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[[数学]]において'''弱形式'''(じゃくけいしき、{{Lang-en-short|weak formulation}})は、[[線型代数学]]の概念を、例えば[[偏微分方程式]]などの他の分野において問題を解くために用いることを可能にする、重要な解析上の道具である。弱形式において、方程式の絶対性はもはや要求されず(適切である必要すらない)、代わりにあるテストベクトルあるいはテスト函数に関する[[弱解]]が存在する。これは[[シュワルツ超函数|超函数]]の意味で解を要求する問題を構成することと同値である。 ここでは弱形式に関するいくつかの例を紹介し、その解に対する主要な定理である'''ラックス=ミルグラムの定理'''(Lax-Milgram theorem)を述べる。 == 一般の概念 == <math>V</math> をある[[バナッハ空間]]とする。次の方程式の解 <math>u \in V</math> を見つけたい。 :<math>Au = f</math> 但し <math>A:V\to V'</math> および <math>f\in V'</math> であり、<math>V'</math> は <math>V</math> の[[双対ベクトル空間|双対]]である。 定義よりこの問題は全ての <math>v\in V</math> に対して次を満たすような <math>u\in V</math> を見つけることと同値である: :<math>[Au](v) = f(v)</math>. ここで <math>v</math> をテストベクトルあるいはテスト函数と呼ぶ。 これを弱形式による一般的な形に書き換える。すなわち、次を満たす <math>u\in V</math> を見つける: :<math> a(u,v) = f(v) \quad \forall v\in V</math> ただし <math>a</math> は[[双線型形式]] :<math>a(u,v) := [Au](v)</math> である。以上の説明は非常に抽象的であるため、以下ではいくつかの例を見る。 == 例1:線型連立方程式 == <math>V = \mathbb R^n</math> と <math>A:V\to V</math> を線型写像とする。このとき、方程式 :<math>Au = f</math> の弱形式は、すべての <math>v\in V</math> に対して次の方程式を満たす <math>u\in V</math> を見つけることとなる。 :<math> \langle Au,v \rangle = \langle f,v \rangle \, </math> ここで <math>\langle \cdot,\cdot \rangle</math> は内積を表す。 <math>A</math> は線型写像なので、基底ベクトルに対して調べれば十分である。すると :<math> \langle Au,e_i\rangle = \langle f,e_i\rangle \quad i=1,\ldots,n \, </math> が得られる。実際、<math>u=\sum_{j=1}^n u_je_j</math> と展開することで、次の行列の形式での方程式が得られる。 :<math>\mathbf A \mathbf u = \mathbf f.</math> ここで <math>a_{ij} = \langle Ae_j, e_i\rangle </math> および <math>f_i = \langle f,e_i \rangle </math> である。 この弱形式に関連する双線型形式は、次で与えられる。 :<math> a(u,v) = \mathbf v^T\mathbf A \mathbf u.</math> == 例2 ポアソン方程式 == ここでの目標は、ある領域 <math>\Omega\subset \mathbb R^d</math> 上の次の[[ポアソン方程式]] :<math>-\nabla^2 u = f \, </math> の解で、境界で <math>u=0</math> となるようなものを見つけることである。また解空間 <math>V</math> は後述の議論で決定する。弱形式の導出のために、次の <math>L^2</math>-スカラー内積を用いる: :<math>\langle u,v\rangle = \int_\Omega uv\,dx.</math> 微分可能な函数 <math>v</math> をテスト函数として用いることで、次が得られる。 :<math> - \int_\Omega ( \nabla^2 u ) v \,dx = \int_\Omega fv \,dx. </math> この方程式の左辺は、[[グリーンの恒等式]]を用いた[[部分積分]]により、より対称的な次の形式で記述できる。 :<math> \int_\Omega \nabla u \cdot \nabla v \,dx = \int_\Omega f v \,dx.</math> これは正しく[[ポアソン方程式]]の弱形式と通常呼ばれるものである。ここで空間 <math>V</math> を定義する必要がある。この空間は、この方程式を導けるものでなければならない。したがってこの空間における導函数は二乗可積分である必要がある。実際、ゼロ境界条件で、[[弱微分]]が <math>L^2(\Omega)</math> に属す函数からなる[[ソボレフ空間]] <math>H^1_0(\Omega)</math> を考えれば、目的は満たされる。 次のように記号を定めることで、一般的な形を得ることが出来る: :<math> a(u,v) = \int_\Omega \nabla u \cdot \nabla v \,dx </math> および :<math> f(v) = \int_\Omega f v \,dx. </math> == ラックス=ミルグラムの定理 == これは[[双線型形式]]の対称部分の性質に依存する'''ラックス=ミルグラムの定理'''(Lax-Milgram theorem)の構成である。最も一般的な形という訳ではない。 <math>V</math> を[[ヒルベルト空間]]とし、<math> a( \cdot ,\cdot )</math> を <math>V</math> 上の[[双線型形式]]で、次を満たすものとする: # [[有界]]: <math>|a(u,v)| \le C \|u\| \|v\|</math> # [[強圧的函数|強圧的]]: <math> a(u,u) \ge c \|u\|^2.</math> このとき、任意の <math>f\in V'</math> に対して、次の方程式には唯一つの解 <math>u\in V</math> が存在する。 :<math>a(u,v) = f(v).</math> また次が成立する。 :<math> \|u\| \le \frac1c \|f\|_{V'}.</math> === 例1への応用 === この場合、ラックス=ミルグラムの定理を適用することは明らかに十分すぎるものであるが、他の場合と同様の形にするためにこの定理を使用する。 *有界性: <math>\mathbb R^n</math> 上のすべての双線型形式は有界である。特に、次が成り立つ。 *:<math> |a(u,v)| \le \|A\|\,\|u\|\,\|v\| \, </math> *強圧性: これは実際、<math>A</math> の固有値の実部が <math>c</math> よりも小さくないことを意味する。これは特に、ゼロ固有値が存在しないことを意味するので、系は可解である。 さらに次の評価が得られる。 :<math> \|u\| \le \frac1c \|f\|, \, </math> ここで <math>c</math> は <math>A</math> の固有値の最小実部である。 === 例2への応用 === 上述のように、<math>V = H^1_0(\Omega)</math> とし、ノルムは次で定める。 :<math>\|v\|_V := \|\nabla v\|</math> ここで右辺のノルムは <math>\Omega</math> 上での <math>L^2</math>-ノルムである([[ポアンカレ不等式]]により、これは正しく <math> V </math> 上のノルムを与える)。しかし、<math>|a(u,u)| = \|\nabla u\|^2</math> であり、[[コーシー=シュワルツの不等式]]より次が成り立つ:<math>|a(u,v)| \le \|\nabla u\|\,\|\nabla v\|</math>。 したがって、任意の <math>f\in [H^1_0(\Omega)]'</math> に対して、[[ポアソン方程式]]の唯一つの解 <math>u\in V</math> が存在し、次の評価が得られる。 :<math>\|\nabla u\| \le \|f\|_{[H^1_0(\Omega)]'}.</math> == 関連項目 == * [[バフスカ=ラックス=ミルグラムの定理]] * {{仮リンク|リオンス=ラックス=ミルグラムの定理|en|Lions–Lax–Milgram theorem}} == 参考文献 == * {{cite book | last1 = Lax | first1 = Peter D. | author1-link = ピーター・ラックス | last2 = Milgram | first2 = Arthur N. | author2-link = :en:Arthur Milgram | chapter = Parabolic equations | title = Contributions to the theory of partial differential equations | series = Annals of Mathematics Studies, no. 33 | pages = 167–190 | publisher = Princeton University Press | location = Princeton, N. J. | year = 1954 }} {{MathSciNet|id=0067317}} == 外部リンク == * [http://mathworld.wolfram.com/Lax-MilgramTheorem.html MathWorld page on Lax–Milgram theorem] {{DEFAULTSORT:しやくけいしき}} [[Category:偏微分方程式]] [[Category:数値微分方程式]] [[Category:数学に関する記事]]
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