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塩化カルシウム
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{{出典の明記|date=2013年3月}} {{Chembox | Watchedfields = changed | verifiedrevid = 261741316 | Name = 塩化カルシウム | ImageFile = Calcium chloride.jpg | ImageFile2 = Hydrophilite.GIF | ImageName = 塩化カルシウム | IUPACName = 塩化カルシウム | OtherNames = | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 10043-52-4 | CASNo_Ref = {{cascite}} | CASOther = 22691-02-7(一水和物)<br />10035-04-8(二水和物)<br />25094-02-4(四水和物)<br />7774-34-7(六水和物) | PubChem = 24854 | RTECS = EV9800000 | EINECS = 233-140-8 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = CaCl<sub>2</sub> | MolarMass = 110.98 g/mol(無水物)<br />128.999 g/mol(一水和物)<br />147.014 g/mol(二水和物)<br />183.045 g/mol(四水和物)<br />219.08 g/mol(六水和物) | Appearance = 白色固体 | Density = 2.15 g/cm<sup>3</sup>(無水物)<br />1.835 g/cm<sup>3</sup>(二水和物)<br />1.83 g/cm<sup>3</sup>(四水和物)<br />1.71 g/cm<sup>3</sup>(六水和物) | Solubility = 74.5 g/100mL (20 ℃) <br />59.5 g/100 mL (0 ℃) | Solvent = アルコール | SolubleOther = 可溶 | MeltingPt = 782 ℃(無水物)<br />260 ℃(一水和物)<br />176 ℃(二水和物)<br />45.5 ℃(四水和物)<br />30 ℃(六水和物)<ref>Pradyot Patnaik. ''Handbook of Inorganic Chemicals''. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0070494398</ref> | BoilingPt = 1600 ℃(無水物) | pKa = 8-9(無水物)<br />6.5-8.0(六水和物) }} | Section3 = {{Chembox Structure | Coordination = 六配位[[八面体]] | CrystalStruct = [[斜方晶]](歪んだルチル型)、[[Pearson symbol|oP6]] | SpaceGroup = Pnnm, No. 58 }} | Section7 = {{Chembox Hazards | 外部MSDS = | EU分類 = {{Hazchem Xi}} | EUIndex = 017-013-00-2 | NFPA-H = 2 | NFPA-F = 0 | NFPA-R = 1 | Rフレーズ = {{R36}} | Sフレーズ = {{S2}}, {{S22}}, {{S24}} | LD50 = 1000 mg/kg(ラット/経口) }} | Section8 = {{Chembox Related | OtherAnions = [[フッ化カルシウム]]<br />[[臭化カルシウム]]<br />[[ヨウ化カルシウム]] | OtherCations = [[塩化マグネシウム]]<br />[[塩化ストロンチウム]]<br />[[塩化バリウム]] }} }} '''塩化カルシウム'''(えんかカルシウム、塩カル、calcium chloride)は、化学式 CaCl<sub>2</sub> で示される[[カルシウム]]の[[塩化物]]。[[CAS登録番号]]は10043-52-4。[[式量]]は110.98。二水和物、四水和物、六水和物として存在するが、薬品として、二水和物CaCl<sub>2</sub>・2H<sub>2</sub>O([[式量]] 147.01)がよく使用される。 == 合成 == 工業的に[[炭酸ナトリウム]]を生成する「[[ソルベー法]]」の副産物として得られる。 : <chem>2NaCl + CaCO3 -> CaCl2 + Na2CO3</chem> また、[[塩酸]]と[[水酸化カルシウム]]が[[中和反応]]を起こして塩を形成することでも得られる。 : <chem>2HCl + Ca(OH)2 -> CaCl2 + 2H2O</chem> == 反応 == 塩化カルシウムは[[リン酸水素カリウム]]と反応して、[[リン酸水素カルシウム]]の沈殿が生じる。 : <chem>CaCl2 + K2HPO4 -> CaHPO4 + 2KCl</chem> また、塩化カルシウムは中性の乾燥剤であるが、[[アンモニア]]とは反応してしまうので使用できない。 : <chem>CaCl2 + 8NH3 -> CaCl2.8NH3</chem> == 用途 == [[除湿剤]]、[[融雪剤]]、[[豆腐]]用凝固剤、[[食品添加物]]に使用される。水に溶けやすく (82.8 g/100 g)、水溶液の[[凝固点]]が低くなる([[凝固点降下]])。この性質を利用して、[[スケートリンク]]の冷媒として[[飽和]]水溶液を用いる。 日本国内では、晩秋になると、積雪に備え[[道路]]の各所(主に[[橋梁]]、急勾配、急カーブ)に塩化カルシウムを入れた容器が配備される。積雪や凍結で路面が危険な状態にならないよう、通行者が自主的に撒布することができるようになっている。その際の適正な使用量は、道路の状況にもよるが1[[平方メートル]]あたり約30[[グラム|g]](一握り)〜100g程度で、撒きすぎないように注意しなければならない。<!-- ある製品の袋に1平方メートルあたり50から100gとありましたので --> また、道路やグラウンドなどで[[土ぼこり]]の発生防止用としても使われる。この場合は、1平方メートルあたり500〜1500g程度を用いる。水に溶けるときは発熱する。 [[ファイル:Cacl2_storage_for_winter_road_in_japan.jpg|thumb|none|道路に設けられた塩化カルシウムの貯蔵容器]] == 塩化カルシウムによる害 == {{百科事典的でない|type=NOTMANUAL|section=1|date=2022年9月}} 塩化カルシウムは[[海水]]など[[環境|自然環境]]の中に広く[[存在]]する毒性の少ない物質として知られている。しかし、[[家庭]]用の[[除湿剤]]を使えばタンクの中に高濃度の塩化カルシウム[[水溶液]]が溜まるようになっている他、前述の融雪剤として断続的に塩化カルシウムを使うことによる害について知っておく必要がある。 吸湿剤のタンクに溜まった液が[[皮革]]製品に接した場合、表面が侵される。吸湿剤は皮革製品を含む[[衣類]]を収納している場所に設置するのが常なので、吸湿剤を交換する等、衣類の出し入れの際にタンクを倒さないように配慮する必要がある。同時に、[[子供]]が誤飲することのないように設置場所を工夫したり、事前に注意しておくことも大切である。 もし固形のまま、あるいは高濃度の溶液を誤飲した場合は、脱水症状を起こすので大量に水分を飲ませたうえで医師に診せ、同じく目や鼻など粘膜に入った場合は、浸透圧で粘膜が浸蝕・潰瘍を起こすので直ちに大量の水で洗ったあと医師に診せる。同様に、皮膚に固形のままあるいは高濃度の溶液が付着した場合は、炎症を起こすので直ちに低濃度になるように水で洗い流し、症状が残るようならば医師に診せる。 融雪剤として撒布された塩化カルシウムは、周辺の[[植生]]にとって有害である。[[都市]]内の道路のように、周辺に植生のない場所なら問題ないが、山間部では必然的に塩化カルシウムの撒布が多頻度で行われるため、[[土壌]]における[[塩化物]]イオンの量が過剰となり、植生が衰退傾向を見せることもある。 塩化物イオンは、[[鉄筋コンクリート]]に対しても悪影響がある。これらの弊害については[[塩害]]の記事を参照。 また、道路の融雪・凍結防止目的で撒布された塩化カルシウムは水溶液となり、その上を[[車両]]が通行する際にしぶきとなり、[[自動車]]の車体や車輪に付着して、早期[[腐食]]や早期劣化の原因となる。塩化カルシウムが撒布された(とおぼしき)道路を通行した場合は、速やかに洗車すべきである。頻繁に通行する場合は、あらかじめマリン用品として出回っている[[塩害]]防止スプレーを塗布しておく予防策が有効である。 さらに、素手で塩化カルシウムを撒くのは、[[皮膚炎]]の原因になる。特に[[雪]]で[[皮膚]]が濡れている場合は注意が必要である。[[水]]分を遮断できる、ゴム製[[手袋]]を着けて散布作業すること。 == 天然での産出 == 天然での塩化カルシウムは、一般に低温の乾燥環境において産出し、非常に珍しい。[[鉱物]]としては2水和物の[[シンジャル石]] (Sinjarite) <ref>[https://www.mindat.org/min-3673.html Sinjarite ''mindat.org'']</ref>と6水和物の[[南極石]] (Antarcticite) <ref>[https://www.mindat.org/min-251.html Antarcticite ''mindat.org'']</ref>の2種類が知られている。南極石は室温では[[融解]]する。 == 塩化カルシウム(I) == 塩化カルシウムは化学式CaCl<sub>2</sub>で表される塩化カルシウム(II)の他に、化学式CaClで表される塩化カルシウム(I)が存在する。塩化カルシウム(I)は不安定な[[二原子分子]]であり、その結合は本質的に強いイオン性である<ref>Brown, J. M.; Milton, D. J.; Steimle, T. C. (1981). "Studies of the optical spectra of CaCl and SrF at sub-Doppler resolution". ''Faraday Discussions of the Chemical Society'' '''71''': 151. {{doi|10.1039/DC9817100151}}</ref>。塩化カルシウム(I)の固体構造は1953年に報告されたが<ref>Ehrlich, P.; Gentsch, L. (1953). "Über das Calciummonochlorid". ''Die Naturwissenschaften'' '''40''' (17): 460. {{Bibcode|1953NW.....40..460E.}} {{doi|10.1007/BF00628837}}</ref>、後に行われた追試験は失敗している<ref>Gerd Meyer, Dieter Naumann, Lars Wesemann 2007 Inorganic Chemistry in Focus III Wiley-VCH ISBN 3-527-60909-1</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} <!-- == 関連項目 == --> {{カルシウムの化合物}} {{乾燥}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:えんかかるしうむ}} [[category:塩化物]] [[category:カルシウムの化合物]] [[category:自動車安全技術]] [[category:乾燥剤]]
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