楕円曲線のソースを表示

{{要改訳}}
{{正確性|date=2015年3月}}
[[File:EllipticCurveCatalog.svg|right|thumb|392px|楕円曲線のカタログ、示されている領域は {{math|{{bracket|&minus;3, 3}}{{exp|2}}}} である。ただし(a, b) = (0, 0) におけるものは楕円曲線ではない。]]
[[数学]]における'''楕円曲線'''（だえんきょくせん、{{lang-en-short|elliptic curve}}）とは[[種数]] {{math|1}} の[[非特異多様体|非特異]]な[[射影多様体|射影]][[代数曲線]]、さらに一般的には、特定の基点 {{mvar|O}} を持つ種数 {{math|1}} の代数曲線を言う<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Chapter 3}}</ref>。

楕円曲線上の点に対し、先述の点 {{mvar|O}} を単位元とする（必ず[[アーベル群|可換]]な）[[群 (数学)|群]]をなすように、和を代数的に定義することができる。すなわち楕円曲線は[[アーベル多様体]]である。

楕円曲線は、代数幾何学的には、[[射影平面]] {{math|'''P'''{{exp|2}}}} の中の三次の[[代数曲線|平面代数曲線]]として見ることもできる<ref>このことは[[リーマン面]]として見ることもできるし、単位元に対応する {{mvar|O}} をもつ[[種数]] {{math|1}} の曲線ともみることができ、1次元の[[アーベル多様体]]と見ることもできる。</ref>。より正確には、射影平面上、楕円曲線は'''ヴァイエルシュトラス方程式'''あるいは'''ヴァイエルシュトラスの標準形'''
:<math>Y^2 Z+a_1 XYZ+a_3 YZ^2 = X^3+a_2 X^2 Z+a_4 XZ^2+a_6 Z^3</math>
により定義された[[曲線の特異点|非特異]]な平面代数曲線に[[双有理同値]]である（有理変換によってそのような曲線に変換される）。そしてこの形にあらわされているとき、{{mvar|O}} は実は[[射影平面]]の「[[無限遠点]]」である。

また、{{仮リンク|係数体|en|coefficient field}}の[[標数]]が {{math|2}} でも {{math|3}} でもないとき、楕円曲線は、[[アフィン平面]]上次の形の式により定義された[[曲線の特異点|非特異]]な平面代数曲線に双有理同値である。
:<math>y^2 = x^3 + ax + b\ .</math>
非特異であるとは、グラフが[[尖点]]を持ったり、自分自身と交叉したりはしないということである。この形の方程式も'''ヴァイエルシュトラス方程式'''あるいは'''ヴァイエルシュトラスの標準形'''という。係数体の標数が {{math|2}} や {{math|3}} のとき、上の式は全ての非特異{{仮リンク|平面三次曲線|label=三次曲線|en|cubic plane curve}}を表せるほど一般ではない（詳細な定義は[[#一般の体上の楕円曲線|以下]]を参照）。

{{mvar|P}}が重根を持たない三次多項式として、{{math|1=''y''{{exp|2}} = ''P''(''x'')}} とすると、種数 {{math|1}} の非特異平面曲線を得るので、これは楕円曲線である。{{mvar|P}}が次数 {{math|4}} で{{仮リンク|無平方多項式|label=無平方|en|Square-free polynomial}}とすると、これも種数 {{math|1}} の平面曲線となるが、しかし、単位元を自然に選び出すことができない。さらに一般的には、単位元として働く[[有理点]]を少なくとも一つ持つような種数 {{math|1}} の代数曲線を楕円曲線と呼ぶ。例えば、三次元射影空間へ埋め込まれた二つの[[二次曲面]]の交叉は楕円曲線である。

[[楕円関数]]論を使い、[[複素数]]上で定義された楕円曲線は[[トーラス]]の{{仮リンク|複素射影平面|en|complex projective plane}}への埋め込みに対応することを示すことができる。トーラスもアーベル群で、実はこの対応は[[群同型]]かつ位相的に[[同相]]にもなっている。したがって、位相的には複素楕円曲線は[[トーラス]]である。

楕円曲線は、[[数論]]で特に重要で、現在研究されている主要な分野の一つである。例えば、[[アンドリュー・ワイルズ]]により（[[リチャード・テイラー (数学者)|リチャード・テイラー]]の支援を得て）[[ワイルズによるフェルマーの最終定理の証明|証明]]された[[フェルマーの最終定理]]で重要な役割を持っている（[[#モジュラー性定理とフェルマーの最終定理への応用|モジュラー性定理とフェルマーの最終定理への応用]]を参照）。また、楕円曲線は、[[楕円暗号]](ECC) や[[素因数分解]]への応用が見つかっている。

楕円曲線は、[[楕円]]では'''ない'''ことに注意すべきである。「楕円」ということばの由来については[[楕円積分]]、[[楕円関数]]を参照。

このように、楕円曲線は次のように見なすことができる。
# 一次元の[[アーベル多様体]]
# 三次の[[代数曲線|平面代数曲線]]で、[[有理点]]を持つもの
# 複素数を加法群とみて、二重周期を持つ格子で割った商空間（複素数体上のみ、[[#複素数上の楕円曲線|複素数上の楕円曲線]]）

==実数体上の楕円曲線==
[[Image:ECClines-3.svg|frame|right|曲線 {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''x''{{exp|3}} &minus; ''x''}} と {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''x''{{exp|3}} &minus; ''x'' + 1}} のグラフ]]
楕円曲線の形式的な定義には、かなり技術的で[[代数幾何学]]の背景を必要としているが、高校レベルの[[代数学|代数]]と[[幾何学|幾何]]を使って、楕円曲線の様子をいくらか記述することが可能である。

すなわち、実平面上、楕円曲線は次の方程式により定義される[[平面曲線]]としてあらわされる。
:<math>y^2 = x^3 + ax + b</math>
ここに {{mvar|a}} と {{mvar|b}} は実数である。

楕円曲線の定義は、曲線が[[非特異]]であることも要求される。幾何学的には、このことは曲線のグラフが[[尖点]]を持たず、自己交叉せず、孤立点ももたないことを意味する。代数的には、非特異とは[[判別式]]
: <math>\Delta = -16(4a^3 + 27b^2)</math>
と関係している。曲線が非特異であることと、判別式が {{math|0}} でないこととは同値である。（係数 {{math|&minus;16}} は、非特異であることと無関係に見えるが、楕円曲線の高度な研究ではこのようにしたほうが便利である。）

非特異楕円曲線の（実数の）グラフは、判別式が正であれば、'''二つ'''の曲線の成分を持ち、負であれば、'''一つ'''の曲線の成分しか持たない。例えば、右の図で示されているグラフでは、図中の左は判別式が {{math|64}} であり、図中の右は 判別式が {{math|&minus;368}} である。

== 群構造 ==
[[射影平面]]で考えると、すべての滑らかな三次曲線上の群構造を定義することができる。射影平面上、楕円曲線がヴァイエルシュトラスの標準形
:<math>Y^2 Z+a_1 XYZ+a_3 YZ^2 = X^3+a_2 X^2 Z+a_4 XZ^2+a_6 Z^3</math>
によりあらわされるとき、そのような三次曲線は{{仮リンク|斉次座標|en|Homogeneous coordinates}} {{math|{{bracket|0 : 1 : 0}}}} である無限遠点 {{mvar|O}} を持ち、群の単位元となる。

曲線は {{mvar|x}}-軸で対称であるので、任意の点 {{mvar|P}}が与えられると、{{math|&minus;''P''}} はその反対側の点として取ることができる。{{math|&minus;''O''}} は {{mvar|O}} とする。

{{mvar|P}} と {{mvar|Q}} が曲線上の二点であれば、一意に第三の点 {{math|''P'' + ''Q''}} を次の方法で定義することができる。まず、{{mvar|P}} と {{mvar|Q}} を通る直線を引く。この直線は一般に第三の点 {{mvar|R}} で曲線と交わる。{{math|''P'' + ''Q''}} を {{mvar|R}} の反対の点である {{math|&minus;''R}} とする。

この加法の定義は、ほとんどの場合はうまく働くが、いくつかの例外がある。一つ目の例外は、加算する点の片方が {{mvar|O}} であるときである。このとき、{{math|1=''P'' + ''O'' = ''P'' = ''O'' + ''P''}} と定義し、{{mvar|O}} は群の単位元となる。第二の例外は、{{mvar|P}} と {{mvar|Q}} が互いに反対側の点である場合である。この場合は、{{math|1=''P'' + ''Q'' = ''O''}} と定義する。最後の例外は、{{math|1=''P'' = ''Q''}} の場合であり、このとき一点しかないため、これを通る直線を一意に定義できない。そこで、この点での曲線の接線を使う。ほとんどの場合、接線は第二の点 {{mvar|R}} で曲線と交叉するため、反対の点をとることができる。しかしながら、{{mvar|P}} がたまたま[[変曲点]]（そこで曲線の凹み方が変わるような点）であるようなときは、接線は {{mvar|P}} でしか曲線と交叉しない。そこで、{{mvar|R}} を {{mvar|P}} 自身として、{{math|''P'' + ''P''}} を単純に点の反対の点とする。

ヴァイエルシュトラス標準形ではない三次曲線に対しては、九つある変曲点のうちの一つを単位元 {{mvar|O}} とすることで群構造を定義することができる。射影平面内では、多重度を考慮にいれると、三次曲線と任意の直線は三つの点で交叉する。点 {{mvar|P}} に対し、{{math|&minus;''P''}} は {{mvar|O}} と {{mvar|P}} を通る第三の点として一意に定義される。そして、任意の {{mvar|P}} と {{mvar|Q}} に対する {{math|''P'' + ''Q''}} は、{{mvar|R}} を {{mvar|P}} と {{mvar|Q}} を含む直線上の第三の点としたとき、{{math|1=''P'' + ''Q'' = &minus;''R''}} として定義される。

{{mvar|K}} をその上で曲線が定義される体とし（つまり、曲線を定義する式の係数 {{mvar|K}} の中にある）、曲線を {{mvar|E}} で表すと、{{mvar|E}} 上の点であり、かつx座標とy座標の値が共に {{mvar|K}} 上にある点（無限遠点を含む）を、{{mvar|E}} の {{mvar|K}}-[[有理点]]とよぶ。{{mvar|K}}-有理点の集合は、{{math|''E''(''K'')}} で表す。これも群を形成する。なぜならば、多項式の性質から、{{mvar|P}} が {{math|''E''(''K'')}} の点であれば {{math|&minus;''P''}} も {{math|''E''(''K'')}} の点であり、{{mvar|P}} と {{mvar|Q}} の 2点が {{math|''E''(''K'')}} の点であれば、第三の点も {{math|''E''(''K'')}} の点になるからである。加えて、{{mvar|K}} が {{mvar|L}} の部分体であれば、{{math|''E''(''K'')}} は {{math|''E''(''L'')}} の[[部分群]]である。

上記の群は、幾何学的に記述されると同様に代数的にも記述できる。体 {{mvar|K}} （体の[[標数]]は {{math|2}} でも {{math|3}} でもないとする）上の曲線 {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''x''{{exp|3}} + ''ax'' + ''b''}} が与えられるとし、曲線上の点を {{math|1=''P'' = (''x{{msub|P}}'', ''y{{msub|P}}'')}} と {{math|1=''Q'' = (''x{{msub|Q}}'', ''y{{msub|Q}}'')}} として、まず、{{math|''x{{msub|P}}'' ≠ ''x{{msub|Q}}''}} とする（下図の一つ目のグラフ）。{{mvar|s}} を {{mvar|P}} と {{mvar|Q}} を含む直線の傾き、つまり、

:<math>s = \frac{y_P - y_Q}{x_P - x_Q}</math>

とする。{{mvar|K}} は体であるので、{{mvar|s}} はうまく定義できる。すると、{{math|1=''R''  = (''x{{msub|R}}'', ''y{{msub|R}}'') = &minus;(''P'' + ''Q'')}} を

:<math>\begin{align}
  x_R &= s^2 - x_P - x_Q \\
  y_R &= y_P + s(x_R - x_P)
\end{align}</math>

により定義することができる。

{{math|1=''x{{msub|P}}'' = ''x{{msub|Q}}''}} の場合は（下の三つ目と四つ目のグラフ）、二つの選択肢がある。{{math|1=''y{{msub|P}}'' = &minus;''y{{msub|Q}}''}} のとき（{{math|1=''y{{msub|P}}'' = ''y{{msub|Q}}'' = ''0''}} を含む）、和は {{mvar|O}} と定義される。つまり、曲線上の各点の逆元は、{{mvar|x}}-軸に対して線対称の位置にある。{{math|1=''y{{msub|P}}'' = ''y{{msub|Q}}'' ≠ ''0''}} のときは（下の二つ目のグラフ）、{{math|1=''R''  = (''x{{msub|R}}'', ''y{{msub|R}}'') = &minus;(''P'' + ''P'') = &minus;2''P''}} は、

:<math>\begin{align}
    s &= \frac{3{x_P}^2 + a}{2y_P}\\
  x_R &= s^2 - 2x_P\\
  y_R &= y_P + s(x_R - x_P)
\end{align}</math>

により与えられる。

[[File:ECClines.svg|center|]]

===結合律===
[[File:EllipticGroup.gif|right|EllipticGroup]]
結合律を除く全ての群法則は、直ちに群作用の幾何学的定義から導くことができる。このアニメーションは幾何学的な結合法則を示している。

六本のどの直線についても、直線上の三点の和が {{math|0}} であることに注意。九個の点全ての位置は、{{math|0}} と {{mvar|a, b, c}} の位置と楕円曲線によって決定される。九点のうちの中心の点は、{{mvar|a}} と {{math|''b'' + ''c''}} を通る直線上と、{{math|''a'' + ''b''}} と {{mvar|c}} を通る直線上にある。加法の結合律は、格子の中心点を楕円曲線が通るという事実と同値である。この事実より、{{math|1= &minus;(''a'' +(''b'' + ''c'')) = &minus;((''a'' + ''b'')+ ''c'')}} が導かれる。

楕円曲線と点 {{math|0}} はこのアニメーションの中では不動であることに対し、一方、{{mvar|a, b, c}} は互いに独立して動く。

==複素数体上の楕円曲線==
[[Image:Lattice torsion points.svg|right|thumb|300px|複素数上の楕円曲線は、複素数平面を格子 {{math|Λ}} で割ることで得られる。この格子 {{math|Λ}} は、二つの基本周期 {{math|''ω''{{msub|1}}}} と {{math|''ω''{{msub|2}}}} によって張られる。4-トーションは、格子 {{math|Λ}} を含む格子 1/4{{math|Λ}} に対応している。]]
楕円曲線の{{仮リンク|複素射影平面|en|complex projective plane}}の中の[[トーラス]]の埋め込みとしての定式化は、[[ヴァイエルシュトラスの楕円関数]]の不思議な性質から自然に導かれる。これらの関数と関数の一階微分は、公式
:<math>\wp'(z)^2 = 4\wp(z)^3 -g_2\wp(z) - g_3</math>
により関係付けられている。

ここに、{{math|''g''{{msub|2}}}} と {{math|''g''{{msub|3}}}} は定数であり、{{math|''&weierp;''(''z'')}} は{{math|Λ}}を周期とするヴァイエルシュトラスの楕円関数で、{{math|''&weierp;{{'}}''(''z'')}} はその微分である。（[[複素数]]上の）楕円関数の形の中でこの公式は明らかであろう。ヴァイエルシュトラスの楕円関数は二重周期関数である。つまり、{{仮リンク|周期の基本対|en|fundamental pair of periods}}の観点から周期的であり、本質的には、ヴァイエルシュトラス関数は、自然に、トーラス {{math|1=''T'' = '''C'''/Λ}} の上で定義される。このトーラスは、写像
:<math>z \mapsto [1 :\wp(z) : \wp'(z)]</math>
により、複素射影平面の中に埋め込まれる。

この写像は[[群同型]]であり、トーラスの自然な群構造を射影平面へ写す。この写像は、[[リーマン面]]にも同型であり、従って、位相的には、楕円曲線が与えられるとトーラスのように見える。格子 {{math|Λ}} が、非零な複素数 {{mvar|c}} による掛け算により、格子 {{math|''c''Λ}} へ写されると、対応する曲線は同型となる。楕円曲線の同型類は[[j-不変量]]により特定される。

同型類は同じ方法で理解することができる。定数 {{math|''g''{{msub|2}}}} と {{math|''g''{{msub|3}}}} は、[[j-不変量]]と呼ばれ、トーラスの構造である格子により一意に決定される。しかしながら、複素数の全体は、実係数多項式の[[分解体]]を成し、楕円曲線は
:<math>y^2 = x(x - 1)(x - \lambda)</math>
と書くことができる。

以上のことから、
:<math>g_2 = \frac{4^{1/3}}{3} (\lambda^2 - \lambda + 1)</math>
であり、
:<math>g_3 = \frac{1}{27} (\lambda + 1)(2\lambda^2 - 5\lambda + 2)</math>
であることが分かり、この[[ヴァイエルシュトラスの楕円関数#モジュラー判別式|モジュラー判別式]]は
:<math>\Delta = g_2^3 - 27g_3^2 = \lambda^2(\lambda - 1)^2</math>
である。

ここに {{mvar|λ}} は{{仮リンク|モジュラーラムダ関数|en|modular lambda function}}と呼ばれることもある。

注意すべきは、[[一意化定理]]は、種数 {{math|1}} の全ての[[コンパクト空間|コンパクト]]なリーマン面は、トーラスとして実現することができることを意味していることである。

このことは、楕円曲線上の[[捩れ部分群|捩れ点]]を容易に理解することができる。格子 {{math|Λ}} が基本周期 {{math|''ω''{{msub|1}}, ''ω''{{msub|2}}}} ではられると、{{mvar|n}}-ねじれ点は、{{math|0}} から {{math|''n'' &minus; 1}} までの整数 {{mvar|a}} と {{mvar|b}} に対し、次の形の（同型類の）点である。
:<math> \frac{a}{n} \omega_1 + \frac{b}{n} \omega_2.</math>

複素数上に、どの楕円曲線も九個の[[変曲点]]を持っている。これらの点のうちの二つを通るどの直線も、三つ目の変曲点を通る。九つの点と12の直線はこのようにして{{仮リンク|ヘッセ配置|en|Hesse configuration}}を成す。

== 代数体上の楕円曲線 ==
有理数体 {{math|'''Q'''}} 上、あるいは一般に代数体 {{mvar|K}} 上定義された曲線 {{math|''E''/''K''}} についても接線と割線の方法 (the tangent and secant method) による加法は適用できる。群構造を定義したときにも述べたように、明示公式から、2つの {{mvar|K}}-有理点 {{mvar|P, Q}} の和は、{{mvar|P}} と {{mvar|Q}} を結ぶ直線は {{mvar|K}} 上に係数を持つゆえ、再び {{mvar|K}} 上に座標を持つ。このようにして、{{mvar|E}} の {{mvar|K}}-有理点全体のなす集合は {{mvar|E}} の複素数点（{{mvar|K}} が実代数体の場合は実数点）全体のなす群の部分群を成す。この意味において、楕円曲線はアーベル群、すなわち {{math|1=''P'' + ''Q'' = ''Q'' + ''P''}} となっている。

===高さ===
代数体 {{mvar|K}} 上の楕円曲線上の点に対し、高さが定まる。一般に、次数 {{mvar|d}} の代数体 {{mvar|K}} 上の射影空間 <math>\mathbb{P}^n(K)</math> 上の点 <math>P=[x_0: x_1: \ldots :x_n]\in E(K)</math> の'''絶対的高さ''' (absolute height)を
:<math>H(P)=(\prod_{v} \max_i \{\lVert x_i \rVert_v\} )^{1/d}</math>
により定める（{{mvar|P}} を含む {{mvar|K}} の取り方は一意ではないが、{{mvar|K}} の取り方によらずに定まる）。ここで <math>\lVert \cdot\rVert _v</math> は {{mvar|K}} 上の[[絶対値#体の賦値|正規化された絶対値]]をあらわす。また
:<math>h(P)=\log H(P)</math>
を'''対数的高さ''' (logarithmic height) と呼ぶ。

{{mvar|f}} を代数体 {{mvar|K}} 上の楕円曲線 {{mvar|E}} 上定義された有理関数とする。<math>h_f(P)=h([f(P):1])</math> （ただし {{mvar|P}} が特異点のときは、<math>h_f(P)=h([1:0])</math> とする）を {{mvar|f}} に対する高さと呼ぶ。 {{mvar|P}} が非特異点ならば、これは代数的数 <math>f(P)\in K</math> の対数的高さと一致する。特に {{mvar|P}} の{{mvar|x}}-座標が有理数 {{math|1=''x = {{frac|p|q}}''}} （{{mvar|p}} と {{mvar|q}} は[[互いに素 (整数論)|互いに素]]）で {{mvar|x}} が {{mvar|P}} の {{mvar|x}}-座標を与える関数であるとき、<math>h_x(P)=\log \max(|p|, |q|)</math> となる。
任意の定数 {{mvar|C}} に対し、高さ <math>h_f(P)\leq C</math> となる点 <math>P\in E(K)</math> は有限個である<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Proposition 6.1}}</ref>。

{{mvar|f}} が偶関数であるとき、つまり <math>f(P)=f(-P)</math> が任意の点 <math>P\in E(K)</math> について成り立つとき、つぎの3つの不等式が成り立つ<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Theorem 6.2, Corollary 6.4}}</ref>。
任意の <math>P, Q\in E(\bar K)</math> に対し
:<math>h_f(P+Q)+h_f(P-Q)=2h_f(P)+2h_f(Q)+O(1)</math>
が成り立つ。ここで右辺の <math>O(1)</math> は {{mvar|E}} と {{mvar|f}} のみに依存し、 {{mvar|P}} や {{mvar|Q}} には依存しない。
<math>Q\in E(\bar K)</math> を決めれば、定数 <math>C_Q</math> が定まり、
:<math>h_f(P+Q)\leq 2h_f(P)+C_Q</math>
が任意の <math>P\in E(\bar K)</math> に対して成り立つ。さらに整数 {{mvar|m}} を定めれば、任意の <math>P\in E(\bar K)</math> に対して
:<math>h_f(mP)=m^2 h_f(P)+O(1)</math>
が成り立つ。ここで右辺の <math>O(1)</math> は <math>E, f, m</math> のみに依存し、 {{mvar|P}} には依存しない。つまり {{math|''h''(''mP'')}} はおよそ {{mvar|m}} の二乗に比例して増加する。
{{mvar|E}} が
:<math>y^2 = x^3 + ax + b</math>
の形であらわされているときは {{mvar|P}} の {{mvar|x}}-座標を与える関数 {{mvar|x}} は偶関数である。

さらに、偶関数 {{mvar|f}} に対し
:<math>\hat h(P)=\frac{1}{\deg f}\lim_{n\rightarrow \infty} \frac{h_f(2^n P)}{4^n}</math>
で与えられる極限は {{mvar|f}} に依存せず定まる<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Proposition 9.1}}</ref>。この極限を[[標準的高さ]] (Canonical height) もしくは '''ネロン・テイトの高さ'''（{{lang-en-short|Néron–Tate height}} という。標準的高さについて、
:<math>\hat h(P+Q)+\hat h(P-Q)=2\hat h(P)+2\hat h(Q),</math>
:<math>\hat h(mP)=m^2 \hat h(P)</math>
が成り立ち、さらに
:<math>\langle P, Q \rangle=\hat h(P+Q)-\hat h(P)-\hat h(Q)</math>
は<math> E(\bar K)</math> 上双線型的である。また任意の {{mvar|f}} に対し、
:<math>(\deg f)\hat h(P)=h_f(P)+O(1)</math>
が成り立つ。ここで右辺の <math>O(1)</math> は {{mvar|f}} のみに依存し、 {{mvar|P}} には依存しない<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Theorem 9.3}}</ref>。

===有理点の構造===
最も重要な結果は、全ての点が、'''有限個'''の点から出発する接線と割線の方法(the method of tangents and secants)により生成できるということである。より詳しくは、<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Theorem 4.1}}</ref> [[モーデルの定理|モーデル・ヴェイユの定理]]が、群 {{math|''E''('''Q''')}} が[[アーベル群#有限アーベル群|有限生成アーベル群]]であることを示している。一般に、有理数体以外の[[代数体]] {{mvar|K}} に対しても群 {{math|''E''(''K'')}} は有限生成アーベル群である。 従って、[[有限生成アーベル群の基本定理]]により、これは {{math|'''Z'''}} のコピーと有限巡回群の有限の直和である。

定理の証明<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=pp. 199–205}}</ref>は、2つの部分からなっていて、一つ目は、任意の整数 {{math|''m'' > 1}} に対し、商群 {{math|''E''('''Q''')/''mE''('''Q''')}} は有限であること（弱いモーデル・ヴェイユの定理）、二つ目は、有理点 {{math|''E''('''Q''')}} の上の[[高さ関数]] {{mvar|h}} が上記のように定義されているとき、任意の定数より小さな高さを持つ点は {{mvar|E}} 上に有限個しか存在せず、また {{math|''h''(''mP'')}} はおよそ {{mvar|m}} の二乗に比例して増加するという性質である。

定理の証明は[[無限降下法]]の変形の一種で<ref>See also J. W. S. Cassels, [[Mordell]]'s Finite Basis Theorem Revisited, ''Mathematical Proceedings of the Cambridge Philosophical Society'' 100, 3–41 and the comment of A. Weil on the genesis of his work: A. Weil, ''Collected Papers'', vol. 1, 520–521.</ref>、{{mvar|E}} への[[ユークリッドの互除法]]の繰り返しの適用となっている。{{math|''P'' ∈ ''E''('''Q''')}} を曲線の有理点とし、{{mvar|P}} を {{math|2''P''{{msub|1}} + ''Q''{{msub|1}}}} と書くことにする。ここに {{math|''Q''{{msub|1}}}} は {{math|''E''('''Q''')/2''E''('''Q''')}} の {{mvar|P}} の固定された代表元である。すると {{math|''P''{{msub|1}}}} の高さは、{{mvar|P}} の高さのおよそ {{math|{{frac|1|4}}}} となる（より一般的には、任意の {{math|''m'' > 1}} である {{mvar|m}} を {{math|2}} の替わりとすると、{{math|{{frac|1|4}}}} の替りに {{math|{{frac|1|''m''{{exp|2}}}}}} となる）。同じように {{math|''P''{{msub|1}}}} を {{math|1=''P''{{msub|1}} = 2''P''{{msub|2}} + ''Q''{{msub|2}}}} と書き、{{math|''P''{{msub|2}}}} を {{math|1=''P''{{msub|2}} = 2''P''{{msub|3}} + ''Q''{{msub|3}}}} と書き、と繰り返していくと、最終的には {{mvar|P}} は、点 {{math|''Q''{{msub|i}}}} と、高さが事前に選択したある定数より小さいような点の、整数係数の線型結合となる。弱い形のモーデル・ヴェイユの定理と高さ関数の第二の性質により、{{mvar|P}} はある決められた有限個の点の整数係数の線型結合として表される。

これまでに、{{math|''E''('''Q''')/''mE''('''Q''')}} の代表元を決定する一般的なプロセスが知られていないので、この定理は[[数論の有効な結果|有効]]である（計算可能である）とは言えない。

{{math|''E''(''K'')}} の中の {{math|'''Z'''}} のコピーの数、同じことであるが無限位数の独立な点の個数を、{{math|''E''(''K'')}}  の'''階数'''あるいは{{仮リンク|アーベル多様体のランク|label=ランク|en|Rank of an abelian group}}と呼ぶ。また、{{math|''E''(K)}} の中の有限巡回群の有限個の直和となっている部分は{{math|''E''(''K'')}}の有限位数の点全体からなる部分群に対応する。そこでこの部分を[[ねじれ部分群]]といい、{{math|''E''(''K'')}}の有限位数の点を'''ねじれ点'''ともいう。したがって {{math|''E''(''K'')}} のランクを {{mvar|r}} とおくと、{{math|''E''(''K'')}} 上の点 <math>P_1, P_2, \cdots, P_r</math> をうまくとれば {{math|''E''(''K'')}} 上の任意の点 {{mvar|P}} は
:<math>P=m_1P_1+m_2P_2+\cdots +m_rP_r+T</math>
とあらわすことができる。ここで{{mvar|T}}はねじれ点である。このとき、標準的高さは
:<math>\hat h(m_1P_1+m_2P_2+\cdots +m_rP_r+T)=\sum_{i=1}^r m_i^2 \hat h(P_i)+\sum_{1\leq i<j\leq r} m_i m_j \langle P_i, P_j\rangle</math>
と二次形式であらわされ、かつこれは正定値である<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Theorem 9.3, Proposition 9.6}}</ref>。

具体的には小さなランクの楕円曲線しか知られていないにもかかわらず、任意に大きなランクの楕円曲線が存在するとも予想されている。有理数体 '''Q''' 上で考えた場合、正確なランクが判明している楕円曲線のうち、最大のランクを持つ楕円曲線は、2009年に{{仮リンク|ノーム・エルキース|en|Noam Elkies}}により発見された
:{{math|1=''y''{{exp|2}} + xy + ''y'' = ''x''{{exp|3}} &minus; ''x''{{exp|2}} + {{gaps|31|368|015|812|338|065|133|318|565|292|206|590|792|820|353|345}}x + {{gaps|302|038|802|698|566|087|335|643|188|429|543|498|624|522|041|683|874|493|555|186|062|568|159|847}}}}
であり、そのランクは {{math|19}} である<ref>{{cite web|url=http://web.math.pmf.unizg.hr/~duje/tors/rankhist.html|title=History of elliptic curves rank records|last=Dujella|first=Andrej|accessdate=13 May 2014}}</ref>。正確なランクが判明していなくてもよければ、最低でも {{math|28}} のランクを持つ楕円曲線が、同じくエルキースによって発見されている。
ランクの決定に関しては、楕円曲線上のゼータ関数によって記述できるという[[バーチ・スウィンナートン＝ダイアー予想]]が存在する。

{{math|''E''('''Q''')}} の[[ねじれ部分群]]を構成する群について次のことが知られている<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Theorem 7.5}}</ref>。 {{math|''E''('''Q''')}} のねじれ部分群は次の15個の群: {{math|1=''N'' = 1, 2, …, 10, 12}} に対する {{math|'''Z'''/''N'''''Z'''}}　あるいは、{{math|1=''N'' = 1, 2, 3, 4}} に対する {{math|'''Z'''/2'''Z''' × '''Z'''/2''N'''''Z'''}} のうちの一つである（{{仮リンク|メーザーのねじれ定理|en|Mazur's torsion theorem}}を参照）。また {{math|1=''f''(''x'') = ''x''{{exp|3}} + ''ax''{{exp|2}} + ''bx'' + ''c''}} を整数係数の三次式とすると、楕円曲線 {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''f''(''x'')}} 上の点 {{math|1=''P'' = (''x'', ''y'')}} が {{mvar|G}} に属するならば、{{mvar|P}} は整数点であり、{{math|''y''{{exp|2}}}} は {{math|1=''y'' = 0}} でない限り、{{mvar|f}} の判別式を割り切る<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1995|nb=yes|loc=Chapter 2}}</ref>（{{仮リンク|ナゲル・ルッツの定理|en|Nagell–Lutz theorem}}を参照）。
全ての場合の例が知られている。さらに、{{math|'''Q'''}} 上で定義されモーデル・ヴェイユ群が同じねじれ群を持つ楕円曲線は、パラメトライズされた族となる。<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Remark 7.8 in Ch. VIII}}</ref>

一般の代数体上の楕円曲線のねじれ部分群について、次のようなことが知られている。{{仮リンク|ロイック・メレル|en|Loic Merel}}(Loic Merel)による定理は、与えられた整数 {{mvar|d}} に対し、同型を除いて、{{仮リンク|体の拡大次数|en|degree of a field extension|label=次数}} {{mvar|d}} の数体 {{mvar|K}} 上に定義された代数曲線の {{math|''E''(''K'')}} のねじれ群として作ることが可能な群は、有限個しかない。さらに詳しくは、<ref>{{cite journal |first=L. |last=Merel | authorlink=Loic Merel | title=Bornes pour la torsion des courbes elliptiques sur les corps de nombres | language=French | journal=[[Inventiones Mathematicae]] |volume=124 |year=1996 |issue=1–3 |pages=437–449 | zbl=0936.11037 | doi=10.1007/s002220050059 }}</ref>次数 {{mvar|d}} の数体 {{mvar|K}} 上の任意の楕円曲線 {{mvar|E}} に対し、任意の {{math|''E''(''K'')}} の捩れ点は {{mvar|d}} のみに依存して定まる定数 <math>B(d)</math> よりも小さな[[群 (数学)#位数|位数]]を持つ。この定理は、d > 1 に対して、捩れ点が素数である位数 {{mvar|p}} の場合は、
:<math>p < d^{3d^2}</math>
となることを言っている。

=== BSD予想===
{{Main|バーチ・スウィンナートン＝ダイアー予想}}
'''BSD予想'''は、[[クレイ研究所]]の[[ミレニアム懸賞問題]]の一つである。予想は、問題を楕円曲線により定義される解析的で数論的な対象に依拠して記述している。

解析側での重要な側面は、複素変数関数である {{mvar|K}} 上の {{mvar|E}} の[[ハッセ・ヴェイユのゼータ関数]] <math>L_{E/K}</math> である。この関数は[[リーマンゼータ関数]]や[[ディリクレのL-関数]]の変形である。有理数体上の楕円曲線の場合、{{mvar|L}} は全ての[[素数]] {{mvar|p}} について一つの要素を持つ[[オイラー積]]として定義される。

整数係数 {{mvar|a{{msub|i}}}} で、
:<math>y^2 + a_1xy + a_3y = x^3 + a_2x^2 + a_4x + a_6</math>
の最小多項式与えられる {{math|'''Q'''}} 上の曲線 {{mvar|E}} に対する法 {{mvar|p}} での還元は、[[有限体]] {{math|'''F'''{{msub|p}}}} 上の楕円曲線を定義する（有限個の例外を除く素数 {{mvar|p}} で還元された曲線は[[特異点 (数学)|特異点]]を持ち、従って楕円曲線にならない。そのような場合を {{mvar|p}} では {{mvar|E}} は{{仮リンク|悪い還元|en|bad reduction}}(bad reduction)であるという。）

有限体 {{math|'''F'''{{msub|p}}}} 上の楕円曲線のゼータ関数は、ある意味で、有限な[[体の拡大]] {{math|'''F'''{{msub|p}}}} の中の {{mvar|E}} の点の数の情報を集める[[母関数]] {{math|'''F'''{{msub|p{{exp|n}}}}}} である。この母関数は、
:<math>Z(E(\mathbf{F}_p)) = \exp \left(\sum \operatorname{card} \left[E({\mathbf F}_{p^n})\right]\frac{T^n}{n}\right)</math>
で与えられる。<ref>定義は形式的で、定数項を持たないこの[[べき級数]]の指数は通常の指数である。</ref>

冪の右肩に乗っている指数の和は、[[対数]]の展開に似ていて、実際、そのように定義されるゼータ関数は[[有理関数]]
:<math>Z(E(\mathbf{F}_p)) = \frac{1 - a_pT + pT^2}{(1 - T)(1 - pT)}</math>
である。

よって、{{math|'''Q'''}} 上の {{mvar|E}} のハッセ・ヴェイユのゼータ関数は、全ての素数 {{mvar|p}} についてのこれらの情報を互いに集めることにより定義される。すなわち、
:<math>L(E(\mathbf{Q}), s) = \prod_p \left(1 - a_p p^{-s} + \varepsilon(p)p^{1 - 2s}\right)^{-1}</math>
と定義される。ここに、{{mvar|E}} が {{mvar|p}} で良い還元を持つ場合は、{{math|1=''ε''(''p'') = 1}} であり、そうでない場合は {{math|0}} である(良い還元を持たない場合は、{{mvar|a{{msub|p}}}} が上記とは異なる定義となる）。

この積は {{math|Re(''s'') > 3/2}} でのみ[[絶対収束]]する。ハッセの予想はこの {{mvar|L}}-関数は全複素平面へ[[解析接続]]され、任意の {{mvar|s}} に対して、{{math|''L''(''E'', ''s'')}} を {{math|''L''(''E'', 2 &minus; ''s'')}} へ関連付ける[[関数等式]]を満たすのではないかと言う予想であった。1999年、この予想は、[[谷山志村予想]]の証明の結果であることがしめされた。谷山志村予想は、{{math|'''Q'''}} 上の全ての楕円曲線は[[谷山志村予想#モジュラーな楕円曲線|モジュラー]]であるいう予想であり、このことは、楕円曲線の L-関数は解析接続が知られている[[モジュラー形式]]のL-関数であることを意味する。

このことにより、任意の複素数 {{mvar|s}} での {{math|''L''(''E'', ''s'')}} の値についていうことができる。BSD予想は {{math|1=''s'' = 1}} での曲線の {{mvar|L}}-関数の振る舞いへ曲線の数論を関連付ける。さらに詳しくは、{{math|1=''s'' = 1}} での {{mvar|L}}-関数の位数は、{{mvar|E}} のランクに等しく、楕円曲線に関連するいくつかの量を表すこの点での {{math|''L''(''E'', ''s'')}} ローラン級数の[[主要項]]であることを予想している。

[[リーマン予想]]と良く似ていて、この予想は次の 2つを含む多くの結果を持っている。
* n を奇数の[[平方数|非平方]]である整数とする。BSD予想が成立することを前提とすると、n が有理数の辺の長さを持つ直角三角形の面積となる（[[合同数]]である）ことは、<math>2x^2 + y^2 + 8z^2 = n</math> を満たす整数 (x, y, z) の三つ組の数が、<math>2x^2 + y^2 + 32z^2 = n</math> を満たす三つ組の数の 2倍であることと同値である。このステートメントは、[[合同数#タネルの定理|タネルの定理]]により n が合同数であることと、楕円曲線 <math>y^2 = x^3 - n^2x</math> が無限オーダーの有理点を持っていることに関連付ける（BSD予想を前提とすると、L-関数は 1 で零点を持つ）。ここで言っていることの主眼は、条件が簡単に評価されることである。<ref>{{Harvard citations|author=Koblitz|year=1993|nb=yes}}</ref>
*別な方向としては、ある解析的方法はL-関数の族の[[リーマン予想|臨界帯]]の中心での 0 のオーダーを見積もることを可能とする。BSD予想を仮定すると、これらの見積もりは、問題の楕円曲線の族のランクについての情報に対応する。例えば、<ref>D. R. Heath-Brown, The average analytic rank of elliptic curves, ''Duke Mathematical Journal'' 122–3, 591–623 (2004).</ref> は、[[一般化されたリーマン予想]]とBSD予想を想定して、<math>y^2=x^3+ax+b</math> で与えられる楕円曲線の平均ランクは 2 よりも小さいことが示された。

===モジュラー性定理とフェルマーの最終定理への応用===
{{Main|谷山–志村予想}}
モジュラー性定理は、以前は谷山志村予想としても知られていたが、'''Q''' の上の全ての楕円曲線 {{mvar|E}} は[[谷山志村予想#モジュラーな楕円曲線|モジュラー]]であるということであり、言い換えると、楕円曲線のハッセ・ヴェイユのゼータ関数はウェイト 2 でレベル 1 の[[モジュラー形式]]のL-関数であるということを言っている。ここに N はアーベル多様体 {{mvar|E}} の{{仮リンク|アーベル多様体の導手|label=導手|en|Conductor of an abelian variety}}である。（導手とは、{{mvar|E}} の判別式  Δ(E) として同じ素数により割ることのできる整数を言う。）言い換えると、Re(''s'') > 3/2 に対し、L-関数を
:<math>L(E(\mathbf{Q}), s) = \sum_{n>0}a(n)n^{-s}</math>
の形に書くと、
:<math>\sum a(n) q^n, \qquad q = \exp(2 \pi i z)</math>
はウェイト 2 でレベル N の双曲モジュラー形式の{{仮リンク|新形式|en|newform}}(newform)を定義する。N を割らない素数 ℓ に対して、モジュラー形式の係数 a(ℓ) は ℓ に等しい、つまり法 ℓ での最小多項式の解の個数に等しい。

<ref>計算は、例えば D. Zagier, ≪ Modular points, modular curves, modular surfaces and modular forms ≫, ''Lecture Notes in Mathematics'' 1111, Springer, 1985, 225–248 を参照</ref> 判別式（と導手）が 37 である楕円関数 <math>y^2 - ''y'' = x^3 -x</math> の例は、モジュラー形式
:<math>f(z) = q - 2q^2 - 3q^3 + 2q^4 - 2q^5 + 6q^6 + \cdots, \qquad q = \exp(2 \pi i z)</math>
に関係付けられている。

ℓ を 37 とは異なる素数とすると、係数の性質を比較することができる。従って、ℓ = 3 とすると法 3 の方程式の解は (0, 0), (0, 1), (2, 0), (1, 0), (1, 1), (2, 1) であり、a(3) = 3 &minus; 6 = &minus;3 である。

この予想は1950年代に主張され、1999年に[[アンドリュー・ワイルズ]]のアイデアを用いて完全に証明された。彼は1994年に大きな楕円曲線の族についてこの予想を証明した。<ref>A synthetic presentation (in French) of the main ideas can be found in [http://archive.numdam.org/ARCHIVE/SB/SB_1994-1995__37_/SB_1994-1995__37__319_0/SB_1994-1995__37__319_0.pdf this] [[Bourbaki]] article of [[Jean-Pierre Serre]]. For more details see {{Harvard citations |last=Hellegouarch |year=2001 |nb=yes}}</ref>

予想には様々な定式がある。これらが同値であることを示すことは難しく、20世紀の後半の数論の主要なテーマであった。導手 N の楕円曲線 {{mvar|E}} のモジュラーリティは、モジュラー曲線 X{{msub|0}}(N) から {{mvar|E}} への、'''Q''' 上に定義された非定数の[[有理写像]]が存在することも表すことができる。特に、{{mvar|E}} の点は[[モジュラー関数]]によりパラメトライズされる。

例えば、曲線 <math>y^2 - ''y'' = x^3 - x</math> のモジュラーパラメータ化は <ref>D. Zagier, ≪ Modular points, modular curves, modular surfaces and modular forms ≫, ''Lecture Notes in Mathematics'' 1111, Springer, 1985, 225–248</ref> により与えられた。

:<math>\begin{align}
  x(z) &= q^{-2} + 2q^{-1} + 5 + 9q + 18q^2 + 29q^3 + 51q^4 +\ldots\\
  y(z) &= q^{-3} + 3q^{-2} + 9q^{-1} + 21 + 46q + 92q^2 + 180q^3 +\ldots
\end{align}</math>

ここでは、上記のように q = exp(2πiz) とする。関数 x(z) と y(z) はウェイト 0 でレベル 37 のモジュラー関数で、言い換えると、それらは[[上半平面]] Im(''z'') > 0 で定義された[[有理型関数|有理型]]で、関数等式
:<math>x\left(\frac{az + b}{cz + d}\right) = x(z)</math>
を満たす。また同じことが、ad &minus; bc = 1 かつ 37|c となる全ての整数 a, b, c, d と y(z) について成り立つ。

別な定式化は、一方では楕円曲線に、他方ではモジュラー形式に関連する[[ガロア表現]]の比較に依拠している。モジュラー形式に関係付けられた定式化は予想の証明に使用された。形式のレベルを扱うこと（と曲線の導手との関係）は特に微妙である。

予想の最も重要な応用は[[フェルマーの最終定理]](FLT)の証明である。素数 p > 5 に対して、フェルマー方程式
:<math>a^p + b^p = c^p</math>
は、零ではない整数解を持つとする、つまり、フェルマーの最終定理の反例であるとすると、判別式
:<math>\Delta = \frac{1}{256}(abc)^{2p}</math>
の楕円曲線
:<math>y^2 = x(x - a^p)(x + b^p)</math>
は、モジュラーではありえない。従って、楕円曲線のこの族（ヘレゴーチ・フライ曲線(Hellegouarch–Frey curves)と呼ぶ）の谷山志村予想の証明は、フェルマーの最終定理を意味する。2つのステートメントを結び付ける証明は、[[ゲルハルト・フライ]]の1985年のアイデアを基礎にしていて、難しくテクニカルである。1987年に[[ケン・リベット]]により出版された。<ref>See the survey of K. Ribet ≪From the Taniyama–Shimura conjecture to Fermat's Last Theorem≫, Annales de la Faculte des sciences de Toulouse 11 (1990), 116–139.</ref>

== 整数点 ==
楕円曲線上には整数点は有限個しか存在しない。すなわち{{mvar|x}}が整数であるような {{math|''E''('''Q''')}} の点 {{math|1=''P'' = (''x'', ''y'')}} の集合は有限集合である。一般に種数が {{math|1}} 以上の代数曲線には整数点は有限個しか存在しない。これは{{仮リンク|アクセル・トゥエ|en|Axel Thue}}が[[ディオファントス近似]]に関する定理から特別の場合について証明し、[[カール・ジーゲル|ジーゲル]](C. L. Siegel)が一般の場合について証明した。この定理は、{{mvar|x}} の座標の分母が有限個の素数によってのみ割ることのできる点へと一般化される。しかし、これらの定理は計算可能性を備えていない。[[アラン・ベイカー|ベイカー]]は[[超越数]]論の方法をつかい、種数1の代数曲線には有限個の整数点しか存在せず、それらは計算可能であることを示した<ref>{{Harvard citations|author=Baker|year=1990|nb=yes|loc=Chapter IV}} および{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Chapter IX}}, {{Harvard citations|author=Silverman|year=1992|nb=yes|loc=Chapter V}}</ref>。

定理は分かりやすく定式化できて、例えば、<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Theorem IX.5.8.}}, due to {{Harvard citations|author=Baker|year=1990|nb=yes|loc=Chapter IV, p. 45}}.</ref> によると、{{mvar|E}} のワイエルシュトラスの方程式が定数 H により有界付けられた整数係数を持つ方程式であれば、{{mvar|x}} も {{mvar|y}} も整数である {{mvar|E}} の点の座標 (''x'', ''y'') は、
:<math>\max (|x|, |y|) < \exp\left(\left[10^6H\right]^{{10}^6}\right)</math>
を満たす。

特殊な場合にはより強い結果が成り立つことが知られている。たとえば ''k'' が 0 ではない整数で、 (''x'', ''y'') が不定方程式
:<math>y^2=x^3+k</math>

の整数解 (''x'', ''y'') であるとき、任意の正の定数 ''&epsilon;'' に対して、 ''k'' と ''&epsilon;'' のみに依存する計算可能な定数 ''c'' が存在して 
:<math>\max (|x|, |y|) < \exp\left(c k^{1+\epsilon} \right)</math>
が成り立つ<ref>H. M. Stark, ≪ Effective estimates of solutions of some diophantine equations ≫, ''Acta Arith.'' 24 (1973), 251--259</ref>。

一般に、{{mvar|E}} を数体 {{mvar|K}} 上の楕円曲線、{{mvar|x}} と {{mvar|y}} をワイエルシュトラス座標とすると、{{mvar|x}}-座標が[[整数環]] {{math|''O''{{msub|K}}}} に属するような {{math|''E''(''K'')}} の点は有限個しかなく、その大きさに対して、計算可能な上界が与えられる。したがって、原理的にはそれらの点は決定可能である。


例えば、方程式 {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''x''{{exp|3}} + 17}} は ''y'' > 0 の 8 個の整数解を持つ。<ref>T. Nagell, ''L'analyse indeterminee de degre superieur'', Memorial des sciences mathematiques 39, Paris, Gauthier-Villars, 1929, pp. 56–59.</ref>
:(''x'', ''y'') = (&minus;1,4), (&minus;2,3), (2,5), (4,9), (8,23), (43,282), (52,375), (5234,378661).

別な例は、{{仮リンク|ステラオクタギュラ数|label=リュングレンの方程式|en|Stella octangula number}}
:<math>Y^2=2X^4-1</math>
で、ワイエルシュトラス形式は {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''x''{{exp|3}} &minus; 2x}} であり（ {{math|1=''y'' = 2''XY'', ''x'' = 2''X'' {{exp|2}}}} とおく）、この曲線は {{mvar|y}} &ge; 0 で 4個の解しか持たない。<ref>{{citation|url=http://www.warwick.ac.uk/~masgaj/theses/siksek_thesis.pdf|first=Samir|last=Siksek|series=Ph.D. thesis | publisher=University of Exeter |year=1995|title=Descents on Curves of Genus I|pages=16–17}}.</ref>
:(''x'', ''y'') = (0,0), (&minus;1,1), (2, 2), (338,6214).

=== 楕円対数 ===
前述の通り、ヴァイエルシュトラスの楕円関数によって定義される写像
:<math>z \mapsto [1 :\wp(z) : \wp'(z)]</math>
が群同型であることから、その逆写像も群同型となる。なおかつ、ヴァイエルシュトラスの楕円関数の性質から、この逆写像は[[楕円積分]]を用いてあらわされる。具体的には楕円曲線 ''E'' が
:<math>E: y^2=f(x)=4x^3-g_2x-g_3</math>
とあらわされているとき、ヴァイエルシュトラス関数の周期 <math>\omega_1, \omega_2</math> によって生成される格子を{{math|Λ}}とおくと、楕円曲線上の点 <math>P=[1: x: y]\in E(\mathbb{R})</math> に対し、
:<math> \phi(P) \equiv \begin{cases} 0 & P=O \\ \displaystyle \int_x^\infty \frac{dt}{\sqrt{f(t)}} & y\geq 0 \\ -\phi(-P) & y<0\end{cases} \pmod{\Lambda} </math>
と定めると、 φは {{math|''E''('''R''')}} から {{math|'''R'''/Λ}} への群同型を定める。そこで、{{math|''E''(''K'')}} の生成元を <math>P_1, P_2, \ldots, P_r</math> とおくと {{mvar|K}}-有理点 <math>P=m_1P_1+m_2P_2+\cdots +m_rP_r+T\in E(K)</math> （{{mvar|T}}は有限位数の点）に対し
:<math>\phi(P)\equiv \phi(m_1P_1+m_2P_2+\cdots +m_rP_r+T)\equiv m_1\phi(P_1)+m_2\phi(P_2)+\cdots +m_r\phi(P_r)+\phi(T) \pmod{\Lambda}</math>
が成り立つ。この写像φを'''楕円対数'''と呼ぶ<ref>{{Harvard citations|author=Silverman|year=1986|nb=yes|loc=Chapter 9, Section 5, pp. 262--263}}</ref>。

通常の[[対数関数]]の一次形式の下からの評価に関する[[ベイカーの定理]]に対応し、楕円対数の下からの評価が知られている<ref>たとえば {{Harvard citations|author=David|year=1994|nb=yes|loc=Theorem 2.1, pp. 10}}</ref>。次の不等式が成り立つような、{{mvar|E}} と代数体 {{mvar|K}} およびランク {{mvar|r}} にのみ依存する計算可能な定数 <math>c_1, c_2, c_3</math> がとれる。
<math>B=\max \left| m_i \right|</math> とおくと、格子{{math|Λ}}上の任意の点 <math>l_1\omega_1+l_2\omega_2</math> に対して
:<math>\left| m_1\phi(P_1)+m_2\phi(P_2)+\cdots +m_r\phi(P_r)+\phi(T)+l_1\omega_1+l_2\omega_2 \right| >\exp -c_1(\log B+c_2)(\log\log B+c_3).</math>
一方 {{mvar|P}} が整数点であるとき、この絶対値は {{mvar|B}} に対して指数関数的に減少する。というのは、{{mvar|P}} が整数点であるとき <math>x=\exp h_x(P)</math> となる一方、標準的高さは <math>m_1, m_2, \ldots, m_r</math> の正定値二次形式としてあらわされることから、対数的高さも正定値二次形式で近似されるので、
:<math>\phi(P)=O(-|x|^{1/2})=O(\exp -(h_x(P)/2))=O(\exp -c_4 B^2)</math>
となるからである（<math>c_4>0</math> も{{mvar|E}} と代数体 {{mvar|K}} およびランク {{mvar|r}} にのみ依存する計算可能な定数である。）。このことから、整数点の大きさに対する上からの評価が得られる<ref>詳しい議論は、たとえば {{Harvard citations|author1=Stroeker|author2=Tzanakis|year=1994|nb=yes}}を参照</ref>。

この方法は {{math|''E''(''K'')}} が知られているときには整数点の大きさに対する計算可能な上界を与えるが、前にも述べたように {{math|''E''(''K'')}} 自体を特定するアルゴリズムが知られていないため、この方法は一般の楕円曲線に対しては理論上は必ずしも有効ではない。

==一般の体上の楕円曲線==
楕円曲線は任意の[[可換体|体]] {{mvar|K}} 上で定義することができる。楕円曲線の公式な定義は、{{mvar|K}} 上で定義された点を持ち、[[種数]] {{math|1}} の {{mvar|K}} 上の非特異射影代数多様体ことを言う。

{{mvar|K}} の[[標数]]が {{math|2}} でも {{math|3}} でもなければ、全ての {{mvar|K}} 上の楕円曲線は、
:<math>y^2 = x^3 - px - q</math>
の形に書くことができる。ここに {{mvar|p}} と {{mvar|q}} は {{mvar|K}} の元で、多項式の右辺 ''x''{{exp|3}} &minus; px &minus; q は二重点を持たない。標数が {{math|2}} や {{math|3}} であれば、さらに項を注意深く扱わねばならなく、標数 {{math|3}} の場合は、最も一般的な方程式は、多項式の右辺が異なる根（記法は歴史的な理由を持っている）を持つような任意の定数 {{math|''b''{{msub|2}}, ''b''{{msub|4}}, ''b''{{msub|6}}}} に対し、
:<math>y^2 = 4x^3 + b_2 x^2 + 2b_4 ''x'' + b_6</math>
の形をしている。

標数 {{math|2}} の場合は、以上のようなことな不可能で、最も一般的な方程式である
:<math>y^2 + a_1 xy + a_3 y = x^3 + a_2 x^2 + a_4 x + a_6</math>
が、非特異な多様体を与える。標数が問題にならない場合は、各々の方程式は、適切な変数変換により前の方程式となる。

一つの典型例を挙げると、全ての曲線の点 {{math|(''x'', ''y'')}} が上の方程式を満たし、そのような点 {{mvar|x}} と {{mvar|y}} が {{mvar|K}} の[[代数的閉包]]に属するとする。{{mvar|K}} に属する座標を持つ点は、'''{{mvar|K}}-有理点'''と呼ばれる。

一般の[[可換体|体]] {{mvar|k}} 上の'''楕円曲線'''は、[[射影平面]] {{math|''P''{{exp|2}}(''k'')}} の非特異三次曲線
:<math>y^2z + a_1xyz + a_3yz^2 = x^3 + a_2x^2 z + a_4xz^2 + a_6z^3\,</math>
と書くことができる。この式は、三次曲線の[[変曲点]]が {{math|(0, 1, 0)}} にあり、その接線が {{math|1=''z'' = 0}} であるとした時に得られる形で、'''[[カール・ワイエルシュトラス|ワイエルシュトラス]]の標準形'''と呼ばれる。この斉次式を非斉次形に直すと
:<math>y^2+{a_1}xy+{a_3}y=x^3+{a_2}x^2+{a_4}x+a_6\,</math>
となる。

==同種==
{{Further|同種 (数学)}}
{{mvar|E}} と {{mvar|D}} を体 {{mvar|k}} 上の楕円曲線とする。{{mvar|E}} と {{mvar|D}} の間の'''同種''' (isogeny) は、基点を保つ[[アーベル多様体]]の間の[[有限射]] {{math|''f'': ''E'' → ''D''}} である（言い換えると、写像は {{mvar|E}} 上の与えられた点から {{mvar|D}} 上の点へ写像する）。

二つの楕円曲線が'''同種'''とは、それらの間に同種写像があるときを言う。この関係は[[同値関係]]であり、{{仮リンク|双対同種|en|dual isogeny}}の存在により[[対称性|対称的]]である。全ての同種は、代数的[[準同型]]であり、このようにして k に値を持つ楕円曲線の[[群 (数学)|群]]の準同型が導出される。

==有限体上の楕円曲線==
{{Further|アーベル多様体の数論}}

[[File:Elliptic curve on Z61.svg|thumb|right|360px|有限体 {{math|'''F'''{{msub|61}}}} 上の楕円曲線 {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''x''{{exp|3}} &minus; ''x''}} のアフィン点の集合]]

{{math|''K'' {{=}} '''F'''{{msub|''q''}}}} を {{mvar|q}} 個の元を持つ[[有限体]]として、{{mvar|E}} を {{mvar|K}} 上に定義された楕円曲線とする。{{mvar|K}} 上の{{仮リンク|楕円曲線の点の数を数える|label=楕円曲線 {{mvar|E}} の有理点の数|en|Counting points on elliptic curves}}を正確に数えることは、一般には難しいが、[[楕円曲線のハッセの定理]]は、無限遠点を含めると、この数を、
:<math>|\operatorname{card} E(K) - (q + 1) | \le 2\sqrt{q}</math>
と評価できることを教えている。

言い換えると、曲線の点の数は、大まかには、体の元の数の増加具合と同じ増加具合を示している。この事実は一般的な理論の助けを借りて理解し証明することができる。[[合同ゼータ関数|局所ゼータ関数]]や[[エタールコホモロジー]]を参照。

[[File:Elliptic curve on Z89.svg|thumb|left|360px|有限群 {{math|'''F'''{{msub|89}}}} 上の楕円曲線 {{math|''y''{{exp|2}} {{=}} ''x''{{exp|3}} &minus; ''x''}} のアフィン点の集合]]

点の集合 {{math|''E''('''F'''{{msub|''q''}})}} は有限アーベル群である。常に、巡回的か、もしくは二つの巡回群の積となる。例えば、<ref>{{Harvard citations|last=Koblitz|year=1994|nb=yes|loc=p. 158}}</ref> では、
:<math>y^2 = x^3 - x</math>
で {{math|'''F'''{{msub|71}}}} 上に定義される楕円曲線は72個の点をもち（{{math|(0, 0)}} を含む 71 個のアフィン点と無限遠点をひとつ持っている）、その群構造は、{{math|'''Z'''/2'''Z''' × '''Z'''/36'''Z'''}} で与えられる。具体的な曲線の点の数は、{{仮リンク|シューフのアルゴリズム|en|Schoof's algorithm}}により計算することができる。

{{math|'''F'''{{msub|''q''}}}} の[[体の拡大|拡大体]]上の曲線の研究は、{{math|'''F'''{{msub|''q''}}}} 上の ''E'' の局所ゼータ関数を導入することにより促進された。局所ゼータ関数は、上記のように一般化された級数
:<math>Z(E(K), T) \equiv \exp \left(\sum_{n=1}^{\infty} \operatorname{card} \left[E(K_n)\right] {T^n\over n} \right)</math>
により定義される。ここに体 {{mvar|K{{msub|n}}}} は体 {{math|1=''K'' = '''F'''{{msub|''q''}}}} の {{mvar|n}} 次拡大、つまり {{math|'''F'''{{msub|''q''{{exp|''n''}}}}}} である。ゼータ関数は {{mvar|T}} の有理関数である。ある整数 {{mvar|a}} が存在し、
:<math>Z(E(K), T) = \frac{1 - aT + qT^2}{(1 - qT)(1 - T)}</math>
となる。

さらに、[[絶対値]]が {{math|{{sqrt|''q''}}}} である複素数 α, β とすると、
:<math>\begin{align}
  Z \left(E(K), \frac{1}{qT} \right) &= Z(E(K), T)\\
         \left(1 - aT + qT^2 \right) &= (1 - \alpha T)(1 - \beta T)
\end{align}</math>
が成り立つ。この結果は[[ヴェイユ予想]]<ref>ヴェイユ予想は、1974年にドリーニュにより解決された。また、[[ステパノフ]]は代数幾何学を用いない比較的初等的な方法により、有限体上の代数曲線の有理点の個数についてヴェイユの定理ほど強くはないが類似の定理を証明し、楕円曲線の場合にはハッセの評価と同じく <math>\left| N-q-1\right|\leq 2q^{1/2}</math> が導かれることを示した。Lidl, Niederreiter, 1974, 第5-6章およびSchmidt, 1976, 2004, 第1-2章.</ref>
の特別な場合である。例えば、<ref>{{Harvard citations|last=Koblitz|year=1994|nb=yes|loc=p. 160}}</ref> では、体 {{math|'''F'''{{msub|2}}}} 上の {{mvar|E}} のゼータ関数である {{math|1=''y''{{exp|2}} + ''y'' = ''x''{{exp|3}}}} は、
:<math>\frac{1 + 2T^2}{(1 - T)(1 - 2T)}</math>
により与えられる。このことは、次の式に従う。
:<math> \left| E(\mathbf{F}_{2^r}) \right| = \begin{cases} 2^r + 1 & r \text{ odd} \\ 2^r + 1 - 2(-2)^{\frac{r}{2}} & r \text{ even} \end{cases} </math>

[[File:Elliptic curve on Z71.svg|thumb|right|360px|有限体 {{math|'''F'''{{msub|71}}}} 上の楕円曲線 {{math|1=''y''{{exp|2}} = ''x''{{exp|3}} &minus; ''x''}} のアフィン点の集合]]

[[佐藤・テイト予想]]は、{{math|'''Q'''}} 上の楕円曲線 {{mvar|E}} を法 {{mvar|q}} で還元した場合に、ハッセの定理の中の誤差項 {{math|2{{sqrt|''q''}}}} が素数 {{mvar|q}} によってどのように変わるのかについての言明である。佐藤・テイト予想は（ほとんどすべてのそのような曲線に対し）、{{harvtxt|Taylor|Harris|Shepherd-Barron|2006}}<ref>{{cite journal |first=M. |last=Harris |first2=N. |last2=Shepherd-Barron |first3=R. |last3=Taylor |title=A family of Calabi–Yau varieties and potential automorphy |journal=[[Annals of Mathematics]] |volume=171 |issue=2 |pages=779-813|year=2010 |doi=10.4007/annals.2010.171.779 }}</ref>により証明され、誤差項が等分分布していることを言っている。

有限体の上の楕円曲線は、特に[[暗号理論]]や大きな整数の[[素因数分解]]に応用されている。これらのアルゴリズムには、{{mvar|E}} 上の点の群構造がしばしば利用されている。一般の群（例えば有限体の可逆元からなる群，{{math|'''F'''{{msub|''q''}}{{msup|&lowast;}}}}）に適用できるアルゴリズムは、楕円曲線上の点の群へも応用することができる。例えば、[[離散対数]]はそのようなアルゴリズムである。興味深いのは、楕円曲線を選ぶ方が、体の位数 {{mvar|q}}（と単位元）を選ぶよりも、高い柔軟性がある点である。また、楕円曲線の群構造は、一般にはより複雑である。

==楕円曲線を使ったアルゴリズム==
有限体上の楕円曲線は、整数の[[素因数分解]]への応用と同じように、[[暗号理論]]への応用にも使われる。典型的には、暗号理論への応用の一般論は、ある有限群を使った知られている[[アルゴリズム]]を、楕円曲線の有理点の群を使うように書き換えて使う。さらに以下を参照。
* [[楕円曲線暗号]]
* [[楕円曲線ディフィー・ヘルマン鍵共有]]
* [[楕円曲線DSA]]
* [[エドワーズ曲線デジタル署名アルゴリズム]]
* {{仮リンク|双対_EC_DRBG|en|Dual_EC_DRBG}}
* {{仮リンク|レンストラ楕円曲線分解|en|Lenstra elliptic curve factorization}}
* {{仮リンク|素数性証明楕円曲線|en|Elliptic curve primality proving}}

==楕円曲線の別の表現==
* {{仮リンク|楕円曲線のヘッセ形式|label=ヘッセ曲線|en|Hessian form of an elliptic curve}}(Hessian curve)
* {{仮リンク|エドワーズ曲線|en|Edwards curve}}
* {{仮リンク|曲線のひねり|en|Twists of curves}}
* {{仮リンク|ひねられたヘッセ曲線|en|Twisted Hessian curves}}
* {{仮リンク|ひねられたエドワーズ曲線|en|Twisted Edwards curve}}
* {{仮リンク|二重向き付けドッチェ・イカート・コーヘル曲線|en|Doubling-oriented Doche–Icart–Kohel curve}}
* {{仮リンク|三重向き付けドッチェ・イカート・コーヘル曲線|en|Tripling-oriented Doche–Icart–Kohel curve}}
* {{仮リンク|ヤコビ曲線|en|Jacobian curve}}
* [[モンゴメリ曲線]]

==脚注==
{{Reflist|30em}}

==参考文献==
[[Serge Lang]]は、以下の参考文献リスト中の彼の著書の導入部で、"It is possible to write endlessly on elliptic curves. (This is not a threat.)" と言っている。したがって以下の参考文献のリストは、膨大な公開されている楕円曲線の理論的、アルゴリズム的、暗号理論的な側面のせいぜいガイドでしかない。
* {{cite book
 | author = [[Alan Baker (mathematician)|Alan Baker]]
 | year = 1990 | edition=paperback
 | title = Transcendental Number Theory
 | publisher = Cambridge Univ. Press
 | id = ISBN 0-521-39791-X
 }}
* {{cite book
 | author = [[I. Blake]]
 | coauthors = [[G. Seroussi]], [[N. Smart]]
 | year = 2000
 | title = Elliptic Curves in Cryptography
 | series=LMS Lecture Notes
 | publisher = [[Cambridge University Press]]
 | isbn=0-521-65374-6
 }}
* J. W. S. Cassels: ''Lectures on Elliptic Curves'', Cambridge Univ. Press (1991).
** J.W.S.キャッセルズ(著)、徳永浩雄(訳)：「楕円曲線入門」、岩波書店、ISBN 4-00-005642-5 (1996年1月25日).　※上記書の翻訳。
* {{cite book
 | author = [[Richard Crandall]]
 | coauthors = [[Carl Pomerance]]
 | year = 2001
 | title = Prime Numbers: A Computational Perspective
 | publisher = [[Springer-Verlag]]
 | edition = 1st
 | isbn=0-387-94777-9
 | chapter = Chapter 7: Elliptic Curve Arithmetic
 | pages = 285–352
 }}
* {{cite book
 | first=John | last=Cremona  | authorlink = John Cremona
 | year = 1997 | edition=2nd
 | title = Algorithms for Modular Elliptic Curves
 | publisher = Cambridge University Press
 | url = http://www.warwick.ac.uk/staff/J.E.Cremona//book/fulltext/index.html
 | isbn=0-521-59820-6
 }}
*{{cite book
 |    author = Darrel Hankerson, [[Alfred Menezes]] and [[Scott Vanstone]]
 |      year = 2004
 |     title = Guide to Elliptic Curve Cryptography
 | publisher = [[Springer Science+Business Media|Springer]]
 |        isbn = 0-387-95273-X
 |       url = http://www.cacr.math.uwaterloo.ca/ecc/
 }}
* {{Hardy and Wright}}  Chapter XXV
* {{Cite book | last1=Hellegouarch | first1=Yves | title=Invitation aux mathématiques de Fermat-Wiles | publisher=Dunod | location=Paris | isbn=978-2-10-005508-1 | year=2001 | ref=harv | postscript=<!--None-->}}
* {{cite book
 | first=Dale | last=Husemöller
 | authorlink=Dale Husemöller
 | year = 2004
 | title = Elliptic Curves
 | edition = 2nd
 | series = Graduate Texts in Mathematics
 | volume=111
 | publisher = [[Springer]]
 | isbn=0-387-95490-2
 }}
* {{cite book
 | author = Kenneth Ireland | authorlink = Kenneth Ireland
 | coauthors = [[Michael I. Rosen]]
 | year = 1998
 | title = A Classical Introduction to Modern Number Theory
 | volume=84 | series=Graduate Texts in Mathematics
 | publisher = Springer
 | edition = 2nd revised
 | chapter = Chapters 18 and 19
 | isbn=0-387-97329-X
 }}
* {{cite book
 | author = Anthony W. Knapp | authorlink = Anthony W. Knapp
 | year = 1992
 | title = Elliptic Curves
 | series = Math Notes | volume=40
 | publisher = [[Princeton University Press]]
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* {{Cite book
 | author = Koblitz |first=Neal | authorlink = Neal Koblitz
 | year = 1993 | edition=2nd
 | title = Introduction to Elliptic Curves and Modular Forms
 | series = Graduate Texts in Mathematics
 | volume=97
 | publisher = Springer-Verlag
 | isbn=0-387-97966-2
 | ref = harv
 | postscript = <!--None-->
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 | author = Koblitz |first = Neal | authorlink = Neal Koblitz
 | year = 1994
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 | series = Graduate Texts in Mathematics
 | volume=114
 | publisher = Springer-Verlag
 | edition = 2nd
 | isbn = 0-387-94293-9
 | chapter = Chapter 6
 | ref = harv
 | postscript = <!--None-->
 }}
* {{cite book | author=Serge Lang | authorlink=Serge Lang | title=Elliptic curves: Diophantine analysis | series=Grundlehren der mathematischen Wissenschaften | volume=231 | publisher=Springer-Verlag | year=1978 | isbn=3-540-08489-4 }}
* {{cite book|author=Henry McKean |author2=Victor Moll
 |title=Elliptic curves: function theory, geometry and arithmetic
 |publisher=Cambridge University Press|isbn=0-521-65817-9|year=1999}}
* {{cite book | author=Ivan Niven | coauthors=Herbert S. Zuckerman, [[Hugh Montgomery (mathematician)|Hugh Montgomery]] | title=An introduction to the theory of numbers | edition=5th | publisher=John Wiley | year=1991 | isbn=0-471-54600-3 | chapter=Section 5.7}}
* {{Cite book
 | author = Silverman | first=Joseph H. | authorlink=Joseph H. Silverman
 | year = 1986
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 | series = Graduate Texts in Mathematics
 | volume=106
 | publisher = Springer-Verlag
 | isbn=0-387-96203-4
 | ref = harv
 | postscript = <!--None-->
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* {{cite book
 | author = Joseph H. Silverman | authorlink=Joseph H. Silverman
 | year = 1994
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** {{cite book
 | author = [[Joseph H. Silverman]]
 | coauthors = 訳：[[鈴木治郎]]
 | others = （上記書の日本語訳）
 | year = 2003
 | title = 楕円曲線論概説（上、下）
 | publisher = Springer
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* {{cite book
 | author = Joseph H. Silverman | authorlink=Joseph H. Silverman
 | coauthors = [[John Tate]]
 | year = 1992
 | title = Rational Points on Elliptic Curves
 | publisher = Springer-Verlag
 | isbn=0-387-97825-9
 }}
** {{cite book
 | author = [[Joseph H. Silverman]]
 | coauthors = [[ジョン・テイト|John Tate]], 訳：[[足立恒雄]], [[木田雅成]], [[小松啓一]], [[田谷久雄]]
 | others = （上記書の日本語訳）
 | year = 1995
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 | publisher = Springer
 }}
* {{cite journal | author=John Tate | authorlink=John Tate | title=The arithmetic of elliptic curves | journal=[[Inventiones Mathematicae]] | volume=23 | pages=179–206 | year=1974 | doi=10.1007/BF01389745 | ref=harv | issue=3–4 }}
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* {{cite book
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 | publisher = Springer-Verlag
 | id = ISBN 0-38707-855-X
 }}
* {{cite book
 | author = [[Wolfgang M. Schmidt]]
 | year = 2004
 | title = Equations over finite fields: an elementary approach; 2nd edition
 | publisher = Kendrick Press
 | id = ISBN 0-97404-271-4
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* {{cite book
 | author = [[Rudolf Lidl<!-- 存在しない -->]] and [[Harald Niederreiter]]
 | year = 1997
 | title = Finite fields; 2nd edition
 | publisher = Cambridge University Press
 | id = ISBN 0-97404-271-4
 }}

* {{Citation
| last1 = R. J. | first1 = Stroeker
| last2 = N. | first2 = Tzanakis
| title = Solving elliptic diophantine equations by estimating linear forms in elliptic logarithms
| journal = Acta Arithmetica
| volume = 67
| year = 1994
| pages = 177--196
| MR = MR1291875
| url = http://pldml.icm.edu.pl/pldml/element/bwmeta1.element.bwnjournal-article-aav67i2p177bwm
}}

* {{Citation | last1=David | first1=Sinnou 
| title=Minarations de formes linéaires de logarithmes elliptiques
| journal = Mémoires de la S. M. F. 2e série
| volume = 62
| year = 1995
| pages = 1--143
| MR = 98f:11078
| doi = 10.24033/msmf.376
| url = http://www.numdam.org/item?id=MSMF_1995_2_62__1_0
}}

==関連項目==
{{commons|Elliptic curve|Elliptic curve}}
*[[リーマン・フルヴィッツの公式]]
*[[数論力学]]
*[[楕円曲面]]
*[[数式処理システムの一覧]]
*{{仮リンク|j-直線|en|j-line}}

==外部リンク==
* {{SpringerEOM|title=Elliptic curve|urlname=Elliptic_curve}}
* [http://www.math.niu.edu/~rusin/known-math/index/14H52.html The Mathematical Atlas: 14H52 Elliptic Curves]
* {{MathWorld | title = Elliptic Curves | urlname = EllipticCurve }}
* [http://planetmath.org/thearithmeticofellipticcurves The Arithmetic of elliptic curves] from PlanetMath
* [http://mathdl.maa.org/images/upload_library/22/Polya/07468342.di020792.02p05747.pdf Three Fermat Trails to Elliptic Curves], Ezra Brown, The College Mathematics Journal, Vol. 31 (2000), pp.&nbsp;162–172, winner of the MAA writing prize the George Pólya Award.
* [http://www.mathworks.com/matlabcentral/fileexchange/loadFile.do?objectId=300&objectType=File Matlab code for implicit function plotting] – Can be used to plot elliptic curves.
* [http://sagenb.org/home/pub/1126/ Interactive introduction to elliptic curves and elliptic curve cryptography with SAGE]
* [http://www.certicom.com/ecc_tutorial/ecc_javaCurve.html Geometric Elliptic Curve Model(Java-Applet drawing curves)]
* [http://danher6.100webspace.net/ecc#ER_interactivo Interactive elliptic curve over R] and [http://danher6.100webspace.net/ecc#EFp_interactivo over Zp] - Web application that requires HTML5 capable browser.
* [http://www.lmfdb.org/EllipticCurve/Q/ Comprehensive database of Elliptic Curves over Q]

{{Normdaten}}
{{デフォルトソート:たえんきよくせん}}
[[Category:代数幾何学]]
[[Category:数論]]
[[Category:ディオファントス方程式]]
[[Category:楕円曲線|*]]
[[Category:数学に関する記事]]