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{{Expand English|Quadrature (mathematics)|date=2021年1月}}
'''求積法'''（きゅうせきほう、{{lang-en-short|quadrature}}）とは、[[定積分]]を求める方法のこと<ref>マグローヒル数学用語辞典編集委員会編集『マグローヒル数学用語辞典』[[日刊工業新聞社]]、2001年 ISBN 978-4526048395</ref>。特に、[[平面]]上の[[領域 (解析学)|領域]]や[[曲面]]の[[面積]]を求める方法を意味することもある。

[[微分方程式]]論においては、有限回の[[不定積分]]を用いて[[常微分方程式]]の解を表す方法を意味する<ref>岩波数学辞典, p. 1223.</ref><ref>大貫&吉田, pp. 90-91.</ref>。求積法で解くことができる常微分方程式は限られているが、例えば一階線型常微分方程式や[[クレローの方程式]]は求積法で解ける。

== 語源 ==
英語の quadrature は[[正方形]]を意味する[[ラテン語]] ''quadratum'' に由来する<ref name="Schwartzman">{{Cite book |last=Schwartzman |first=Steven |date=1994 |title=The Words of Mathematics: An Etymological Dictionary of Mathematical Terms Used in English |publisher=Mathematical Association of America|isbn=0-88385-511-9 |page=178}}</ref>。これは quadrature が与えられた領域と等しい面積を持つ正方形を見つけることを意味していたためである<ref name="Schwartzman"/>。
 
== 微分方程式の解法例 ==
次の1階常微分方程式（''F'' は任意の関数）
{{Indent|<math>\frac{ d y }{ d x } = F ( y )</math>}}
は求積法により解くことができる<ref name="大貫吉田91">大貫&吉田, p. 91.</ref>。上式を <math>\frac{ dy }{ F ( y ) } = dx</math> と書き換え（[[変数分離]]も参照）、両辺の不定積分を求めることで
{{Indent|<math>\int \frac{ d y }{ F ( y ) } = x - x_0</math>}}
を得る（''x''<sub>0</sub> は積分定数）。左辺の不定積分の逆関数を ''&phi;'' とすれば、陽な解の表示 <math>y = \phi ( x - x_0 )</math> が求まる<ref name="大貫吉田91"/>。

== 求積法で解ける主な1階常微分方程式 ==
===1階線形常微分方程式===    <!-- ★ 1階線形常微分方程式 (コメント)  --> 
<ref name="iwanami1722">岩波数学辞典, p. 1722.</ref>
{{Indent|<math> \frac{\,dy\,}{dx}+p(x)y+q(x)=0.</math>}}   <!--  ★  dy/dx+p(x)y+q(x)=0. (コメント)  --> 
一般解は，''C'' を積分定数として， 
{{Indent|<math> y=\exp \left(-\int p(x)\,dx\right) \left[\, C-\int \left\{ q(x)\exp \left(\int p(x)\,dx\right) \right\} dx \right]</math>}}
で与えられる。

===同次常微分方程式===  <!-- ★ 同次常微分方程式 (コメント)  --> 
<ref name="iwanami1722" />
{{Indent|<math> \frac{\,dy\,}{dx}=f\left(\frac{\,y\,}{x}\right).</math>}}   <!-- dy/dx=f(y/x)。 (コメント)  --> 
この同次常微分方程式 ''dy/dx=f''(''y/x'') に対して，''y=ux'' とおけば，同次常微分方程式が
::<math> \frac{\,du\,}{dx}=\frac{\,f(u)-u\,}{x}</math> 
となり，変数分離形になる。この積分を計算すると，同次常微分方程式の一般解は，
{{Indent|<math>x=C\exp\left[\int \frac{du}{\;f(u)-u\;}\, \right], \; \;  \;  \; \; \left( u=\frac{\,y\,}{x} \right)</math>}}
で与えられる。''C'' は積分定数である。
                   <!-- (コメント) ★ 同次常微分方程式， (コメント)  --> 
                   <!-- (コメント) ★ 数学辞典・第四版のミスプリントの注釈を入れるか？　(コメント) --> 
 
===Bernoulli 型の常微分方程式===   <!-- ★ （Bernoulli） (コメント)  --> 
<ref name="iwanami1722" />
{{Indent|<math> \frac{\,dy\,}{dx}+p(x)y+q(x)y^n=0, \; \; \; \; \; (n \ne{} 0, \; 1).</math>}}
   <!--dy/dx+p(x)y+q(x)y^n=0 (n \ne 0,1) (コメント)  --> 
この式に対して，''z'' = ''y''<sup>1 &minus; n</sup> とおくと，
::<math> \frac{\,dz\,}{dx}+(1-n)p(x)z+(1-n)q(x)=0</math>
となり，''z'' に関する1階線形常微分方程式に帰着する。 
                  <!-- (コメント)  ★   Bernoulli 型の常微分方程式， (コメント)  -->
 
===Clairaut型の常微分方程式===   <!--  ★ （Clairaut） (コメント)  --> 
<ref name="iwanami1723">岩波数学辞典, p. 1723.</ref>
{{Indent|<math>y=xp+f(p), \; \; \; \; \Bigl(p \equiv \frac{\,dy\,}{dx}\Bigr).</math>}}   <!-- y=xp+f(p) (p≡dy/dx)。(コメント)  --> 

一般解は ''y=Cx+f''(''C'') という直線族。
特異解はその直線族の包絡線であって，もとの方程式 ''y = xp + f''(''p'') と ''x'' + {{sfrac|''df''(''p'')|''dp''}}  = 0 から ''p'' を消去して得られる。
            <!-- ★  Clairaut型の常微分方程式，  (コメント)  --> 

===Lagrange型の常微分方程式===
            <!--  ★ [ジョゼフ＝ルイ・ラグランジュ仏: Joseph-Louis Lagrange)]   (コメント) -->
<ref name="iwanami1723" />
{{Indent|<math>y=x\varphi(p)+\psi(p), \; \; \; \; \Bigl(p \equiv \frac{\,dy\,}{dx}\Bigr).</math>}}
            <!-- y=x\varphi(p)+\psi(p) (コメント)  --> 
この式の両辺を ''x'' で微分すると，''x'', ''p'' に関する 1 階線形常微分方程式，
::<math>[\varphi(p)-p]\frac{\,dx\,}{dp}+ \frac{\,d\varphi(p)\,}{dp}x + \frac{\,d\psi(p)\,}{dp} =0</math> 
となり，この解と，もとの方程式 ''y=x''&phi;(''p'')+&psi;(''p'') から ''p'' を消去すれば一般解が得られる。または ''p'' を媒介変数と考えてもよい。なお，この方程式は、ダランベール（d'Alembert）の微分方程式とも呼ばれる。
            <!-- Lagrange型の常微分方程式 (コメント)  --> 

===Riccati型の常微分方程式===  <!--  ★ （Riccati） (コメント)  --> 
<ref name="iwanami1722"/>
{{Indent|<math> \frac{\,dy\,}{dx}+ay^2 = bx^m.</math>}}   <!-- dy/dx+ay^2=bx^m, (コメント)  --> 
この常微分方程式は，''m'' = &minus;2，''m'' = {{sfrac|4''k''|1 &minus; 2''k''}} の場合に求積法で解ける。ただし，''k'' は整数。  
{{詳細記事|リッカチの微分方程式|ベッセル関数}}

===完全微分方程式===   <!--  ★ 完全微分方程式 (コメント)  --> 
<ref name="iwanami1722"/>
{{Indent|<math> P(x,\; y)dx+Q(x,\; y)dy=0. </math>}}

上記の微分方程式において， ''P''(''x'', ''y'')''dx''+''Q''(''x'', ''y'')''dy''=0 の左辺が完全微分式（完全微分形式）の場合，解ける条件は，
::<math> \frac{\;\partial{P}\;}{\partial{y}} = \frac{\;\partial{Q}\;}{\partial{x}} </math>
である。一般解は，
::<math> \int P \, dx + \int \left(Q - \frac{\partial}{\partial{y}} \int P \, dx \right)\,dy =C</math>
と表示できる。''C'' は積分定数である。

== 脚注 ==
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* [[日本数学会]]編『岩波数学辞典』第4版、[[岩波書店]]、2007年 ISBN 978-4000803090
* {{Cite book |和書 |author1=大貫義郎 |author2=吉田春夫 |authorlink1=大貫義郎  |year=1997 |title=岩波講座 現代の物理学〈1〉力学 |publisher=岩波書店 |edition=第2刷 |isbn=4-00-010431-4}}

== 関連項目 ==
* [[変数分離]]
* [[微分方程式]]
* [[常微分方程式]]
* [[線型微分方程式]]
* [[数値積分]]

{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:きゆうせきほう}}
[[Category:微分方程式]]
[[Category:数学に関する記事]]