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{{出典の明記|date=2024年3月}} '''屈折率'''(くっせつりつ、{{Lang-en|refractive index}}<ref>{{Cite book|和書|author =[[文部省]]|coauthors =[[日本分光学会]]編|title =[[学術用語集]] 分光学編|edition =増訂版|year =1999|publisher =[[培風館]]|isbn =4-563-04567-5|page =}}</ref>)とは、[[自由空間|真空]]中の[[光速]]を[[物質]]中の光速(より正確には[[位相速度]])で割った値であり、物質中での[[光]]の進み方を記述する上での[[指標]]である。真空を1とした物質固有の値を'''絶対屈折率'''、2つの物質の絶対屈折率の比を'''相対屈折率'''と呼んで区別する場合もある。 {{See also|屈折|分散 (光学)}} 光速は物質によって異なるため、屈折率も物質によって異なる。光がある物質から別の物質に進むときに境界で進行方向を変える現象([[屈折]])は、[[スネルの法則]]により屈折率と結び付けられている。 物質内においては[[光速#物質中の光速|光速]]が真空中より遅くなり、境界においては[[入射角]]によって速度に勾配が生じるために、進行方向が曲げられることになる。 同じ物質であっても、屈折率は[[波長]]によって異なる。この性質は[[分散 (光学)|分散]]と言われる。そこで、特に断らないときには、光学[[原材料|材料]]の屈折率は波長589.3 nmの光([[フラウンホーファー線|ナトリウムのD線]])について示すのが慣習となっている。[[可視光]]領域では、波長が短いほど屈折率が大きくなることが多い。これを[[正常分散]]という。これに対し、波長が短いほど屈折率が小さくなっている場合、これを[[異常分散]]という。また波長が可視光よりもずっと短い[[軟X線]]・[[X線]]領域では、物質の屈折率が1に近くなるため、扱うには専用の光学[[部品]]が必要になる。 分散を実際に観察するには、[[プリズム]]がよく用いられる。[[白色光]]を入射させると虹色に[[分光]]されるのはこの分散という性質により引き起こされる。[[吸光|吸収]]のある物質の場合には、吸収率を[[虚数]]部に加えて'''複素屈折率'''で表すのが便利である。また、[[異方性]]のある物質の場合には屈折率は[[偏光]]の向きによって異なり、[[複屈折]]が起こる。 == 屈折率の値 == [[MKSA単位系]]あるいは[[国際単位系]](SI)では、屈折率''n'' は、真空中の[[光速度]]''c'' を媒質中の光速度''v''(より正確には[[位相速度]])で割った値で表される。 : <math>n=\frac{c}{v}=\sqrt{\frac{\epsilon \mu}{\epsilon_0 \mu_0}}</math> : ここで''μ''、''ε''は材質の[[透磁率]]、[[誘電率]] : ''μ''<sub>0</sub>、''ε''<sub>0</sub>は真空の[[磁気定数|透磁率]]、[[電気定数|誘電率]] <!-- この式、説明不足。--> 吸収のある物質内では、複素屈折率の[[実数]]部が1より小さくなり、位相速度が真空中の光速度よりも大きくなる場合があるが、[[エネルギー]]や[[情報]]が位相速度で伝わるわけではないので、[[相対性理論]]とは矛盾しない。近年、[[フォトニック結晶]]などが作成されて、特定の[[周波数]]に対しては屈折率が負になる現象も観察されている。また、[[フェムト]]秒[[パルスレーザー (光学)|パルスレーザー]]などの非常に強い[[レーザー光]]を用いると[[非線形光学]]現象が起こり、屈折率が[[光強度]]に依存するような現象も知られている。 いくつかの物質の屈折率は以下である(ナトリウムのD線・波長589.3 nmの光に対して)。 {| class="wikitable" ! 物質 !! 屈折率 !! 備考 |- | [[空気]] || 1.000292 || 0℃、1気圧 |- | [[二酸化炭素]] || 1.000450 || |- | [[氷]] || 1.309 ||0℃ |- | [[水]]|| 1.3334 || 20℃ |- | [[エタノール]] || 1.3618 || |- | [[パラフィン油]] || 1.48 || |- | [[ポリメタクリル酸メチル]] || 1.491 ||20℃ |- | [[水晶]] || 1.5443 ||18℃ |- | [[光学ガラス]] || 1.43 - 2.14 || |- | [[サファイア]] || 1.762 - 1.770 || |- | [[ダイヤモンド]] || 2.417 || |} 屈折率が高い[[素材]]ほど[[曲率]]が小さくて済み、[[レンズ]]を薄くできるため、[[眼鏡]]用などに高屈折率素材を用いたレンズが開発されているが、高価で強度などに劣る欠点がある。伝統的な高屈折率眼鏡用レンズとして、屈折率が高く強度にも優れた[[サファイア]]が用いられることがあるが、当然ながら極めて高価である。 屈折率もまた、コーシーの方程式で与えられるように、光の波長によって変化する。コーシー方程式の最も一般的な形は次の通りである<ref>https://www.horiba.com/fileadmin/uploads/Scientific/Downloads/OpticalSchool_CN/TN/ellipsometer/Cauchy_and_related_empirical_dispersion_Formulae_for_Transparent_Materials.pdf</ref>: <math display="block"> n(\lambda) = A + \frac {B}{\lambda^2} + \frac{C}{\lambda^4} + \cdots,</math> ==分極率との関係== 屈折率と[[分極率]]との関係は、[[ローレンツ・ローレンツの式]]で与えられる。 ==複素屈折率== '''複素屈折率'''(ふくそくっせつりつ)とは、屈折率の定義を[[吸光]]のある物質に対して拡張した[[物理量]]である。 複素屈折率''m'' を実部と虚部に分解して :<math>m=n-ik</math> と表記したとき、実部''n'' は通常の屈折率を表し、虚部''k'' は'''消衰係数'''と呼ばれる<ref>{{cite|和書 |editor=日本エアロゾル学会 |author=高橋幹二 |title=エアロゾル学の基礎 |publisher=森北出版 |year=2003 |isbn=4-627-67251-9 |page=148}}</ref>。非吸光性物質では''k'' = 0 である。 また、次の関係がある。 :<math>\begin{align}& n^2-k^2 = \epsilon_r \mu_r \\ & 2nk = \frac{\sigma \mu_r \lambda}{2\pi \epsilon_0 c}\end{align}</math> ここで * ''ε''<sub>r</sub> :[[比誘電率]] * ''μ''<sub>r</sub> :[[比透磁率]] * ''σ'' :[[導電率]] * ''λ'' :[[波長]] * ''c'' :[[光速]] である。 屈折率と消衰係数との間には、[[クラマース・クローニッヒの関係式]]が成り立つ。 == 脚注 == {{Reflist}} == 関連項目 == * [[誘電率]] * [[屈折]] * [[示差屈折率検出器]] * [[反射 (物理学)|反射]]・[[全反射]] * [[スネルの法則]] * [[分散 (光学)]] * [[メタマテリアル]] * [[チェレンコフ放射]] == 外部リンク == {{Commonscat|Refraction|屈折}} * {{Cite web|和書|author = フィルメトリクス|date = |url = http://www.filmetricsinc.jp/refractive-index-database|title = 屈折率一覧表 – 薄膜測定のための屈折率値一覧表|work = |publisher = |accessdate = 2011-10-04}} * {{Cite web|author = |date = |url = http://refractiveindex.info/|title = Refractiveindex.INFO|work = |publisher = 様々な物質の波長ごとの屈折率を知ることが出来る。(英語)|accessdate = 2015-06-30}} {{Normdaten}} {{Sci-stub}} {{DEFAULTSORT:くつせつりつ}} [[Category:光学]] [[Category:鉱物学]] [[Category:無次元数]] [[Category:率・割合]]
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