大森公式のソースを表示

'''大森公式'''（おおもりこうしき、''Omori formula''）は、地震で[[初期微動継続時間]]から、[[震源距離]]（観測地点から[[震源]]までの距離）を求める式である。また地震波の速度からいつ震動が到達するかを予想できる。

[[1899年]]、[[大森房吉]]が発表した。

== 初期微動継続時間と震源距離 ==
震源距離を<math>d</math> 、P波の速度を <math>v_p</math> 、S波の速度を <math>v_s</math> とすると、P波の到着にかかった時間 <math>t_p</math>及び、S波の到着にかかった時間 <math>t_s</math>は以下の式で表される。

<math display="inline">t_p = \frac{d}{v_p}</math>, <math display="inline">t_s = \frac{d}{v_s}</math>

ここで初期微動継続時間を<math>t</math>とすると、

<math display="block">\begin{align}
         t & = t_s - t_p \\
           & =\frac{d}{v_s}-\frac{d}{v_p}\\
         \end{align}
   </math>

ゆえに震源距離 <math>d</math>は、

<math display="block">d  = \frac{v_p \cdot v_s}{v_p - v_s} \times t</math><math>\frac{v_p \cdot v_s}{v_p - v_s}</math>は通常6 - 8 km/秒で大森係数 <math>k</math> と置かれ、大森公式は <math display="inline">d=kt</math> である。

'''例）'''初期微動継続時間（P波が到達してからS波が到達するまでの時間）が10秒のとき、大森係数 <math>k</math> = 8 km/s ならば、震源までの距離は80 km。
== 余震に関する大森公式 ==
'''余震に関する大森公式'''（または、大森則、''Omori formula for aftershock'' あるいは ''[[:en:Aftershock#Aftershock size and frequency with time|Omori's law]]''）は、本震後の余震の回数が時間に関して[[べき乗則]]にしたがい減衰することをあらわす式である。[[1894年]]、[[大森房吉]]が発表した。

: 本震からの経過時間<math display="inline">t</math>における単位時間あたりの余震回数 <math>N(t)</math>は次のようになると報告。
:: <math>N(t)  = \frac{K}{t+c} </math>

== 改良大森公式 ==
後の[[1957年]]および[[1961年]]、[[宇津徳治]]がこれを以下のように改良している。

:: <math>N(t)  = \frac{K}{(t+c)^p} </math>

: ここで <math>p</math> は減衰に関する指数。

== 参考文献 ==
* [http://namaz.ge.fukui-nct.ac.jp/omori/omofor/omofor.htm 「大森公式」と「余震の大森公式」], [[福井工業高等専門学校]]地球物理学研究会
* [{{NDLDC|831483/78}} 『明治二十四年十月二十八日大震報告』] p.88-97,濃尾地震略説続編 -餘震（後揺）に就きて, 大森房吉, 岐阜県岐阜測候所, 明治27(1894)年4月28日発行
(以下、和文名は不明)
* {{Cite journal|author=Omori, Fusakichi |issue=2 |journal=The journal of the College of Science, Imperial University, Japan= 帝國大學紀要. 理科 |pages=111-200 |title=On the After-shocks of Earthquakes |volume=7 |year=1895 |doi=10.15083/00037562 |url=https://doi.org/10.15083/00037562}}
* {{Cite journal|author=UTSU, T. |title=Magnitudes of earthquakes and occurrence of their aftershocks |journal=Zisin, Ser. 2 |year=1957 |volume=10 |pages=35-45 |naid=10006235180}}
** {{Cite journal|和書|title=地震のマグニチュードと余震の起りかた |author=宇津徳治 |journal=地震 第2輯 |volume=10 |issue=1 |pages=35-45 |year=1957 |doi=10.4294/zisin1948.10.1_35 |url=https://doi.org/10.4294/zisin1948.10.1_35}}
* {{Cite journal|author=UTSU, T. |title=A statistical study on the occurrence of aftershocks |journal=Geophys.Mag. |year=1961 |volume=30 |pages=521-605 |naid=10006083239 |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I9239539}}

== 関連項目 ==
* [[緊急地震速報]] - 予想される震源距離÷P波速度で'''S'''波の訪れを予測できる

== 外部リンク ==
* [http://namaz.ge.fukui-nct.ac.jp/omori/omofor/omofor.htm　福井工業高等専門学校地球物理学研究会:わかりやすい地震の説明、そして「大森公式」と「余震の大森公式」] 


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[[Category:大森房吉]]
[[Category:地震学]]