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{{Expand English|Multivariable calculus|date=2024年5月}} {{Calculus}} '''多変数(基礎)解析学'''または'''多変数微分積分学'''({{lang-en-short|''multivariable calculus'', ''multivariate calculus''}})とは、1変数の[[微分積分学]]を多変数へ拡張したもの、すなわち[[多変数関数]]における[[微分法]]および[[積分法]]を扱う[[解析学]]の一分野である<ref name="CourantJohn1999">{{cite book|author1=Richard Courant|author2=Fritz John|title=Introduction to Calculus and Analysis Volume II/2|date=14 December 1999|publisher=Springer Science & Business Media|isbn=978-3-540-66570-0}}</ref>。 ==通常の演算== ===極限と連続性=== 多変数微積分学における極限と[[連続写像|連続性]]の研究は、1変数関数による微分積分学では論証されないような様々な非直感的な成果を生み出した<ref name="CourantJohn1999"/>{{rp|19-22}}。例えば、2変数のスカラー関数であって、定義域に、任意の直線に沿って近づくと特定の極限を与えるが、[[放物線]]に沿って近づくと異なる極限を与えるような点を持つものが存在する。例えば、次の関数 :<math>f(x,y) = \frac{x^2y}{x^4+y^2}</math> は原点を通る任意の直線に沿って0(ゼロ)に近づく。しかしながら、放物線 <math>y=x^2</math> に沿って原点に近づく場合、この関数の極限は0.5である。同一の点に向かって異なる経路を選択することで、それぞれの場合に対し異なる極限が得られるので、極限は存在しない。 「各変数に関して連続である」ことは「多変数函数としての連続性」(multivariate continuity) には十分でない<ref name="CourantJohn1999"/>{{rp|17-19}}。 例えば、二つの実変数を持つ[[実数値関数]] <math>f(x,y)</math> の場合、{{mvar|y}} を固定して {{mvar|x}} に関して {{mvar|f}} が連続であり、かつ {{mvar|x}} を固定して {{mvar|y}} に関して {{mvar|f}} が連続となることは、{{mvar|f}} の連続性を意味しない。そのような例として :<math> f(x,y)= \begin{cases} \frac{y}{x}-y & \text{if } 1 \geq x > y \geq 0 \\ \frac{x}{y}-x & \text{if } 1 \geq y > x \geq 0 \\ 1-x & \text{if } x=y>0 \\ 0 & \text{else}. \end{cases} </math> を考えることができる。<math>f_y(x):= f(x,y)</math> によって与えられる(一実変数の)すべての実数値関数は、<math>x</math> において、(任意の固定された <math>y</math> に対して)連続であることを確認するのは容易である。<math>f</math> は <math>x</math> と <math>y</math> に関して対称的であるから、すべての <math>f_x</math> も同様に連続である。しかしながら、<math>f</math> そのものは連続ではない。なぜならば、もし <math>f</math> が連続であれば、(自然数 <math>n</math> に対する)数列 <math>f \left(\frac{1}{n},\frac{1}{n}\right)</math> は <math>f(0,0)=0</math> に収束するはずであるが、 :<math>\lim_{n \to \infty} f \left(\frac{1}{n},\frac{1}{n}\right) = 1</math> である。したがって、''f'' は原点において連続でない。 ===偏微分=== {{main|[[偏微分]]}} '''偏導関数'''は導関数の概念を高次元に一般化するものである。多変数関数の偏導関数は他の変数を定数であるとおいた上での1つの変数に関する導関数である<ref name="CourantJohn1999"/>{{rp|26ff}}。 偏導関数は他の手法と組み合わせ、より複雑な表示を得ることが可能である。[[ベクトル解析]]においては、[[ナブラ演算子]] (<math>\nabla</math>)は[[勾配 (ベクトル解析)|勾配]]、[[発散 (ベクトル解析)|発散]]、[[回転 (ベクトル解析)|回転 ]]という概念を偏導関数に関して定義するために用いられる。偏導関数の行列である[[ヤコビ行列]]は2つの任意の次元の空間の間の関数の導関数を表すために用いることができる。このため導関数は関数の定義域において直接的に点から点へ変化する[[線型写像]]と理解することができる。 偏導関数を含む[[微分方程式]]は[[偏微分方程式]]もしくは'''PDE'''(Partial Differential Equation)と呼ばれる。偏微分方程式は1つの変数のみに関する導関数を含む[[常微分方程式]]よりも一般的に解くのが難しい<ref name="CourantJohn1999"/>{{rp|654ff}}。 ===多重積分=== {{main|多重積分}} 多重積分は任意個の変数の関数に積分の概念を拡張するものである。二重積分および三重積分は、平面および空間における領域の面積および体積を計算するのに使用することができる。[[フビニの定理]]により、被積分関数が積分範囲において連続である限り、多重積分が累次積分として計算可能であることが言える。 [[面積分]]および[[線積分]]は、[[曲面]]や[[曲線]]などの曲がった多様体上での積分に用いられる。 ===多次元における微分積分学の基本定理=== 単一変数の[[微分積分学]]においては、[[微分積分学の基本定理]]が導関数と積分との間につながりを確立する。多変数の微積分における導関数と積分の間のつながりは以下に示すような[[ベクトル解析]]の[[積分定理]]によって具体化されている<ref name="CourantJohn1999"/>{{rp|543ff}}。 * {{仮リンク|勾配定理|en|Gradient theorem}} * [[ストークスの定理]] * [[発散定理]] * [[グリーンの定理]]. より発展した多変数微分積分学では、この4つの定理はより一般的な定理、一般化された[[ストークスの定理]]の特別な場合であることがわかる。これは[[可微分多様体|多様体]]上の[[微分形式]]の積分に適用される。 ==関連項目== {{commonscat|Multivariate calculus}} * [[:en:List of multivariable calculus topics]] * [[多変量解析|多変量統計]]/{{仮リンク|多変量解析|en|Multivariate analysis|preserve=1}} ==参考文献== {{reflist}} ==外部リンク== * [https://www.youtube.com/watch?v=cw6pHhjhKmk&feature=list_related&playnext=1&list=SP07CF868151394FE3 UC Berkeley video lectures on Multivariable Calculus, Fall 2009, Professor Edward Frenkel] * [https://www.youtube.com/user/MIT#g/c/4C4C8A7D06566F38 MIT video lectures on Multivariable Calculus, Fall 2007] * [http://www.math.gatech.edu/~cain/notes/calculus.html ''Multivariable Calculus'']: A free online textbook by George Cain and James Herod * [http://math.etsu.edu/Multicalc/ ''Multivariable Calculus Online'']: A free online textbook by Jeff Knisley * [http://www.ecs.umass.edu/mie/faculty/perot/mie440/Multivariable%20Calculus.pdf ''Multivariable Calculus – A Very Quick Review''], Prof Blair Perot, University of Massachusetts Amherst {{デフォルトソート:たへんすうひせきふんかく}} [[Category:多変数微分積分学]] [[Category:数学に関する記事]]
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