数列空間のソースを表示
←
数列空間
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
[[関数解析学]]および関連する[[数学]]の分野における'''数列空間'''(すうれつくうかん、{{Lang-en-short|sequence space}})とは、[[実数]]あるいは[[複素数]]の無限[[数列|列]]を元とする[[ベクトル空間]]のことを言う。またそれと同値であるが、[[自然数]]から実あるいは複素数[[可換体|体]] '''K''' への関数を元とする[[関数空間]]のことでもある。そのような関数すべてからなる集合は、'''K''' に元を持つ[[列 (数学)|無限列]]すべてからなる集合であると自然に認識され、関数の[[点ごと]]の和および点ごとのスカラー倍の作用の下で、[[ベクトル空間]]と見なされる。すべての数列空間は、この空間の[[線型部分空間]]である。通常、数列空間は[[ノルム]]を備えるものであり、そうでなくとも少なくとも[[位相ベクトル空間]]の構造を備えている。 解析学におけるもっとも重要な数列空間のクラスは、''p''-乗総和可能数列からなる関数空間 ℓ<sup>''p''</sup> である。それらの空間は ''p''-ノルムを備え、自然数の集合上の[[数え上げ測度]]に対する[[Lp空間|L<sup>''p''</sup>空間]]の特別な場合と見なされる。[[極限|収束列]]や零列のような他の重要な数列のクラスも数列空間を構成し、それらの場合はそれぞれ ''c'' および ''c''<sub>0</sub> と表記され、[[上限ノルム]]が備えられる。任意の数列空間は[[各点収束]]の[[位相空間|位相]]を備えるものでもあり、その位相の下でのそれらの空間は、{{仮リンク|FK空間|en|FK-space}}と呼ばれる[[フレシェ空間]]の特殊な場合となる。 == 定義 == {{seealso|数ベクトル空間}} {{math|'''K'''}} を[[可換体|体]](特に実または複素数全体の成す体)とし、各項が {{math|'''K'''}} に値をとる[[数列]](スカラー列)全体の成す集合 {{math|'''K'''<sup>'''N'''</sup> {{=}} {(''x''{{sub|''n''}}){{sub|''n''∈'''N'''}} : ''x''{{sub|''n''}} ∈ '''K'''} }}は、数列の和およびスカラー倍を * <math>(x_n)_{n\in\mathbb{N}} + (y_n)_{n\in\mathbb{N}} := (x_n + y_n)_{n\in\mathbb{N}}</math> * <math>\alpha(x_n)_{n\in\mathbb{N}} := (\alpha x_n)_{n\in\mathbb{N}}</math> と定めることにより[[ベクトル空間]]を成す。このベクトル空間 {{math|'''K'''<sup>'''N'''</sup>}} の[[線型部分空間]]を一般に'''数列空間'''と呼ぶ。 === {{math|ℓ<sup>''p''</sup>}}-空間 === {{main|ルベーグ空間}} {{math|'''K'''<sup>'''N'''</sup>}} の部分空間 {{mvar|ℓ{{sup|p}}}} を、{{math|0 < ''p'' < ∞}} に対して {{math|ℓ{{sup|''p''}} {{=}} {(''x''{{sub|''n''}}){{sub|''n''∈'''N'''}} : ∑{{sub|''n''}} {{abs|''x''{{sub|''n''}}}}{{sup|''p''}} < ∞} }}および {{math|''p'' {{=}} ∞}} に対して {{math|ℓ<sup>∞</sup>}} は[[有界函数|有界数列]]全体の成す空間と定める。ここで実数値の単項演算 {{math|{{abs|•}}}} は(実または複素数の)[[絶対値]]である。 ; {{math|1 ≤ ''p'' ≤ ∞}} の場合 : {{math|''x'' {{=}} (''x''{{sub|''n''}}){{sub|''n''∈'''N'''}}}} の[[ノルム]] :: <math>\|x\|_p = \begin{cases} \left(\sum_n|x_n|^p\right)^{1/p} & (1 \le p< \infty)\\ \sup_n |x_n| & (p=\infty) \end{cases}</math> : を考えれば、空間 {{math|ℓ<sup>''p''</sup> (1 ≤ ''p'' ≤ ∞)}} は :: <math>\ell^p := \{x\in \mathbb{K}^{\mathbb{N}} : \|x\|_p < \infty\}</math> : とも書ける。{{math|ℓ<sup>''p''</sup>}} はこのノルムについて[[完備距離空間]]であり、したがって[[バナッハ空間]]となる。 ; {{math|0 < ''p'' < 1}} の場合 : {{math|ℓ<sup>''p''</sup>}} は[[ノルム]]を持たないが {{math|''d''(''x'',''y'') :{{=}} ∑{{sub|''n''}} {{abs|''x''{{sub|''n''}} − ''y''{{sub|''n''}}}}{{sup|''p''}}}} で定義される[[距離関数]]を持つ。 === ''c'' と ''c''<sub>0</sub> === {{main|収束数列空間}} '''収束列の空間 {{mvar|c}}''' も数列空間で、これは[[数列の極限|収束列]]({{math|{{underset|''n''→∞|lim}}''x''<sub>''n''</sub>}} が存在する数列 {{math|''x'' ∈ '''K'''<sup>'''N'''</sup>}})全体の成す空間である。任意の収束列は有界であるから、{{mvar|c}} は有界列の空間 {{math|ℓ<sup>∞</sup>}} の線型部分空間である。さらに言えば、無限大ノルム {{math|{{norm|•}}{{msub|∞}}}} に関して閉部分空間となるから、それ自身バナッハ空間である。 その部分空間で、'''零列の空間 {{math|''c''{{sub|0}}}}''' は極限が零である数列(零列)全てからなる。これは数列空間 {{mvar|c}} の閉部分空間であるから、ふたたびバナッハ空間となる。 === 他の数列空間 === {{main|有界級数の空間}} '''有界級数 (''b''ounded ''s''eries) の空間 {{mvar|bs}} '''は、{{math|sup{{sub|''n''}} {{abs|{{sum|1=''i''=0|2=''n''}} ''x''{{sub|''i''}}}} < ∞}} を満たす列 {{mvar|x}} 全体の成す空間である。この空間(にノルム {{math|{{norm|''x''}}{{msub|bs}} {{=}} sup{{sub|''n''}} {{abs|{{sum|1=''i''=0|2=''n''}} ''x''{{sub|''i''}}}}}} を入れたもの)は有界数列の空間 {{math|ℓ<sup>∞</sup>}} と等長同型なバナッハ空間になる(この同型は線型写像 {{math|(''x''{{sub|''n''}}){{sub|''n''∈'''N'''}} {{mapsto}} (∑{{su|b=''i''=0|p=''n''}} ''x''{{sub|''i''}}){{sub|''n''∈'''N'''}}}} で与えられる)。'''収束級数 (''c''onvergent ''s''eries) の空間 {{mvar|cs}}''' は、この同型の下で収束数列の空間 {{mvar|c}} の上に引き写される。 空間 {{mvar|Φ}} あるいは {{math|''c''{{sub|00}}}} は、高々有限個の非ゼロ項を持つ(有限な[[関数の台|台]]を持つ)無限列からなる空間として定義される。この集合は、多くの数列空間において[[稠密集合|稠密]]である。 == ℓ<sup>''p''</sup> 空間と空間 ''c''<sub>0</sub> の性質 == {{see also|c空間}} 空間 ℓ<sup>2</sup> は、[[ヒルベルト空間]]であるような唯一つの ℓ<sup>''p''</sup> 空間である。なぜならば、内積により導出されるノルムは中線定理 <math>\|x+y\|_p^2 + \|x-y\|_p^2= 2\|x\|_p^2 + 2\|y\|_p^2</math> を満たさなければならず、その ''x'' と ''y'' に異なる二つの単位ベクトルを代入することで ''p'' = 2 でない限りその等式は成立しないことが分かるからである。 各 ℓ<sup>''p''</sup> は、''p'' < ''s'' のとき ℓ<sup>''s''</sup> の真部分集合である。さらに、ℓ<sup>''p''</sup> は ''p'' ≠ ''s'' ならば ℓ<sup>''s''</sup> とは線型[[同型]]ではない。実際、ピットの定理 {{harv|Pitt|1936}} により、''p'' < ''s'' ならば ℓ<sup>''s''</sup> から ℓ<sup>''p''</sup> へのすべての有界線型作用素は[[コンパクト作用素|コンパクト]]であるが、そのような作用素は同型とはなり得ない。またさらに、それは ℓ<sup>''s''</sup> の任意の無限次元部分空間上の同型ともなり得ず、{{仮リンク|厳密特異作用素|en|strictly singular operator}}と呼ばれる。 1 < ''p'' < ∞ なら、ℓ<sup>''p''</sup> の[[連続的双対空間]]は、1/''p'' + 1/''q'' = 1 を満たすような[[ヘルダーの不等式|ヘルダー共役]] ''q'' に対する空間 ℓ<sup>''q''</sup> と等長同型である。この特別な同型は、ℓ<sup>''q''</sup> のある元 ''x'' を、ℓ<sup>''p''</sup> の元 ''y'' の汎函数 :<math>L_x(y) = \sum_n x_ny_n</math> と関連付ける。[[ヘルダーの不等式]]より、''L''<sub>''x''</sub> は ℓ<sup>''p''</sup> 上の有界線型汎函数であることが分かる。また実際、 :<math>|L_x(y)| \le \|x\|_q\,\|y\|_p</math> であることから、その[[作用素ノルム]]は :<math>\|L_x\|_{(\ell^p)^*} := \sup_{\begin{smallmatrix}y\in\ell^p\\ y\ne0\end{smallmatrix}} \frac{|L_x(y)|}{\|y\|_p} \le \|x\|_q </math> を満たす。 ''y'' を ℓ<sup>''p''</sup> の元とし、 :<math>y_n = \begin{cases}0& (x_n=0)\\ x_n^{-1}|x_n|^q & (x_n\ne 0) \end{cases}</math> とすれば、{{math|''L''<sub>''x''</sub>(''y'') {{=}} {{norm|''x''}}<sub>''q''</sub> {{norm|''y''}}<sub>''p''</sub>}} が得られるため、実際には等号が成立し :<math>\|L_x\|_{(\ell^p)^*} = \|x\|_q</math> である。 逆に、ℓ<sup>''p''</sup> 上の与えられた有界線型汎函数 ''L'' に対し、''x''<sub>''n''</sub> = ''L''(''e''<sub>''n''</sub>) で定義される数列は ℓ<sup>''q''</sup> に属する。したがって、写像 <math>x\mapsto L_x</math> は[[等長写像]] :<math>\kappa_q\colon \ell^q \to (\ell^p)^* </math> を与える。 κ<sub>''p''</sub> を、その転置の逆と合成することにより得られる写像 :<math>\ell^q\xrightarrow{\kappa_q}(\ell^p)^*\xrightarrow{(\kappa_q^*)^{-1}}</math> は、その二重双対への ℓ<sup>''q''</sup> の[[単射|標準単射]]と一致する。したがって、ℓ<sup>''q''</sup> は[[回帰的空間]]である。[[記号の濫用|記法の濫用]]により、ℓ<sup>''q''</sup> を {{mvar|ℓ{{msup|p}}}} の双対と同一視するのが通例である(つまり、(ℓ<sup>''p''</sup>)<sup>*</sup> = ℓ<sup>''q''</sup>)。したがって、回帰性は、(ℓ<sup>''p''</sup>)<sup>**</sup> = (ℓ<sup>''q''</sup>)<sup>*</sup> = ℓ<sup>''p''</sup> という等号のつながりによって理解される。 空間 ''c''<sub>0</sub> は、ゼロへと収束するすべての数列からなる空間として定義される。これに上限ノルム {{math|{{norm|''x''}}<sub>∞</sub>}} を入れたものは ℓ<sup>∞</sup> の閉部分空間となり、したがってバナッハ空間となる。その[[双対空間]]は ℓ<sup>1</sup> である。ℓ<sup>1</sup> の双対空間は ℓ<sup>∞</sup> であることに注意されたい。自然数の添字集合の場合、ℓ<sup>''p''</sup> と ''c''<sub>0</sub> は[[可分空間|可分]]である。ただし ℓ<sup>∞</sup> は例外となる。ℓ<sup>∞</sup> の双対空間は[[ba空間]]である。 空間 ''c''<sub>0</sub> と ℓ<sup>''p''</sup>(1 ≤ ''p'' < ∞)には、標準無条件{{仮リンク|シャウダー基底|en|Schauder basis}} {''e''<sub>''i''</sub> | ''i'' = 1, 2,…} が存在する。ここで ''e''<sub>''i''</sub> は第 ''i'' 成分のみ 1 でその他ではゼロであるような列である。 空間 ℓ<sup>''1''</sup> は{{仮リンク|シューアの性質|en|Schur's property}}を持つ:すなわち、ℓ<sup>''1''</sup> において{{仮リンク|弱収束|en|weak convergence (Hilbert space)}}する列は、必ず{{仮リンク|強収束|en|strong convergence (Hilbert space)}}もする{{harv|Schur|1921}}。しかし、無限次元空間上の[[弱位相]]は、[[強位相]]よりも厳密に弱いため、ℓ<sup>''1''</sup> には弱収束するが強収束しない[[有向点族]]が存在する。 ℓ<sup>''p''</sup> 空間は多くの[[バナッハ空間]]に[[埋め込み (数学)|埋め込まれる]]。すべての無限次元バナッハ空間がある ℓ<sup>''p''</sup> あるいは ''c''<sub>0</sub> の同型を含むかという問題は、1974年の{{仮リンク|ボリス・チレルソン|en|Boris Tsirelson}}による{{仮リンク|チレルソン空間|en|Tsirelson space}}の構成により、否定的な解答が与えられた。その対として、すべての可分バナッハ空間は ℓ<sup>1</sup> の[[商線型空間|商空間]]と線型等長である、という問題は、{{harvtxt|Banach|Mazur|1933}}により肯定的な解答が与えられた。すなわち、すべての可分バナッハ空間 ''X'' に対して、''X'' が <math>\ell^1 / \ker Q</math> と同型になるような商写像 <math>Q:\ell^1 \to X</math> が存在する。一般的に、ker ''Q'' は ℓ<sup>1</sup> 内で完備化されない。すなわち、<math>\ell^1 = Y \oplus \ker Q</math> であるような ℓ<sup>1</sup> の部分空間 ''Y'' は存在しない。実際、ℓ<sup>1</sup> はそれ自身のどれとも同型でないような非可算個の多くの非完備部分空間を持つ(例えば、<math>X=\ell^p</math> を考える。そのような ''X'' は非可算に多く存在し、ℓ<sup>''p''</sup> はどの他のものとも同型でないため、非可算個の多くの ker ''Q'' が存在する)。 自明な有限次元の場合を除き、ℓ<sup>''p''</sup> の変わった性質は、それが{{仮リンク|多項式的回帰的空間|en|polynomially reflexive space}}であることである。 == 関連項目 == *[[Lp空間|{{mvar|L<sup>p</sup>}}-空間]] *{{仮リンク|β-双対空間|en|beta-dual space}} == 参考文献 == *{{citation|first1=S.|last1=Banach|first2=S.|last2=Mazur|title=Zur Theorie der linearen Dimension|journal=Studia Mathematica|volume=4|year=1933|pages=100–112}}. * {{citation|last1=Dunford|first1=Nelson|last2=Schwartz|first2=Jacob T.|title=Linear operators, volume I|publisher=Wiley-Interscience|year=1958}}. * {{citation|doi=10.1112/jlms/s1-11.3.174|first=H.R.|last=Pitt|title=A note on bilinear forms|journal=J. London Math. Soc.|volume=11|issue=3|year=1936|pages=174–180}}. *{{citation|first=J.|last=Schur|title=Über lineare Transformationen in der Theorie der unendlichen Reihen|journal=Journal für die reine und angewandte Mathematik|volume=151|year=1921|pages=79–111}}. {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:すうれつくうかん}} [[Category:関数解析学]] [[Category:数列]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:ベクトル空間]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Citation
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Harv
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Harvtxt
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Main
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Math
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Mvar
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Normdaten
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:See also
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Seealso
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:仮リンク
(
ソースを閲覧
)
数列空間
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報