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[[位数]]''g'' ([[元 (数学)|元]]の数)の[[群 (数学)|群]]''G'' の[[既約表現]]''α'' の[[ユニタリー表現行列]]''D<sup>(α)</sup>'' の[[行列要素]]を''D<sup>(α)</sup><sub>ij</sub>(G)''と書くと、その間には以下の直交関係がある。 :<math>\sum_G [D_{ij}^{(\alpha)}(G)]^*D_{kl}^{(\alpha)}(G)=\frac{g}{d_\alpha}\delta_{ik}\delta_{jl}</math> ここで和記号は''G''のすべての元についての和を意味する。''d<sub>α</sub>''は表現行列の[[次元]]である。これを表現行列についての'''大直交性定理'''と呼ぶ。大直交性定理は[[シューアの補題]]から導かれる。 == 大直交性定理の応用 == 大直交性定理を具体例に応用することで、以下の重要な結論が導かれる。 #ある点群に可能な既約表現が全部で''n''個あったとする。この各規約表現の次元の2乗を既約表現全てにわたって加えたものは、その点群の[[次数]](つまり要素の数、対称操作の数)に等しい。 #ある既約表現について、その対象操作に対応する各表現行列の[[指標]]の2乗をすべての対称操作について加えたものは、その点群の次数に等しい。 #1つの点群の2つの既約表現について、同じ対称操作に対応するそれぞれの表現行列の指標を作ったとき、その積をすべての対称操作について加えたものはゼロになる。<br />言い換えれば、既約表現のすべての対称操作の表現行列の指標を成分とするベクトルは、違った既約表現間で直交する(単純指標の直交性)。 #ある点群に可能な既約表現の数は、その[[クラス (集合論)|類]]の数に等しい。 #同じ類に属する表現行列の指標は等しい([[相似変換]]の性質)。 === 具体例 === 以上のことを点群''C<sub>2v</sub>''で確認してみる。以下に点群''C<sub>2v</sub>''の[[指標表]]を示す。 {| class="wikitable" |- | || {| |- | ''E'' || ''C<sub>2</sub>'' || ''σ<sub>v</sub>'' || ''σ<sub>v</sub>' '' |} || |- | {| |- | ''A<sub>1</sub>'' |- | ''A<sub>2</sub>'' |- | ''B<sub>1</sub>'' |- | ''B<sub>2</sub>'' |} || {| |- | 1 || 1 || 1 || 1 |- | 1 || 1 || -1 || -1 |- | 1 || -1 || 1 || -1 |- | 1 || -1 || -1 || 1 |} || {| |- | ''T<sub>z</sub>'' || ''z , z<sup>2</sup> , x<sup>2</sup> , y<sup>2</sup>'' |- | ''R<sub>z</sub>'' || ''xy'' |- | ''T<sub>y</sub>'' , ''R<sub>x</sub>'' || ''y , xz'' |- | ''T<sub>x</sub>'' , ''R<sub>y</sub>'' || ''x , yz'' |} |} #点群''C<sub>2v</sub>''の対称操作の数は''E''、''C<sub>2</sub>''、''σ<sub>v</sub>''、''σ<sub>v</sub>' ''の4つである。またこの群を構成する4つの既約表現''A<sub>1</sub>''、''A<sub>2</sub>''、''B<sub>1</sub>''、''B<sub>2</sub>''の次数はすべて1であるので、その2乗を足しあわせたものは4である。よって確かにこれらの数は等しい。 #例えば点群''C<sub>2v</sub>''の1つの既約表現''B<sub>1</sub>''を考えると、指標の2乗を足し合わせると<math>(1)^2+(-1)^2+(1)^2+(-1)^2=4</math>となる。これは確かに点群''C<sub>2v</sub>''の対称操作の数4に等しい。 #例えば点群''C<sub>2v</sub>''の既約表現''A<sub>2</sub>''と''B<sub>1</sub>''を考えると、<math>(1)(1)+(1)(-1)+(-1)(1)+(-1)(-1)=0</math> #点群''C<sub>2v</sub>''には{''E''、''C<sub>2</sub>''、''σ<sub>v</sub>''、''σ<sub>v</sub>' ''}という要素が存在するが、それぞれの要素自身が類を形成する。よって4個の類が存在する。したがって既約表現も4種類ある。 == 関連項目 == *[[群論]] *[[点群]] ==参考文献== * {{Cite book|和書|author=中崎昌雄|authorlink=中崎昌雄 |year=1973|title=分子の対称と群論|publisher=[[東京化学同人 ]]|id=ISBN 4807900862}} {{Abstract-algebra-stub}} {{DEFAULTSORT:たいちようこうていり}} [[Category:群論]] [[Category:代数学の定理]] [[Category:数学に関する記事]]
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