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{{出典の明記|date=2021年3月}} '''時系列'''(じけいれつ、{{lang-en-short|time series}})とは、ある現象の時間的な変化を、連続的に(または一定間隔をおいて不連続に)観測して得られた[[数|値]]の系列<ref>広辞苑第五版【時系列】</ref>(一連の値)のこと。例えば、[[統計学]]や[[信号処理]]で時間経過に従って計測されるデータ列であり、(通常、一定の)ある時間間隔で測定される。均一間隔では無い場合は点過程と呼ぶ。 ==概略== '''時系列解析'''や'''時系列分析'''はそのような時系列を解釈するための手法であり、データ列の背後にある理論(なぜそのような時系列になったのか?)を見出すか、予測を行うためのものである。'''時系列予測'''は、既知の過去の事象に基づいて将来の[[モデル (自然科学)|モデル]]を構築し、将来ありうべきデータポイントを測定前に予測することである。例えば、[[株式]]の過去の価格推移から将来の価格を予測することなどが挙げられる。 === 表記 === 時系列分析では以下のような記述も使われる: :<math>X= \{X_1, X_2, \dots \}</math> これは自然数でインデックスされた時系列 ''X'' を表している。 === 線形モデル === 時系列データのモデルには様々な形式がある。古典的に有名な[[線型性|線形]]モデルとしては、[[自己回帰移動平均モデル]](ARMA)があり、これは[[自己回帰モデル]](autoregressive; AR)と[[移動平均]]モデル(moving average; MA)を組み合わせたものである。更に、和分モデル(integrated; I)を組み合わせた[[自己回帰和分移動平均モデル]](ARIMA)がある。これらは過去のデータ列およびノイズに線形に依存している。過去のデータへの非線形な依存は、[[カオス理論|カオス]]的時系列を生む可能性があり、興味深い。 === 状態空間モデル === {{see also|状態空間 (制御理論)}} 状態空間モデルとは、状態(観測不可能)を <math>x_t</math>、観測値(観測可能)を <math>y_t</math>、システムノイズ(状態遷移のノイズ)を <math>v_t</math>、観測ノイズを <math>w_t</math> として、以下で時系列 <math>y_t</math> を表現するモデル。<ref>{{Cite book |和書 |author=北川源四郎|authorlink=北川源四郎 |year=2005 |title=時系列解析入門 |publisher=岩波書店 |page=209 |isbn=4000054554 }}</ref><ref>{{Cite book |和書 |author=樋口知之 |year=2011 |title=予測にいかす統計モデリングの基礎―ベイズ統計入門から応用まで |publisher=講談社 |page=29 |isbn=4061557955 }}</ref> :<math> \begin{align} x_t &= f_t(x_{t-1}, v_t) \\ y_t &= h_t(x_t, w_t) \end{align} </math> このモデルは[[粒子フィルタ]]([[モンテカルロ法]])を用いて、状態 <math>x_t</math> の[[確率分布]]を求めることが出来る。関数 <math>f_t</math> と <math>h_t</math> には制限はないが、<math>h_t</math> は観測値から[[尤度]](確率密度または確率質量)を逆算できることが必要。<math>x_t</math> や <math>y_t</math> は実数ベクトルである必要は無く、任意の[[データ構造]]で良い。 状態および観測値が実数の列ベクトル、関数 <math>f_t</math> と <math>h_t</math> が[[線型性|線形]]([[行列の乗法]])、システムノイズ <math>v_t</math> と観測ノイズ <math>w_t</math> が[[多変量正規分布]]に従う場合は、以下のようになる。 :<math> \begin{align} x_t &= F_t x_{t-1} + G_t v_t \\ y_t &= H_t x_t + w_t \end{align} </math> こちらは、状態 <math>x_t</math> の確率分布(多変量正規分布)を[[カルマンフィルター]]にて厳密解を求められる。ARMA や ARIMA もこの線形モデルで扱うことが出来る。 === 手法 === 時系列データを分析するツールには以下のようなものがある: * [[自己相関|自己相関関数]]と[[スペクトル密度関数]] * [[デジタル信号処理|周波数領域]]の系列の分析としての[[フーリエ変換]] * [[ノイズ]]を除去する[[デジタルフィルタ]]の使用 * [[主成分分析]](または[[経験直交関数]]分析) * [[ニューラルネットワーク|人工ニューラルネットワーク]] * [[時間-周波数表現|時間-周波数解析手法:]] ** [[ウェーブレット変換|連続ウェーブレット変換]] ** [[短時間フーリエ変換]] ** [[:en:Chirplet transform|Chirplet変換]]<!-- 読み方がわからない --> ** [[非整数次フーリエ変換]] * [[カオス理論|カオス解析]] ** [[相関次元]] ** [[リカレンスプロット]] ** [[再帰定量化分析]] ** [[リアプノフ指数]] * 状態空間モデル ** [[カルマンフィルター]]、拡張カルマンフィルタ、[[アンサンブルカルマンフィルタ]] ** [[粒子フィルタ]] == 産業への応用 == 任意の時刻と数値を合わせた列は時系列とみなすことができる。その場合の時刻の間隔は一定でなくてもよい。たとえば、株式や商品先物の相場の履歴情報は、一種の時系列データである。 経営アナリストらは、ここで列挙したようなツールを駆使し、経営に役に立てている。例えば、エネルギートレーダーは平年の天候と短期の天気予報に基づいて電力消費量を予測する。 == 出典 == <references /> == 関連図書 == * Tarek A. Atwan、黒川利明(訳):「Python 時系列分析クックブック I:前処理」、朝倉書店、ISBN 978-4-254-12294-7 (2023年11月1日). * Tarek A. Atwan、黒川利明(訳):「Python 時系列分析クックブック Ⅱ:モデル・機械学習」、朝倉書店、ISBN 978-4-254-12295-4 (2023年11月1日). == 関連項目 == *[[線形予測法]] *[[移動平均]] *[[予測区間]] *[[システム同定]] *[[傾向推定]] *[[R言語]] -「時系列データ型」をデフォルトで備えたデータ解析用言語。 *[[ミッシングリンク]] *[[計量経済学#時系列計量経済学]] ==外部リンク== * [http://sine.ni.com/nips/cds/view/p/lang/en/nid/1395 Advanced Signal Processing Toolkit] - National Instruments 社の時系列解析用商用ソフトウェア {{統計学}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:しけいれつ}} [[Category:計量経済学]] [[Category:統計学]] [[Category:信号処理]] [[Category:時系列分析]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:ミステリ]]
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