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水酸化カリウム
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{{出典の明記|date=2021-06-04 07:53(UTC)}} {{Chembox | Name = 水酸化カリウム | ImageFile = Potassium hydroxide.jpg | ImageSize = 200px | ImageName = pellets of potassium hydroxide | ImageFile1 = Potassium-hydroxide-xtal-3D-vdW.png | ImageSize1 = 200px | ImageName1 = crystal structure of KOH | IUPACName = 水酸化カリウム<br>Potassium hydroxide | OtherNames = 苛性カリ | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 1310-58-3 | RTECS = TT2100000 | UNNumber = 1813 | EINECS = 215-181-3 | SMILES = [K+].[OH-] | StdInChI = 1S/K.H2O/h;1H2/q+1;/p-1 | StdInChIKey = KWYUFKZDYYNOTN-UHFFFAOYSA-M }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = KOH | MolarMass = 56.10564 g mol<sup>−1</sup> | Appearance = 潮解性の白色固体 | Density = 2.044 g cm<sup>−3</sup>, 固体 | Solubility = 1100 g/dm<sup>3</sup> (25 ℃) | MeltingPt = 360 ℃ | BoilingPt = 1320 ℃ }} | Section3 = {{Chembox Structure | Coordination = 八面体 | CrystalStruct = 単斜晶系 }} | Section4 = {{Chembox Thermochemistry | DeltaHf = −424.764 kJ mol<sup>−1</sup> | DeltaHc = | Entropy = 78.9 J mol<sup>−1</sup>K<sup>−1</sup> | HeatCapacity = 64.9 J mol<sup>−1</sup>K<sup>−1</sup> }} | Section7 = {{Chembox Hazards | GHSPictograms = {{GHS05}}{{GHS07}}<ref name="pubchemsds">{{Sigma-Aldrich|id=757551|name=Potassium hydroxide|accessdate=2014-05-18}}</ref> | GHSSignalWord = Danger | HPhrases = {{H-phrases|302|314}}<ref name="pubchemsds" /> | PPhrases = {{P-phrases|260|264|270|280|301+312|301+330+331|303+361+353|304+340|305+351+338|310|321|330|363|405|501}}<ref name="pubchemsds" /> | NFPA-H = 3 | NFPA-F = 0 | NFPA-R = 0 | NFPA-O = ALK <!--旧規格のため、隠しました。--><!--| EUClass = 腐食性('''C''') | RPhrases = {{R22}} {{R35}} | SPhrases = {{S1/2}} {{S26}}{{S36/37/39}} {{S45}}--> | FlashPt = なし }} | Section8 = {{Chembox Related | OtherAnions = [[酸化カリウム]]; [[過酸化カリウム]]; [[超酸化カリウム]] | OtherCations = [[水酸化リチウム]]; [[水酸化ナトリウム]]; [[水酸化ルビジウム]]; [[水酸化セシウム]]}} }} '''水酸化カリウム'''(すいさんかカリウム、{{lang-en-short|potassium hydroxide}})は硬くてもろい白色の[[結晶]]で、[[カリウム]]の[[水酸化物]]であり、[[カリウムイオン]]と[[水酸化物イオン]]よりなる[[イオン結晶]]である。'''苛性カリ'''(かせいカリ、{{lang-en-short|caustic potash}})とも呼ばれる。 [[化学式]]は KOH であり、[[式量]]は 56.11 である。[[塩化カリウム]]の[[水溶液]]を[[電解]]して得られる。製造過程において水分を完全に除去することが出来ない。市販品はKOH含有量85%程度のものが多く、[[無水物]]と一[[水和物]](KOH·H<sub>2</sub>O)との混合物であり、多少の[[炭酸カリウム]]も含まれる。 == 性質 == [[潮解]]性があり、水、[[エタノール]]によく溶け、水溶液は[[強塩基|強いアルカリ性]]を示す。[[タンパク質]]に対し強い[[腐食性]]があるため、[[毒物及び劇物取締法]]で[[劇物]]に指定されている。 [[水和]]熱および水に対する[[溶解熱]]は[[水酸化ナトリウム]]より大きく以下の通りである<ref name=Parker>D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982)</ref>。 :<chem>{KOH(s)} + H2O(l) <=> KOH \cdot H2O(s)</chem>, <math> \mathit{\Delta} H^\circ = -38.31 \mbox{kJ mol}^{-1}</math> :<chem>KOH(s) <=> {K^+(aq)} + OH^-(aq)</chem>, <math> \mathit{\Delta} H^\circ = -57.61 \mbox{kJ mol}^{-1}</math> [[水酸化ナトリウム]]よりも[[アルカリ]]としての強度が大であるが,[[カリウム]]製品を得る場合を除き,無機化学工業では安価で性質のよく似た[[水酸化ナトリウム]]でしばしば代用される。実際の反応では強度の違いが表面化することもある。例えば、[[ベンゼンスルホン酸]]塩をアルカリ融解する際、水酸化ナトリウムだけではほとんど進行しないが、水酸化カリウムを1/3程度加えると速やかに完了する。また、[[油脂]]の[[鹸化]]は水酸化ナトリウム水溶液では時間がかかるが、水酸化カリウムは[[アルコール]]に溶けやすく、均一になって容易に進む。 これは希薄水溶液中では[[水平化効果]]により[[塩基性]]の差はほとんど見られないが、濃厚水溶液では水酸化ナトリウムよりも[[活量]]が著しく増大し、[[熔融塩]]も同様であるためその差が顕著に現れ、この現象は[[ナトリウムイオン]]よりも[[カリウムイオン]]のほうが[[イオン半径]]が大きく、[[水酸化物イオン]]との相互作用が小さく、より強い塩基性が発揮できるためである。 多くの塩基に見られる通り[[二酸化炭素]]を吸収する性質を持ち、その能力は固体および濃厚水溶液において水酸化ナトリウムより強く、これは生成した炭酸カリウムの水に対する[[溶解度]]が[[炭酸ナトリウム]]より大きいためである。 :<chem>2KOH + CO2 -> K2CO3 + H2O</chem> 陸上生物は生体内に[[カリウム]]を濃縮するため、古来は植物を燃焼させた灰がカリウム資源であった。今日は岩塩鉱の副産物(複塩)など鉱物がカリウム資源となっている。日本国はカリウムの鉱物資源を持たず、カリウム化合物は輸入に頼らざるを得ない。ナトリウムに比べると産出量が少ないため、概ねカリウム化合物はナトリウム化合物より高価である場合が多い。(例外:[[過マンガン酸ナトリウム]]等) == 用途 == 水酸化ナトリウムよりも水酸化カリウムの方が塩基性が強いので、[[加水分解]]などでより強い塩基性が必要とされる場合は、水酸化カリウムが使用される。油脂の[[鹸化価]]を滴定により調べるには、[[フェノールフタレイン]]を[[指示薬]]として[[エタノール]]に油脂を溶かして温め、水酸化カリウムのエタノール溶液を滴下する。水酸化ナトリウムはエタノールに溶けにくく、反応速度も小さいので用いられず、鹸化価の定義には KOH の式量が含まれる。 一般用途としては、廃油・毛髪による配管詰まりの洗浄剤や、[[石鹸]]の材料として用いられる。水酸化ナトリウムは固形[[石鹸]]の材料であり、水酸化カリウムは液体石鹸の材料となる。 その強い塩基性を直接利用し、[[苛性ソーダ]]([[水酸化ナトリウム]])や[[界面活性剤]]と合わせて、洗浄剤として用いた製品もある。強烈な油汚れやタバコのヤニに対しては大変優れた洗浄力を示すが、物性が危険なため、専ら空調業界や[[クリーニング]]業界向けの業務用製品である。 [[炭酸カリウム]]の原料としても重要である。[[医薬品]]の製造にも用いる。 水酸化カリウム(固体+液体)の2008年度日本国内生産量は 136,272 t、消費量は 28,044 t である<ref>[https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/08_seidou.html#menu5 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編]</ref>。 [[ドクツルタケ]]と[[シロタマゴテングタケ]](前者は溶液を付けると黄変するが後者は変色しない)など、一部の[[キノコ]]の判別、皮膚科では[[ヒト]]から採取した皮膚組織を溶かして、[[菌類]]に感染しているか検査する方法([[皮膚病変KOH試験]])にも用いられる。 == 脚注 == <references /> == 関連項目 == * [[水酸化ナトリウム]] {{カリウムの化合物}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:すいさんかかりうむ}} [[Category:水酸化物]] [[Category:カリウムの化合物]] [[Category:劇物]]
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