弱超電荷のソースを表示

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'''弱超電荷''' ({{lang|en|weak hypercharge}}) は、[[素粒子物理学]]において、[[電弱相互作用]]の[[ゲージ群]] SU(2)&times;U(1) の U(1) 部分に対応する[[量子数]]である。
弱超電荷は[[標準模型]]の範囲内において保存する。
Y<sub>W</sub> と表記され、対応するゲージ群はしばしば U(1)<sub>Y</sub> と書かれる<ref>[[#donoghue|Donoghue, Golowich and Holstein]] pp.52</ref>。

== 概要 ==
[[素粒子物理学]]における超電荷は[[ワインバーグ＝サラム理論]]、或いはそれを含む[[標準模型]]における、ゲージ群の U(1) 部分に対応する量子数である。
[[電磁相互作用]]と[[弱い相互作用]]の統一に対応して、電磁相互作用の量子数である[[電荷]]と関係している。

この関係は[[強い相互作用]]における[[超電荷]]についての[[中野・西島・ゲルマンの法則]]と類似する。この超電荷は弱い相互作用において保存しないため、[[ウィークスケール]]やそれ以上のエネルギー領域を扱う分野では用いられることがなく、そのため弱超電荷を単に超電荷と呼ばれることも多い。

== 定義 ==
ゲージ群 SU(2)&times;U(1) の U(1) の部分に対応する[[ゲージ理論|ゲージ変換]]の[[生成子]]である。
[[ヤン＝ミルズ理論]]に従い、共変微分を
{{Indent|
<math>\mathcal{D}_\mu = \partial_\mu -igW_\mu^a T^a -ig'B_\mu \frac{Y_W}{2}</math>
}}
と書いたときの Y<sub>W</sub> が弱超電荷（ウィークハイパーチャージ）である。
対応するゲージ場 B は SU(2) に対応する W<sup>3</sup> と混合することで、観測される[[Zボソン]]および[[量子電磁力学]]の[[光子]]を生成する。

弱超電荷 Y<sub>W</sub> の実際の量子数は[[中野・西島・ゲルマンの法則]]との類推で
{{Indent|
<math>Q = T^3 + \frac{Y_W}{2}</math>
}}
を満たすように定義される。
ここで、Q は電荷（[[素電荷]]を単位とする）で、 T<sup>3</sup> は[[弱アイソスピン]]の第三成分である。

U(1) の生成子の絶対値には意味がなく、
{{Indent|
<math>\mathcal{D}_\mu = \partial_\mu -igW_\mu^a T^a -ig'B_\mu Y_W</math>
}}
{{Indent|
<math>Q = T^3+ Y_W </math>
}}
と定義することもある<ref>[[#utiyama|内山龍雄]]、[[#peskin|Peskin and Schroeder]]など</ref>。
こちらの定義では共変微分に余計な係数が出てこない。

== アノマリー ==
標準模型では U(1) の[[アノマリー]]が、[[クォーク]]と[[レプトン (素粒子)|レプトン]]で相殺されている。
アノマリーの相殺のためにクォークとレプトンは同じ[[世代 (素粒子)|世代]]数が必要である。
これは標準模型の枠内では全くの偶然であり、理論がより大きな対称性に埋め込まれている可能性を示唆しており、[[大統一理論]]の根拠の1つとなっている。

== バリオン数とレプトン数 ==
弱超電荷とバリオン数 - レプトン数 ([[B−L]] )は次の関係式が成り立つ: 

:<math>X + 2Y_W = 5(B - L) \,</math>

ここで、[[X荷|X]]は[[大統一理論|GUT]]に関連した保存する[[量子数]]である。弱超電荷もまた保存するので、B - Lもまた[[標準模型]]および多くの拡張モデル内で保存することを示唆する。

== 脚注 ==
<references/>

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書
|author=内山龍雄|authorlink=内山龍雄
|title=一般ゲージ場論序説
|publisher=[[岩波書店]]
|year=1987
|isbn=4-00-005040-0
|ref=utiyama
}}
* {{Cite book
|author=J. F. Donoghue, E. Golowich, B. R. Holstein
|title=Dynamics of the standard model
|publisher=Cambridge University Press
|year=1994
|isbn=0521476526
|ref=donoghue
}}
* {{Cite book
|title=An Introduction to Quantum Field Theory
|author=M. E. Peskin
|author2=D. V. Schroeder
|year=1995
|publisher=Westview Press
|isbn=978-0-201-50397-5
|ref=peskin
}}

== 関連項目 ==
* [[ワインバーグ＝サラム理論]]
* [[弱アイソスピン]]
* [[標準模型]]

{{デフォルトソート:しやくちようてんか}}
[[Category:素粒子物理学]]
[[Category:標準模型]]
[[Category:量子数]]