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{{出典の明記|date=2016年3月}} [[数学]]において'''指示関数'''(しじかんすう、{{lang-en-short|indicator function}})、集合の'''定義関数'''<ref>[[高井敏]],『[[確率論]]』,[[共立出版]], 2015</ref>、'''特性関数'''(とくせいかんすう、{{lang-en-short|characteristic function}})は、集合の元がその集合の特定の[[部分集合]]に属するかどうかを指定することによって定義される[[関数 (数学)|関数]]である<ref group="注釈">[[確率論]]においては、[[累積分布関数]]の[[フーリエ変換]]を「分布の特性関数」と呼ぶため、区別のために「集合の特性関数」を「指示関数」、「分布の特性関数」を単に「[[特性関数]]」と読んで区別する傾向が強い。また一般には、「集合の定義関数」を単に「[[定義関数]]」と呼ぶことが多いが、これも文脈上の意味が明らかな場合のことである。</ref>。 == 定義 == 集合 ''E'' とその部分集合 ''A'' に対して、''E'' の元 ''x'' が ''A'' に属すならば 1 を、さもなくば 0 を返す二値関数 :<math>\chi_A\colon E \to \{1,0\};\ x \mapsto \chi_A(x) := \begin{cases} 1 & \text{ if } x \in A, \\ 0 & \text{ if } x \notin A \end{cases}</math> を集合 ''E'' における部分集合 ''A'' の'''指示関数'''と呼ぶ。ある集合 ''E'' について、その部分集合 ''A'' を与えることと、''A'' の指示関数を与えることとは等価である。すなわち、''E'' の[[冪集合]] 2<sup>''E''</sup> と、''E'' 上の指示関数全体のなす集合 Χ(''E'') との間に :<math>\chi\colon 2^E \to \Chi(E);\ A \mapsto \chi_A</math> なる全単射が存在する。この意味で部分集合 ''A'' は指示関数 χ<sub>''A''</sub> によって特徴付けられるので、χ<sub>''A''</sub> を部分集合 ''A'' の'''特性関数'''ともよぶ。また、χ<sub>''A''</sub> によって部分集合 ''A'' が定められるという意味で部分集合 ''A'' の '''定義関数'''ともいう。 ''A'' の指示関数をあらわすための記号として :<math>\chi_A(x), \operatorname{Ch}_A(x), I_A(x), \boldsymbol{1}_A(x), 1\!\!1_A(x), 1_A(x)</math> などがしばしば用いられる。 == 集合演算 == ''A'', ''B'' はある特定の集合 ''U'' の[[部分集合]]とする。[[部分集合]]の間の集合演算に関して、''U'' 上の指示関数は * [[空集合]]: <math>\chi_{\empty} = 0,</math> * [[全体集合]]: <math>\chi_U = 1,</math> * [[非交和]]: <math>\chi_{A\sqcup B} = \chi_A + \chi_B,</math> * [[共通部分 (数学)|共通部分]]: <math>\chi_{A\cap B} = \chi_A\chi_B = \min\{\chi_A, \chi_B\}</math> を満足する。また、これらから * [[差集合]]: <math>\chi_{A \smallsetminus B} = \chi_A - \chi_A\chi_B,</math> * [[合併 (集合論)|和集合]]: <math>\chi_{A\cup B} = \chi_{A} + \chi_B - \chi_{A \cap B} = \chi_A + \chi_B - \chi_A\chi_B = \max\{\chi_A,\chi_B\}, </math> * [[対称差]]: <math>\chi_{A \triangle B} = \chi_{A \smallsetminus B} + \chi_{B \smallsetminus A} = \chi_A + \chi_B -2\chi_A\chi_B, </math> * [[補集合]]: <math>\chi_{A^c} = \chi_{U \smallsetminus A} = 1 - \chi_{A}</math> などが成り立つことも示される。 == 積分 == 3 次元[[ユークリッド空間]] '''R'''<sup>3</sup> の[[図形]] ''A'' が(リーマンあるいはルベーグの意味で)体積確定であるというのは、その指示関数 χ<sub>''A''</sub> は(リーマンあるいはルベーグの意味で)[[積分|可積分]]となることであり、積分値 :<math>m(A) := \int_{\mathbb{R}^3} \chi_A(x)dx</math> がその集合 ''A'' の[[体積]]である。一般に[[可測空間]] (''X'', '''''M''''') ('''''M''''' ⊂ 2<sup>''X''</sup>) が与えられたとき、''X'' の部分集合 ''A'' がある測度 ''μ'' に関する可測集合であるなら、その指示関数 χ<sub>''A''</sub> の測度 ''μ'' に関する積分値 :<math>\operatorname{vol}_{\mu}(A) = \mu(A) := \int_{X} \chi_A(\xi)\,d\mu(\xi)</math> を測度 ''μ'' に関する ''A'' の'''体積'''(たいせき、<span lang=en>volume</span>)と呼ぶ。 ある集合 ''X'' 上の可積分関数 ''f''(''x'') に対して、''X'' の部分集合 ''A'' における ''f'' の積分を、しばしば :<math>\int_A f|_A(\xi)\,d\xi := \int_X \chi_A(\xi) f(\xi)\, d\xi</math> によって(各積分が定義できる限り)定める。特に、集合 supp(''f'') を {''x'' ∈ ''X'' | ''f''(''x'') ≠ 0} の[[閉集合|閉包]](''f'' の[[関数の台|台]]とよばれる)とすると :<math>\int_X f(\xi)\, d\xi = \int_{\mathrm{supp}(f)} f|_{\mathrm{supp}(f)}(\xi)\,d\xi</math> が成り立つ。また、一点集合の指示関数は(適当な条件下で)[[ディラックのデルタ関数]]をあらわすと考えられる。実際、一点集合 {''x''} に対して、その可測集合からなる近傍系 '''N'''<sub>''x''</sub> でその共通部分が {''x''} となるものが存在するとき(たとえば {''x''} 自身が可測となるとき) :<math>\inf_{N \in \mathbf{N}_x} \chi_{N} = \chi_{\{x\}},</math> :<math>\int_{X} \chi_{\{x\}}(\xi)f(\xi)\,d\xi := \inf_{N \in \mathbf{N}_x}\int_X \chi_N(\xi)f(\xi)\,d\xi = f(x) \mathrm{vol}(\{x\}) </math> が成立する。χ<sub>{''x''}</sub> はしばしば χ<sub>''x''</sub> と略記される。 == その他 == [[統計学]]では、この指示関数によってカテゴリデータ(''A'' に属すか属さないか)を 1 か 0 に変換したものを'''ダミー変数''' <span lang="en">(dummy variable)</span> <ref group="注釈"><span lang="en">"Dummy variable"</span> が[[束縛変数]]のことを指す場合もある。</ref>という。 == メンバーシップ関数 == [[ファイル:Fuzzy crisp.svg|frame|ファジィ集合におけるメンバーシップ関数]] メンバーシップ関数は、集合の指示関数を[[ファジィ集合]]へ拡張したものである。[[ファジィ論理]]における「真の度合い」({{lang-en|degree of truth}})を表す(真の度合いは[[確率]]と混同されるが、概念上別物である)。ある任意の集合 ''X'' があるとき、''X'' のメンバーシップ関数は集合 ''X'' から区間 [0, 1] の実数値を返す。{{clear}} == 注釈 == <references group="注釈" /> == 関連項目 == * [[集合]] * [[部分集合]] * [[冪集合]] * [[ブール値関数]] == 出典 == <references /> {{DEFAULTSORT:ししかんすう}} [[Category:集合論]] [[Category:数学に関する記事]]
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