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{{参照方法|date=2020年12月}} '''核スピン異性体'''(かくスピンいせいたい、{{lang-en-short|Nuclear spin isomer}})は、[[殻模型|核スピン]]が0でない[[原子核]]が[[分子]]内において等価な位置に2つ以上有る時に発生する'''核スピン修飾 '''(nuclear spin modification)の違いによる異性体。例えば、[[水素]]分子のように等価な[[原子]]が2つのものの場合、核スピンが置換に対して「対称」なものを[[オルト]]と呼び、「反対称」なものをパラと呼ぶ。これらの異性体間の変換は核スピンの変換を伴うために、気相のような自由空間では非常に遅いとされる。よって、このような場合、お互い別々の分子として扱われることがある。 ==回転状態とのカップリング== [[パウリの排他原理]]から、2つの等価な[[フェルミ粒子]]を置換 (''P'') した場合、置換後の分子全体の量子状態を示す[[波動関数]] (Ψ = Ψ<sub>e</sub>Ψ<sub>v</sub>Ψ<sub>r</sub>Ψ<sub>ns</sub>) は「反対称」(''P''Ψ = −Ψ) でなければならない。逆に[[ボーズ粒子]]を置換した場合、置換後の分子の波動関数は「対称」 (''P''Ψ = Ψ) でなければならない。 核スピン修飾を受けている分子は、核スピン波動関数 (Ψ<sub>ns</sub>) が置換に対して「対称」の場合(オルト)と「反対称」の場合(パラ)が存在する。よって、残りの波動関数 (Ψ<sub>e</sub>Ψ<sub>v</sub>Ψ<sub>r</sub>) が[[パウリの排他原理]]に対応する性質で無ければならない。 通常、電子振動基底状態においてはその波動関数 (Ψ<sub>e</sub>Ψ<sub>v</sub>) は置換に対して「対称」である。よって、[[回転状態|回転波動関数]] (Ψ<sub>r</sub>) がパウリの排他原理を満たすように、核スピン修飾を受けている分子は特定の回転状態とのみカップリングする。 ==水素分子== === <sup>1</sup>H<sub>2</sub> === [[水素]]の原子核 (<sup>1</sup>H) は1/2の核[[スピン角運動量]]を持つ[[フェルミ粒子]]である。よって、水素分子 (H<sub>2</sub>) にはオルト水素 (''I'' = 1) とパラ水素 (''I'' = 0) の2つの核スピン異性体が存在する。 オルト水素の核スピン波動関数 (Ψ<sub>ns</sub>) は置換に対して「対称」である。水素原子核はフェルミ粒子であるために置換に対して分子全体の波動関数は「反対称」にならなければいけないから、オルト水素は置換に対して「反対称」である[[回転状態]](回転量子数が奇数 ''J'' = 1, 3, 5,...)のみ存在する。 逆にパラ水素は核スピン波動関数は置換に対して「反対称」であるので、置換に対して「対称」である回転状態(回転量子数が偶数 ''J'' = 0, 2, 4,...)のみ存在する 常温(約250 K以上)では、回転状態の統計的多重度はほぼ等しいために、核スピン状態の多重度により、オルト水素とパラ水素の比は3:1となる。しかし、極低温においては、回転状態の分布が基底状態にである ''J'' = 0 に偏るために、温度平衡状態としてはパラ水素が多くなる。水素分子を極低温において強磁性の不均一系触媒と接触させることにより、高濃度のパラ水素を得ることができる。 === <sup>2</sup>H<sub>2</sub>(重水素)=== [[重水素]]の原子核 (<sup>2</sup>H) は1の核[[スピン角運動量]]を持つ[[ボーズ粒子]]である。よって、重水素分子 (<sup>2</sup>H<sub>2</sub>) にはオルト重水素 (''I'' = 2, 0) とパラ重水素 (''I'' = 1) の2つの核スピン異性体が存在する。 オルト重水素の核スピン波動関数 (Ψ<sub>ns</sub>) は置換に対して「対称」である。重水素原子核はボーズ粒子であるために置換に対して分子全体の波動関数は「対称」にならなければいけないから、オルト重水素は置換に対して「対称」である回転状態(回転量子数が偶数 ''J'' = 0, 2, 4,...)のみ存在する。 逆にパラ重水素は核スピン波動関数は置換に対して「反対称」であるので、置換に対して「反対称」である回転状態(回転量子数が奇数 ''J'' = 1, 3, 5,...)のみ存在する 常温ではオルト重水素とパラ重水素の比は2:1となる。パラ水素を得るのと同様の方法で高濃度のオルト重水素を得ることができる。 ==核スピン異性体間の比(オルト・パラ比)と温度== 核スピン修飾は特定の回転状態とカップリングするために、核スピン異性体の比は回転状態の比と関連がある。核スピン修飾をもつ分子の、ある回転状態''i''における状態の分布''P''<sub>i</sub>は[[ボルツマン分布]]より :<math>P_{i}=n^{ns}_{i}n^{r}_iexp(-E_{i}/kT)</math> ここで''n''<sup>ns</sup>, ''n''<sup>r</sup>はそれぞれ状態の核スピン重率および回転状態の重率を表す。''E''はエネルギー、''T''は温度、kは[[ボルツマン定数]]をそれぞれ表す。 核スピン異性体と回転状態とのカップリングは、例えば水素では、回転量子数が偶数と奇数が異なる核スピン修飾とカップリングするというように、何らかの交替則によってなされる。つまり核スピン異性体の比は次の2つの和によってきまる。 :<math>P_{ortho}=\sum_{j=odd} n^{ns}_{j}n^{r}_jexp(-E_{j}/kT)</math> :<math>P_{para}=\sum_{j=even} n^{ns}_{j}n^{r}_jexp(-E_{j}/kT)</math> 室温以上の高温においては、多くの回転状態の総和となるために、回転状態の重率''n''<sup>r</sup>による分布比は1となる。また、オルトとパラはエネルギー準位としては交替則になるのでエネルギーの[[指数関数]]の項の比も1となる。よって、異なる核スピン異性体間の比は核スピン重率''n''<sup>ns</sup>比と等しくなる。しかし、低温(極低温)において、分子が占有する状態が少なくなると、[[指数関数]]の項は1とはならない、つまり低いエネルギー(主に基底状態)に分布が偏り、核スピン重率比とは異なり、基底状態と等しい核スピン異性体の方にかたよる。 水素の例を用いれば、核スピン重率''n''<sup>ns</sup>はそれぞれオルトは''I'' = 1より、''n''<sup>ns</sup> = 3、パラは''I'' = 0より、''n''<sup>ns</sup> = 1となるので、室温以上においてはオルト/パラ比は3となる。しかし、極低温状態においては、基底状態 (''J'' = 0) は回転量子数が偶数で、核スピン異性体としてはパラになるので分布はパラに傾き、オルト/パラ比は減少する。 <!--検証可能な資料を探す 回転状態の緩和よりも核スピン異性体間の遷移は著しく遅いために、温度の変化に伴って回転状態が別の平衡状態に変化しても、核スピン異性体の比が変わらない場合がある。(つまり、同一の核スピン異性体の中で回転状態が緩和するが、異なる核スピン異性体間では緩和が起こらない)この時、回転状態分布からもとまる回転温度と核スピン異性体間の比で求まる温度が異なる。そういった状況では、現在、回転状態が表す温度よりも以前に平衡に達していた温度を核スピン異性体間の比は表している(保持している)と考えられる。 --> ==参考文献== * {{cite journal|last1=Hougen|first1=J. T.|last2=Oka|first2=T.|title= Nuclear Spin Conversion in Molecules|journal=[[サイエンス|Science]]|volume=310|issue=5756|year=2005|pages=1913–1914|doi=10.1126/science.1122110}} * {{cite journal|last1=Urey|first1=Harold C.|last2=Teal|first2=Gordon K.|title=The Hydrogen Isotope of Atomic Weight Two|journal=Reviews of Modern Physics|volume=7|issue=1|year=1935|pages=34–94|doi=10.1103/RevModPhys.7.34}} ==関連項目== *[[水素]] *[[プロトン化水素分子]] *[[化学反応における核スピン保存則]] {{DEFAULTSORT:かくすひんいせいたい}} [[Category:異性体]] [[Category:物理化学]] [[Category:量子力学]]
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