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{{protein | name = 尿酸オキシダーゼ | caption = Uricase tetramer, Aspergillus flavus | image = 1r4u.jpg | width = 270 | HGNCid = 12575 | Symbol = UOX | AltSymbols = | EntrezGene = 7377 | OMIM = 191540 | RefSeq = | UniProt = | PDB = | ECnumber = 1.7.3.3 | Chromosome = 1 | Arm = p | Band = 22 | LocusSupplementaryData = }} '''尿酸オキシダーゼ'''(urate oxidase)または'''尿酸酸化酵素'''(にょうさんさんかこうそ)は、次の[[化学反応]]を[[触媒]]する[[酸化還元酵素]]である。 * [[尿酸]] + <chem>O2 + H2O -></chem> [[5-ヒドロキシイソ尿酸]] + [[過酸化水素|H<sub>2</sub>O<sub>2</sub>]] ([[プリン代謝]]) * [[1,3,7-トリメチル尿酸]] + <chem>O2 + 2H2O -></chem> [[3,6,8-トリメチルアラントイン]] + <chem>CO2 + H2O2</chem> ([[カフェイン]]代謝) これらのうち5-ヒドロキシイソ尿酸は比較的不安定な物質であり、非酵素的に脱炭酸して[[アラントイン]]となる。 == 構造 == 尿酸オキシダーゼは等しい4個のサブユニットからなるホモ四量体酵素で、それぞれの接合部分に計4ヶ所の活性部位がある。{{仮リンク|アスペルギルス・フラバス|en|Aspergillus flavus}}の尿酸オキシダーゼは301の[[アミノ酸]]残基からなり、その分子量は33,438[[統一原子質量単位|Da]]である。酸化酵素としては珍しく、[[金属]]イオンや有機[[補因子]]を持たない。 == ヒトでの重要性 == 尿酸オキシダーゼはバクテリアから哺乳類に至るまで広範囲で見られ、その代謝的役割はその有機体の種類に依存する。しかし、[[ヒト]]では尿酸オキシダーゼのための[[遺伝子]]を持っているにもかかわらず機能はしていない。これは[[霊長類]]の[[ヒト上科]]への進化の過程における[[突然変異]]が原因とされている。ゆえに、[[尿酸]]はヒトの[[プリン (化学)|プリン]][[異化]]の最終生成物となっている。一方で、尿酸は強力な[[抗酸化物質]]であり、尿酸オキシダーゼタンパク質発現の欠損はヒト科の動物にとって有利であったとの考え方もある<ref name="pmid6947260">{{cite journal | author = Ames BN, Cathcart R, Schwiers E, Hochstein P | title = Uric acid provides an antioxidant defense in humans against oxidant- and radical-caused aging and cancer: a hypothesis | journal = Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. | volume = 78 | issue = 11 | pages = 6858–62 | year = 1981 | month = November | pmid = 6947260 | pmc = 349151 | doi = | url = | issn = }}</ref>。 [[霊長類]]の進化は約6500万年前、[[白亜紀]]末期頃に始まったと考えられている<ref>高井正成 [http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shinka/keitou/jyu/jyu.html 霊長類の進化とその系統樹] (霊長類の進化を探る)</ref>。[[霊長目]]で[[L-グロノラクトンオキシダーゼ]]([[ビタミンC]]合成酵素)の活性が失われたのは約6300万年前であり、直鼻猿亜目(酵素活性なし)と[[曲鼻猿亜目]](酵素活性あり)の分岐が起こったのとほぼ同時である。ビタミンC合成能力を失った直鼻猿亜目には[[メガネザル下目]]や[[真猿下目]]([[サル]]、[[類人猿]]、ヒト)を含んでいる。ビタミンC合成能力を有する曲鼻猿亜目には、[[キツネザル]]などが含まれる<ref name="pmid3113259">{{cite journal | author = Pollock JI, Mullin RJ | title = Vitamin C biosynthesis in prosimians: evidence for the anthropoid affinity of Tarsius | journal = Am. J. Phys. Anthropol. | volume = 73 | issue = 1 | pages = 65–70 | year = 1987 | month = May | pmid = 3113259 | doi = 10.1002/ajpa.1330730106 | url = | issn = }}</ref>。 霊長類の[[狭鼻下目]]であるヒト上科が[[オナガザル上科]]から分岐したのは、2800万年から2400万年前頃であると推定されている<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/2741112?pid=5970393 サルとヒトとの進化の分岐、定説より最近か ミシガン大] AFPBB News 2010年07月16日</ref><ref>[[ネイチャー|Nature]]2010年7月15日号</ref>。5種のヒト上科([[テナガザル]]、[[オランウータン]]、[[チンパンジー]]、[[ゴリラ]]、ヒト)の[[肝臓]]から尿酸オキシダーゼ活性は検出されなかったが、ヒト上科以外の旧世界のサルと新世界のサルでは尿酸オキシダーゼ活性が検出された。ヒト上科の共通の祖先が旧世界のサルから分枝した際に、尿酸オキシダーゼ活性が消失したものと推定される<ref>{{cite journal |author=Friedman TB, Polanco GE, Appold JC, Mayle JE |title=On the loss of uricolytic activity during primate evolution--I. Silencing of urate oxidase in a hominoid ancestor |journal=Comp. Biochem. Physiol., B |volume=81 |issue=3 |pages=653?9 |year=1985 |pmid=3928241}}</ref>。尿酸オキシダーゼ活性の消失の意味付けは、尿酸が抗酸化物質として部分的にビタミンCの代用となるためである<ref name="proctor1970">Peter Proctor [http://www.drproctor.com/rev/ascorbicuric.htm Similar Functions of Uric Acid and Ascorbate in ManSimilar Functions of Uric Acid and Ascorbate in Man] ''Nature'' vol 228, 1970, p868.</ref>。しかし、ヒトを含むヒト上科では、尿酸オキシダーゼ活性の消失により難溶性物質である尿酸が最終代謝産物となってしまう。より水溶性の高い[[アラントイン]]への反応は、一部の尿酸が体内で発生した[[活性酸素種]]によって非酵素的に進む程度である<ref>藏城雅文、「[https://doi.org/10.6032/gnam.38.145 尿酸の酸化作用と抗酸化作用]」『痛風と核酸代謝』 2014年 38巻 2号 p.145-, {{doi|10.6032/gnam.38.145}}</ref>。なお、尿酸は体内に存在することで活性酸素種によって自身は酸化されるという形で抗酸化物質として作用する一方で、尿酸が体内に異常蓄積すると水への溶解度が低いことから比較的容易に析出して結晶化し[[痛風]]発作を誘発する。 == ヒト上科以外の生物での活性の喪失 == [[鳥類]]、陸生[[爬虫類]]、[[円口類]]、[[双翅目]]以外の[[昆虫]]、[[環形動物]]などの系統学的に無関係な生物で尿酸オキシダーゼの活性が喪失している<ref>Oda, M. et al. "[https://academic.oup.com/mbe/article/19/5/640/1067768| Loss of Urate Oxidase Activity in Hominoids and its Evolutionary Implications]":Molecular Biology and Evolution, 19:640-653, 2002</ref>。 == 脚注 == {{Reflist}} == 関連項目 == * [[カフェインデヒドロゲナーゼ]] {{DEFAULTSORT:にようさんおきしたせ}} [[Category:EC 1.7.3]]
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