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{{出典の明記|date=2024-07-31}} 『'''機動戦士Oガンダム'''』(きどうせんしオーガンダム{{efn|「O」は[[ラテン文字]]の「オー」。}})は、「[[月刊OUT]]」[[1986年]]3月号に掲載されたアニメ作品群『[[ガンダムシリーズ一覧|ガンダムシリーズ]]』を題材にした[[パロディ]]企画記事、および同誌上で連載された小説。「O」の意味として、記事に「ガンダムを超えた"規格外"(アウター)ガンダム」とある。 どちらにも、書籍『[[ガンダムセンチュリー]]』に見られるような「設定」をめぐる遊びが見られた。 == 記事 == 1986年3月号の記事は『'''機動戦士Oガンダム・光のニュータイプ'''』のタイトルで掲載された。 雑誌の冒頭、『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』の紹介記事の前の部分にフルカラー8ページに渡って[[セル画]]を背景に、監督インタビュー{{efn|名前は「大富野哲悠季」との表記であり、編集長の[[大徳哲雄]]が扮した写真が掲載されていた。}}、キャラクター設定、各話リスト、声優紹介、主題歌の歌詞、関連商品(プラモデル、小説)紹介に至るまで、本物同然に製作されていた。「'''副'''通エージェンシー」「'''目'''本サンライズ」「名'''吉'''屋テレビ」と微妙に文字を変えた[[著作権]]表示を記事の隅に入れる凝りようであった。そして、「ごめんなさい!これがホントのΖΖです」という見出しの後に本物の『ΖΖ』の紹介記事が2ページあり、こちらには[[創通|創通エージェンシー]]・[[サンライズ (アニメ制作会社)|日本サンライズ]]・[[名古屋テレビ放送|名古屋テレビ]]による本物の著作権表示が付いている。 この記事が掲載された号が発売されたのは1986年1月下旬で、『[[機動戦士Ζガンダム]]』の結末と後番組についてはまだ十分な発表がなされていない段階であった{{efn|これ以前に発売されたアニメ雑誌では『機動戦士ガンダムΖΖ(仮)』といった表記で報じられていたが、雑誌媒体での第一報後にタイトルが変更されることはしばしばあった。}}。新旧の番組の移行期を狙って「ウソの新番組紹介」として世に出たものである。なお、『OUT』ではこの記事の掲載に先立って3か月にわたり「耳よりニセ情報コーナー」と題して「重合金マジンガイム」(『[[重戦機エルガイム]]』+『[[マジンガーZ]]』)、「機動忍者隊ガッチャムF」(『Ζガンダム』+『[[科学忍者隊ガッチャマンF]]』)、「超獣戦艦NEWダンクーガ完結編」(『[[超獣機神ダンクーガ]]』+『[[宇宙戦艦ヤマト 完結編]]』)といった、当時と過去のアニメをミックスしたフェイク作品の設定資料が(実際の設定資料紹介記事と同じ体裁で)掲載されている。 Oガンダムは、敵側が開発したものを奪い、そのまま主役機として使用するという、当時としては珍しい設定となっている(ガンダムシリーズで同じ経歴を持つ機体は、『機動戦士Ζガンダム』の[[ガンダムMk-II]]や『[[機動新世紀ガンダムX]]』の[[ガンダムダブルエックス]]、『[[機動戦士ガンダムSEED]]』の[[フリーダムガンダム]]、記事中では『重戦機エルガイム』のエルガイムMk-IIを例に挙げている)。また、Oガンダムのフィードバックシステムという、メインタイトルである「光のニュータイプ」の意味を示すキーワードが隠されるなど、硬派な設定が掲載されていた。また、OガンダムはΖガンダム同様に後半の主役機であり、序盤はΖガンダムから可変機能をオミットした、ΖガンダムMk-IIなる機体を主人公は操縦するとされている。 === 物語の概要 === [[宇宙世紀]]0088年を舞台に、新生エゥーゴと、アクシズを継ぐ「スーパー・ジオン」との戦い、その戦いに巻き込まれた、[[ニュータイプ]]の理論的完成形態「ステロタイプ」の少年タロ・アサティらの活躍を描く。 「スーパー・ジオン」は、[[ハマーン・カーン]]の弟であるカーン・ジュニアが総統として率いており、その傍らには[[シャア・アズナブル|クワトロ・バジーナ]]と同型のサングラスをした謎の女性、[[セイラ・マス|アルテイシア少佐]]がいる。 [[グリプス戦役]]終盤で行方不明になったシャア・アズナブルも'''謎のモビルスーツ・パイロット'''としてスーパー・ジオンと敵対する。また、物語後半には[[アムロ・レイ]]と[[ベルトーチカ・イルマ]]の幼い息子であるソーラ・レイも登場する。 === 登場兵器 === {{機動兵器 |名称=Oガンダム<br/>O GUNDAM<br/>OUTER GUNDAM |型式番号=MSF-000 |所属=新生エゥーゴ |建造=サイド0秘密開発ベース |生産形態=試作機 |全高=19.54m |頭頂高= |本体重量=26.4t |全備重量= |動力= |出力= |推力= |その他= |センサー= |装甲= |武装= |搭乗者=タロ・アサティ }} ; Oガンダム : 廃棄された試作コロニー「サイド0」でスーパー・ジオンによって開発されていた、[[ガンダムタイプ]]の試作[[モビルスーツ]](MS)。新生エゥーゴ側によって強奪され、ΖガンダムMK-IIに代わるタロの乗機となる。 : 本作においては「初の[[サイコミュ]]搭載型ガンダム」とされているが[[ニュータイプ専用機]]ではなく、オールドタイプである普通のパイロットが操縦することも可能であり、さらにオールドタイプのパイロットが持つニュータイプの素質を引き出し、ニュータイプへと覚醒させるフィードバックシステムを搭載している。また、[[可変モビルスーツ|可変MS]]でもあるがその詳細は公表されておらず、画稿もMS形態のものしか存在しない。武装などの詳細も不明であるが、何らかの銃器を携行している。 : 機体名の「O」はその設計思想「規格外(アウター)」の頭文字であると同時に、サイド「0」で試作された最初の試作機(0号)という意味も持つ。 {{clear}} ; ΖガンダムMK-II : [[Ζガンダム]]の非可変量産型(型式番号:MSU-010)。Oガンダム以前のタロの乗機。{{Main|Ζガンダム#その他の派生機}} ; G・ザック : ハイザックの発展型(型式番号:PCX-005)。新生エゥーゴ、スーパー・ジオン双方で運用されている。{{Main|ハイザック#G・ザック}} ; サイコガンダムMK-IV : スーパー・ジオンが運用する[[サイコガンダム]]の後継機(型式番号:MOX-012)。アルテイシア少佐の乗機。{{Main|サイコガンダム#サイコガンダム・マークIV}} ; ガザX : スーパー・ジオンの主力可変MS(型式番号:NNT-001)。{{Main|ガザC#その他のバリエーション}} ; 百一式 : 「謎のモビルスーツ・パイロット」の乗機。{{Main|百式 (ガンダムシリーズ)#百一式}} ; アーガマ2 : [[アーガマ (ガンダムシリーズ)|アーガマ]]の後継艦として新造された新生エゥーゴの巡洋艦。艦長は[[ブライト・ノア]]。『ΖΖ』に登場する[[ネェル・アーガマ]]とは異なり、第1話から登場するとされている。 ; グワラン・フォートレス : スーパー・ジオンの要塞艦で、カーン・ジュニアの乗艦。[[グワジン|グワジン級]]の「グワラン」との関連性は不明。 == 小説 == 1987年6月号から『'''機動戦士Oガンダム [[音声多重]]アウトサイドストーリー'''』、1988年2月号から『'''機動戦士OガンダムII'''』のタイトルで連載された。作者は[[霜月たかなか]]、イラストは江口勇(1987年6月号〜)、南田操(1988年2月号〜)。 フェイク企画の「Oガンダム」から1年以上経った後、新たに『OUT』誌上で「Oガンダム」の小説連載が開始された。内容や設定は以前のものとは別物となり、物語も過酷な運命を背負った主人公兄妹の逃避行が中心となった。設定や構成は綿密に作られており、本家ガンダム小説にも劣らない出来に仕上がっていたが、単行本として発売されることはなかった。 内容は、[[武士道]]精神を(大幅に誤解した上で)基軸に据えた新勢力と、「マイナスの[[ニュータイプ]]」を持つゆえに敵に追われ、流浪を余儀なくされる兄妹の物語である。この小説で登場するOガンダムは、兄妹が敵から逃げるために奪ったモビルスーツという設定となっている。 主人公側は上記のような設定のため、重く暗い雰囲気をうかがわせるが、敵側の飛び抜けた設定(作中で「'''ブシドー!'''」と兵達が歓呼したり、モビルスーツの型名が「'''[[武士|ブシ]]'''」、「'''[[虚無僧|コムソ]]'''」、「'''[[大名|ダイミョウ]]'''」だったりするなど。これらのモビルスーツは本作と同じ[[スピンオフ]]作品である『[[Gの影忍]]』同様、[[時代劇]]に登場する武士や忍者などの姿をアレンジしたデザインになっている)により独特の世界が展開され、重い雰囲気を感じさせないストーリー展開となっている。また、明らかなパロディ設定として、[[スペースコロニー]]は[[慣性]]で自転しておらず、「コロニー回し」と呼ばれる作業によって回っていることになっている。 なお、タイトルの「音声多重」とはページの下の部分に脚注のような形で解説の「副音声」が記されていたことに由来する。 === 主な登場人物 === ;タロ・アサティ :本編の主人公。ガンダムΖΖの主人公[[ジュドー・アーシタ]]の姓を「明日」と読んで、「明後日」(あさって)の意で名づけられている。 ;ファナ・アサティ :タロの妹。兄のタロと合わせて「太郎と花子」から取られた名前と考えられるが、「副音声」では「ファナティックのファナ」と揶揄されている。 ;バトゥール・C・サルタン :元ジオン公国軍人。ジ・オウンの雇われパイロットとしてタロと敵対する。 :モビルスーツのエースパイロットであるが、敵(地球連邦軍)以上に味方をも撃墜しているため、「ジオンの[[オウンゴール|自殺点]]」「ジオンの[[キャプテン翼の登場人物#南葛中学校|石崎]]」との異名を持つ。また、姓の[[サルタン]]にちなみ、「赤い流星の[[シャー]]」というあだ名も持つ。 :本物は隻眼で眼帯をしているが、登場するバトゥールは偽物であり、眼帯の下にはちゃんと眼がある。その正体は、『ガンダムΖΖ』には登場しなかったとある重要人物である旨が示唆されているが、明言はされていない。 :名前の由来は、[[バトル|バトル(戦闘)]]・[[コンサルタント]]。 ;ヨイトモ・ミナモト :ジ・オウン軍総帥。タロ、ファナ兄妹の実の父親でもある。 :タロ、ファナ兄妹の本名は、タロ・ミナモト、ファナ・コ・ミナモトである。 ;ヴィナン・ユキノジョウ :ヨイトモ・ミナモト亡き後に、ジ・オウン軍残党を率いる。火星そのものを地球にぶつけるという「火星落とし」計画を実行しようとする。IIで登場。 ;ゲンサン博士 :火星在住の科学者、工学者。Oガンダムの設計を行った。IIで登場。 :<math>E \neq MC^2</math> の刺青をしている。[[相対性理論]]を否定し、独自の理論を構築・実践する。 ;ナニ :火星在住の少女。[[大阪弁]]で話す。本名は、ナニ・ワッコ。IIで登場。 === 設定 === ;ジ・オウン (The Own) :火星コロニーに本拠を持ち、[[武士道]]精神を(大幅に誤解した上で)基軸に据えた勢力。地球連邦に対し、各コロニー政府を藩とした[[幕藩体制]]への移行を要求し、宣戦を布告した。なお、連邦議会はこの宣戦布告を満場一致で爆笑し、丁重に無視した。 ;ニューロ・タイプ :負のニュータイプ。ニュータイプが精神、認識を身体の外部に拡大して知覚力を向上させるのに対し、意識を縮小(作中では主に気絶)し思考しないことによって反応速度を極限まで上げることが出来る人類。そのため、気絶状態で行動を起こせることがニューロタイプの絶対条件となる。相手の思考を察知して先手が取れるニュータイプも、思考しないニューロタイプの前では一般人と変わらない。その発現状態は、薄ら笑いを浮かべながらモビルスーツの操縦を行うといったものであり、「呪われたニュータイプ」との呼称もある。 === 登場兵器(小説) === ;Oガンダム :Grand Dummy(大型ダミー)計画(通常のモビルスーツよりはるかに巨大なハリボテのモビルスーツによって敵の戦意をくじくという計画)のために製造されたモビルスーツ。本体は通常モビルスーツのサイズであるが、大型のハリボテを動かすだけの出力を持ち、加速力や機動性にも優れる。 :IIにて、その強大な出力は搭載されている'''ミノフスキー粒子コンバーター'''(略称'''ミノリ'''コンバーター。掲載誌である月刊OUTの発行元である'''みのり書房'''とのダブルミーニング)にあることが明らかにされた。 ;ジム :[[ジム (ガンダムシリーズ)|ジム (GM)]]ではなく、事務用MSの'''JM'''。小説版冒頭に登場。 :所持しているのもビームスプレーガンではなく、ボールペンである。 ;ブシ :ジ・オウンの主力モビルスーツ。[[ザクII]]に酷似しているが、肩アーマーや脚部アーマーが肥大化しており、[[裃]]のシルエットになっている。なお、ジ・オウンの武士道精神に基づき、銃器は持たず、武装はヒート剣のみ。 :野戦用のノブシなどのバリエーションも存在する。 ;コムソ :ブシの頭部を円筒形の[[レーダードーム]]に換装した偵察型モビルスーツ。[[尺八]]の形状をしたビームサーベルを主武器とする。 ;ダイミョウ :重モビルスーツ。携帯するヒート剣がブシよりも多い。 :頭部にミサイルも搭載しているが、これは自決用。 ;トヤマ :ジ・オウン軍の旗艦である宇宙戦艦。乗員の給与が他の艦よりも厚遇されているため、「超時給戦艦」の異名を持つ。 :なお、ジ・オウン軍は船に「山」の名前を付けるのが慣習となっている。 == その他 == * のちに漫画『[[アウターガンダム]]』に「Oガンダム」「規格外(アウタに該当するMS)」が登場したが、本作との直接的な関連性は無い。また漫画『[[機動戦士ムーンガンダム]]』には「[[サイコガンダム#サイコ・ガンダムMk-IV G-ドアーズ|サイコガンダムMk-IV]]」というMSが登場するが、こちらも本作との関連性は無い。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Notelist}} === 出典 === {{Reflist}} {{ガンダムシリーズの書籍}} {{DEFAULTSORT:きとうせんしおおかんたむ}} [[Category:ガンダム]] [[Category:ロボットアニメのスピンオフ作品]] [[Category:ガンダムシリーズ小説作品|おおかんたむ]] [[Category:架空のアニメ作品]] [[Category:虚構記事]]
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