正規様相論理のソースを表示

[[論理学]]において、'''正規[[様相論理]]'''（せいきようそうろんり、''normal modal logic''）とは、以下の条件を満たす様相論理式（''modal formulas''）の集合 ''L'' である。

* 命題論理のすべての[[恒真式]]を含む。
* [[クリプキ・モデル|クリプキ]]スキーマ(<math>\Box(A\to B)\to(\Box A\to\Box B)</math>)のすべてのインスタンスを含む。
* 以下の規則の下で閉じている。
** 分離規則(''[[モーダスポネンス]]''): <math>A \to B, A \in L</math> ならば <math>B \in L</math>。
** 必然化規則: <math>A \in L</math> ならば <math>\Box A \in L</math>。

上記の条件を満たす最小の論理は'''K'''と呼ばれる。今日一般的に使用されている(哲学的な動機付けを持つ)様相論理のほとんど、例えば[[C・I・ルイス]]のS4や{{仮リンク|S5 (様相論理)|en|S5 (modal logic)|label=S5}}は、正規である(したがって'''K'''の拡張である)。しかし、いくつかの[[義務論理]]や[[認識論理]]は、クリプキスキーマを放棄することがあるため、正規ではない。

すべての正規様相論理は{{仮リンク|正則様相論理|en|Regular modal logic|label=正則}}であり、したがって{{仮リンク|古典様相論理|en|Classical modal logic|label=古典的}}である。

== 一般的な正規様相論理 ==
次の表は、一般的な正規様相システムをいくつか示したものである。表記法は、{{仮リンク|クリプキ意味論#一般的な様相公理スキーマ|en|Kripke_semantics#Common_modal_axiom_schemata|label=クリプキ意味論 § 一般的な様相公理スキーマ|preserve=1}}の表を参照のこと。いくつかのシステムのフレーム条件は簡略化されている。つまり論理は表に示されたフレームクラスに対して''健全かつ完全''であるが、より大きなフレームクラスに''対応''する可能性がある。

{| class="wikitable"
! 名前 !! 公理 !! フレーム条件
|-
! id="K" | K
| —
| すべてのフレーム
|-
! T
| T
| 反射的
|-
! K4
| 4
| 推移的
|-
! S4
| T, 4
| [[順序集合#前順序・半順序・全順序|前順序]]
|-
! S5
| T, 5 または D, B, 4
| [[同値関係]]
|-
! S4.3
| T, 4, H
| [[全擬順序]] (total preorder。[[推移関係]]や[[完全関係]]も参照)
|-
! S4.1
| T, 4, M
| 前順序, <math>\forall w\,\exists u\,(w\,R\,u\land\forall v\,(u\,R\,v\Rightarrow u=v))</math>
|-
! S4.2
| T, 4, G
| [[有向集合|有向]]前順序
|-
! [[証明可能性論理|GL]], K4W
| GL または 4, GL
| 有限な[[順序集合#狭義の順序|狭義の半順序]]
|-
! Grz, S4Grz
| Grz または T, 4, Grz
| 有限な[[順序集合#前順序・半順序・全順序|半順序]]
|-
! D
| D
| [[二項関係#集合上の関係|連続的]]
|-
! D45
| D, 4, 5
| 推移的、連続、かつユークリッド的
|}

==参考文献==
*Alexander Chagrov and Michael Zakharyaschev, ''Modal Logic'', vol. 35 of Oxford Logic Guides, Oxford University Press, 1997.

{{Logic-stub}}
{{DEFAULTSORT:せいきようそうろんり}}
[[Category:様相論理]]