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'''数表'''(すうひょう、{{lang-en-short|mathematical table}} または {{lang|en|numerical / numeric table}})とは、特定の[[計算]]式あるいは[[関数 (数学)|関数]]について[[独立変数]]([[引数]])を様々に変化させた場合の結果として得られる[[従属変数]]の[[数列]]を示した[[テーブル (情報)|表]]である<ref>[https://kotobank.jp/word/%E6%95%B0%E8%A1%A8-83294 数表(すうひょう)とは - コトバンク]</ref>。代表的なものとして、[[常用対数]]表や[[三角関数]]表、[[乱数表]]などがある。 ==代表例== [[計算機]]が安価で手の届くものになる以前は、計算を簡略化し迅速に結果を求めるために用いられていた。一般に「数表」と呼ばれたものは、[[関数電卓]]やコンピュータ以前は容易には計算できなかった[[初等関数]]や、[[計算尺]]では精度が足りない(計算尺で扱えるのは、十進で2桁〜せいぜい3桁である)10桁弱程度の[[対数]]の数表(対数表)などである。 単純な例としては、[[整数]]の[[乗算]]に関する表(いわゆる[[九九]])などであろう。これは[[算数]]の授業でほとんどの人が知ることになる。 <center> {| class="wikitable" style="text-align:center;" |+ [[十進法]][[乗算]]表 ! × ! 1 !! 2 !! 3 !! 4 !! 5 !! 6 !! 7 !! 8 !! 9 !! 10 !! 11 !! 12 |- ! 1 | 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 11 || 12 |- ! 2 | 2 || 4 || 6 || 8 || 10 || 12 || 14 || 16 || 18 || 20 || 22 || 24 |- ! 3 | 3 || 6 || 9 || 12 || 15 || 18 || 21 || 24 || 27 || 30 || 33 || 36 |- ! 4 | 4 || 8 || 12 || 16 || 20 || 24 || 28 || 32 || 36 || 40 || 44 || 48 |- ! 5 | 5 || 10 || 15 || 20 || 25 || 30 || 35 || 40 || 45 || 50 || 55 || 60 |- ! 6 | 6 || 12 || 18 || 24 || 30 || 36 || 42 || 48 || 54 || 60 || 66 || 72 |- ! 7 | 7 || 14 || 21 || 28 || 35 || 42 || 49 || 56 || 63 || 70 || 77 || 84 |- ! 8 | 8 || 16 || 24 || 32 || 40 || 48 || 56 || 64 || 72 || 80 || 88 || 96 |- ! 9 | 9 || 18 || 27 || 36 || 45 || 54 || 63 || 72 || 81 || 90 || 99 || 108 |- ! 10 | 10 || 20 || 30 || 40 || 50 || 60 || 70 || 80 || 90 || 100 || 110 || 120 |- ! 11 | 11 || 22 || 33 || 44 || 55 || 66 || 77 || 88 || 99 || 110 || 121 || 132 |- ! 12 | 12 || 24 || 36 || 48 || 60 || 72 || 84 || 96 || 108 || 120 || 132 || 144 |} </center> 7×8の結果を得たい場合、左端の列に書かれた「7」を探し、次いで「7の行」を右へ進んで「8の列」と交差するところで56という結果に至る(乗算の表の場合は行と列を逆にしても構わないし、しばしば節約などのため半分(上三角あるいは下三角などと呼ばれる)の表にされることも多い)。 上記は独立変数が2つの離散関数 {{math|''z'' {{=}} ''f''(''x'', ''y'') {{=}} ''x'' × ''y''}} についての数表であるとも言える。 == 歴史と利用 == [[ファイル:Abramowitz&Stegun.page97.agr.jpg|thumb|[[Abramowitz and Stegun]]に掲載された[[常用対数]]表の一部]] [[三角関数]]の表を最初に作成したのは[[ヒッパルコス]]であると言われている。[[常用対数]]や真数の表は、乗除算や[[冪乗|べき乗]](たとえば''n''乗根の[[開平法]]など)を高速に求めるために用いられた。[[特殊関数]]の数表は、現在でも用いられている。たとえば、[[正規分布]]の[[累積分布関数]]値の数表は教科書の巻末付録などを中心に広く存在している。 [[数学定数]]や[[物理定数]]の中には、数表中にその近似値あるいは真値が現れるものもある。例えば[[円周率]] {{mvar|π}} について、{{math|''tan''(''π''/4) {{=}} 1}}<!--<math>tan(\pi/4) = 1</math>--> であることから、[[逆三角関数]]表のうち、{{math|''x'' {{=}} 1}}<!--<math>x = 1</math>--> における逆正接 {{math|''arctan''(''x'')}}<!--<math>arctan(x)</math>--> の値として {{math|''π''/4}}<!--<math>\pi/4</math>--> の近似値が出現する。 [[対数]]の数表を特に「対数表」と言うが、最初の対数表は[[ジョン・ネイピア|ネイピア]]により1614年に完成・発表された。ネイピアの対数表自体には自然対数の底は含まれていなかったが、のちの時代に[[ネイピア数]] {{mvar|e}} として発見されることにつながった。 19世紀に建造が計画された[[階差機関]]は多項式近似で関数値を計算し、機械的に数表の印刷原版を生成する特殊用途の計算機であった。これは、人手で作成されていた対数表の計算ミスや印刷ミスによる誤りの多さが動機であったと言われている。[[第二次世界大戦]]中に初期の電子計算機が開発されたのも、(特に[[ENIAC]]は)大砲の[[弾道]]に関する特殊な数表([[射表]])を作成することが目的のひとつであった。 大規模な計算では大型計算機の発達により<ref>計算機が普及する前のごくわずかな期間には「計算機によって作られた高品質な数表」といったようなものが現れたが、すぐに需要がなくなり忘れられた存在となった。</ref>、さらに一般においても[[関数電卓]]の普及後は、ほとんどの数表は使われなくなった。 特殊な数表も種々存在するが、[[天測航法]]に使う天測暦(航海暦)のように、明るいため識別の容易な惑星の、天球上の位置を知るためのデータといったものも一種の数表と言えるだろう。他には、[[乱数列]]を得るための[[乱数表]]といったものがある(何らかの乱数それ自体はサイコロなどによって簡単に得られるが、大量にかつ良質な乱数列を得るのは一般に容易でない所に乱数表の有用性がある。また暗号などでは両者が同一の乱数表を参照する、といった使い方をする)。 数表を利用することはよく知られたコード[[最適化 (情報工学)|最適化]]の手法であり、人手による計算だけでなく計算機を用いた場合でも有効に機能する。計算機においては、そのつど計算を行うよりも[[ルックアップテーブル]]を用いた方が高速である場合(特に計算機がその計算に適した[[ハードウェア]]実装を有していないような時)に数表が用いられる。反復法などの初期値を数表から得る、といった用法もある。また三角関数の例では、科学計算などでは任意の角度に対する高精度な計算が必要であるのに対し、ゲームなどでは{{要出典|date=2019-04|64方向}}<!-- 「64」の根拠は? -->の量子化で足りるといった場合も多い<ref>ハードウェアの性能が低かった時代のコンピュータゲームにおける測位では、そもそも三角関数は使わずにデジタル微分解析 (Digital Differential Analyzer, DDA) や[[ブレゼンハムのアルゴリズム]]が用いられていた。</ref>。基本的にこの問題は、計算時間と(数表を格納するための)[[記憶装置|メモリ]]容量との[[トレードオフ]]である。但し、ハードウェアの技術進歩で見た場合に、[[プロセッサ]]の劇的な性能向上と比較してメモリアクセスの性能向上は遅いため、[[ルックアップテーブル]]による最適化を行う場合には、メモリアクセスが[[ボトルネック]]になる可能性を考察する必要がある。テーブルが膨大でキャッシュメモリに乗り切らない場合は、レジスタで都度計算したほうが速くなることもありえる。 == 注 == <references/> == 関連項目 == * [[テーブル (情報)]] * [[Abramowitz and Stegun]], ''Handbook of Mathematical Functions with Formulas, Graphs, and Mathematical Tables'' (数表が掲載された著名な公式集) * [[行列]] * [[乱数表]] * [[真理値表]] * [[積表]] == 外部リンク == * [http://www.mymathmind.com/ MyMathMind.com] * [http://mikaka.org/~kana/d.htm?mathlistindex-j.html 数表] -- [[暗黒通信団]]が提供する100万桁の各種数表(PDF)。国会図書館の電子書籍としても納本されている。 {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:すうひよう}} [[Category:表]] [[Category:数学に関する記事]]
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