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{{食の安全}}'''水分活性'''(すいぶんかっせい、{{lang-en|water activity}}、'''Aw''' と略される)とは[[食品]]中の自由[[水]]の割合を表す数値で食品の保存性の指標とされる。 == 概要 == 水分活性は食品を入れた密閉容器内の[[水蒸気]]圧(P)とその温度における純水の[[蒸気圧]](PO)の比で定義され、以下の式によって求められる。 {{Indent|'''Aw<nowiki>=</nowiki>P/PO'''}} 水分活性の値の範囲は0から1である(純水で1)。 == 熱力学的解釈== 溶液中における成分の[[化学ポテンシャル]] (chemical potential) は成分''j''の[[活量]] (activity) を用いて :<math>\mu = \mu_0+RT\ln a_{j}</math> で表され、[[溶媒]]の活量は ''p<sub>j</sub>''/''p<sub>j</sub>''*で求められる。溶媒が水の場合、これは水分活性に等しい。このように水分活性の熱力学的定義は水溶液における水の活量である。この定義から[[加水分解]]のような水との化学反応では水分活性が低下すると、[[反応Gibbs関数]] (reaction Gibbs function)<ref>P. W. Atkins, Physical chemistry, sixth ed., W. H. Freeman & Co, 1997, p. 216.</ref> ΔG が大きくなり、反応を妨げる方向に働くことがわかる。 == 水分吸着等温線 == 温度をパラメーターとし水分活性と[[含水率]]の関係を図示したものが水分吸着等温線でその関係式が水分吸着等温式である。乾燥工学ではここでいう水分活性を百分率で表示して[[相対湿度]]と呼び、与えられた相対湿度と平衡する[[含水率]]を[[平衡含水率]]という。一般的な[[吸着等温式]]として[[ラングミュアの等温吸着式|Langmuir式]]や [[吸着等温式#BETの吸着等温式|BET式]]が知られているが、穀物ではChen-Clayton式、Strohman-Yoeger式が適用される。この水分吸着等温式の含水率は乾量基準含水率である。Chen-Clayton式は、乾量基準含水率を <math>M_d</math>、絶対温度を {{mvar|T}} として、 <math>a_w=\exp\{-a \exp(-bM_d)\}</math> (ここで <math>a=f_1T^{g_1}</math>, <math>b=f_2T^{g_2}</math>)で示される。<math>f_1,\ f_2,\ g_1,\ g_2</math> は穀物の種類によって実験値から最小二乗法で決められる. {| class="wikitable" |+<math>f_1,\ f_2,\ g_1,\ g_2</math> の表<ref>農業機械学会編, 生物生産機械ハンドブック, 1996, p. 794.</ref> ! 種類 !!<math>f_1</math>!!<math>f_2</math>!!<math>g_1</math>!!<math>g_2</math> |- ! もみ | 0.901385×10<sup>3</sup> || -0.80936 || 0.267832×10<sup>-3</sup> || 0.11697×10 |- ! 玄米 | 0.870427×10<sup>-1</sup> || 0.83925 ||0.208477×10<sup>-4</sup> || 0.16161×10 |- ! 大麦 | 0.24748×10<sup>5</sup> || -1.4245 || 0.106771×10<sup>-2</sup> ||0.89693 |- ! 小麦 | 0.154043×10<sup>4</sup> ||-0.96480||0.988702×10<sup>-3</sup> ||0.90068 |- ! エンバク | 0.967209×10<sup>3</sup> ||-0.92470||0.168849×10<sup>-2</sup> ||0.80043 |- ! ライバク | 0.590968×10<sup>5</sup> ||-1.6216||0.711877×10<sup>-2</sup> ||0.54004 |- ! ソバ |0.289923×10<sup>6</sup> ||-1.8370 ||0.70220 ×10<sup>-4</sup> ||1.3633 |- ! トウモロコシ粒 | 0.143626×10<sup>7</sup> || -2.1113 || 0.494895×10<sup>-2</sup> || 0.64259 |- ! ダイズ | 0.171470×10<sup>2</sup> || -0.26541 || 0.144298×10<sup>-4</sup> || 0.15956×10 |- ! ハトムギ |0.922201×10<sup>2</sup> ||-0.35739|| 0.588557×10<sup>-5</sup> || 0.18931×10 |} この吸着等温式から次の [[クラウジウス-クラペイロンの式]](Clausius-Clapeyron Equation) {{Indent|<math>\frac{dp}{dT}=\frac{\sigma}{T(v_g-v_l)}</math><br /> <math> \sigma=\frac{dp}{dT}{T(v_g-v_l)}</math>}} によって吸着熱 ''σ'' が計算される。 == 意義 == 食品中には[[タンパク質]]、[[炭水化物]]等と結合した'''結合水'''と移動が容易な'''自由水'''が含まれている。食品中で[[微生物]]が繁殖するには適切な量の自由水が存在することが不可欠であり、食品中の[[水分]]活性を低下させる加工を行った場合、微生物の[[繁殖]]を抑制できる。微生物の種別により繁殖可能な水分活性は様々であるが、一般的な[[食中毒]][[菌]]で概ね0.900以上、乾燥や塩分に耐性を持つものでも0.800以上とされ、0.600以下になれば全ての微生物は繁殖が不可能になる。水分活性の測定には重量平衡法や蒸気圧法が用いられる。食品によっては水分活性が規格基準に取り入れられているものもある。水分活性を低下させる手法としては一般に以下のような方法が用いられる。 *食品に[[塩分]]、[[糖分]]などを溶解させる事により自由水の比率を下げる。([[塩漬け]]、[[砂糖漬け]]等) *食品の水分そのものを除去する(乾燥食品、[[燻製]]、[[干物]]等) == 出典 == <references /> == 関連項目 == *[[フリーウォーター]] *[[オイル内水分]] *[[腐敗]] {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:すいふんかつせい}} [[Category:分析化学]] [[Category:食科学]] [[Category:水]] {{Chem-stub}}
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