局所可積分函数のソースを表示

[[数学]]において'''局所可積分函数'''（きょくしょかせきぶんかんすう、{{Lang-en-short|Locally integrable function}}）とは、その[[定義域]]に含まれる任意の[[コンパクト空間|コンパクト部分集合]]上で可積分（したがって積分が有限）であるような函数のことを言う。しばしば'''局所総和可能函数'''（locally summable function）とも呼ばれる<ref>{{harvtxt|Gel'fand|Shilov|1964|p=3}} による。</ref>。そのような函数は、[[Lp空間]]と似ているがその元の無限大での振舞いについて制限を要さないような[[函数空間]]に属するという点において、重要となる。言い換えると、局所可積分函数は、無限大において任意に早く増大することも許されるが、通常の可積分函数とある意味似た方法によって依然として扱うことが出来るものとなっている。

== 定義 ==

=== 通常の定義 ===
{{EquationRef|1|定義１}}.<ref name="ScVl">例えば {{Harv|Schwartz|1998|p=18}} や {{Harv|Vladimirov|2002|p=3}} を参照。</ref> 
{{math|Ω}} を[[ユークリッド空間]] {{math|ℝ''<sup>n</sup>''}} 内のある[[開集合]]とし、{{math|''f'' : Ω → ℂ}} を[[ルベーグ測度|ルベーグ]][[可測函数]]とする。{{math|Ω}} 上の {{math|''f''}} が次を満たすとき、局所可積分と呼ばれる。

:<math> \int_K | f |\, \mathrm{d}x <+\infty. </math>

ただし {{math|''K''}} は {{math|Ω}} の任意の[[コンパクト空間|コンパクト部分集合]]であり、したがって {{math|''f''}} はそのような全てのコンパクト集合上で有限となる<ref>{{harvtxt|Vladimirov|2002|p=1}} によって選ばれた、この定義の他のバージョンでは、{{math|''K'' ⋐ Ω}}（あるいは {{harvtxt|Gilbarg|Trudinger|2001|p=9}} の記法である {{math|''K'' ⊂⊂ Ω}}）を使って、{{math|Ω}} に厳密に含まれる {{math|''K''}} という条件のみが課されている。これはすなわち、そのような集合はコンパクトな[[閉包 (位相空間論)|閉包]]を与えられた全空間に持つことを意味する。</ref>。そのような函数の集合は {{math|''L''<sub>1,loc</sub>(Ω)}} と記述される：

:<math>L_{1,\mathrm{loc}}(\Omega)=\bigl\{f:\Omega\to\mathbb{C}\text{ measurable}\,\big|\, f|_K \in L_1(K)\ \forall\, K \subset \Omega,\, K \text{ compact}\bigr\}.</math>

ここで {{math|''f''&thinsp;<nowiki>|</nowiki><sub>''K''</sub>}} は {{math|''f''}} の集合 {{math|''K''}} への[[定義域|制限]]である。局所可積分函数の古典的な定義は[[測度論]]的および[[位相空間|位相空間論]]的<ref>コンパクト性の概念は、与えられた抽象的測度空間上で明白に定義される必要がある。</ref>な概念のみを含むものであり、ある位相的な[[測度空間]] {{math|(''X'',&thinsp;Σ,&thinsp;''μ'')}} 上の[[複素数]]値函数へと抽象的に拡張されるものであった<ref>これは例えば {{harvtxt|Cafiero|1959|pp=285–342}} や {{harvtxt|Saks|1937|loc = chapter I}} によって発展された手法で、局所可積分の場合を陽的に扱うことはされていなかった。</ref>。しかし、そのような函数の最も基本的な応用はユークリッド空間上の[[シュワルツ超函数|超函数]]に対するものであったので<ref name="ScVl"/>、以下の定義および節ではその重要な場合について明らかな形で扱う。

=== 代替的な定義 ===
{{EquationRef|2|定義 2}}.<ref>例えば {{Harv|Strichartz|2003|pp=12–13}} を参照。</ref> {{math|Ω}} をユークリッド空間 {{math|ℝ''<sup>n</sup>''}} 内のある開集合とする。このとき、各[[シュワルツ超函数|テスト函数]] {{math|''φ'' ∈ C<sub>c</sub><sup>∞</sup> (Ω)}} に対して

:<math> \int_\Omega | f \varphi|\, \mathrm{d}x <+\infty </math>

を満たす函数 {{math|''f'' : Ω → ℂ}} は、'''局所可積分'''と呼ばれる。またそのような函数の集合は {{math|''L''<sub>1,loc</sub>(Ω)}} と記述される。ここで {{math|C<sub>c</sub><sup>∞</sup> (Ω)}} は、{{math|Ω}} に含まれる[[関数の台|コンパクトな台]]を持つすべての無限回微分可能な函数 {{math|''φ'' : Ω → ℝ}} の集合を表す。

この定義の由来は、[[ニコラ・ブルバキ]]とその学派によって発展された、ある[[位相ベクトル空間]]上の[[連続線型汎函数]]の概念に基づく測度と積分の理論にある<ref> その理論における手法は、その有用性を訴えた {{harvtxt|Schwartz|1998|pp=16–17}} によって評価された。しかし彼は局所可積分函数を定義する際には {{EquationNote|1|Definition&nbsp;1}} を使った。
</ref>。またこの定義は、{{Harvtxt|Strichartz|2003}} や {{Harvtxt|Maz'ya|Shaposhnikova|2009|p=34}} によって用いられた<ref>Maz'ya と Shaposhnikova は[[ソボレフ空間]] {{math|''W''<sup>''k'',''p''</sup>(Ω)}} のある局所化されたものに対してのみ、陽的な定義を与えたことに注意されたい。しかしその本では、特に 44 ページで導入されている {{math|''L''<sub>''p'',loc</sub>(Ω)}} のように、他のすべての[[バナッハ空間]]の局所化されたものに対しても同様の手法が利用できると主張されている。</ref>。この「超函数理論的な」定義は、前述の通常の定義と同値である。実際、次の補題が成立する。

{{EquationRef|3|補題 1}}. 与えられた函数 {{math|''f'' : Ω → ℂ}} が定義 1 の意味で局所可積分であることと、定義 2 の意味で局所可積分であることは同値である。すなわち、次が成り立つ。

:<math> \int_K | f |\, \mathrm{d}x <+\infty \quad \forall\, K \subset \Omega,\, K \text{ compact} \quad \Longleftrightarrow \quad 
\int_\Omega | f \varphi|\, \mathrm{d}x <+\infty \quad \forall\, \varphi \in C^\infty_{\mathrm{c}}(\Omega).</math>

=== 一般化：局所 ''p''-可積分函数 ===
{{EquationRef|4|定義 3}}.<ref name="Vlp3">例えば {{Harv|Vladimirov|2002|p=3}} や {{harv|Maz'ya|Poborchi|1997|p=4}} を参照。</ref> {{math|Ω}} をユークリッド空間 ℝ''<sup>n</sup>'' 内のある開集合とし、{{math|''f'' : Ω → }}ℂ をあるルベーグ可測函数とする。{{math|1 ≤ ''p'' ≤ +∞}} を満たす与えられた {{math|''p''}} に対し、{{math|''f''}} が

:<math> \int_K | f|^p \,\mathrm{d}x <+\infty </math>

を満たすなら、{{math|''f''}} は'''局所 {{math|''p''}}-可積分'''あるいは '''{{math|''p''}}-局所可積分'''と呼ばれる<ref name="Vlp3"/>。ただしこの条件は、{{math|''f''}} が {{math|Ω}} 内のすべての[[コンパクト集合|コンパクト部分集合]] {{math|''K''}} に対して[[Lp空間|{{math|''L''<sub>''p''</sub>(''K'')}}]]に属することを意味する。そのようなすべての函数の[[集合]]は {{math|''L''<sub>''p'',loc</sub>(Ω)}} と記述される：

:<math>L_{p,\mathrm{loc}}(\Omega)=\left\{f:\Omega\to\mathbb{C}\text{ measurable }\left|\ f\in L_p(K),\ \forall\, K \subset \Omega, K \text{ compact}\right.\right\}.</math>

前述の場合と同様に、代替的な定義も与えられ、それらは同値であることが示される<ref>前節で注意されているように、この手法は {{harvtxt|Maz'ya|Shaposhnikova|2009}} によって初等的な詳細については省かれながら採用された。</ref>。それらは高い一般性を備えるものであるように見えるが、局所 {{math|''p''}}-可積分函数は {{math|1 < ''p'' ≤ +∞}} を満たすすべての {{math|''p''}} に対して局所可積分函数の部分集合を形成する<ref>正確に言うと、それらは {{math|''L''<sub>1,loc</sub>(Ω)}} の[[線型部分空間|部分ベクトル空間]]を形成する。{{EquationNote|7|Corollary&nbsp;1}} から {{EquationNote|6|Theorem&nbsp;2}} を参照。</ref>。

=== 記法 ===

局所可積分函数の集合の記法には、大文字 ''L'' の[[字体]]の差の他に<ref>例えば {{Harv|Vladimirov|2002|p=3}} では書体 '''&#x2112;''' が用いられている</ref>、次のようないくつかの異なるものが存在する。
* <math>L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)</math> は {{harv|Hörmander|1990|p=37}}、{{Harv|Strichartz|2003|pp=12–13}} や {{Harv|Vladimirov|2002|p=3}} で用いられている。
* <math>L_{p,\mathrm{loc}}(\Omega)</math> は {{harv|Maz'ya|Poborchi|1997|p=4}} や　{{Harvtxt|Maz'ya|Shaposhnikova|2009|p=44}} で用いられている。
* <math>L_p(\Omega,\mathrm{loc})</math> は {{harv|Maz'ja|1985|p=6}} や {{harv|Maz'ya|2011|p=2}} で用いられている。

== 性質 ==

=== すべての ''p'' ≥ 1 に対して ''L''<sub>''p'',loc</sub> は完備距離空間 ===
{{EquationRef|5|定理 1}}<ref>この内容については {{harv|Gilbarg|Trudinger|1998|p=147}} や {{harv|Maz'ya|Poborchi|1997|p=5}} を参照されたい。また簡単な注釈については {{harv|Maz'ja|1985|p=6}} や {{harv|Maz'ya|2011|p=2}} を参照されたい。</ref> 
{{math|''L''<sub>''p'',loc</sub>}} は[[完備距離空間|完備距離化可能空間]]である。すなわち、その位相は次の[[距離函数|計量]]によって生成される：

:<math>d(u,v)=\sum_{k\geq 1}\frac{1}{2^k}\frac{\Vert u - v\Vert_{p,\omega_k}}{1+\Vert u - v\Vert_{p,\omega_k}}\qquad u, v\in L_{p,\mathrm{loc}}(\Omega).</math>

ここで {{math|{''ω''<sub>''k''</sub>}<sub>''k''≥1</sub>}} は、次の性質を満たす空でない開集合の族である。
* {{math|''ω''<sub>''k''</sub> ⊂⊂ ''ω''<sub>''k''+1</sub>}}。すなわち {{math|''ω''<sub>''k''</sub>}} は {{math|''ω''<sub>''k''+1</sub>}} に厳密に含まれている。このことは、コンパクトな閉包を持つ集合が高次の集合に厳密に含まれていることを意味する。
* {{math|∪<sub>''k''</sub>''ω''<sub>''k''</sub> {{=}} Ω}}.
* <math>\scriptstyle{\Vert\cdot\Vert_{p,\omega_k}}\to\mathbb{R}^+</math>, ''k'' ∈ ℕ は、次で定義される[[ノルム|半ノルム]]の[[族 (数学)|添え字付きの族]]である：
::<math> {\Vert u \Vert_{p,\omega_k}} = \int_{\omega_k} | u|^p \,\mathrm{d}x\qquad\forall\, u\in L_{p,\mathrm{loc}}(\Omega).</math>

参考文献 {{harv|Gilbarg|Trudinger|1998|p=147}}、 {{harv|Maz'ya|Poborchi|1997|p=5}}、{{harv|Maz'ja|1985|p=6}} および {{harv|Maz'ya|2011|p=2}} において、この定理は述べられているが形式的な証明は与えられていない<ref>{{harvtxt|Gilbarg|Trudinger|1998|p=147}} および {{harvtxt|Maz'ya|Poborchi|1997|p=5}} は証明法について非常に簡潔に触れただけであり、{{harv|Maz'ja|1985|p=6}} および {{harv|Maz'ya|2011|p=2}} ではそれを既知の結果として認め、その後の議論を展開している。</ref>。より一般の結果に対する完全な証明は、{{harv|Meise|Vogt|1997|p=40}} に見られる。

=== すべての ''p'' ≥ 1 に対して ''L''<sub>''p''</sub> は ''L''<sub>1,loc</sub> の部分空間 ===
{{EquationRef|6|定理 2}}
{{math|Ω}} を ℝ''<sup>n</sup>'' の[[開集合|開部分集合]]とする。{{math|''L''<sub>''p''</sub>(Ω)}}, {{math|1 ≤ ''p'' ≤ +∞}} に属するすべての函数 {{math|''f''}} は局所可積分である。

'''証明''' {{math|''p'' {{=}} 1}} の場合は自明であるので省略し、以下では {{math|1 < ''p'' ≤ +∞}} を仮定して証明を続ける。{{math|Ω}} のあるコンパクトな部分集合 {{math|''K''}} に対し、その[[指示関数|特性函数]] {{math|''χ''<sub>''K''</sub>}} を考える。このとき、{{math|''p'' ≤ +∞}} に対して

:<math>\left|{\int_\Omega|\chi_K|^q\,\mathrm{d}x}\right|^{1/q}=\left|{\int_K \mathrm{d}x}\right|^{1/q}=|\mu(K)|^{1/q}<+\infty </math>

が成立する。ただし
* {{math|''q''}} は、与えられた {{math|1 ≤ ''p'' ≤ +∞}} に対して {{math|1/''p'' + 1/''q''}} = {{math|1}} を満たすようなある正の数である。
* {{math|''μ''(''K'')}} は[[コンパクト集合]] {{math|''K''}} の[[ルベーグ測度]]である。

このとき[[ヘルダーの不等式]]より、[[積]] {{math|''fχ''<sub>''K''</sub>}} は[[積分法|可積分]]である。すなわち、{{math|''L''<sub>1</sub>(Ω)}} に属すとともに、次を満たす。

:<math>{\int_K|f|\,\mathrm{d}x}={\int_\Omega|f\chi_K|\,\mathrm{d}x}\leq\left|{\int_\Omega|f|^p\,\mathrm{d}x}\right|^{1/p}\left|{\int_K \mathrm{d}x}\right|^{1/q}=\|f\|_p|\mu(K)|^{1/q}<+\infty. </math>

したがって

:<math>f\in L_{1,\mathrm{loc}}(\Omega) </math>

である。ここで、不等式

:<math>{\int_K|f|\,\mathrm{d}x}={\int_\Omega|f\chi_K|\,\mathrm{d}x}\leq\left|{\int_K|f|^p \,\mathrm{d}x}\right|^{1/p}\left|{\int_K \mathrm{d}x}\right|^{1/q}=\|f\|_p|\mu(K)|^{1/q}<+\infty </math>

が成立するため、定理は局所 {{math|''p''}}-可積分函数の空間にのみ属する函数 {{math|''f''}} に対しても成立することに注意されたい。したがって、定理は次の結果を意味する。

{{EquationRef|7|系 1}}
{{math|''L''<sub>''p'',loc</sub>(Ω)}}, {{math|1 < ''p'' ≤ +∞}} 内のすべての函数 {{math|''f''}} は局所可積分である。すなわち、{{math|''L''<sub>1,loc</sub>(Ω)}} に属する。

=== ''L''<sub>1,loc</sub> は絶対連続測度の密度函数の空間 ===

{{EquationRef|7|定理 3}}
函数 {{math|''f''}} が[[絶対連続#測度の絶対連続性|絶対連続測度]]の密度函数であるための必要十分条件は、{{math|''f'' ∈''L''<sub>1,loc</sub>}} であることである。

この結果の証明は {{harv|Schwartz|1998|p=18}} に見られる。内容を解釈し直すと、この定理ではすべての局所可積分函数はある絶対連続測度を定義し、逆にすべての絶対連続測度はある局所可積分函数を定義することが主張されている。これはまた、抽象的測度論の枠組みにおいて、[[:en:Stanisław Saks|Stanisław Saks]] の学術論文で与えられた重要な[[ラドン＝ニコディムの定理]]として現れる<ref>{{harvtxt|Saks|1937|p=36}} では次のことが述べられている。「{{math|E}} が有限測度の集合か、より一般に有限測度の ''(''{{math|μ}}'')'' の集合の列の和であるなら、{{math|E}} 上の集合 ''({{math|&#x1D51B;}})'' の加法的函数が {{math|E}} 上で絶対連続であるための必要十分条件は、ある集合に対するその函数が {{math|E}} 内のある点の可積分函数の不定積分であることである」。({{math|''μ''}}) をルベーグ測度と仮定すれば、それら二つの内容は同値となることが分かる。</ref>。

== 例 ==

* 実軸上で定義される定数函数 {{math|1}} は局所可積分であるが、大域的には可積分ではない。より一般に、[[定数]]、[[連続 (数学)|連続函数]]<ref>例えば {{harv|Hörmander|1990|p=37}} を参照。</ref>および[[積分|可積分函数]]は局所可積分である<ref>{{harv|Strichartz|2003|p=12}} を参照。</ref>。
* 函数
:<math>
f(x)=
\begin{cases}
1/x &x\neq 0\\
0 & x=0
\end{cases}
</math>
: は {{math|''x'' {{=}} 0}} において局所可積分でない。実際、その点を含まない任意のコンパクト集合上での積分は有限であるので、その点の近くでは局所可積分である。形式的に表すと、{{math|1/''x'' ∈ ''L''<sub>1,loc</sub>}}(ℝ\0) ということになる<ref>{{harv|Schwartz|1998|p=19}} を参照</ref>。しかし、この函数は[[コーシーの主値]]として ℝ 全体上での超函数に拡張することが出来る<ref>{{Harv|Vladimirov|2002|pp=19–21}} を参照。</ref>。
* 上記の例より次の疑問が生じる：{{math|Ω}} ⊊ ℝ 内で局所可積分であるようなすべての函数は、超函数として ℝ 全体へと拡張することが出来るか？この問の答えはノーであり、実際その反例として次の函数が考えられる：
:<math>
f(x)= 
\begin{cases}
e^{1/x} &x\neq 0\\
0 & x=0.
\end{cases}
</math>
:この函数は ℝ 上のどのような超函数も定義しない<ref>{{Harv|Vladimirov|2002|p=21}} を参照。</ref>。
* 次の例も上述のものと同様に、{{仮リンク|確定特異点|label=不確定特異点|en|Regular singular point}}を伴う[[微分作用素]]への超函数の理論の応用に現れる初等的な[[反例]]であるような {{math|''L''<sub>1,loc</sub>}}(ℝ\0) に属する函数である：
:<math>
f(x)= 
\begin{cases}
k_1 e^{1/x^2} &x>0\\
0 & x=0\\
k_2 e^{1/x^2} &x<0
\end{cases}.
</math>
:ここで {{math|''k''<sub>1</sub>}} と {{math|''k''<sub>2</sub>}} は[[複素数|複素定数]]で、次の初等的な一階の非フックス型微分方程式の一般解である。
::<math>x^3\frac{\mathrm{d}f}{\mathrm{d}x}+2f=0.</math>
:{{math|''k''<sub>1</sub>}} あるいは {{math|''k''<sub>2</sub>}} がゼロでないなら、その函数はふたたび ℝ 全体上でのどのような超函数も定義しない。したがってそのような方程式における唯一つの超函数的な大域解はゼロである。このことは微分方程式の一分野において超函数理論的な手法は、特に定数係数の線型微分方程式の理論のような他の一分野と同じように上手く働くものとは限らないことを意味する<ref>この例に関する簡潔な議論については {{harv|Schwartz|1998|pp=131–132}} を参照されたい。</ref>。

== 応用 ==

局所可積分函数は[[シュワルツ超函数|超函数]]の理論において主要な役割を果たすとともに、[[有界変動函数]]のような様々な[[函数]]や[[函数空間]]のクラスの定義に現れる。さらに局所可積分函数は、全ての測度の絶対連続な部分を特徴付けることによって、[[ラドン＝ニコディムの定理]]にも現れる。

== 関連項目 ==
* [[コンパクト空間|コンパクト集合]]
* [[シュワルツ超函数|超函数]]
* [[ルベーグの密度定理]]
* [[ルベーグの微分定理]]
* [[ルベーグ積分]]
* [[Lp空間]]

== 注釈 ==
{{reflist|29em}}

== 参考文献 ==
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| mr = 0215954 
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 | mr = 0166596
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| url = http://pldml.icm.edu.pl/mathbwn/element/bwmeta1.element.dl-catalog-42a56b61-37f4-4c6b-a42b-ea95a98e407a?q=0f71728c-851f-486a-bc43-e8507297cea3$1&qt=IN_PAGE
| jfm = 63.0183.05 
| mr = 0167578
| zbl = 0017.30004}}. English translation by [[:en:Laurence Chisholm Young]], with two additional notes by [[:en:Stefan Banach<!-- [[:ja:ステファン・バナフ]] とリンク -->]]: the [[:en:Mathematical Reviews]] number refers to the [[:en:Dover Publications<!-- [[:ja:ドーヴァー出版]] とリンク -->]] 1964 edition, which is basically a reprint.
*{{Citation
 | first = Laurent
 | last = Schwartz
 | authorlink = ローラン・シュヴァルツ
 | title = Théorie des distributions
 | place = Paris 
 | publisher = Hermann Éditeurs 
 | series = Publications de l'Institut de Mathématique de l'Université de Strasbourg
 | volume = No. IX–X
 | origyear = 1966
 | year = 1998
 | edition = Nouvelle
 | pages = xiii+420
 | language = French
 | url =
 | isbn = 2-7056-5551-4
 | mr = 0209834 
 | zbl = 0149.09501
}}.
*{{Citation
| last = Strichartz
| first = Robert S.
| title = A Guide to Distribution Theory and Fourier Transforms
| place = [[:en:River Edge, NJ]]
| publisher = [[:en:World Scientific|World Scientific Publishers]]
| year = 2003
| edition = 2nd printing
| pages = x+226
| url = https://books.google.it/books?id=T7vEOGGDCh4C&printsec=frontcover&dq=A+Guide+to+Distribution+Theory+and+Fourier+Transforms#v=onepage&q=&f=false
| doi = 
| mr = 2000535
| zbl = 1029.46039
| isbn = 981-238-430-8
}}.
*{{Citation
| last = Vladimirov
| first = V. S.
| author-link = :en:Vasilii Sergeevich Vladimirov
| title = Methods of the theory of generalized functions
| place = London–New York
| publisher = [[:en:Taylor & Francis<!-- [[:ja:テイラーアンドフランシス]] とリンク -->]]
| pages = XII+353
| series = Analytical Methods and Special Functions
| volume = 6
| year = 2002
| url = https://books.google.co.jp/books?id=hlumB8fkX0UC&pg=PR1&dq=Methods+of+the+theory+of+generalized+functions&redir_esc=y&hl=ja
| id = 
| mr = 2012831
| zbl = 1078.46029
| isbn = 0-415-27356-0}}. A monograph on the theory of [[:en:generalized function<!-- [[:ja:超函数]] とリンク -->]]s written with an eye towards their applications to [[:en:several complex variables]] and [[:en:mathematical physics<!-- [[:ja:数理物理学]] とリンク -->]], as is customary for the Author.

== 外部リンク ==
*{{MathWorld |title=Locally integrable|author=Rowland, Todd|urlname=LocallyIntegrable}}
*{{SpringerEOM|title=Locally integrable function|last= Vinogradova|first=I.A.|urlname=Locally_integrable_function}}

{{PlanetMath attribution|id=34430|title=Locally integrable function}}

{{DEFAULTSORT:きよくしよかせきふんかんすう}}
[[Category:測度論]]
[[Category:関数解析学]]
[[Category:数学に関する記事]]