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{{chembox | Verifiedfields = changed | Watchedfields = changed | verifiedrevid = 477000218 | Name = 塩化ウラン(IV)<br>Uranium(IV) chloride | ImageFile = Kristallstruktur Uran(IV)-chlorid.png | ImageName = Uranium Tetrachloride crystal structure | IUPACName = Uranium(IV) chloride | OtherNames = Tetrachlorouranium<br>Uranium tetrachloride<br>Uranous chloride |Section1={{Chembox Identifiers | InChI = 1/4ClH.2U/h4*1H;;/q;;;;2*+2/p-4 | InChIKey = AYQSGSWJZFIBLR-XBHQNQODAS | SMILES = [U+2].[U+2].[Cl-].[Cl-].[Cl-].[Cl-] | StdInChI_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChI = 1S/4ClH.2U/h4*1H;;/q;;;;2*+2/p-4 | StdInChIKey_Ref = {{stdinchicite|correct|chemspider}} | StdInChIKey = AYQSGSWJZFIBLR-UHFFFAOYSA-J | CASNo_Ref = {{cascite|changed|CAS}}<ref>http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/rn/10026-10-5</ref> | CASNo = 10026-10-5 | ChemSpiderID_Ref = {{chemspidercite|correct|chemspider}} | ChemSpiderID =19969614 }} |Section2={{Chembox Properties | Formula = UCl<sub>4</sub> | MolarMass = 379.84 g/mol | Density = 4.87 g/cm<sup>3</sup> | Solvent = | SolubleOther = | MeltingPtC = 590 | BoilingPtC = 791 }} |Section3={{Chembox Structure | CrystalStruct = 八面体構造 }} |Section4={{Chembox Related | OtherCompounds = [[塩化ウラン(III)]], [[塩化ウラン(V)]], [[塩化ウラン(VI)]] }} }} '''塩化ウラン(IV)''' または'''四塩化ウラン''' (UCl<sub>4</sub>) は[[ウラン]]と[[塩素]]の[[化合物]]で、ウランの[[酸化数]]は +4 である。電磁的同位体分離法(electromagnetic isotope separation、 EMIS) による[[ウラン濃縮]]に利用される。 また、有機ウラン化学における出発物質の一つでもある。 純粋な金属ウランは、[[1841年]]に[[:fr:Eugène-Melchior Péligot|ウジェーヌ=メルシオル・ペリゴー]]により塩化ウラン(IV)を[[カリウム]]で還元して初めて単離された。 == 合成 == 塩化ウラン(IV)は一般的には[[酸化ウラン(VI)]]と[[:w:Hexachloropropene|ヘキサクロロプロペン]]を反応させて生成する。 塩化ウラン(IV)付加溶媒は有機溶媒中で[[塩化水素]]と[[ヨウ化ウラン(IV)]]を反応させることで得られる。 == 性質 == [[ファイル:UCl4.jpg|none|thumb|UCl<sub>4</sub>]] 塩化ウラン(IV)は[[吸湿性]]のある暗緑色の固体で、高真空下で500 ℃に加熱すると分解する。結晶中ではウラン原子は8つの塩素原子に囲まれ、うち4つの U-Cl 結合長は264 pm、他の2つは287 pmである.<ref>{{cite journal|last=Taylor|first=J.C.|author2=Wilson, P.W. |year=1973|title=A neutron-diffraction study of anhydrous uranium tetrachloride|journal=Acta Cryst.|volume=B29|pages=1942–1944|doi=10.1107/S0567740873005790|issue=9}}</ref>。塩化ウラン(IV)分子はルイス酸として作用し、非プロトン性ルイス塩基として作用する溶媒に溶解する。 [[プロトン性溶媒]]への溶解は複雑で、塩化ウラン(IV)を水に溶解させるとウランアクアイオンを形成する。 : <chem>UCl4\ + xH2O ->\ [U(H2O)x]^{4+}\ + 4Cl^-</chem> <chem> [U(H2O)x]^{4+}\ ,</chem> (x = 8 または 9<ref>{{cite journal|last=David|first=F.|year=1986|title=Thermodynamic properties of lanthanide and actinide ions in aqueous solution|journal=Journal of the Less Common Metals|volume=121|pages=27–42|doi=10.1016/0022-5088(86)90511-4}}</ref>) は加水分解を受ける。 : <chem>[U(H2O)_x]^{4+} \ <=>\ [U(H2O)_{x-1}(OH)]^{3+}\ + H^+</chem> この反応の[[酸解離定数]] ({{pKa}}) は約1.6であり<ref name=scdb>[http://swww.acadsoft.co.uk/scdbase/scdbase.htm IUPAC SC-Database] A comprehensive database of published data on equilibrium constants of metal complexes and ligands</ref>、加水分解が起こらないのはpH 0以下の強酸性のときだけである。pH が3以上でも加水分解が起こり、弱いアクアイオンの塩化物錯体が形成される。文献によれば [UCl]<sup>3+</sup>(aq) の log K の値は同時加水分解の取り扱いの困難さから −0.5 から +3 の間と推測されている<ref name="scdb" />。 アルコールとは[[加溶媒分解]]が生じる。 : <chem>UCl4\ + xROH \ <=>\ UCl4-x(OR)x\ + xHCl</chem> 塩化ウラン(IV)は[[テトラヒドロフラン]]や[[アセトニトリル]]、[[ジメチルホルムアミド]]のようなルイス塩基として作用する非プロトン性溶媒に溶解する。UCl<sub>4</sub>L<sub>x</sub> で表される溶媒和化合物が生じ、分離することもできる。ただし、溶媒が水を含んでいると塩化ウラン(IV)の加水分解が生じ、溶媒がプロトンを引き抜いてしまうので、厳重に脱水しておく必要がある。 : <chem>UCl4\ +H2O\ + S \ \ UCl3(OH)\ + SH^+\ + Cl^-</chem> 溶媒分子は他の配位子で置換することができる(下式では水溶液中で金属イオンが錯体を形成する場合と同じなので溶媒は現れてこない)。 : <chem>UCl4\ + 2Cl^- ->\ [UCl6]^2-</chem> 塩化ウラン(IV)の溶液は空気による酸化を受けやすく、[[ウラニルイオン]]錯体を形成する。 == 用途 == 塩化ウラン(IV)は商業的には純粋な[[酸化ウラン(IV)]]と[[四塩化炭素]]を370 ℃で反応させることで生産されており、電磁的同位体分離(electromagnetic isotope separation、EMIS)による[[ウラン濃縮]]に利用されている。1944年の始めには、オークリッジの{{仮リンク|Y-12国家安全保障複合施設|en|Y-12 National Security Complex}}で酸化ウラン(VI)からの塩化ウラン(IV)生産が始まり、[[アーネスト・ローレンス]]が開発・指揮する[[カルトロン]]に供給された。カルトロンで塩化ウラン(IV)が用いられたのは、他の濃縮法で使われる[[六フッ化ウラン]]のような腐食性がなかったためであった(ただし、不純物として猛毒の[[ホスゲン]]を含んでいたため厳重な管理が必要だった)。塩化ウラン(IV)を用いる手法は1950年代には使われなくなったが、1980年代に[[イラク]]が核兵器開発計画の一部として復活させていた。この方法では、塩化ウラン(IV)をイオン化させてウランの[[プラズマ]]を得ていた。 プラズマ化したウランを加速して半円形の強[[磁場]]中を通過させた後に外周側と内周側に分けると、内周側に[[ウラン235]]が濃縮される(外周側は[[劣化ウラン]]になる)。この方法は強磁場を維持するために莫大な電力が必要な上にウランの回収率が低く、運用面でも不都合が多いため、大規模な濃縮施設で採用されることはない。 塩化ウラン(IV)とアルカリ金属塩化物を溶融させたものを[[溶融塩原子炉]]の[[核燃料|燃料]]として利用する研究が進められている。塩化ウラン(IV)を[[塩化リチウム]]ー[[塩化カリウム]][[共晶]]混合物と共に溶解したものは、熱化学的再処理によって[[放射化]]した核燃料から[[アクチノイド]]を除去する手段として研究が進められている<ref>Olander, D. R. and Camahort, J. L. (1966), Reaction of chlorine and uranium tetrachloride in the fused lithium chloride-potassium chloride eutectic. AIChE Journal, 12: 693–699. {{doi|10.1002/aic.690120414}}</ref>。 == 脚注 == {{Reflist}} {{ウランの化合物}} {{デフォルトソート:えんかうらん 4}} [[Category:核物質]] [[Category:塩化物]] [[Category:ウランの化合物]]
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