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{{Chembox | ImageFile = Caesium hydroxide.jpg | ImageSize = 200px | IUPACName = 水酸化セシウム<br>Caesium hydroxide | OtherNames = 水酸化セシウム(I) | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 21351-79-1 | CASOther = 35103-79-8(一水和物) }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = CsOH | MolarMass = 149.9128 g mol<sup>-1</sup> | Appearance =無色の固体, [[吸湿性]] | Density = 3.675 g cm<sup>−3</sup>, 固体 | Solubility = 395 g/100 cm<sup>3</sup> (15 ℃) | MeltingPt = 272.3 ℃ | BoilingPt = 990 ℃ }} | Section4 = {{Chembox Thermochemistry | DeltaHf = −417.23 kJ mol<sup>-1</sup><ref name=Parker>D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).</ref> | Entropy = 98.74 J mol<sup>-1</sup>K<sup>-1</sup> }} | Section7 = {{Chembox Hazards | ExternalSDS = {{ICSC-small|1592}} | MainHazards = '''C''': [[腐食性]] |- | RPhrases = {{R22}}, {{R35}} | SPhrases = {{S26}}, {{S36/37/39}}, {{S45}} }} | Section8 = {{Chembox Related | OtherAnions = | OtherCations = [[水酸化リチウム]]; [[水酸化ナトリウム]]; [[水酸化カリウム]]; [[水酸化ルビジウム]] }} }} '''水酸化セシウム'''(すいさんかセシウム、Caesium hydroxide / Cesium hydroxide、CsOH)は、[[セシウム]]の[[水酸化物]]であり、[[水溶液]]中では最も著しい[[強塩基]]の一種である。 無水物および一水和物が存在するが、純度95%程度の一水和物(CsOH含有率約85%)が市販されており、水に対する強い親和力のため水和物から水を除くことは困難である。[[水酸化カリウム]]と同程度あるいはそれ以上の強塩基であるにも拘わらず、現在のところ日本の法令による劇物としての指定はない。 == 合成 == 金属セシウムを水と反応させると水溶液として得られるが、この反応はたとえ少量であっても爆発的で極めて危険である。[[氷]]でさえ−116 °C以上で反応し得る。 : <chem> 2Cs + 2H2O -> 2CsOH + H2</chem> [[硫酸セシウム]]水溶液に、計算量の[[水酸化バリウム]]水溶液を加えることにより、生じた[[硫酸バリウム]]の沈殿を除くこと、すなわち[[複分解]]で水溶液が得られる。 : <chem>{Cs2SO4} + Ba(OH)2 -> {2CsOH} + BaSO4 \downarrow</chem> == 性質 == 無色の極めて[[潮解性]]の強い[[固体]]であり、セシウムイオンおよび[[水酸化物イオン]]よりなる[[イオン結晶]]である。水に対する[[溶解度]]、[[水和]]熱および溶解熱は[[アルカリ金属]]の水酸化物の中で最大であり<ref name=Parker /><ref>水酸化フランシウムFrOHが存在するならば、さらに[[塩基]]として強力であることが予想されるが、[[フランシウム]]自体は不安定核種しか存在せず、最も[[半減期]]の長い[[同位体]]<sup>223</sup>Frであっても22分程度であるため、化学的性質がセシウムと類似し、同様に挙動することが判っている程度である。</ref>、これは塩基強度が最も大きいことに関係する。 :<chem>{CsOH(s)} + H2O(l) <=> CsOH \cdot H2O(s)</chem>, <math> \mathit{\Delta} H^\circ = -50.98 \mbox{kJ mol}^{-1}</math> :<chem>CsOH(s) <=> Cs^+(aq) + {OH^-}(aq)</chem>, <math> \mathit{\Delta} H^\circ = -71.04 \mbox{kJ mol}^{-1}</math> [[メタノール]]および[[エタノール]]などの[[プロトン性溶媒]]に対しても易溶性である。 一般的な性質は[[水酸化ナトリウム]]および水酸化カリウムなど他のアルカリ金属の水酸化物に類似し、水溶液中ではほとんど完全に[[電離]]するなど希薄水溶液中の塩基強度に差はほとんど認められないが、濃厚溶液および融解状態では著しく差が現われ、より強い塩基性となる。これはセシウムイオンの[[イオン半径]]が大きく、水酸化物イオンとの[[静電気力|静電的]]相互作用が小さいため塩基性を充分に発揮できるためである<ref name=tanaka>田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年</ref>。 気相中では他のアルカリ金属の水酸化物と同様に主に二量体(CsOH)<sub>2</sub>を形成し、気相中におけるプロトン親和力は[[水酸化リチウム|LiOH]]からCsOHにかけて増大することが知られ、その差は溶媒効果で[[減少]]するような[[水]]を始めとする[[極性溶媒]]中よりも顕著に現われる<ref name=Cotton> F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年,原書:F. ALBERT COTTON and GEOFFREY WILKINSON, Cotton and Wilkinson ADVANCED INORGANIC CHEMISTRY A COMPREHENSIVE TEXT Fourth Edition, INTERSCIENCE, 1980.</ref>。 固体および水溶液は[[二酸化炭素]]を吸収し、生成する[[炭酸セシウム]]も水に対する溶解度が高いため、吸収力はより強く、また[[ガラス]]を徐々に腐食するなど一般の強塩基に見られる性質を顕著に示す。 :<chem>2CsOH + CO2 -> Cs2CO3 + H2O</chem> == 用途 == 強塩基としての用途となるが、性質としては水酸化カリウムなどにほとんど類似し多くの場合これで間に合い、またセシウム化合物は高価であるため研究用および特殊な用途に限られる。工業的には[[ポリウレタン]]の原料である、ポリオールの合成[[触媒]]として用いられる。また[[単結晶]][[シリコン]]の[[エッチング]]液として用いられ、主に[[結晶]]の[[正八面体]]平面([[ミラー指数|[111]面]])を露出させるような[[異方性]]の高いエッチングに用いられる。この異方的なエッチング作用は水酸化カリウムなどで行うよりも、より顕著となる。 == 脚注・参考文献 == {{脚注ヘルプ}} {{reflist}} == 関連項目 == * [[強塩基]] == 外部リンク == * [http://www.jaish.gr.jp/anzen/gmsds/0812.html 安全衛生情報センター 水酸化セシウム] 製品安全データシート MSDS * {{ICSC|1592}} {{セシウムの化合物}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:すいさんかせしうむ}} [[Category:水酸化物]] [[Category:セシウムの化合物]]
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