有機アルミニウム化合物のソースを表示

{{出典の明記|date=2023年1月2日 (月) 07:19 (UTC)}}
'''有機アルミニウム化合物'''（ゆうき—かごうぶつ、organoalminium compound）は[[炭素]]−[[アルミニウム]] (C−Al) 結合を持つ[[有機化合物]]である。

== 歴史 ==
[[1950年代]]まではほとんど知られていなかったが、[[カール・ツィーグラー]]らがトリアルキルアルミニウムの直接合成法を開発し、それらの[[オレフィン]]類の[[重合]]への応用を発表すると、工業的・学問的な重要性が認められ、広く知られるようになった。1972年には、それまでの有機アルミニウム化学に関する論文を網羅した総説が発表された。それ以来も重要な総説論文の発表が続いている。

== 特徴 ==
アルミニウムは電子が欠乏しているため、通常3を超える配位数をとりやすい。ただし、Mes<sub>3</sub>Al （Mesは[[メシチル基]]、2,4,6-(CH<sub>3</sub>)<sub>3</sub>C<sub>6</sub>H<sub>2</sub> を表す）など、置換する有機基がかさ高い場合は例外である。有機アルミニウム化合物の化学は C−Al 結合の動態、および単量体のルイス酸性の高さから理解される。

二量体 Me<sub>6</sub>Al<sub>2</sub> （Meは[[メチル基]]、CH<sub>3</sub> を表す）はその好例である。配位能を持たない溶媒中では架橋構造 Al−C−Al を持つが、Al−Me 結合の素早い交換が起こっており、これは[[核磁気共鳴分光法|プロトンNMR]]で観測される。すなわち、−25{{℃}}では架橋構造に由来する2本のシグナルを積分比1:2で示すのに対し、20{{℃}}では架橋部分と末端部分のメチル基の素早い交換が起こるため、それらのシグナルは融合して1本になる。単量体のルイス酸性の高さは、アルミニウム原子がオクテット則を満たしていないことによるものである。

== 合成法 ==
実験室において、トリアルキルアルミニウム R<sub>3</sub>Al は[[メタセシス]]や[[トランスメタル化]]によって合成される。以下に例を挙げる。

[[アルキルリチウム]]や[[グリニャール試薬]]とのメタセシス
: <chem>AlCl3\ + 3BuLi -> Bu3Al\ + 3LiCl</chem>
トランスメタル化
: <chem>2 Al\ + 3Ph2Hg -> 2Ph3Al\ + 3Hg</chem>

工業的には、トリメチル、トリエチルなど単純なトリアルキルアルミニウムは直接法によって調製される。
: <chem>4Al\ + 6MeCl -> 2Me3Al2Cl3 -> Me4Al2Cl2\ + Me2Al2Cl4 -> Me4Al2Cl(l)\ + 2Na[MeAlCl3](s) -> Me3Al\ + Al\ + 6NaCl</chem>

== 反応 ==
有機アルミニウム化合物は[[HSAB則|ハードな酸]]であり、[[ピリジン]]、[[テトラヒドロフラン]]、[[アミン]]などの塩基と容易に錯体を形成する。

アルコールなどとは以下のような反応を起こす。
: <chem>R3Al\ + R'OH -> (R2Al-OR')n\ + RH</chem>

炭素−炭素二重結合に対してヒドロアルミ化を起こす。

工業的には、アルケンを重合させ[[ポリオレフィン]]を作る際の[[触媒]]として利用される。

== 関連項目 ==
{{Commonscat|Organoaluminium compounds}}
*[[チーグラー・ナッタ触媒]]
{{炭素との化学結合}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ゆうきあるみにうむかこうふつ}}
[[Category:有機アルミニウム化合物|*]]
[[Category:有機金属化合物]]
[[Category:アルミニウムの化合物]]