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[[画像:Overtone.jpg|thumb|250px|紐の[[振動運動]]と[[定常波]]。基本周波数と6[[倍音]]までの図]] '''基本周波数'''(きほんしゅうはすう、{{lang-en-short|fundamental frequency}}、<math>f_o</math>)は信号に含まれる最も低い[[周波数]]成分の周波数である。 音楽では[[倍音#基音|基音]]の周波数が <math>f_o</math> であり[[楽音]]の[[音高]](ピッチ)をほぼ規定する重要な役割を担っている。また、[[情報理論]]では、周期性のある信号の最小周期区間の繰り返し頻度を基本周波数と呼ぶ。 == 定義 == {{main|フーリエ級数}} 周期が<math>T</math>(秒)である周期関数<math>f(t)</math>において、 {{Indent|<math>f_0=\frac{1}{T}</math> (Hz)}} とおくと、この周期関数は、 {{Indent|<math>f(t)=\frac{a_0}{2} + \sum_{n=1}^\infty (a_n\cos 2\pi nf_0t+b_n\sin 2\pi nf_0t)</math>}} とフーリエ級数展開することができる。( <math>a_0</math>、<math>a_n</math>、<math>b_n</math> はフーリエ係数) このとき、<math>f_0</math> を基本周波数とよび、<math>nf_0</math>(<math>n\geqq2</math>)の成分を[[高調波]]とよぶ<ref>『電気学会大学講座 電気・電子基礎数学 -電磁気、回路のための-』 電気学会、1980年、ISBN 4-88686-104-0、pp.119-122</ref>。 == 楽器の基本周波数(基音) == 楽器の基本周波数を求める例として、一方の端が閉じた管を考えたとき、次の方程式が成り立つ。なお、F は基本周波数、V は音速、L は管の長さである。 :<math>F=\frac{V}{4L}</math> L を求めるには次の式を用いる。 :<math>L=\frac{\lambda}{4}</math> λ(波長)を求めるには次の式を用いる。 :<math>\lambda = \frac{V}{F}</math> 両端が開いた管の場合は、次のようになる。 :<math>F=\frac{V}{2L}</math> L を求めるには次の式を用いる。 :<math>L=\frac{\lambda}{2}</math> 波長とは、周期の始点と終点の距離であるから、次の式で求められる。 :<math>\lambda=\frac{V}{F}</math> 70{{°F}}(21.1℃) での空気中の[[音速]]は約 1130 ft/s(340 m/s)である。音速は気温によって変化し[[華氏]]で1°上がると 1.1 ft/s の割合で速くなる。あるいは[[摂氏]]で1°上がると 0.6 m/s の割合で速くなる。 音波の速度は気温によって異なり、 *20℃で V = 343.7 m/s *0℃で V = 331.5 m/s となる。 === ペダル・トーン === [[金管楽器]]では基音(基本周波数)のことを[[ペダルトーン|ペダル・トーン]]という。通常の演奏では用いられないが、ペダル・トーンの演奏は[[特殊奏法]]として、また技能向上のトレーニングとして演奏される。 == 力学系の基本周波数 == {{Main|固有振動}} 一方の端が固定され、もう一方の端に質量が付加された梁(ビーム)があるとき、これは1自由度振動を行う。動ける状態になると、この系は固有振動数で振動する。1自由度振動では系は単一の座標で表され、その固有振動数は質量と(梁の)硬さで決定される。角固有振動数 ω<sub>n</sub> は次の方程式で求められる。 :'''ω<sub>n</sub><sup>2</sup> = k/m''' ここで、 :k = 梁の硬さ :m = 付加された質量 :ω<sub>n</sub> = 角固有振動数(ラジアン/秒) :ƒ<sub>n</sub> = 固有振動数(ヘルツ) 角振動数が分かれば、ω<sub>n</sub> を 2π で割れば、固有振動数 ƒ<sub>n</sub> が得られる。角固有振動数を先に求めない場合、固有振動数は次のように直接求められる。 :'''ƒ<sub>n</sub> = (1/2π)((k/m)<sup>½</sup>)''' == 基本周波数推定 == '''基本周波数推定'''({{lang-en-short|fundamental frequency estimation}})は信号の <math>f_o</math> を推定するタスクである。より広義な表現として'''{{仮リンク|ピッチ検出|en|Pitch_detection_algorithm}}'''とも呼ばれる<ref>[[音高]](ピッチ)は心理量であり基本周波数と1:1対応しないため、<math>f_o</math> 推定をピッチ推定と呼ぶことは厳密には問題がある(詳細: [[音高]])。</ref>。 特に[[音声分析]]などの音響分野で重要なタスクであり、様々な推定法が提案されている。 * 時間領域 ** 自己相関法 ** YIN ** pYIN ** SWIPE ** ゼロ交差法(Zero Cross): [[倍音#基本波フィルタリング|基本波フィルタリング]]で得られた基本波(~正弦波)のゼロ交差点周期を検出<ref>"ゼロ交差法は, 音声の振幅が0を交差する'''ゼロ交差点'''の時刻を算出し, ゼロ交差時刻から基本周期を求める手法である。" 森勢 著, 日本音響学会 編. (2018). 音響テクノロジーシリーズ22: 音声分析合成. p.76.</ref> ** ピーク検出法(Peak-to-Peak) ** DIO: ゼロ交差法とピーク検出法の組み合わせ。WORLD[[音声分析合成#ボコーダー|ボコーダー]]で利用。 * 周波数領域 ** [[ケプストラム]]法<ref>提唱論文: Noll. (1964). ''Short‐Time Spectrum and “Cepstrum” Techniques for Vocal‐Pitch Detection''. J. Acoust. Soc. Am. 36, 296–302.</ref> * YAAPT * CREPE<ref>Kim. (2018). ''CREPE: A Convolutional Representation for Pitch Estimation''. ICASSP. [[arxiv:1802.06182|arxiv]].</ref>: [[畳み込みニューラルネットワーク]]を利用 * Harvest: WORLD[[音声分析合成#ボコーダー|ボコーダー]]で利用 == 出典 == {{Reflist}} == 関連項目 == *[[振動]] *[[ヘルツ]] *[[高調波]] {{音響学}} {{DEFAULTSORT:きほんしゆうはすう}} [[Category:調律]] [[Category:信号処理]] [[Category:物理数学]] [[Category:振動と波動]] [[Category:力学]] [[Category:音]]
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