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{{dablink|[[代数幾何学]]におけるトピックとしての標準基底は、1943年の{{仮リンク|グラスマン多様体|en|Grassmannian}}に関する[[ウィリアム・ヴァーランス・ホッジ|ホッジ]]の仕事に端を発する。これは現在では「標準単項式論」と呼ばれる[[表現論]]の一部になっている。[[リー環]]の[[普遍包絡環]]の標準基底の概念は、{{仮リンク|ポワンカレ–バーコフ–ヴィットの定理|en|Poincaré–Birkhoff–Witt theorem}}によって確立された。 [[量子群]]の標準基底(ルスティックの canonical basis)については [[:en:Canonical basis#Quantum groups]] を参照。 [[局所環]](特に[[形式冪級数環]])のイデアルに対する[[広中の標準基底]]および類似概念である[[多項式環]]のイデアルに対する[[グレブナ基底]]も標準基底と呼ばれることがある。}} [[File:3D Vector.svg|right|thumb|300px|三次元空間内の任意のベクトル '''a''' は、標準基底ベクトル '''i''', '''j''', '''k''' の[[線型結合]]として一意的に表される。]] [[線型代数学]]における'''標準基底'''(ひょうじゅんきてい、{{lang-en-short|''standard basis'', ''canonical basis''}})または自然基底 ({{lang|en|''natural basis''}}) は[[直交座標系]]の各軸方向に向かう[[単位ベクトル]]からなる[[ユークリッド空間]]の[[基底 (線型代数学)|基底]]を言う。例えば[[ユークリッド平面]]の標準基底は :<math>\mathbf{e}_x = (1,0),\quad \mathbf{e}_y = (0,1)</math> であり、[[三次元ユークリッド空間]]の標準基底は :<math>\mathbf{e}_x = (1,0,0),\quad \mathbf{e}_y = (0,1,0),\quad \mathbf{e}_z=(0,0,1)</math> で与えられる。ここで、各ベクトル '''e'''<sub>''x''</sub>, '''e'''<sub>''y''</sub>, '''e'''<sub>''z''</sub> はそれぞれ ''x''-軸方向、''y''-軸方向、''z''-軸方向を向いている。この基底を表すのによく用いられる記法として、{'''e'''<sub>''x''</sub>, '''e'''<sub>''y''</sub>, '''e'''<sub>''z''</sub>}, {'''e'''<sub>1</sub>, '''e'''<sub>2</sub>, '''e'''<sub>3</sub>}, {'''i''', '''j''', '''k'''}, {'''x''', '''y''', '''z'''} などを挙げることができる。単位ベクトルであることを強調するために[[サーカムフレックス]](キャレット)を載せることもある。 ここでいう[[基底 (線型代数学)|基底]]は、それらのベクトルの[[線型結合]]として、任意のベクトルがそれぞれただ一通りに表されるという意味においていう。例えば三次元ベクトル '''v''' は必ず :<math>v_x\,\mathbf{e}_x + v_y\,\mathbf{e}_y + v_z\,\mathbf{e}_z</math> なる形に書くことができて、[[スカラー]] ''v''<sub>''x''</sub>, ''v''<sub>''y''</sub>, ''v''<sub>''z''</sub> は '''v''' の[[座標成分]]になる。 == 数ベクトル空間の標準基底 == {{seealso|数ベクトル空間}} ''n''-次元[[ユークリッド空間]] '''R'''<sup>''n''</sup> あるいは適当な[[可換体|体]] ''K'' 上の[[数ベクトル空間]] ''K''<sup>''n''</sup> には、''n''-個の相異なるベクトル :<math>\begin{align} \mathbf{e}_1&=(1,0,0,\ldots,0),\\ \mathbf{e}_2&=(0,1,0,\ldots,0),\\ &\vdots\\ \mathbf{e}_n&=(0,0,0,\ldots,1) \end{align}</math> からなる標準基底を持つ。 == 性質 == 定義により、標準基底は[[単位ベクトル]]からなる[[正規直交系]]を成す。すなわち、標準基底は{{仮リンク|順序付けられた基底|label=順序付けられ|en|ordered basis}}た[[正規直交基底]]になる。 しかし、順序付けられた正規直交基底は必ずしも標準基底ではない。例えば二つのベクトル :<math>v_1 = \left( {\sqrt 3 \over 2} , {1 \over 2} \right)</math> :<math>v_2 = \left( {1 \over 2} , {-\sqrt 3 \over 2} \right)</math> は正規直交する単位ベクトルだが、この正規直交基底は標準基底の定義に合わない。 == 一般化 == ある種の無限次元ベクトル空間に対しても、標準基底を考えることができる。例えば、ある[[可換体|体]]上 ''n''-個の不定元をもつ[[多項式環]]において、[[単項式]]全体の成す集合は標準基底を与える。 ここまでの例は全て、適当な集合 ''I''(無限集合でもよい)に添字を持つ[[族 (数学)|族]] : <math>{(e_i)}_{i\in I}={({(\delta_{ij})}_{j\in I})}_{i\in I}</math> の特別の場合になっている。ここで δ は[[クロネッカーのデルタ]] (''i'' = ''j'' ならば 1, ''i'' ≠ ''j'' ならば 0) である。このような族は、集合 ''I'' から[[環 (数学)|環]] ''R'' への写像 : <math>f=(f_i)</math> で[[ほとんど (数学)|有限個の例外を除く全て]]の添字に対して値が 0 (''R'' の[[加法単位元|零元]] 0<sub>''R''</sub>) であるようなもの全体のなす族としての[[自由加群|自由]] ''R''-[[環上の加群|加群]] :<math>R^{(I)}</math> の'''標準基底'''になる(ただし 1 は ''R'' の[[乗法単位元|単位元]] 1<sub>''R''</sub> と解釈する)。 [[二次形式]] {{nowrap|''Q'': ''V'' → '''R'''}} を伴う[[幾何代数]]の文脈での'''標準基底'''は、ベクトル空間 ''V'' を生成する[[直交基底]] {''e''<sub>''i''</sub>} で、その各元が {{nowrap|1=''Q''(''e''<sub>''i''</sub>) ∈ {−1, 0, +1} }}を満たすという意味で正規化されているものを言う。 == 参考文献 == *{{cite book | last = Ryan | first = Patrick J. | title = Euclidean and non-Euclidean geometry: an analytical approach | publisher = Cambridge; New York: Cambridge University Press | date = 1986 | pages = | isbn = 0-521-27635-7 }} (page 198) *{{cite book | last = Schneider | first = Philip J. | coauthors = Eberly, David H. | title = Geometric tools for computer graphics | publisher = Amsterdam; Boston: Morgan Kaufmann Publishers | date = 2003 | pages = | isbn = 1-55860-594-0 }} (page 112) {{DEFAULTSORT:ひようしゆんきてい}} [[Category:線型代数学]] [[Category:数学に関する記事]]
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