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{{Unreferenced|date=December 2009}} [[数学]]、とくに[[微分積分学]]と[[複素解析学]]において、[[関数 (数学)|関数]] {{mvar|f}} の'''対数微分'''あるいは'''対数導関数''' ({{lang-en-short|logarithmic derivative}}) は式 : <math> \frac{f'}{f} </math> によって定義される。ただし {{mvar|f′}} は {{mvar|f}} の[[導関数]]である。直感的には、{{mvar|f}} における無限小{{仮リンク|相対変化|en|relative change}}である。つまり、{{mvar|f}} の現在の値によってスケールされた、{{mvar|f}} の無限小絶対変化すなわち {{mvar|f′}}。 {{mvar|f}} が実変数 {{mvar|x}} の関数 {{math|''f''(''x'')}} で真に[[正数|正]]の[[実数]]値をとるとき、これは {{math|ln ''f''}}, すなわち {{mvar|f}} の[[自然対数]]の導関数に等しい。これは[[連鎖律]]から直ちに従う。 ==基本的な性質== 実の対数の多くの性質は、関数が正の実数に値を取ら''ない''ときでさえ、対数導関数にも適用する。例えば、積の対数は因子の対数の和であるから、 : <math> (\log uv)' = (\log u + \log v)' = (\log u)' + (\log v)' \! </math> が成り立つ。そのため正の実数値関数に対して、積の対数微分は因子の対数微分の和である。しかし積の微分に対しては[[ライプニッツの法則]]を使うこともでき、次を得る : <math> \frac{(uv)'}{uv} = \frac{u'v + uv'}{uv} = \frac{u'}{u} + \frac{v'}{v} .\! </math> したがって、''任意の''関数に対して次のことが正しい。積の対数微分は因子の対数微分の和である(定義されているときは)。 これの[[系 (数学)|系]]は関数の逆数の対数微分は関数の対数微分のマイナス1倍である: : <math> \frac{(1/u)'}{1/u} = \frac{-u'/u^{2}}{1/u} = -\frac{u'}{u} ,\! </math> ちょうど正の実数の逆数の対数は数の対数のマイナス1倍であるように。 より一般に、商の対数微分は被除数と除数の対数微分の差である: : <math> \frac{(u/v)'}{u/v} = \frac{(u'v - uv')/v^{2}}{u/v} = \frac{u'}{u} - \frac{v'}{v} ,\! </math> ちょうど商の微分は非除数と除数の対数の差であるように。 別の方向に一般化して、(実定数の指数による)ベキの対数微分は、指数と、底の対数微分の積である: : <math> \frac{(u^{k})'}{u^{k}} = \frac {ku^{k-1}u'}{u^{k}} = k \frac{u'}{u} ,\! </math> ちょうどベキの対数は指数と底の対数の積であるように。 まとめると、微分と対数はともに[[積の微分法則|積の法則]]、{{ill2|逆数の法則|en|reciprocal rule}}、[[商の法則]]、そして{{ill2|ベキの法則|en|power rule}}をもつ({{ill2|list of logarithmic identities|en|list of logarithmic identities}} を比較せよ)。法則の各ペアは対数微分を通して関係している。 ==対数導関数を使った普通の導関数の計算== {{Main|対数微分法}} 対数導関数は積の法則を要求する導関数の計算を簡単化できる。過程は次のようである: {{math|1=''f''(''x'') = ''u''(''x'')''v''(''x'')}} とし {{math|''f′''(''x'')}} を計算したいとする。それを直接計算する代わりに、その対数微分を計算する。つまり、次を計算する: :<math>\frac{f'}{f} = \frac{u'}{u} + \frac{v'}{v}.</math> 両辺に {{mvar|f}} をかけることによって {{mvar|f′}} が計算できる: :<math>f' = f\left(\frac{u'}{u} + \frac{v'}{v}\right).</math> このテクニックは {{mvar|f}} がたくさんの数の因子の積であるときに非常に有用である。このテクニックによって {{mvar|f′}} の計算が各因子の対数導関数を計算し、和を取り、{{mvar|f}} を掛けることによってできるようになる。 ==積分因子== 対数導関数のアイデアは[[常微分方程式|一階の微分方程式]]の[[積分因子]]手法と密接に関係している。[[作用素 (関数解析学)|作用素]]の言葉では、 :<math>D=d/dx</math> と書き ''M'' はある与えられた関数 ''G''(''x'') による積の作用素を表す。すると :<math>M^{-1}DM</math> は([[積の微分法則|積の法則]]によって) :<math>D+M^{*}</math> と書くことができる、ただし <math>M^{*}</math> は今対数微分 :<math>G'/G</math> による積作用素を表す。実際的には :<math>D+F=L</math> のような演算子が与えられ、''f'' は与えられ関数 ''h'' について方程式 :<math>L(h)=f</math> を解きたい。するとこれは :<math>G'/G=F</math> を解くことに帰着する。これは解として ''F'' の任意の[[不定積分]]によって :<math>\exp\left(\int F\right)</math> をもつ。 ==複素解析== 与えられたような公式はより広く適用できる。例えば ''f''(''z'') が[[有理型関数]]であれば、''f'' が零点でも[[極 (複素解析)|極]]でもないすべての複素数値 ''z'' において意味をなす。さらに、零点や極において対数導関数は ''n'' ≠ 0 を整数として特別な場合 :''z<sup>n</sup>'' の言葉で容易に分析できる方法で振る舞う。このとき対数導関数は :''n''/''z''; であり次の一般的な結論を描くことができる。有理型関数 ''f'' に対して、''f'' の対数微分の特異点はすべて一位の極であり、位数 ''n'' の零点から[[留数]] ''n''、位数 ''n'' の極から留数 −''n''。[[偏角の原理]]を見よ。この情報は[[周回積分]]でしばしば利用される。 {{仮リンク|ネヴァンリンナ理論|en|Nevanlinna theory|preserve=1}}の分野において、重要な補題は次のことを述べている。対数導関数の proximity function はもとの関数の Nevanlinna characteristic に関して小さい、例えば <math>m(r,h'/h) = S(r,h) = o(T(r,h))</math>。 ==乗法群== 対数導関数の使用の背後には ''GL''<sub>1</sub> すなわち[[実数]]や他の[[可換体|体]]の乗法群についての2つの基本的な事実がある。[[微分作用素]] : <math> X\frac{d}{dX} </math> は 'translation' (定数 ''a'' に対し ''X'' を ''aX'' で取りかえる)の下で{{ill2|不変量|en|Invariant (mathematics)|preserve=1}}である。[[微分形式]] :''dX/X'' も同様に不変量である。したがって、''GL''<sub>1</sub> への関数 ''F'' に対して、式 :''dF/F'' は不変形式の'''{{ill2|引き戻し (微分幾何学)|label=引き戻し|en|pullback (differential geometry)}}'''である。 == 例 == * [[指数関数的成長]]と[[指数関数的減衰]]は対数導関数が定数の過程である。 * [[数理ファイナンス]]において、{{ill2|Greeks (finance)|en|Greeks (finance)|label=ギリシャ文字}} ''λ'' は underlying price に関して derivative price の対数導関数である。 * [[数値解析]]において、[[条件数]]はインプットの相対変化に対するアウトプットの無限小相対変化であり、したがって対数導関数の比である。 ==関連項目== *[[対数微分法]] *{{仮リンク|Multiplicative calculus|en|Multiplicative calculus}} {{DEFAULTSORT:たいすうひふん}} [[Category:微分学]] [[Category:複素解析]] [[Category:数学に関する記事]]
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