求核置換反応のソースを表示
←
求核置換反応
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
'''求核置換反応'''(きゅうかくちかんはんのう)とは、反応の中心となる[[求電子剤]]に対して[[求核剤]]が求核攻撃し、[[脱離反応|脱離基]]が脱離する反応。求核置換反応の生成物は、求電子剤と求核剤の結合物と脱離した脱離基である。 本項目では、脂肪族炭素上における求核置換反応を扱う。sp<sup>3</sup>炭素上の置換反応の場合、反応の形態によって '''[[二分子求核置換反応|S<sub>N</sub>2反応]]''' と '''[[一分子求核置換反応|S<sub>N</sub>1反応]]''' などが知られる。芳香族炭素上の反応は[[芳香族求核置換反応]]を、カルボン酸誘導体の置換反応は[[求核アシル置換反応]]を参照のこと。 == S<sub>N</sub>2反応 == {{Main|二分子求核置換反応}} S<sub>N</sub>2反応は、求核試薬が炭素原子に対して、脱離基の背面から攻撃することで反応が始まる。 これにより中心の炭素は求核剤、脱離基が同軸方向にある三方両錘型の[[遷移状態]]となり、ここから脱離基が抜けることで反応が終了する。このため、生成物の立体化学は反転する(このことを'''[[ヴァルデン反転]]'''という)。この機構は IUPAC命名法では A<sub>N</sub>D<sub>N</sub> と表記される。 :[[ファイル:SN2_reaction_mechanism.png|496px]] 2008年に Wester らは [[ヨードメタン]]と塩化物イオンとの反応を気相中で衝突させる実験を通し、上式の機構を支持する結果を報告した。さらに彼らは両化学種を高いエネルギーで衝突させたとき、ヨードメタンの分子が衝突から置換の間に1回転する "roundabout" 機構が併発することを示す実験結果を、計算による解析と合わせて報告した<ref>Mikosch, J.; Trippel, S.; Eichhorn, C.; Otto, R.; Lourderaj, U.; Zhang, J. X.; Hase, W. L.; Weidemüller, M.; Wester, R. ''Science'' '''2008''', ''319'', 183-186. DOI: [https://doi.org/10.1126/science.1150238 10.1126/science.1150238]</ref>。 === 反応速度 === S<sub>N</sub>2反応は、[[基質 (化学)|基質]]に求核試薬が衝突して反応するとき1段階で反応する。基質の濃度を2倍にすると反応速度は2倍になり、同様に求核試薬の濃度を2倍にしても反応速度は2倍になる。一般的に、[[速度定数]]をkとすると、次の式が成り立つ。 :反応速度=k[基質][求核試薬] このように、S<sub>N</sub>2反応の[[反応速度#2次反応|反応速度]]は基質と求核試薬の[[濃度]]に依存し、反応速度は2次の速度式で表される。このためこの反応は二分子的(bimolecular)である。 === 反応性 === S<sub>N</sub>2反応は脱離基の背面から攻撃するので、脱離基の背面に大きな置換基があると反応性は低くなる。一般に三級の炭素はS<sub>N</sub>2反応を行わない。 : <chem>(CH3)3C-X \ll (CH3)2CH-X < CH3CH2-X \ll CH3-X</chem> === 溶媒の効果 === S<sub>N</sub>2反応は、[[アセトン]]や[[ジエチルエーテル]]などのような[[極性]]の高い原子と水素原子が直接結合しない([[水素結合]]しない)[[非プロトン性極性溶媒]]を好んで用いられる。ほかにも[[N,N-ジメチルホルムアミド|DMF]]や[[ジメチルスルホキシド|DMSO]]などの溶媒が用いられることがしばしばある。 == S<sub>N</sub>1反応 == {{Main|一分子求核置換反応}} 脱離基が三級炭素上にある基質を[[プロトン性溶媒]]に溶かすと、平面状の[[カルボカチオン]]が得られる。これに求核試薬が攻撃する。求核攻撃はカルボカチオンのどちら側からも起こるので、生成物の中心炭素の[[立体配置|絶対配置]]は決まらず、[[ラセミ体]]となる。(なお、カルボカチオンの生成の段階で、脱離基がカルボカチオンの近傍に存在するため、生成物は完全にはラセミ体とはならず、一部がラセミ化した状態となる。これを部分ラセミ化と呼ぶ。)この機構は IUPAC命名法では D<sub>N</sub> + A<sub>N</sub> と表記される。 :[[ファイル:SN1_reaction_mechanism.png|358px]] === 反応速度 === 基質からの脱離基の解離は最初の段階である[[律速段階]]で起こり、カルボカチオンへの求核試薬の攻撃は速い反応である。よって、S<sub>N</sub>1反応の反応速度は基質の濃度だけに依存し、求核試薬の濃度には無関係である。一般的に、[[速度定数]]をkとすると、次の式が成り立つ。 :反応速度=k[基質] このように、[[反応速度#1次反応|反応速度]]は1次の速度式で表され、反応の速度が1種類の物質(基質)の濃度しか関係しないのでこの反応は単分子的 (unimolecular) である。 === 反応性 === S<sub>N</sub>1反応は一般に第3級炭素上、あるいは[[ベンジル基|ベンジル位]]や[[アリル基|アリル位]]で起こる。カルボカチオンの安定化がなければ S<sub>N</sub>2反応が優先して起こるためである。特にハロゲン化メチル CH<sub>3</sub>-X はほとんど S<sub>N</sub>1反応を行わない。 : <chem>R3C-X > R2CH-X \gg RCH2-X \gg CH3-X</chem> この反応性を利用して S<sub>N</sub>1反応は第1級、第2級、第3級アルコールの検出に使われる。 === 溶媒の効果 === S<sub>N</sub>1反応は、[[水]]や[[メタノール]]、[[酢酸]]などのような水酸基(-OH基)を持ち、[[水素結合]]の水素供与体となる、[[プロトン性極性溶媒]]を好んで用いられる。これはイオン性化合物の陽イオンと陰イオンの両方を溶媒和するためである。 == その他の機構 == === S<sub>N</sub>i機構 === [[塩化チオニル]]により[[アルコール]]を塩素化するとき、生成物の立体化学は保持される。これは塩化チオニルとアルコールがいったん結合してクロロ亜硫酸エステルとなった後、酸素の脱離と塩素の攻撃が同じ側で起こる。この機構は S<sub>N</sub>i機構と呼ばれ、IUPAC命名法では D<sub>N</sub> + D + A<sub>N</sub> と表記される<ref name="IUPAC">大木道則、内田章訳「有機化学変換のIUPAC命名法」大阪大学出版会、1999年。 ISBN 4-87259-183-6</ref> 。ほか、[[クロロギ酸エステル]]の脱炭酸は S<sub>N</sub>i機構であることが知られる<ref name="March">Smith, M. B.; March, J. ''March's Advanced Organic Chemistry'' 6th ed. WILEY, 2007, chapter 10.</ref>。 [[ファイル:説明 塩化チオニルの塩素化.png|center]] === アリル転位 === アリル位に脱離基を持つ基質では、求核剤がsp<sup>2</sup>炭素に攻撃して二重結合の転位を引き起こしながら脱離基を追い出す形式の置換反応が起こる。この機構はアリル転位と呼ばれ、S<sub>N</sub>1' や S<sub>N</sub>2' など、「'」を添えて表される<ref name="March" />。前者はアリルカチオン中間体を経る機構、後者は求核攻撃と脱離基の脱離が協奏的に起こる機構である。IUPAC命名法で S<sub>N</sub>1'機構 は 1/D<sub>N</sub> + 3/A<sub>N</sub> と、S<sub>N</sub>2'機構 は 3/1/A<sub>N</sub>D<sub>N</sub> と表記される<ref name="IUPAC" />。 :[[ファイル:Allylic SN1 rearrangement.svg|444px|SN1'反応]] :[[ファイル:Allylic SN2 rearrangement.svg|248px|SN2'反応]] == 関連項目 == * [[置換反応]] ** [[芳香族求核置換反応]] ** [[求核アシル置換反応]] ** [[求電子置換反応]] ** [[ラジカル置換反応]] * [[脱離反応]] * [[付加反応]] == 脚注 == {{Reflist}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:きゆうかくちかんはんのう}} [[Category:置換反応]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Main
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Normdaten
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Reflist
(
ソースを閲覧
)
求核置換反応
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報