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数論の有効な結果
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[[数論]]において、'''有効な結果'''([[英語|英]]: Effective results)であるとは、主張の内容が具体的に[[計算可能関数|計算可能]]であることを表す。 数論における結果は、歴史的理由や[[ディオファントス方程式]]の解法への応用を理由に、主張の内容が計算可能か否かを判断することを数学の他の分野よりも精査されてきた。例えばある整数のリストが有限であると主張されているならば、原理的に計算機で計算してそのリストを出力できるかどうかが問題となる。 ==リトルウッドの結果== 初期の有効でない(ineffective)結果の例は、1914年の[[ジョン・エデンサー・リトルウッド|リトルウッド]]の定理<ref>{{cite journal | first=J. E. | last= Littlewood | authorlink=J. E. Littlewood |title=Sur la distribution des nombres premiers|journal=[[Comptes Rendus]]|volume= 158 |year=1914|pages= 1869–1872 | jfm=45.0305.01 }}</ref>であり、[[素数定理]]における ''ψ''(''x'') と ''π''(''x'') の差の漸近的な見積もりとして、符号を無限回変えるという定理である<ref>{{cite book | last = Feferman | first = Solomon | authorlink = Solomon Feferman | contribution = Kreisel's "unwinding" program | contribution-url = http://math.stanford.edu/~feferman/papers/unwind.pdf | mr = 1435765 | pages = 247–273 | publisher = A K Peters | location = Wellesley, MA | title = Kreiseliana | year = 1996}} プレプリント版の p. 9 を参照。</ref>。1933年、[[スタンレー・スキューズ]](Stanley Skewes)は、現在[[スキューズ数]]として知られている、最初に符号が変わる有効な上限を発見した<ref>{{cite journal | first= S.|last= Skewes|authorlink= Stanley Skewes |title=On the difference π(''x'') − Li(''x'')|journal=[[Journal of the London Mathematical Society]]|volume=8|year=1933|pages= 277–283 | zbl=0007.34003 | jfm=59.0370.02 | doi=10.1112/jlms/s1-8.4.277}}</ref> 。 詳しくいえば、数列 ''f''(''n'') を考えたとき、無限回の符号変化に関する有効な結果とは、「すべての ''N'' に対して、''f''(''N'') と ''f''(''M'') が異なる符号となる値 ''M'' ( > ''N'') が特定の計算資源下で計算できる」ということを含む定理となる。実際には ''M'' は ''N'' 以降の値 ''n'' によって計算されるが、問題はどのくらい大きな ''n'' まで見なければいけないかということである。最初に符号を変える ''n'' を探すのはその特別な場合である。この問題の要点は、既知の数値的な証拠によって符号が変わらないことが示されたということである。リトルウッドの結果から、この数値的証拠が小さな数では有効であると保証されたが、ここでの「小さい」とは n が 1,000,000 までの場合を含んでいた。 <!--注:was just a small number effectを was effective just for small number として訳出 Littlewood's result guaranteed that this evidence was just a small number effect, but 'small' here included values of n up to a billion. --> 計算可能性の要求は、数論の結果を証明するための[[解析的整数論]]で使われる方法に反映されると同時に対比もされる。例えば、[[ランダウの記号]]の使用やそれが存在を暗示する定数に関して疑問が生ずる。「ランダウの記号はそのような定数が単に[[存在定理|存在することを示す]]のか?もしくは、暗黙の定数の代わりに(例えば)1000 が使われるバージョンを再現できるか?」というものである。言い換えると、符号が変わる ''M'' > ''N'' が存在し、ある陽関数 ''G'' (例えばべき乗、対数、指数)に対して :<math>M = \mathcal{O}(G(N))</math> であることが既知とすると、これはある絶対定数 ''A'' に対して、単に :<math>M < A\cdot G(N)</math> であるだろうか、ということである。 ''A'' は、いわゆる'''暗黙の定数'''であるが、計算を目的とすれば定数として明示する必要が生じうる。ランダウの記号がよくこの話題の導入に使われる理由の一つは、 ''A'' が正確には何であるか、という問題が背後にあるからである。間接的な形の証明では、暗黙の定数を明示できるかが全くわからないものもある。 ==ジーゲルの時期== 1900年から1950年までの間に証明された解析的整数論の主要な結果の多くは、実際には有効でなかった。下に主要な例を列挙する。 *[[トゥエ・ジーゲル・ロスの定理]] *1929年の[[整数点についてのジーゲルの定理]] *1934年、{{仮リンク|ハンス・ハイルブロン|en|Hans Heilbronn}}(Hans Heilbronn)と{{仮リンク|エドワード・リンフット|en|Edward Linfoot}}(Edward Linfoot)の[[類数問題|類数 1の問題]]<ref>{{cite journal | last1 = Heilbronn | first1 = H. | author1-link = Hans Heilbronn | last2 = Linfoot | first2 = E. H. | author2-link = Edward Linfoot | doi = 10.1093/qmath/os-5.1.293 | issue = 1 | journal = [[Quarterly Journal of Mathematics]] | pages = 293–301 | series = Oxford Series | title = On the imaginary quadratic corpora of class-number one | volume = 5 | year = 1934}}.</ref> *1935年、{{仮リンク|ジーゲルの零点|en|Siegel zero}}(Siegel zero)について<ref>Sprindzhuk (2001) "Diophantine approximations" [http://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Diophantine_approximations], in Hazewinkel, Michiel, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4 – 範囲の非有効性についてのコメント</ref> * ジーゲルの零点を基礎とする[[ジーゲル・ウォルフィッツの定理]] 理論的に不完全なままの具体的情報として、類数の下限(ある数体の族に対する[[イデアル類群]]の類数が、どのように増大するかに対して)や分母による[[代数的数]]の最良な有理数近似の境界があったが、後者は{{仮リンク|アクセル・トゥエ|en|Axel Thue}}(Axel Thue)の仕事以後、ディオファントス方程式の結果として直接的に理解されるようになった。証明中で[[リウヴィル数]]に使った結果は、[[平均値の定理]]を適用する方法で有効であったが、(現在トゥエ・ジーゲル・ロスの定理として知られているものへの)改良は有効でなかった。 ==その後の成果== その後の結果、特に[[アラン・ベイカー]]の成果によって上記の状況から変化した。定性的に言うと[[ベイカーの定理]]の主張は弱く見えるが、式に陽的な定数を含んでいるため、(完全だろうと推測される)解のリストが実際に全ての解の集合であることを計算機を使って証明することができる。 ==理論的な問題== 有効な結果を導出することは困難であるが、背理法の使用に注意し、背理法とは根本的に異なる証明方法で解決されてきた。この考え方は、[[計算可能性理論]]や[[計算可能函数]]よりも[[証明論]]に近い。難しさはむしろ[[計算複雑性理論]]の領域にあるのではないかと大まかに予想されている。有効でない結果は、今もなお「'''A''' または '''B''' である」という形で証明されているが、そのどちらが真であるかを知る方法はない。 ==脚注== <references/> ==外部リンク== *Sprindzhuk (2001) "Diophantine approximations" [http://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Diophantine_approximations], in Hazewinkel, Michiel, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4 {{デフォルトソート:すうろんのゆうこうなけつか}} [[Category:解析的整数論]] [[Category:ディオファントス方程式]] [[Category:数学に関する記事]]
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