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{{Expand English|Skewness|date=2024年5月}} [[確率論]]および[[統計学]]において、'''歪度'''(わいど、skewness)は、[[確率分布|分布]]の非対称性を示す指標である。[[日本産業規格]]では、'''ゆがみ'''、'''ひずみ'''(歪み)を確率密度関数または確率関数 ''f'' (''x'') のグラフが左右対称でないこと、ゆがみの程度を平均値まわりの 3 次モーメント ''µ''<sub>3</sub> と標準偏差 ''σ'' の 3 乗との比 ''µ''<sub>3</sub>/''σ''<sup>3</sup> と定義している{{sfn|JIS Z 8101-1 : 1999|loc=1.19 ゆがみ,ひずみ skewness }}。 分布の尖り<small>(とがり)</small>具合を示す指標である[[尖度]]<ref group="注釈">左右対称ならば歪度は 0 である。同様に正規分布ならば尖度は 0(別の定義によれば 3)である。しかし、明らかに歪度が 0 であるからといって左右対称ではないし、尖度が 0(別の定義によれば 3)であるからといって正規分布でもない。</ref>とともに用いる。歪みをもち、尖度が大きい金融データなどではこれらの指標を頻繁に用いる。 == 標準化 == [[確率分布]]の分布特性を示すためには、通常は[[期待値]]および[[分散 (確率論)|分散]]が用いられる。さらに、分布型の差を示す指標の一つに 3 次[[モーメント (数学)|モーメント]](3 乗の期待値)と 4 次モーメント(4 乗の期待値)とがある。これらのモーメントは、平均値と分散の影響を除くように[[標準化]]される。[[[平均|平均値]]は、位置尺度には依存しないが、スケール尺度(たとえば分散)に依存する。] 確率変数 ''X'' の期待値が ''μ''、分散が ''σ''<sup>2</sup> のとき、標準化確率変数 <math>Z = (X - \mu) / \sigma</math> は期待値 0、分散 1 となり、平均と分散の影響は除去される。 ''Z'' の 3 次モーメント <math>E (Z^3</math>) は歪度 <math>\beta_{1}^{1/2}</math> と呼ばれる。とくに標準正規確率変数の分布に歪みはなく、0 を中心として左右対称であるから歪度は 0 である。歪度の符号によって、正の歪みをもつ分布、負の歪みをもつ分布といわれる。 ''Z'' の 4 次モーメント <math>E (Z^4) - 3</math> は[[尖度]] ''β''<sub>2</sub> と呼ばれる。分散が ''σ''<sup>2</sup> である[[正規分布]]ならば、平均値まわりの 4 次モーメント <math>E (Z^4) - 3</math> は <math>3\sigma^4 - 3</math> であり、標準正規確率変数では <math>\beta_2 = 0</math> である。正負を基準にして、<math>\beta_2 > 0</math> の分布は'''急尖的分布'''と呼ばれ、正規分布よりも両裾が厚い分布になる。一方、<math>\beta_2 < 0</math> の分布は'''緩尖的分布'''と呼ばれ、正規分布よりも両裾が薄い分布になる。 たとえば[[対数正規分布]]に従う確率変数の歪度は正であり、尖度は常に 3 より大きい。 == 推定 == 一般に、平均まわりの ''k'' 次モーメント <math>E ((X - \mu)^{k})</math> は、''k'' 次の標本モーメントによって[[推定]]することができる。したがって、歪度と尖度は、原系列を標準化すれば 3 次の標本モーメント <math>b_1^{1/2}</math> および 4 次の標本モーメント <math>b_2</math> で推定できる。母分布が正規分布であるか否かを調べるためには、歪度と尖度が標準化された正規確率変数の値 0 と 3 に似るか否かを調べればよい([[ジャック–ベラ検定]])。[[ボウマン=シェントン]]<ref>Bowman, Kimiko O. and Shenton, LR. Biometrika, 1975.</ref>は、正規性検定の指標<ref group="注釈">Jarque-Bera</ref> :<math>JB = n\frac{b_1^2}{6} + n\frac{(b_2 - 3)^2}{24}</math> が、[[帰無仮説]]が正規分布である下で[[自由度]]が 2 の[[カイ二乗分布]]に漸近的に従うことを示した。 == 注釈 == {{Notelist}} == 出典 == <references/> == 参考文献 == * {{Cite book|和書|author=西岡康夫|year=2013|title=数学チュートリアル やさしく語る 確率統計|publisher=[[オーム社]]|isbn=9784274214073|ref={{sfnref|西岡}}}} * {{Cite book|和書|author=日本数学会|authorlink=日本数学会|year=2007|title=数学辞典|publisher=[[岩波書店]]|isbn=9784000803090|ref={{sfnref|数学辞典}}}} * {{Cite book|和書|year=1999 | title=JIS Z 8101-1:1999 統計 − 用語と記号 − 第1部:確率及び一般統計用語 | publisher=[[日本規格協会]] | publisherlink=kikakurui.com | url=http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html | ref={{sfnref|JIS Z 8101-1 : 1999}}}} * {{Cite book|和書|author=伏見康治|authorlink=伏見康治 |year=1942 |title=確率論及統計論 |publisher=[[河出書房]] |isbn=9784874720127 |url=http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/204| ref={{sfnref|伏見}}}} == 関連項目 == * [[平均]] * [[分散 (確率論)|分散]] * [[尖度]] * [[ジャック–ベラ検定]] - 歪度と尖度を用いた分布の正規性の検定手法 == 外部リンク == * [http://www.wessa.net/skewkurt.wasp Free Statistics Software (Calculator)] - データ列から、尖度と歪度に関する各種統計値を算出する。 {{DEFAULTSORT:わいと}} [[Category:確率論]] [[Category:統計量]] [[Category:数学に関する記事]]
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