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[[File:Powerful numbers up to 100.svg|thumb|100までの多冪数と、指数によって色付けした素因数分解。1は特別なケース(素因数分解は[[空積]])。]] [[自然数]] ''n'' が'''多冪数'''(たべきすう、{{lang-en-short|powerful number}})であるとは、[[素数]] ''p'' が ''n'' を割り切るならば、必ず ''p'' の[[冪乗|平方]]も ''n'' を割り切ることをいう。 多冪数は無数に存在し、1 から小さい順に列記すると :[[1]], [[4]], [[8]], [[9]], [[16]], [[25]], [[27]], [[32]], [[36]], [[49]], [[64]], [[72]], [[81]], [[100]], …({{OEIS|A001694}}) [[ポール・エルデシュ]]と{{仮リンク|ジョージ・セケレシュ|en|George Szekeres}}がこの形の数を研究したが、[[ソロモン・ゴロム]]が初めてこの形の数を {{lang|en|powerful}} と呼んだ。英語では他に {{lang|en|'''squareful''', '''square-full'''}} などともいう。 例えば、36 = 2<sup>2</sup> × 3<sup>2</sup> は素因数 2, 3 についてその平方で割り切れるので多冪数である。12 = 2<sup>2</sup> × 3 は素因数 2, 3 のうち 3 についてその平方である 9 = 3<sup>2</sup> では割り切れないので多冪数でない。 == 性質 == 多冪数を[[素因数分解]]すると、現れる指数は常に 1 より大きくなる。 2''r'' + 3''s''(''r'', ''s'' は非負整数)は 1 より大きなすべての整数を表すから、多冪数は ''a''<sup>2</sup>''b''<sup>3</sup>(''a'', ''b'' は自然数)の形に表される。また、''b'' が[[平方因子をもたない整数]]という条件の下では、多冪数はこの形に一意的に表される。 多冪数の[[逆数]]の和は :<math>\prod_p(1+\frac{1}{p(p-1)}) = \frac{\zeta(2)\zeta(3)}{\zeta(6)} = \frac{315}{2\pi^4}\zeta(3)</math>(''p'' は全ての素数を走る) に収束する。ここで ζ(''s'') は[[リーマンゼータ関数]]である(Golomb, 1970)。 ''k''(''x'') を 1≤''n''≤''x'' となる多冪数 ''n'' の個数とすると :<math>cx^{1/2}-3x^{1/3}\le k(x) \le cx^{1/2}, c = \zeta(3/2)/\zeta(3) = 2.173\cdots</math> となる(Golomb, 1970)。 [[ペル方程式]] ''x''<sup>2</sup> − 8''y''<sup>2</sup> = 1 は無数に多くの自然数解を持つから、無数に多くの連続する多冪数が存在する(Golomb, 1970)。 [[File:difference_of_consecutive_squares.svg|thumb|連続した平方数の差が連続した奇数であることの視覚的証明]] [[奇数]]や 4 の倍数は多冪数、特に[[平方数]]の差で表されるが、ゴロムは :2 = 3<sup>3</sup> − 5<sup>2</sup> :10 = 13<sup>3</sup> − 3<sup>7</sup> :18 = 19<sup>2</sup> − 7<sup>3</sup> = 3<sup>2</sup>(3<sup>3</sup> − 5<sup>2</sup>) など、多冪数の差として表される[[単偶数]]の例を示し、6 はそのように表すことはできず、他にも多冪数の差として表すことができない無数に多くの数が存在すると予想したが、Narkiewicz は :6 = 5<sup>4</sup>7<sup>3</sup> − 463<sup>2</sup> など、6 は多冪数の差として無数に多くの方法で表されることを示し、McDaniel は全ての整数は[[互いに素 (整数論)|互いに素]]な多冪数の差として無数に多くの方法で表されることを示した(McDaniel, 1982)。 エルデシュは十分大きな全ての整数は高々 3 つの多冪数の和として表されると予想し、{{ill2|ロジャー・ヒース=ブラウン|en|Roger Heath-Brown}} によって証明された(Heath-Brown, 1987)。 == 一般化 == より一般的な概念として、素因数分解したときに現れる指数が少なくとも ''k'' であるような整数を ''k''-多冪数(''k''-powerful number)とか ''k''-フル数(''k''-ful number, ''k''-full number)という。 <!-- 参照している数列がまるっきり違う。直せるまでコメントアウト。 * 2-多冪数: [[4]], [[8]], [[9]], [[12]], [[16]], [[18]], [[20]], [[24]], [[25]], [[27]], [[28]], [[32]], [[36]], [[40]], [[44]], [[45]], …({{OEIS|A013929}}) * 3-多冪数: [[8]], [[16]], [[24]], [[27]], [[32]], [[40]], [[48]], [[54]], [[56]], …({{OEIS|A046099}}) * 4-多冪数: [[16]], [[32]], [[48]], [[64]], [[80]], [[81]], …({{OEIS|A046101}}) * 5-多冪数: [[32]], [[64]], [[96]], [[128]], [[160]], [[192]], …({{OEIS|A122616}}) --> :(2<sup>''k''+1</sup>-1)<sup>''k''</sup>, 2<sup>''k''</sup>(2<sup>''k''+1</sup>-1)<sup>''k''</sup>, (2<sup>''k''+1</sup>-1)<sup>''k''+1</sup> は ''k''-多冪数からなる[[等差数列]]である。また ''a''<sub>1</sub>, ''a''<sub>2</sub>, ..., ''a''<sub>''s''</sub> が ''k''-多冪数からなる公差 ''d'' の等差数列であれば : ''a''<sub>1</sub>(''a''<sub>''s''</sub>+''d'')<sup>''k''</sup>, ''a''<sub>2</sub>(''a''<sub>''s''</sub>+''d'')<sup>''k''</sup>, ..., ''a''<sub>''s''</sub>(''a''<sub>''s''</sub>+''d'')<sup>''k''</sup>, (''a''<sub>''s''</sub>+d)<sup>''k''+1</sup> は ''s''+1 項からなる等差数列である。 ''k''-多冪数による等式としては :''a''<sup>''k''</sup>(''a''<sup>''l''</sup>+...+1)<sup>''k''</sup>+''a''<sup>''k''+1</sup>(''a''<sup>''l''</sup>+...+1)<sup>''k''</sup>+...+''a''<sup>''k''+''l''</sup>(''a''<sup>''l''</sup>+...+1)<sup>''k''</sup>=''a''<sup>''k''</sup>(''a''<sup>''l''</sup>+...+1)<sup>''k''+1</sup> というものもあり、ここから ''l''+1 個の ''k''-多冪数の和が ''k''-多冪数となる例が無数にあることが分かる。Nitaj は互いに素な 3-多冪数で、その和が 3-多冪数となるものが無数にあることを示し(Nitaj, 1995)、Cohn は互いに素で、かつ[[立方数]]でない 3-多冪数で、その和が再び立方数でない 3-多冪数となるものが無数にあることを示した(Cohn, 1998)。Cohn の構成は次の通りである。 :''X''=9712247684771506604963490444281, ''Y''=32295800804958334401937923416351, ''Z''=27474621855216870941749052236511 は方程式 32''X''<sup>3</sup> + 49''Y''<sup>3</sup> = 81''Z''<sup>3</sup> の解であり、ここから ''X''′=''X''(49''Y''<sup>3</sup> + 81''Z''<sup>3</sup>), ''Y''′ = −''Y''(32''X''<sup>3</sup> + 81''Z''<sup>3</sup>), ''Z''′ = ''Z''(32''X''<sup>3</sup> − 49''Y''<sup>3</sup>)とし、その公約数を取り除くことによって新たに方程式 32''X''<sup>3</sup> + 49''Y''<sup>3</sup> = 81''Z''<sup>3</sup> の解を構成する。32''X''<sup>3</sup>, 49''Y''<sup>3</sup>, 81''Z''<sup>3</sup> が求める組である。 == その他の性質 == {{正確性|date=2024年10月|section=1}} * 連続する多冪数の組は ([[8]], [[9]]), ([[288]], [[289]]), ([[675]], [[676]]), … となる。小さいほうの数は{{OEIS2C|A060355}}を、大きいほうの数は{{OEIS2C|A078326}}を参照。 * 連続で ''k''-多冪数が表れる数がある。個数の少ない順に書き表すと [[4]], [[8]], [[48]], [[242]], 844, 22020, 217070, …({{OEIS2C|A045882}}) ** 連続で ''k''-多冪数が表れる数の小さい方の数は [[8]], [[24]], [[27]], [[44]], [[48]], [[49]], [[63]], [[75]], [[80]], [[98]], [[99]], [[116]], [[120]], [[124]], [[125]], [[135]], …({{OEIS2C|A068781}}) ** 3連続で ''k''-多冪数が表れる数の最小の数は [[48]], [[98]], [[124]], [[242]], [[243]], [[342]], [[350]], [[423]], [[475]], …({{OEIS2C|A070258}}) *** このときの中央の値の数 (自身と両隣が ''k''-多冪数) の数列は {{OEIS2C|A235578}} を参照。 ** 4連続で ''k''-多冪数が表れる数の最小の数は [[242]], 844, 845, [[1680]], [[1681]], …({{OEIS2C|A070284}}) ** 5連続で ''k''-多冪数が表れる数の最小の数は 844, [[1680]], 2888, …({{OEIS2C|A078144}}) ** 6連続で ''k''-多冪数が表れる数の最小の数は {{OEIS2C|A049535}} を参照。 ** 7連続で ''k''-多冪数が表れる数の最小の数は {{OEIS2C|A077640}} を参照。 ** 8連続で ''k''-多冪数が表れる数の最小の数は {{OEIS2C|A077647}} を参照。 ** 9連続で ''k''-多冪数が表れる数の最小の数は {{OEIS2C|A078143}} を参照。 * 奇数の ''k''-多冪数は [[9]], [[25]], [[27]], [[45]], [[49]], [[63]], [[75]], [[81]], [[99]], [[117]], [[121]], [[125]], [[135]], [[147]], [[153]], …({{OEIS2C|A053850}}) == 参考文献 == * J. H. E. Cohn, A conjecture of Erdös on 3-powerful numbers, ''Math. Comp.'' '''67''' (1998), 439–440. [http://www.ams.org/mcom/1998-67-221/S0025-5718-98-00881-3/] * P. Erdös & G. Szekeres, Über die Anzahl der Abelschen Gruppen gegebener Ordnung und über ein verwandtes zahlentheoretisches Problem, ''Acta Litt. Sci. Szeged'' '''7'''(1934), 95–102. * S. W. Golomb, Powerful numbes, ''Amer. Math. Monthly'' '''77'''(1970), 848–852. * Richard Guy, Section B16 in ''Unsolved Problems in Number Theory'', Springer-Verlag, 3rd edition, 2004; ISBN 0-387-20860-7. * D. R. Heath-Brown, Ternary quadratic forms and sums of three square-full numbers, ''Séminaire de Théorie des Nombres, Paris, 1986-7'', Birkhäuser, Boston, 1988. * D. R. Heath-Brown, Sums of three square-full numbers, in Number Theory, I(Budapest, 1987), ''Colloq. Math. Soc. János Bolyai'' '''51'''(1990), 163--171. * Wayne L. McDaniel, Representations of every integer as the difference of powerful numbers, ''Fibonacci Quart.'' '''20'''(1982), 85–87. * A. Nitaj, On a conjecture of Erdös on 3-powerful numbers, ''Bull. London Math. Soc.'' '''27''' (1995), 317–318. == 関連項目 == * [[アキレス数]] == 外部リンク == * {{MathWorld|title=Powerful Number|urlname=PowerfulNumber}} {{Divisor classes}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:たへきすう}} [[Category:数論]] [[Category:整数の類]] [[Category:数学に関する記事]]
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