本質的スペクトルのソースを表示
←
本質的スペクトル
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
[[数学]]の分野において、ある[[有界作用素]]の'''本質的スペクトル'''(ほんしつてきスペクトル、{{Lang-en-short|essential spectrum}})とは、その[[スペクトル (関数解析学)|スペクトル]]のある部分集合であり、大雑把に言うと、「可逆であることにひどく失敗した」タイプの条件によって定義されるものである。 == 自己共役作用素の本質的スペクトル == 以下の正式な定義において、''X'' は[[ヒルベルト空間]]とし、''T'' は ''X'' 上の[[作用素ノルム|有界]][[エルミート作用素|自己共役作用素]]とする。 === 定義 === 通常 σ<sub>ess</sub>(''T'') と記述される ''T'' の'''本質的スペクトル'''は、 :<math> \lambda\, I - T </math> が[[フレドホルム作用素]]でないような全ての[[複素数]] λ の集合として定義される。 ここで、ある作用素がフレドホルムであるとは、その[[値域]]が閉で、その[[核 (代数学)|核]]と[[余核]]が有限次元であるようなもののことを言う。また、''I'' は ''X'' 上の恒等作用素を表し、したがって ''X'' 内の全ての ''x'' に対して ''I''(''x'') = ''x'' が成立する。 === 性質 === 本質的スペクトルは常に[[閉集合]]であり、[[スペクトル (関数解析学)|スペクトル]]の部分集合である。''T'' は自己共役であるため、そのスペクトルは実軸上に含まれる。 本質的スペクトルは、コンパクトな摂動に対して不変である。すなわち、''K'' を ''X'' 上の[[ヒルベルト空間上のコンパクト作用素|コンパクト作用素]]としたとき、''T'' の本質的スペクトルと、''T'' + ''K'' の本質的スペクトルは一致する。この事実は、なぜ'''本質的'''スペクトルと呼ばれるかという問いに答えるものである。もともと、[[ヘルマン・ワイル|ワイル]] (1910) はある微分作用素の本質的スペクトルを、境界条件に依存しないスペクトルとして定義していた。 本質的スペクトルに対する「ワイルの条件」とは、次のようなものである。はじめに、ある数 λ が ''T'' の'''スペクトル'''に属するための必要十分条件は、||ψ<sub>''k''</sub>|| = 1 および :<math> \lim_{k\to\infty} \left\| T\psi_k - \lambda\psi_k \right\| = 0 </math> を満たすようなある[[列 (数学)|列]] {ψ<sub>''k''</sub>} が存在することであるとされる。さらにその λ が'''本質的スペクトル'''であるとは、上の条件を満たすような列が存在するが、それは収束する[[部分列]]を含まないことを言う。例えば、<math>\{\psi_k\}</math> が[[正規直交系|正規直交列]]である場合などが考えられ、そのような列は'''特異列'''(singular sequence)と呼ばれる。 === 離散スペクトル === 本質的スペクトルはスペクトル σ の部分集合であり、その補集合は'''離散スペクトル'''と呼ばれる。すなわち、 :<math> \sigma_{\mathrm{discr}}(T) = \sigma(T) \setminus \sigma_{\mathrm{ess}}(T). </math> が成立する。 ある数 λ が離散スペクトルに含まれるとは、それが重複度有限の孤立固有値であることを言う。それはすなわち、空間 :<math> \{ \psi \in X : T\psi = \lambda\psi \} </math> の次元が有限であるが非ゼロであること、および μ ∈ σ(''T'') かつ |μ−λ| < ε であるならば μ と λ が等しいようなある ε > 0 が存在することを意味する。 == 一般的な有界作用素の本質的スペクトル == 一般の場合、''X'' は[[バナッハ空間]]で、''T'' は ''X'' 上の有界作用素を表すものとする。様々な文献において、本質的スペクトルの異なる定義が与えられており、それらは同値ではない。 # 第1の本質的スペクトル σ<sub>ess,1</sub>(''T'') は、λI − ''T'' が半フレドホルム作用素でないような全ての λ の集合として与えられる。ここである作用素が半フレドホルムであるとは、その値域が閉であり、その核あるいは余核が有限次元であることを言う。 # 第2の本質的スペクトル σ<sub>ess,2</sub>(''T'') は、λI − ''T'' の値域が閉でないか、λI − ''T'' の核が無限次元であるような全ての λ の集合として与えられる。 # 第3の本質的スペクトル σ<sub>ess,3</sub>(''T'') は、λI − ''T'' がフレドホルム作用素でないような全ての λ の集合として与えられる。ここである作用素がフレドホルムであるとは、その値域が閉であり、その核および余核が有限次元であることを言う。 # 第4の本質的スペクトル σ<sub>ess,4</sub>(''T'') は、λI − ''T'' が指数ゼロのフレドホルム作用素でないような全ての λ の集合として与えられる。ここでフレドホルム作用素の指数とは、その核の次元と余核の次元の差のことを言う。 # 第5の本質的スペクトル σ<sub>ess,5</sub>(''T'') は、レゾルベント集合 '''C''' \ σ(''T'') と共通部分を持たない '''C''' \ σ<sub>ess,1</sub>(''T'') の全ての成分と、σ<sub>ess,1</sub>(''T'') との合併として与えられる。 上のどの定義に対しても、作用素の本質的スペクトルは閉集合である。さらに、 :<math> \sigma_{\mathrm{ess},1}(T) \subset \sigma_{\mathrm{ess},2}(T) \subset \sigma_{\mathrm{ess},3}(T) \subset \sigma_{\mathrm{ess},4}(T) \subset \sigma_{\mathrm{ess},5}(T) \subset \sigma(T) \subset \mathbf{C} </math> が成立するが、どの包含関係も[[部分集合|狭義]]である可能性がある。しかしながら、自己共役作用素に対しては、上の全ての定義に対する本質的スペクトルは一致する。 本質的スペクトルの「半径」を :<math> r_{\mathrm{ess},k}(T) = \max \{ |\lambda| : \lambda\in\sigma_{\mathrm{ess},k}(T) \} </math> で定義する。スペクトルは異なる可能性があるが、その半径は全ての ''k'' に対して等しい。 ''k'' = 1,2,3,4 に対して、本質的スペクトル σ<sub>ess,''k''</sub>(''T'') はコンパクトな摂動の下で不変であるが、''k'' = 5 に対してはそのような事実は成立しない。''k'' = 4 の場合は、コンパクトな摂動に独立なスペクトルの部分を与えるものである。すなわち、 :<math> \sigma_{\mathrm{ess},4}(T) = \bigcap_{K \in K(X)} \sigma(T+K) </math> が成立する。ここで ''K''(''X'') は ''X'' 上の全てのコンパクト作用素の集合を表す。 第2の定義はワイルの条件を一般化したものである。すなわち、σ<sub>ess,2</sub>(''T'') は、特異列が存在しないような全ての λ の集合として与えられる。 == 参考文献 == 自己共役作用素の場合は、次の文献で議論されている。 *Michael Reed and Barry Simon (1980), ''Functional Analysis,'' Academic Press, San Diego. ISBN 0-12-585050-6. 一般的な作用素のスペクトルに関する議論は、次の文献に見られる。 *D.E. Edmunds and W.D. Evans (1987), ''Spectral theory and differential operators,'' Oxford University Press. ISBN 0-19-853542-2. 本質的スペクトルの本来の定義は、次の文献まで遡る。 *H. Weyl (1910), Über gewöhnliche Differentialgleichungen mit Singularitäten und die zugehörigen Entwicklungen willkürlicher Funktionen, ''Mathematische Annalen'' '''68''', 220–269. {{DEFAULTSORT:ほんしつてきすへくとる}} [[Category:関数解析学]] [[Category:スペクトル理論]] [[Category:数学に関する記事]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
本質的スペクトル
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報