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[[File:Arclength.svg|400px|right|thumb|[[弧長]]汎函数はその定義域として長さ有限な曲線のベクトル空間(<math>C([0,1],\mathbb{R}^3)</math>の部分空間)を持ち、実数のスカラーを出力する。これは非線形汎函数の一例である。]] [[File:Integral as region under curve.svg|thumb|right|[[リーマン積分]]は<math>\mathbb{R}</math>から<math>\mathbb{R}</math>のリーマン可積分な関数のベクトル空間上の[[線型汎函数]]である。]] [[数学]]の特に[[函数解析]]や[[変分法]]における'''汎函数'''(はんかんすう、{{lang-en-short|''functional''}})は、[[ベクトル空間]]からその係数[[可換体|体]]あるいは実数値[[函数 (数学)|函数]]の空間への写像のことを指して言う。言い換えると、ベクトルを入力引数とし、[[スカラー]]を返す函数である。よくある状況として、考えるベクトル空間が函数の空間のときには函数を入力の引数としてとるので、汎函数のことを「函数の函数」と考えることもある。変分法において汎函数の使用は、ある種の汎函数を最小化する函数を求めることから始まった。[[物理学]]への特別に重要な応用として、{{仮リンク|エネルギー汎函数|en|energy functional}}を最小とする系の状態を探すことがある。 == 例と導入 == === 双対性 === 函数 <math>f(x_{0})</math>が与えられているとき、これを <math>f</math> を止めて<math>x_0</math> を <math>f</math> の引数と見た写像 : <math>x_0\mapsto f(x_0)</math> と理解することができるが、それと同時に <math>x_{0}</math> を止めて <math>f</math> が動くものと見た : <math>f\mapsto f(x_0)</math> は'''汎函数'''である。このとき <math>x_0</math> は[[媒介変数|パラメータ]]と理解することができる。 <math>f</math> が[[線型空間]]からその係数体への線型写像ならば、上に挙げた二つの写像は互いに[[双対対|双対]]な線型写像となるので、函数解析においてはいずれも[[線型汎函数]]と呼ぶ。 === 定積分 === [[定積分]]は汎函数の特殊なクラスを与える。例えば :<math>f\mapsto I[f]=\int_{\Omega} H(f(x),f'(x),\ldots)\;\mu(dx)</math> の形の定積分は、''H'' が実数値のとき、函数 ''f'' をある実数(積分値)へ写すので汎函数になっている。定積分が与える汎函数の例として * 正値函数 ''f'' のグラフの下の部分の面積: <math>f\mapsto\int_{x_0}^{x_1}f(x)\;dx</math> * 函数の{{仮リンク|Lpノルム|label=''L''<sup>''p''</sup> ノルム|en|Lp norm}}: <math>f\mapsto \left(\int|f|^p\;dx\right)^{1/p}</math> * 2-次元ユークリッド空間内の曲線の弧の長さ: <math>f \mapsto \int_{x_0}^{x_1} \sqrt{ 1+|f'(x)|^2 } \;dx</math> などを挙げることができる。 === ベクトルのスカラー積 === ベクトル空間 <math>X</math> の任意のベクトル <math>\vec{x}</math> に対し、他のベクトル <math>\vec{y}</math> との[[スカラー積]](<math>\vec{x}\cdot\vec{y}</math> もしくは <math>\langle \vec{x},\vec{y} \rangle</math> と書く)はスカラーとなる。この積がゼロであるようなベクトルの集合は、<math>X</math> の部分空間となり、<math>X</math> の'''[[零空間|ヌル空間]]'''とか'''核'''とかと呼ばれる。 === 局所性と非局所性 === 汎函数の値が与えられたの曲線の小さな部分に対して計算可能で、足し合わせてトータルの値を見いだせる場合には、函数は局所的と呼ばれる。そうでない場合は、非局所的と呼ばれる。例えば、 :<math>F(y) = \int_{x_0}^{x_1}y(x)\;\mathrm{d}x</math> は局所的であることに対し、 :<math>F(y) = \frac{\displaystyle\int_{x_0}^{x_1}y(x)\;\mathrm{d}x}{\displaystyle\int_{x_0}^{x_1} (1+ [y(x)]^2)\;\mathrm{d}x} </math> は、非局所的である。質量中心の計算のような、積分が式の分子と分母で別れる場合には、一般にこのようなことが発生する。 ==汎函数の微分と積分== [[汎函数微分]]は[[ラグランジュ力学]]で使われる。汎函数の微分は、函数が小さな量だけ変化するとき、どのように汎函数が変化するかという情報である。[[変分法]]を参照。 [[リチャード・ファインマン]]は、[[量子力学]]の[[経路積分]]の定式化の中で中心的なアイデアとして{{仮リンク|汎函数積分|en|Functional integration}}を使った。この使い方は、ある[[函数空間]]を渡る積分という意味を持っている。 <!-- ==脚注== {{reflist}} --> == 参考文献 == {{No footnotes|date=2017年3月}} * {{SpringerEOM|title=Functional|urlname=Functional}} * {{MathWorld |title=Functional |urlname=Functional |author=Rowland, Todd}} * {{Lang Algebra|edition=3r|pages=142–146 |chapter=III. Modules, §6. The dual space and dual module}} == 関連項目 == * [[線型汎函数]] * [[汎函数微分]] * [[オイラー=ラグランジュ方程式]] * [[数理最適化]] * [[テンソル]] == 外部リンク == * {{MathWorld|urlname=Functional|title=Functional|author=Rowland, Todd}} * {{nlab|urlname=nonlinear+functional|title=nonlinear functional}}—"the adjective “nonlinear” is rarely used explicitly."; see also {{nlab|id=functional}} (in the sense of higher-order logic) * {{ProofWiki|urlname=Definition:Functional|title=Definition:Functional}} * {{SpringerEOM|urlname=Functional|title=Functional|first=V.I.|last=Sobolev}} {{DEFAULTSORT:はんかんすう}} [[Category:写像]] [[Category:関数解析学]] [[Category:変分法]] [[Category:物理数学]] [[Category:数学に関する記事]]
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