍しいものではなく、コマの首振り運動のように日常観察できるものである。地軸の歳差運動の周期は約2万5,800年である。このため、北極星に該当する恒星も相対的に変化しているように観察される。

== 地軸の傾きを計算する方法 ==
地軸が傾いていること自体は、季節によって日の出、日の入りの時刻が異なることから予想することができた。それでは、地軸の傾き自体はどのように測定できるのだろうか。まず、北極星の高度から緯度 ''x'' を測定する。北極星が観測者の真上に見えれば緯度90度、水平線であれば緯度0度である。次に、一日で最も日が短くなる北半球の冬至の南中時に高さ ''h'' の物体の影の長さ ''l'' を測定する。すると、次の式から[[太陽]]の高度 ''&theta;'' が分かる。

<math>\theta=\tan^{-1} \left( \frac{h}{l} \right) </math>

北半球であれば、地軸の傾き ''&phi;'' は、

''&phi;'' = 90 - ''x'' - ''&theta;''

である。

== 他の惑星の地軸 ==
[[File:Planet axis comparison.png|thumb|360px|地軸の傾きの比較、左から<ref name=kahaku/><br>地球（約23度）、[[天王星]]（約97度）、[[金星]]（約177度）]]
[[太陽系]]の惑星においては、地軸の傾き（[[赤道傾斜角]]）はさまざまである。
太陽系において地軸の傾きの絶対値が最も大きい惑星は[[天王星]]（97.86度）であり、最も小さい惑星は[[水星]]（0.01度）となる。

{{惑星の軌道傾斜角および自転軸傾斜角}}

また、赤道傾斜角を正確に観測するには詳細なデータが必要であるため、太陽系外惑星において正確に観測された事例は無い。
ガス惑星においては、光学観測によって惑星表面の動きから計算される軸と、コアの回転軸が異なるケースもある。

== 地震による地軸への影響 ==
{{Main|超巨大地震#地軸への影響}}
[[超巨大地震]]による地形の変形により[[極運動]]が励起され、地軸がずれることが知られる<ref name="kobayashi">{{Cite web|和書|title=最近の大地震およびプレート運動による極運動の励起 |publisher=北海道大学・宇宙測地学研究室 |author=小林裕太 |date=2012-02-09 |url=http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~geodesy/pdf/Kobayashi_Msc_Thesis.pdf |accessdate=2018-09-16}}</ref>。地軸がずれた結果、地震の前後で地球の自転周期がわずかに変化し、2004年[[スマトラ島沖地震_(2004年)|スマトラ沖地震]]、2010年[[チリ地震_(2010年)|チリ・マウレ地震]]、2011年[[東北地方太平洋沖地震]]では、いずれもマイクロ秒オーダー(10<sup>-6</sup>s)で自転周期が速くなったという観測結果もある<ref>{{cite news|title=Japan Quake May Have Shortened Earth Days, Moved Axis |url=http://www.nasa.gov/topics/earth/features/earth-20100301.html |publisher=NASA |date=2011-03-14 |accessdate=2018-09-16}}</ref><ref>{{cite news|title=Chilean Quake May Have Shortened Earth Days |url=https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?release=2011-080 |publisher=NASA |date=2010-03-01 |accessdate=2018-09-16}}</ref>。

== 脚注 ==
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[赤道傾斜角]]

{{デフォルトソート:ちしく}}
[[Category:地球]]