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{{出典の明記|date=2022-11-02}} {{古典力学}} {{物理学}} '''慣性力'''(かんせいりょく、{{lang-en-short|inertial force}})または'''見掛けの力'''(みかけのちから、{{lang-en-short|fictitious force}})は、非[[慣性系]]から見た[[運動 (物理学)|運動]]を記述する[[運動方程式]]に現れる[[力 (物理学)|力]]である。 == 概要 == 物体が[[ニュートンの運動方程式]]に従って運動するのは、その物体を慣性系から見た場合だけである。観測者が非慣性系にいる場合、すなわち観測者が慣性系に対して加速もしくは回転もしくはこの両方をしている場合には、慣性系から観測した場合に見られる力の他に、観測者の運動に依存した見掛け上の力が働く。この見掛けの力({{lang-en-short|fictitious force}})を'''慣性力'''({{lang-en-short|inertial force}})という{{efn2|慣性系から[[加速]]している観測者側の非慣性系への[[座標変換]]を施すことで慣性力が求められる。}}。慣性力を導入することによって、非慣性系においてもニュートンの運動方程式を用いて物体の運動を記述することができる。非慣性系での運動を慣性系と同じようにニュートンの運動方程式を用いて記述できることは、[[ダランベールの原理]]によって保証される。 慣性力とそれ以外の力を区別するには、[[運動量]]が保存する系を知っている必要がある。[[作用反作用の法則]]によれば、真の力には必ず反作用が伴うが、慣性力には反作用が加えられる物体が存在しないため、反作用の存在によって慣性力とそれ以外を区別することができる。 == 並進と回転 == [[ファイル:Corioliskraftanimation.gif|右|サムネイル|283x283ピクセル|左回りに回転する円盤の中心から等速度運動をする玉(上図)は、円盤上からは進行方向に対し右向きの力で曲げられたように見える(下図)。]] 慣性力は、慣性系に対する観測者の座標系の'''並進'''的加速によるものと、慣性系に対する観測者の座標系の'''回転'''によるものとに大別できる。一般の慣性力は観測者の座標系の慣性系に対する'''[[並進運動]]'''と'''[[回転運動]]'''の組み合わせによって説明される。 # 観測者の座標系の'''並進'''的な加速によるもの #: 座標系の加速度と反対方向に、この加速度の大きさと各物体の質量との積の大きさの慣性力が観測される。 # 観測者の座標系の'''回転'''によるもの #: これはさらに3つに分類できる。 ## '''[[遠心力]]''' ##: 座標の回転の中心から離れる向きに働く力として観測される。大きさは、物体の質量を {{mvar|m}}、座標系の回転の[[角速度]]を {{mvar|ω}}、物体と回転の中心との[[距離]]を {{mvar|r}}、観測者から見た物体の速さを {{mvar|v}} とすると、{{math|''mrω''<sup>2</sup>}} もしくは {{math|''mv''<sup>2</sup>/''r''}} と表される。ベクトルでは回転中心からの回転座標系における[[位置]]を {{mvar|'''r'''}} とし、回転座標系の慣性系に対する[[角速度]]を {{mvar|'''ω'''}} とすれば ##: <math>\boldsymbol{F} =-m\boldsymbol{\omega}\times (\boldsymbol{\omega}\times \boldsymbol{r}) =m\omega^2\boldsymbol{r} -m\boldsymbol{\omega}(\boldsymbol{\omega}\cdot \boldsymbol{r})</math> となる。 ## '''[[コリオリの力]]''' ##: 観測者が観測する物体の運動と直角をなす方向(回転が反時計回りなら物体の速度ベクトルに対して右向き、時計回りなら左向き)に働く力として観測される。先ほどの文字に加え、回転中心からの回転座標系における[[速度]]を {{mvar|'''v'''}} として、 ##: <math>\boldsymbol{F} = - 2 m \, \boldsymbol{\omega} \times \boldsymbol{v}</math> と表される。 ## '''[[オイラー力]](座標の回転の角速度の変化による慣性力)''' ##: 回転の中心から見た物体の位置ベクトルと垂直な方向に働く力として観測される。反時計回りに加速すると中心から見て右向きに、時計回りに加速すると左向きに働く。角速度の変化が大きいほど大きい慣性力が観測される。同じ記号を用いて、 ##: <math> \boldsymbol{F} = - m \tfrac{d\boldsymbol\omega}{dt} \times \boldsymbol{r}</math> と表される。 == 注釈 == {{脚注ヘルプ}} {{Notelist2}} == 出典 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == * [[慣性系]](ガリレイ系) * [[慣性質量]]/[[重力質量]] * [[運動の第1法則]](慣性の法則) * [[運動の第2法則]](運動の法則) * [[運動の第3法則]](作用・反作用の法則) * [[慣性モーメント]] * [[慣性計測装置]] * {{ill2|g-force|en|g-force}}(標準重力Gを1として、慣性力で動作中の物に何倍の力が加わっているかを表す) == 外部リンク == * [https://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/physics/high-school_index/mechanics/force/henkan-tex.cgi?target=/math/physics/high-school_index/mechanics/force/inertial_force.html 慣性力] - [[金沢工業大学]]による解説 * [https://humans-in-space.jaxa.jp/faq/detail/000706.html 「慣性力」と「遠心力」] - JAXA有人宇宙技術部門による解説 [[Category:古典力学]] [[Category:力 (自然科学)]] {{DEFAULTSORT:かんせいりよく}}
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