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塩素酸ナトリウム
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{{Chembox | ImageFileL1 = Sodium chlorate ions.svg | ImageSizeL1 = 140px| | ImageFileR1 = Sodium chlorate.jpg | ImageSizeR1 = 130px | ImageAltR1 = 粉末 | IUPACName = 塩素酸ナトリウム | OtherNames = 塩素酸ソーダ | 出典=[https://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_lang=ja&p_card_id=1117&p_version=2 ICSC] | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo =7775-09-9 | KEGG = C18765 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = NaClO<sub>3</sub> | MolarMass = 106.44 | Appearance = 無色結晶 | Density = 2.5, 固体 | Solubility = 100g/100 mL (20℃) | MeltingPt = 248 | BoilingPt = >300 | Boiling_notes = 分解 }} }} '''塩素酸ナトリウム'''(えんそさんナトリウム、sodium chlorate)は、[[ナトリウム]]の[[塩素酸]][[塩 (化学)|塩]]で、化学式 NaClO<sub>3</sub>の化合物。'''塩素酸ソーダ'''とも呼ばれる。 == 性質 == *無色無臭の結晶で[[潮解性]]がある。 *[[水]]に極めて溶けやすく、水溶液は中性。 *300℃以上に加熱すると分解して[[酸素]]を放出する。 *[[強酸]]と反応して[[二酸化塩素]]を放出する。 *強い酸化作用をもち、[[有機物]]、[[硫黄]]、[[金属]]粉などが混ざると、加熱、[[摩擦]]又は衝撃で爆発する。 *[[次亜塩素酸ナトリウム]](NaClO)の[[不均化]]で生じる。 *光で分解するため褐色の瓶に密栓して保管、あるいは冷暗所に保管する。 == 製法 == 工業的な主流は熱濃厚食塩水の[[電気分解]]である。電気分解時の[[アノード|陽極]]には食塩水電解用の寸法安定性電極{{refnest|電解生成物に対し完全耐食性を持つ酸化物被覆チタン系金属電極。イタリアのデ・ノラ社が1966年に実用化した<ref>{{cite journal|和書|url=https://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/029.pdf|format=pdf|title=技術の系統化調査報告「ソーダ関連技術発展の系統化調査」|page=32|author=相川洋明|journal=国立科学博物館技術の系統化調査報告|volume=8|year=2007|month=3|publisher=国立科学博物館 産業技術史資料情報センター|accessdate=2018-9-3}}</ref>。}}<!-- DSA® (寸法安定性陽極)・DSE® (寸法安定性電極)はデノラ・ペルメレックの登録商標 [http://www.permelec.co.jp/recruit/pdf/whats_dse.pdf]-->、[[二酸化鉛]]、[[黒鉛]]、[[白金]]などの耐酸化性のものが必要である。温度とpHが重要であり、低温や高pH条件では[[次亜塩素酸ナトリウム]]が生じる。 : <chem>{Cl^-} + 3H2O -> {ClO3^-} + {6H^+} + 6 \it{e}^-</chem> 工業的には廃れたが、熱濃厚[[水酸化ナトリウム]]に[[塩素]]を吹き込んでも得られる。 : <chem>6NaOH + 3Cl2 -> NaClO3 + 5NaCl + 3H2O</chem> 実験室的には次亜塩素酸ナトリウムの加熱、さらし粉とナトリウム塩を反応させたのち、加熱することにより[[不均化]]して生成する。いずれの場合も水溶液の[[水素イオン指数|pH]]が収率に重大な影響を与える。 : <chem>3NaClO -> NaClO3 + 2NaCl</chem> == 用途 == 工業的には[[二酸化塩素]](ClO<sub>2</sub>)を合成し、[[パルプ]]を漂白するのが主な用途である。その他、各種の[[塩素酸塩]]の原料として用いられる。 身近なところでは、非選択性土壌処理型[[除草剤]]として利用されている。かつては純度98%の塩素酸ナトリウムが[[農薬]]として流通していたが、危険性が高く、また[[爆発物]]に混ぜて非合法に利用される例が多発したこともあり、1970年代以降は[[炭酸ナトリウム]]などが配合された製剤に置き換わっている。[[欧州連合]]では、環境への影響を懸念して2009年に除草剤としての使用が禁止された。[[アメリカ合衆国]]では[[綿花]]や[[大豆]]の収穫前に葉を落とす目的でも使われているが、1995年以降使用量は減少している<ref>{{cite web|author=[[アメリカ地質調査所|USGS]]|title=Pesticide Use Maps - SodiumChlorate|url=http://water.usgs.gov/nawqa/pnsp/usage/maps/show_map.php?year=2011&map=SODIUMCHLORATE&hilo=L&disp=Sodium%20Chlorate|accessdate=2014-10-28}}</ref>。 航空機や潜水艦、[[国際宇宙ステーション]]の緊急用、あるいは携帯用医療機器としての化学的酸素発生器(クロレートキャンドル)にも用いられている。少量の鉄粉が酸化することで発熱し、それにより塩素酸ナトリウムが熱分解することで、多量の[[酸素]]を供給できる。このとき副生成物の[[塩素]]は、[[過酸化バリウム]]に吸収させる。 == 人体への影響と応急措置 == 吸入した場合、[[ヒトの鼻|鼻]]などの[[粘膜]]を刺激し、呼吸困難などが起きる。 吸入した場合は、患者を新鮮な空気の場所に移し、安静にさせる。触ってしまった、目に入ってしまった場合は、多量の水で洗い流す。これらは、医師の処置を受けるまでの応急措置であって、これでよしというわけではない。 摂取した場合、ヘモグロビンが[[メトヘモグロビン]]となり、赤血球膜のタンパク質を変性させて溶血を引き起こすほか、腎機能を障害する。 == 規制 == [[化学品の分類および表示に関する世界調和システム]](GHS)における[[酸化性固体]](区分2)に該当し、各国で貯蔵や運搬に規制がある([[国連番号]]1495)。日本では[[船舶安全法]]や[[航空法]]によってGHSに基づく規制があり、また[[消防法]]に基づく[[危険物第1類]]に指定されている。日本国内では[[毒物及び劇物取締法]]に基づき、[[劇物]]に指定されている(昭和40年政令第2号)が、急性毒性や刺激性は、他の劇物ほど高くない。 ==事故・事件== *1930年代のニュージーランドで、除草剤として使用された塩素酸ナトリウムが羊毛や綿に付着して、{{ill2|爆発ズボン|en|Exploding trousers}}となる問題が発生した<ref>{{Cite web |url=https://karapaia.com/archives/52251977.html |title=1930年代のニュージーランドで頻繁に起きた突然ズボンが自然発火し爆発するという奇妙な現象。その謎を探る。 |access-date=2024-05-30 |website=カラパイア |language=ja}}</ref>。 *[[1916年]][[5月5日]] - 現在の[[大阪市]][[福島区]]野田6丁目にあった東京倉庫で塩素酸ソーダが爆発。死者43人、重軽傷者316人<ref>下川耿史 『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』313頁 河出書房新社刊 2003年11月30日刊 {{全国書誌番号|20522067}}</ref>。 *[[1971年]][[9月5日]] - [[神奈川県]]の坂田種苗会社(現[[サカタのタネ]])で[[火災]]が発生。倉庫に延焼し、[[除草剤]]として保管していた塩素酸ナトリウム200kgが[[爆発]]した<ref>「火事で農薬爆発」『中國新聞』昭和46年9月6日 15面</ref>。 == 注釈 == <references /> == 関連項目 == *[[次亜塩素酸ナトリウム]] *[[次亜塩素酸]] *[[亜塩素酸]] *[[塩素酸カリウム]] *[[除草剤]] == 外部リンク == * [http://www.carlit.co.jp/japan_carlit_lp/ デゾレートAZ粒剤] - 日本カーリット株式会社 {{ナトリウムのオキソ酸塩}} {{DEFAULTSORT:えんそさんなとりうむ}} [[Category:無機化合物]] [[Category:塩素酸塩]] [[Category:ナトリウムの化合物]] [[Category:第1類危険物]] [[Category:劇物]]
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