変分法 (解析力学)のソースを表示
←
変分法 (解析力学)
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
'''変分法'''(へんぶんほう、{{lang-en-short|Variational method, Calculus of variations}})とは、[[関数 (数学)|関数]]を取り[[値]]を返す対応である[[汎関数]]についての[[微分]]にあたる手法を言う。[[オイラー]]と[[ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ|ラグランジュ]]らによって導入された<ref group="注">現代的な形式化はジョン・ヒューイット・ジェレット(John Hewitt Jellett)によってなされた。[[#力学史(下)|力学史(下)]] p.214</ref>。 [[解析力学]]における重要な方程式は[[最小作用の原理]]を元に変分法を用いて導出される。 ==変分法を使った原理== * [[フェルマーの原理]] * [[最小作用の原理]] * [[ディリクレの原理]] {{see also|変分原理}} ==変分法を使った計算例== 例えば、[[物性物理学]]について考えてみよう。[[多体問題]]において[[多体の波動関数]]を使って[[固有値問題]]を解析的かつ厳密に解くことは困難であり、何らかの[[近似法]]を用いて解かれる。その近似手法の一つに'''変分法'''がある。 ある多体系において、規格化、直交性などの条件の下で任意に選んだ試行関数(変分関数とも言う。ここでは多体の波動関数)を {{math|Ψ<sub>trial</sub>}} とする。試行関数はいろいろな選び方があるがここでは、{{math|Ψ<sub>trial</sub>}} は、系を記述する厳密な[[固有関数]](波動関数){{math|Ψ<sub>''i''</sub>}} の展開で記述できるとする。 :<math> \Psi_\mathrm{trial} = \alpha_0 \Psi_0 + \alpha_1 \Psi_1 + \alpha_2 \Psi_2 + \cdots </math> ここで、{{math|Ψ<sub>0</sub>}} を[[基底状態]]の固有関数とする。また、{{math|Ψ<sub>1</sub>, Ψ<sub>2</sub>, ...}} は[[励起状態]]の固有関数である。系の[[ハミルトニアン]]を {{mvar|H}} として、{{mvar|H}} に対する {{math|Ψ<sub>''i''</sub>}} に対応する[[固有値]]を {{mvar|E<sub>i</sub>}} とすると、試行関数 {{math|Ψ<sub>trial</sub>}} の固有値 {{math|''E''<sub>trial</sub>}} は、 :<math> \left\langle \Psi_\mathrm{trial}, H \Psi_\mathrm{trial} \right\rangle = E_\mathrm{trial} </math> であり、 :<math> \begin{align} E_\mathrm{trial} & = \sum_i \overline{\alpha}_i\alpha_i \left\langle \Psi_i, H \Psi_i\right\rangle \\ & = \sum_i | \alpha_i |^2 E_i \\ & \ge E_0 \end{align} </math> となる。この時、試行関数の固有値は、必ず基底状態の固有値 {{math|''E''<sub>0</sub>}}(これがこの場合の厳密解)に等しいかエネルギー的により高い値となる。そして、展開係数である {{mvar|α<sub>i</sub>}} を調節して {{math|''E''<sub>trial</sub>}} の最小値(最適値){{math|''E''<sub>opt</sub>}} を求める。これが試行関数を使った変分法の手順である。この場合の最適値 {{math|''E''<sub>opt</sub>}} も、真の固有値 {{math|''E''<sub>exact</sub> ({{=}} ''E''<sub>0</sub>)}} に対し、 :<math> E_\mathrm{opt} \ge E_\mathrm{exact} </math> となる。これが満たされない場合、その変分計算は正しくない。以上では、試行関数は厳密解としての {{math|Ψ<sub>0</sub>}} を含むという特殊な場合である。実際の計算では厳密解が得られない場合がほとんどである。尚、以上に出てくる固有値は、系の[[全エネルギー]]と置き換えて考えても良い。変分法の結果の良し悪しが、試行関数の選び方に強く依存する場合がある。 試行関数の具体例としては、[[スレーター行列式]]を使い、個々の一粒子波動関数を最適化するものや、試行関数にジャストロウ型波動関数を使い[[量子モンテカルロ法]]を使って最適値を求めたりする。[[量子化学的手法]]や[[バンド計算]]も変分法が使われており、様々な場面で利用されている。 試行関数を使用しない変分法も存在する。 === ヘリウム原子の基底状態 === [[ヘリウム原子]]は、質量''M'' ≫ ''m''と電荷 +2''e''の実質的に固定された[[原子核|核]]の周りの、質量電荷''m''と電荷 −''e''を持つ2個の電子から構成される。[[微細構造]]を無視したハミルトニアンは、 :<math>H = -\frac{\hbar^2}{2m} (\nabla_1^2 + \nabla_2^2) - \frac{e^2}{4\pi\epsilon_0} \left(\frac{2}{r_1} + \frac{2}{r_2} - \frac{1}{|\mathbf{r}_1 - \mathbf{r}_2|}\right)</math> となり、''ħ''は[[換算プランク定数]]、''ε''<sub>0</sub>は[[真空の誘電率]]、 ''r<sub>i</sub>'' (for ''i'' = 1, 2) は核からの''i''番目の電子の距離、 |'''r'''<sub>1</sub> − '''r'''<sub>2</sub>| は2つの電子間の距離である。 2つの電子間の反発を表わす項 ''V<sub>ee</sub>'' = ''e''<sup>2</sup>/(4π''ε''<sub>0</sub>|'''r'''<sub>1</sub> − '''r'''<sub>2</sub>|) が考慮されなければ、ハミルトニアンは核電荷 +2''e''を持つ2つの[[水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解|水素様原子]]のハミルトニアンの和となる。基底状態エネルギーはその結果8''E''<sub>1</sub> = −109 eVとなり(''E''<sub>1</sub>は[[リュードベリ定数]])、その基底状態波動関数は水素様原子の基底状態に対する2つの波動関数の積となる<ref name=Griffiths1995>Griffiths (1995), p. 262.</ref>。 :<math> \psi(\mathbf{r}_1,\mathbf{r}_2) = \frac{Z^3}{\pi a_0^3} e^{-Z(r_1+r_2)/a_0}</math> 上式において、''a''<sub>0</sub>は[[ボーア半径]]、Z = 2はヘリウムの核電荷である。''ψ''<sub>0</sub>によって記述されるこの状態の全ハミルトニアン''H''(項''V<sub>ee</sub>''を含む)の期待値はその基底状態エネルギーについての上界となる。<''V<sub>ee</sub>''> は −5''E''<sub>1</sub>/2 = 34 eV あるため、<H> は8''E''<sub>1</sub> − 5''E''<sub>1</sub>/2 = −75 eV。 より厳格な上界は、「調節可能な」パラメータを持つより良い試行波動関数を用いることによって見出すことができる。個々の電子はもう一方の電子によって部分的に「遮蔽された」核電荷を見ていると考えることができるため、「有効」核電荷''Z'' < 2と等しい試行波動関数を用いることができる。この状態における''H''の期待値は : <math> \langle H \rangle = \left[-2Z^2 + \frac{27}{4}Z\right] E_1 </math> である。これはZ = 27/16で最小となる。遮蔽は有効電荷を ~1.69に減少させる。この''Z''の値を''H''についての式へ代入することで、実験値 −78.975 eVの2%以内の729''E''<sub>1</sub>/128 = −77.5 eVが得られる<ref name="DrakeVan1994">{{cite journal|last1=Drake|first1=G.W.F.|last2=Van|first2=Zong-Chao|title=Variational eigenvalues for the S states of helium|journal=Chem. Phys. Lett.|volume=229|issue=4-5|year=1994|pages=486–490|doi=10.1016/0009-2614(94)01085-4}}</ref>。 このエネルギーのより近い推定値も、より多くのパラメータを持つより複雑な試行波動関数を用いて見出されている。これは物理化学において[[変分モンテカルロ法]]を用いて成される。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist2}} === 出典 === <references /> == 参考文献 == * {{cite book | 和書 | author=日本数学会 | title=岩波数学辞典 |edition =第 3 版 | publisher=岩波書店 | date=1985 | isbn=4000800167 | ref=岩波数学辞典}} * {{cite book | 和書 | last=戸川 | first=隼人 | title=変分法と有限要素法 | publisher=日本評論社 | date=1994 | ref=harv}} * {{cite book | 和書 | author=R.クーラン、D.ヒルベルト | title=数理物理学の方法1 | editor=斎藤 利弥(監訳)、丸山 滋弥(訳) | publisher=東京図書株式会社 | year=1959 | ref=クーラン・ヒルベルト1 }} * {{cite book | 和書 | author=エルンスト・マッハ | editor=岩野 秀明(訳) | title=マッハ力学史 - 力学の発展と批判-(下) | publisher=筑摩書房 | year=2006 | ref=力学史(下) }} ==関連記事== * [[最小作用の原理]] * [[有限要素法]] * [[関数解析学]] * [[バナッハ空間]] * [[ガトー微分]] * [[フレシェ微分]] * [[変分原理]] * [[フェルマーの原理]] * [[ディリクレの原理]] {{DEFAULTSORT:へんふんほう}} [[Category:力学]] [[Category:量子力学]] [[Category:電磁気学]] [[Category:熱力学]] [[Category:光学]] [[Category:解析学]] [[Category:応用数学]] [[Category:変分法|*]] [[Category:数学に関する記事]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite journal
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Math
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Mvar
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Notelist2
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:See also
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:脚注ヘルプ
(
ソースを閲覧
)
変分法 (解析力学)
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報