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{{出典の明記|date=2020年3月}} '''時間微分'''(じかんびぶん、{{lang-en-short|time derivative, derivative with respect to time}})とは、[[引数]]に[[時間]]を持つ[[関数 (数学)|関数]]もしくは[[汎関数]]の時間に関する[[導関数]]、または時間に関する[[微分法|微分]]そのものを指す。 ==概要== ある関数の時間微分は、元の関数の時間的な変化の割合を表すので、[[速度]]の名を冠することが多い。 例えば[[物体]]の運動速度や、[[化学反応]]における[[反応速度]]などは、それぞれ[[位置]]の時間微分と[[物質量]]の時間微分を指す。 時間微分は、その対象の時間的な変化の度合いを調べる目的のほかに、元の関数の性質を調べる上で、その導関数の扱いが容易である場合に用いられる。 あるいは、一般の[[微分方程式]]と同様に、未知の関数に対する[[時間発展]]を時間に関する微分方程式によって与える際に現れる。 [[数学]]や[[物理学]]などにおいては、ある種の変換に対する[[対称性]]や不変性がしばしば興味の対象となる。 特に時間変化に対する不変性は重要な意味を持ち、時間微分が恒等的に 0 であるような量は'''保存量'''と呼ばれる。このとき元の量は時間的変化に対して不変である。 [[ネーターの定理]]に示唆されるように、保存量やそれを与える[[保存則]]は、[[系 (自然科学)|系]]が備える基本的な性質の反映であると考えられるので、自然科学の分野において基礎となる[[モデル (自然科学)|モデル]]を考える上で重要である。 == 記法 == {{main|微分の記法|ニュートンの記法}} 一般の導関数と同様に、時間微分は様々な[[微分の記法]]によって表されるが、物理学では慣習的に、時間微分を表す記法として[[ニュートンの記法]]を用いることが好まれる。 ニュートンの記法とは、ある関数の導関数を元の関数の上に[[ドット符号|ドット]]をつけることで表す方法のことである。 例えば {{mvar|q}} の時間微分を {{math|{{dot|''q''}}}}、さらに時間微分したものは {{math|{{ddot|''q''}}}} と表される。 ==力学における時間微分== [[ニュートン力学]]や[[ラグランジュ力学]]においては、基本変数として位置と、その時間微分である[[速度]]を用いる。速度を時間微分したものを[[加速度]]、さらに時間微分したものを[[躍度]](加加速度)と呼ぶ。 [[ハミルトン力学]]においては、物理量<math>A(t)</math>の時間微分は、[[ポアソン括弧]]<nowiki>[ ]</nowiki>を用いて、 {{Indent|<math>\frac{d}{dt}A(t)=[A(t),H]+\frac{\partial}{\partial t}A(t)</math>}} と表される。ここで {{mvar|H}} は[[ハミルトニアン]]である。 [[量子力学]]においても、上記の物理量 {{mvar|A}} およびハミルトニアン {{mvar|H}} を[[エルミート作用素]]、ポアソン括弧を[[作用素 (関数解析学)|作用素]]の[[交換関係 (量子力学)|交換子]]を {{math|−{{sfrac|''h''|2π''i''}}}} で割ったものに置き換えることで同様の時間発展方程式を与えることができる({{mvar|h}} は[[プランク定数]]、{{mvar|i}} は[[虚数単位]]、{{math|π}} は[[円周率]])。 {{Indent|<math>\frac{d}{dt}A(t)=-\frac{2\pi i}{h}[A(t),H]+\frac{\partial}{\partial t}A(t).</math>}} この方程式はしばしば[[換算プランク定数]] {{math|''ħ'' {{=}} {{sfrac|''h''|2π}}}} を用いて {{Indent|<math>\frac{d}{dt}A(t)=\frac{1}{i\hbar}[A(t),H]+\frac{\partial}{\partial t}A(t)</math>}} と表される。この方程式は[[ハイゼンベルクの運動方程式]]と呼ばれる。ハイゼンベルク方程式は、[[ハイゼンベルク描像]]における物理量の時間発展を与える量子力学の基本方程式である。 その他生物学では、[[ロジスティック方程式]] などにこの時間微分が用いられる。 ある個体群において、時刻 t に個体数が N 体が存在しているとする。実際の生物個体数は不連続な値([[整数]])をとるものであるが、数学的扱いを簡便にするために、個体数は[[連続 (数学)|連続]]な値([[実数]])をとるものとする(1.5体といったような値も含める)ことがしばしば行われる。実際の生物でいえば、個体数が多かったり各個体の世代が重なったりしていれば、このような近似も妥当性を帯びてくる。個体数を連続な値とすれば、個体数の増加率は N の時間微分 dN/dt で表すことができる。 個体数について、ある個体の出生と死亡という2つの要因のみによって個体数は増減する。個体群の[[出生率]]が[[死亡率]]を上回っていれば、個体数は増え続けるということになる。さらに簡略化するために出生率と死亡率を常に一定であるとする。個体数当たりの出生率を b、個体数当たりの死亡率を d とすれば、個体数の増加率は差し引きした b − d に個体数 N を掛け合わせた値となる。よって個体数増加率 dN/dt は <math>\dfrac{dN}{dt}=mN</math> と表される。 == 関連項目 == * [[時間発展]] * [[速度]] * [[保存則]] {{physics-stub}} {{DEFAULTSORT:しかんひふん}} [[Category:微分方程式]] [[Category:時間]] [[Category:速度]] [[Category:動力学]] [[Category:数学に関する記事]]
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