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{{redirect|斉次式・同次式|線型斉次微分方程式|微分方程式}} [[数学]]において、'''斉次多項式'''(せいじたこうしき、{{lang-en-short|homogeneous polynomial}})あるいは'''同次多項式'''(どうじたこうしき)、あるいは略して斉次式、同次式とは、非零項の[[多項式の次数|次数]]が全て同じである[[多項式]]のことである<ref>D. Cox, J. Little, D. O'Shea: ''Using Algebraic Geometry'', 2nd ed., page 2. Springer-Verlag, 2005.</ref>。 例えば、2変数 {{math2|''x'', ''y''}} についての1次斉次多項式は、{{math2|''a'', ''b''}} を定数として :<math>ax+by \quad (ab \neq 0)</math> 2変数 {{math2|''x'', ''y''}} についての2次斉次多項式は、{{math2|''a'', ''b'', ''c''}} を定数として :<math>a x^2 +bxy +c y^2 \quad (abc \neq 0)</math> 2変数 {{math2|''x'', ''y''}} についての3次斉次多項式は、{{math2|''a''~''d''}} を定数として :<math>a x^3 +bx^2y +cxy^2 +dy^3 \quad (abcd \neq 0)</math> 3変数 {{math2|''x'', ''y'', ''z''}} についての2次斉次多項式は、{{math2|''a''~''f''}} を定数として :<math>a x^2 + by^2 +c z^2 + dxy + eyz +fzx \quad (abcdef \neq 0)</math> である。 多項式が斉次であることと[[斉次関数]]を定義することは同値である。'''(代数的)形式''' ((algebraic) form) とは、斉次多項式によって定まる[[関数 (数学)|関数]]のことである<ref group="注釈">しかしながら、多項式と多項式から定まる写像を明確に区別しない著者もおり、''斉次多項式''と''形式''が同義語として使われることもある。</ref>。'''binary form''' とは二変数の形式である。''形式''は[[ベクトル空間]]上定義される、任意の[[基底 (線型代数学)|基底]]上座標の斉次関数として表せる関数でもある。 0次多項式は常に斉次である。これは単に係数の[[可換体|体]]や[[環 (数学)|環]]の元であり、通常定数やスカラーと呼ばれる。1次の形式は線型形式である<ref group="注釈">''線型形式'' (linear form) は有限次元ベクトル空間に対してのみ定義され、したがってすべてのベクトル空間に対して定義される''[[線型汎関数]]'' (linear functional) とは区別しなければならない。"線型汎関数"が有限次元ベクトル空間に対して使われることはまれである。</ref>。2次の形式は[[二次形式]]である。[[幾何学]]において、[[ユークリッド距離]]は二次形式の[[平方根]]である。 斉次多項式は数学や物理学の至るところで現れる<ref group="注釈">物理学において斉次多項式はしばしば[[次元解析]]の結果として現れる。次元解析では、測られた量は現実世界の問題において合っていなければならない。</ref>。斉次多項式は代数幾何学において基本的な役割を果たす。[[射影代数多様体]]は斉次多項式のある集合の共通零点全体の集合として定義されるからである。 == 性質 == *斉次多項式は[[斉次関数]]を定める。つまり、[[多変数多項式]] ''P'' が ''d'' 次斉次であることと、[[係数]][[可換体|体]]のすべての元 <math>\lambda</math> に対して :<math>P(\lambda x_1, \ldots, \lambda x_n)=\lambda^d\,P(x_1,\ldots,x_n)</math> が成り立つことは同値である。とくに、''P'' が斉次であれば、すべての <math>\lambda</math> に対して :<math>P(x_1,\ldots,x_n)=0 \quad\Rightarrow\quad P(\lambda x_1, \ldots, \lambda x_n)=0</math> が成り立つ。この性質は[[射影多様体]]の定義において基本的である。 *非零多項式は異なる次数の斉次多項式の和に一意的に分解できる。この分解における各斉次多項式を多項式の'''斉次成分''' (homogeneous components) と呼ぶ。 *斉次多項式の積は斉次多項式になる。 *斉次多項式を[[因数分解]]すると、因数は斉次多項式になる。 *[[可換体|体]](あるいはより一般に[[環 (数学)|環]])''K'' 上の[[多項式環]] <math>R=K[x_1, \ldots,x_n]</math> が与えられると、''d'' 次斉次式全体は一般に <math>R_d</math> と記される[[ベクトル空間]](あるいは[[環上の加群|加群]])をなす。上記の一意的な分解は、<math>R</math> が <math>R_d</math> たちの[[直和]]([[非負の整数]]すべてを渡る和)であることを意味する。 ベクトル空間(あるいは[[自由加群]])<math>R_d</math> の次元は ''n'' 変数の ''d'' 次単項式の個数である(つまり ''n'' 変数の ''d'' 次斉次多項式の非零項の最大個数である)。それは[[二項係数]] :<math>\binom{d+n-1}{n-1}=\binom{d+n-1}{d}=\frac{(d+n-1)!}{d!(n-1)!}</math> に等しい。 ==斉次化== 非斉次多項式 ''P''(''x''<sub>''1''</sub>,...,''x''<sub>''n''</sub>) は新たな変数 ''x''<sub>0</sub> を導入し斉次多項式(<sup>''h''</sup>''P'' と書かれることがある)を次のように定義することによって斉次化することができる:<ref>D. Cox, J. Little, D. O'Shea: ''Using Algebraic Geometry'', 2nd ed., page 35. Springer-Verlag, 2005.</ref> :<math>{^h\!P}(x_0,x_1,\dots, x_n) = x_0^d P \left (\frac{x_1}{x_0},\dots, \frac{x_n}{x_0} \right ),</math> ここで ''d'' は ''P'' の[[多項式の次数|次数]]である。例えば、 :<math>P=x_3^3 + x_1 x_2+7</math> であれば、 :<math>^h\!P=x_3^3 + x_0 x_1x_2 + 7 x_0^3</math> である。 斉次化された多項式は追加された変数 ''x''<sub>0</sub> を 1 とおくことによって非同次化できる。つまり、 :<math>P(x_1,\dots, x_n)={^h\!P}(1,x_1,\dots, x_n).</math> ==一般の代数的形式== 代数的形式、あるいは単に形式は、[[二次形式]]を任意の次数に一般化する。かつては ''quantics'' とも呼ばれた([[アーサー・ケイリー|ケイリー]]による用語である)。形式のタイプを特定するには、次数 ''d'' と変数 ''n'' の個数を与えなければならない。形式がある与えられた[[可換体|体]] ''K'' ''上の''形式であるとは、''n'' を形式の変数の個数として、''K''<sup>''n''</sup> から ''K'' への写像であることをいう。 ある体 ''K'' 上の ''n'' 変数の形式 ''f'' が 0 を表すとは、''x''<sub>''i''</sub> たちのうち少なくとも1つが0に等しくないような元 (''x''<sub>1</sub>, ..., ''x<sub>n</sub>'') ∈ ''K''<sup>''n''</sup> が存在して ''f''(''x''<sub>1</sub>,...,''x''<sub>''n''</sub>) = 0 となることをいう。 [[実数]]体上の二次形式が 0 を表すことと[[定符号二次形式|定符号]]でないことは同値である。 ==関連項目== *{{仮リンク|対角形式|en|Diagonal form}} *[[次数付き代数]] *[[ヒルベルト多項式|ヒルベルト級数とヒルベルト多項式]] *[[多重線型形式]] *[[多重線型写像]] *{{仮リンク|代数的形式の偏極|en|Polarization of an algebraic form}} *[[シューア多項式]] *[[微分作用素の表象]] *[[線型方程式]] ==脚注== {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist}} === 出典 === {{reflist}} ==外部リンク== * {{mathworld|urlname=HomogeneousPolynomial|title = Homogeneous Polynomial}} {{Polynomials}} {{DEFAULTSORT:せいしたこうしき}} [[Category:斉次多項式|*]] [[Category:多重線型代数]] [[Category:代数幾何学]] [[Category:数学に関する記事]]
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