安定性理論のソースを表示
←
安定性理論
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
{{otheruses||[[モデル理論]]における議論|:en:stable theory}} [[数学]]の分野における'''安定性理論'''(あんていせいりろん、{{Lang-en-short|stability theory}})とは、初期条件にわずかな摂動が与えられた際の[[微分方程式]]の解の安定性や[[力学系]]の軌道の安定性に関する理論である。例えば、[[熱方程式]]は、[[最大値原理]]によって、初期データのわずかな摂動によるのちの温度変化がわずかであるという意味で、安定な[[偏微分方程式]](stable partial differential equation)である。より一般的に、仮定にわずかな変化が加えられたときに、結論に現れる変化がわずかであるような定理は安定(stable)であると言われる。ここで、定理が安定であると主張する際には、その摂動の大きさを測るために用いる[[距離函数|計量]](metric)を特定しなければならない。偏微分方程式論においては、関数の間の距離を測るために[[Lp空間|Lpノルム]]や[[上限ノルム]]を用いることもあるであろうし、[[微分幾何学]]においては、空間の間の距離を測るために[[グロモフ・ハウスドルフ距離]]を用いることもあるであろう。 力学系において、任意の点からの前方軌道(forward orbit)が、十分小さい近傍に含まれているか、(より大きい場合もあるが)小さな近傍にとどまり続ける場合、その軌道は[[リャプノフ安定]]であると言われる。軌道の安定性あるいは不安定性が示されるために、様々な基準が考案されている。好ましい状況においては、問題はよく研究されている[[行列]]の[[固有値]]問題へと帰着されることもある。より一般的な研究においては[[リャプノフ関数]]が利用される。 == 力学系における概要 == 微分方程式と力学系についての定性的理論の大部分が、解とその軌道の漸近挙動、すなわち、十分長い時間が経過した後にその系に何が起こるか、について扱っている。最も簡単な類の挙動は、[[平衡点]]や[[不動点]]、周期軌道などで表される。ある特定の軌道について様々なことが明らかにされているなら、その次の段階として、その初期条件にわずかな変化を加えたときに同様の軌道が導かれるかどうかという問題が生じることは自然である。安定性理論では、次のような問いが提起される:ある与えられた軌道に対して、その近くの軌道はずっと近くにとどまり続けるであろうか?また、より強い性質として、その軌道がその与えられた軌道へと収束するであろうか?前者のような状況では、その与えられた軌道は'''安定'''(stable)であると言われ、後者の状況では、'''漸近安定'''(asymptotically stable)あるいは'''吸収的'''(attracting)であると言われる。安定性とは、わずかな摂動に対して軌道があまりに大きく変化することはない、ということを意味する。また、その反対の状況として、十分近くの軌道がその与えられた軌道から離されるような状況も、同様に興味深いものである。一般的に、ある方向へと初期条件を摂動させた場合には軌道がその与えられた軌道へと漸近的に近付き、また別の方向へと摂動させた場合にはそれから離れる、というような結果が得られることが多い。また、摂動を加えられた軌道がより複雑な挙動を示すような場合(収束することも、完全に離れることもない)も存在し、そのような挙動に対しては安定性理論は十分な情報を提供するものではない。 安定性理論における重要なアイデアの一つに、摂動を加えられたある軌道の定性的な挙動は、その軌道の近くでの系の[[線型化]]によって解析することが出来る、というものがある。特に、''n''-次元[[位相空間 (物理学)|位相空間]]を備えるある滑らかな力学系の各平衡点において、[[固有値]]がその点の近くでの解挙動を決定するようなある[[正方行列|''n''×''n''行列]] ''A'' が存在する([[ハートマン=グロブマンの定理]])。より正確に言うと、その固有値がすべて負の[[実数]]あるいは負の実部を持つ[[複素数]]である場合には、その平衡点は安定かつ吸収的な不動点となり、その点の近くの点はその点へと[[指数関数的減衰|指数関数的]]な割合で収束する([[リャプノフ安定]]および{{仮リンク|指数安定|en|exponential stability}}を参照)。どの固有値も純虚数(およびゼロ)でないなら、その吸収(attracting)および反発(repelling)を決定付ける方向は、それぞれ負および正の実部を持つ固有値を備える行列 ''A'' の固有空間に関係する。より複雑な軌道に対する摂動に関しても、同様の結果が知られている。 == 不動点の安定性 == 最も簡単な種類の軌道は、不動点(fixed point)あるいは平衡点(equilibrium)と呼ばれるものである。力学系が安定平衡状態にあるなら、わずかな摂動に対して得られる結果は局所的な挙動にとどまる。例えば、[[振り子]]の小さな[[振動]]などを考えられたい。[[減衰振動|減衰系]]においては、安定平衡状態はさらに漸近安定ですらある。一方、丘の頂点に置かれたボールのように、不安定平衡点に対してわずかな摂動を加えることは、元の状態に収束するかも知れないししないかも知れないような大きな振幅を伴う挙動を招く結果となる。線型系に対しては安定性を判別する有用な方法がある。非線型系の安定性は、その[[線型化]]に対する安定性を判別することで分かる。 === 写像 === ''f'': '''R''' → '''R''' を、不動点 ''a'' を備える[[滑らかな関数|連続的微分可能関数]]とする(すなわち、''f''(''a'') = ''a'')。その関数 ''f'' を反復することによって得られる以下の力学系について考える: : <math> x_{n+1}=f(x_n), \quad n=0,1,2,\ldots.</math> 不動点 ''a'' は、''f'' の ''a'' における[[微分]]の[[絶対値]]が厳密に 1 より小さいときに安定となり、厳密に 1 より大きいときに不安定となる。これは、点 ''a'' の近くで関数 ''f'' が傾き ''f''<sup>′</sup>(''a'') の[[線型近似]] : <math> f(x) \approx f(a)+f'(a)(x-a) </math> を持つことによる。すなわち、この式から : <math> \frac{x_{n+1}-a}{x_n-a}=\frac{f(x_n)-f(a)}{x_n-a} \approx \frac{f'(a)(x_n-a)}{x_n-a}=f'(a)</math> が得られるが、これは最右辺の微分が、逐次反復の不動点 ''a'' に近付くかあるいは発散する割合を測る指標となっていることを意味する。その微分がちょうど 1 あるいは −1 である場合には、安定性を決定するためにより多くの情報が必要となる。 不動点 ''a'' を備える連続的微分可能な写像 ''f'': '''R'''<sup>''n''</sup> → '''R'''<sup>''n''</sup> に対しても、その ''a'' における[[ヤコビ行列]] ''J'' = ''J''<sub>''a''</sub>(''f'') で表現される同様の指標が存在する。''J'' のすべての[[固有値]]が、絶対値が 1 よりも厳密に小さい実あるいは複素数であるなら、''a'' は安定な不動点である。一方、少なくとも一つの固有値の絶対値が 1 よりも厳密に大きいなら、''a'' は不安定である。''n''=1 の場合と同様に、すべての固有値の絶対値が 1 である場合にはさらなる解析が必要となる。その場合にはヤコビ行列による判定では結論が出ない。[[微分可能多様体|滑らかな多様体]]の[[微分同相写像]]に対しても、より一般的な同様の指標が存在する。 === 線型自励系 === 定数係数の一階[[線型微分方程式|線型微分方程式系]]の不動点の安定性は、対応する行列の[[固有値]]によって解析される。[[自励系]] :<math>x' = Ax</math> (ただし ''x''(''t'')∈'''R'''<sup>''n''</sup> であり ''A'' は実数を成分に持つ ''n''×''n'' 行列)は、定数解 : <math>x(t)=0 </math> を持つ(すなわち、原点 0∈'''R'''<sup>''n''</sup> は対応する力学系の平衡点である)。この解が ''t'' → ∞ (すなわち「未来」)に対し漸近安定であるための必要十分条件は、''A'' のすべての固有値 ''λ'' の[[実部]]に対し Re(''λ'') < 0 が成り立つことである。同様に、''t'' → −∞ (すなわち、「過去」)に対し漸近安定であるための必要十分条件は、Re(''λ'') > 0 が ''A'' のすべての固有値 λ に対して成り立つことである。Re(''λ'') > 0 であるような ''A'' の固有値 λ が存在するなら、解は ''t'' → ∞ に対して不安定である。 線型系に対する原点での安定性を決定するための、上述の結果の実践的な応用には、[[ラウス・フルビッツの安定判別法|ラウス=フルビッツの判定法]]が利用される。ある行列の固有値は、その[[固有多項式]]の根である。実係数の一変数の多項式は、そのすべての根の実部が厳密に負であるとき、{{仮リンク|フルビッツ多項式|en|Hurwitz polynomial}}と呼ばれる。根の計算を避けるアルゴリズムによるフルビッツ多項式の特徴付けには、{{仮リンク|ラウス=フルビッツの定理|en|Routh–Hurwitz theorem}}と呼ばれる定理がある。 === 非線型自励系 === 非線型系の不動点の漸近安定性は、[[ハートマン=グロブマンの定理]]を用いることでしばしば証明される。 ''v'' を、点 ''p'' で消失する(すなわち、''v''(''p'')=0)、'''R'''<sup>''n''</sup> 内の ''C''<sup>1</sup>-[[ベクトル場]]とする。このとき、対応する自励系 :<math>x'=v(x)</math> には、定数解 : <math> x(t)=p </math> が存在する。ベクトル場 ''v'' の点 ''p'' における ''n''×''n'' [[ヤコビ行列]]を、''J'' = ''J''<sub>''p''</sub>(''v'') と表す。''J'' のすべての固有値の実部が厳密に負であるなら、その定数解は漸近安定である。この条件は、[[ラウス・フルビッツの安定判別法|ラウス=フルビッツの判定法]]を用いることで確かめることが出来る。 == より一般的な力学系に対するリャプノフ関数 == {{main|リャプノフ関数}} 力学系の[[リャプノフ安定|リャプノフ安定性]]あるいは漸近安定性を証明する一般的な方法は、[[リャプノフ関数]]によるものである。 == 関連項目 == * [[フォン・ノイマンの安定性解析]] * [[構造安定]] * {{仮リンク|超安定性|en|Hyperstability}} * {{仮リンク|安定半径|en|Stability radius}} == 参考文献 == * [http://www.scholarpedia.org/article/Stability Stability-Scholarpedia] (Philip Holmes and Eric T. Shea-Brown) == 外部リンク == * [http://demonstrations.wolfram.com/StableEquilibria/ Stable Equilibria] (Michael Schreiber, [[:en:The Wolfram Demonstrations Project<!-- リダイレクト先の「[[:en:Wolfram Demonstrations Project]]」は、[[:ja:Wolframデモンストレーションプロジェクト]] とリンク -->|The Wolfram Demonstrations Project]]) {{制御理論}} {{DEFAULTSORT:あんていせいりろん}} [[Category:微分方程式]] [[Category:力学系]] [[Category:極限集合]] [[Category:数学に関する記事]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Main
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Otheruses
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:仮リンク
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:制御理論
(
ソースを閲覧
)
安定性理論
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報