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{{出典の明記| date = 2022-11}} '''暦表時'''(れきひょうじ、'''Ephemeris Time''', '''ET''')とは、地球から観測した[[太陽]]・[[月]]・[[惑星]]など天体の観測に基づく[[時刻系]]である。すなわち地球・惑星・月の[[公転]]運動に基準を置く、純理論的、純力学的な時刻系である。暦表時は[[暦表秒]]([[回帰年]]のある整数分の1として定義された[[秒]])に基づく時刻系で、現在は使われていない。なお[[地球の自転]]に基づいて決められる[[世界時]](Universal Time、UT)とは異なるものである。 暦表秒は、[[1956年]]から[[1967年]]まで[[国際単位系|SI]]秒の基準であったが、[[1984年]]に廃止された。[[1976年]]の[[国際天文学連合]]の決定により、地球表面での用途については暦表時(ET)は[[地球力学時]](TDT)で置き換えられ、[[天体暦]]の計算用途には[[太陽系力学時]](TDB)で置き換えられた。地球力学時(TDT)はその後[[地球時]](TT)として再定義された。また、太陽系力学時(TDB)の定義では不足があったため、太陽系全体での用途については[[太陽系座標時]](TCB)で、また地球近傍での用途には[[地心座標時]](TCG)で再度置き換えられている。 [[地球時]](TT)、[[地球力学時]](TDT)、[[太陽系力学時]](TDB)、[[太陽系座標時]](TCB)、[[地心座標時]](TCG)などの詳細については、[[時刻系#惑星運動の計算に用いられる時刻系]]を参照のこと。 == 概要 == {{出典の明記| section = 1| date = 2022-11}} [[時間]]は地球の[[公転]]から求めるのだが、実際には地球は[[歳差]]や[[章動]]など大きな長期間の変動や短期間の小さな変動を起こしながら複雑な運動をしていることが[[19世紀]]末に発見された。そこで、純粋に力学的で論理的な観点から[[時間]]を規定したのが暦表時である。 == 定義 == {{出典の明記| section = 1| date = 2022-11}} 太陽の[[黄経]]の位置を[[章動]]、[[視差]]および[[光行差]]の影響を取り除いて[[歳差]]の影響だけを考慮したものを'''太陽の幾何学的平均黄経'''という(ただ、実際に太陽が見える位置にはこのほかに[[大気差]]や[[極運動]]の影響も考慮しなければいけない)。 [[1900年]]の年初に近い時点で太陽の幾何学的平均黄経が279度41分48.04秒になった時刻を暦表時1900年1月0日12時0分0秒と定義する。暦表時秒は、この基点からちょうど1年過ぎた(地球が太陽の周りを1周した)時間の1/{{val|31556925.9747}}と定義されている。この時間は、[[サイモン・ニューカム]]によって求められた太陽の幾何学的平均黄経を求める式によって計算される。Lを太陽の幾何学的平均黄経に[[光行差]]である-20.47秒を加えた'''太陽の見かけの平均黄経'''、Tは1900年1月0日12時から測った{{val|36525|u=日}}を単位とする時間(=[[ユリウス年#ユリウス世紀|ユリウス世紀]])である。 <math>L=279^\circ 41'48''.04 +129\ 602\ 768''.13T+1''.089T^2 \!</math> ここでニューカムはTを世界時として扱ったが、これを暦表時として捉え直す。Lが{{val|360|u=度}}(=360×{{val|3600|u=秒}})変化すると1年であるから、1年は、 {{val|360|u=(度)}} * {{val|3600|u=(秒)}} * {{val|36525|u=(日/ユリウス世紀)}} * {{val|86400|u=(秒/日)}} / {{val|129602768.13}} = {{val|31556925.974741524|end=...}} となり、これを({{val|129602768.13}}が11桁なので)有効数字12桁に丸めた、{{val|31556925.9747|u=秒/年}}が暦表時秒の定義となった({{val|31556925.9747|u=秒/年}}(定義となった値)から {{val|31556925.9747}} / {{val|86400}} = {{val|365.24219878125|u=日/年}} が得られる)。 これらの定義によって決定された暦表時秒を使用して年月日や時分秒を決めたものが暦表時である。 暦表時は数々の修正すべき要素があり、実際に天体観測を行ってから真の暦表時を求めるまで数ヶ月もかかっていた。 <!--== 協定世界時との関係 == 現在世界で使われている時間は、より正確な[[セシウム]][[原子時計]]を利用した協定[[世界時]](UTC)である。ところが、この協定世界時と暦表時は当然ずれていく。そこで、協定世界時が実際の天体の動きとあまりずれないように、協定世界時の方で[[閏秒]]による修正が行われている。--> {{Time measurement and standards}} {{デフォルトソート:れきひようし}} [[Category:時刻系]] [[Category:天文学における時間]] [[Category:天文学に関する記事]]
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