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[[ファイル:Water drop 001.jpg|thumb|液体の[[滴]]は表面積が最小になるよう球形になる。これは、液体の[[表面張力]]によるものである]] '''液体'''(えきたい、{{lang-en-short|liquid}})は、[[物質の状態]]([[固体]]・液体・[[気体]])の一つである。気体と同様に流動的で、容器に合わせて形を変える。液体は気体に比して[[圧縮率|圧縮性]]が小さい。気体とは異なり、容器全体に広がることはなく、ほぼ一定の[[密度]]を保つ。液体特有の性質として[[表面張力]]があり、それによって「[[濡れ]]」という現象が起きる。 液体の密度は一般に固体のそれに近く、気体よりもはるかに高い密度を持つ。そこで液体と固体をまとめて「[[物性物理学|凝集系]]」などとも呼ぶ。一方で液体と気体は流動性を共有しているため、それらをあわせて[[流体]]と呼ぶ。 == 状態変化 == 液体は、[[固体]]と[[気体]]と並んで[[物質の状態|物質の三態]]の一つである。物質内の[[原子]]あるいは[[分子]]の[[化学結合|結合]]する力が[[熱振動]]([[格子振動]])よりも弱くなった状態であり、構成する粒子が互いの位置関係を拘束しないために自由に移動することができ、いわゆる[[流体]]の状態となる。このような状態を物質が'''液相'''であるという。 [[臨界点|臨界]][[圧力]]以下ならば、物質ごとに決まった[[温度]]で[[固体]]から液体へ[[構造相転移]](一次相転移)する。この固体から液体への転移温度が[[融点]]である。また、一定の圧力のまま更に温度を上げると分子の振動が強まって分子間の距離が大きくなり、([[過熱 (相転移)|過熱]]が起きない場合)ある定まった温度で飽和[[蒸気]]圧がその圧力に達し、液体内部から[[気体]]が発生する。この時の転移温度が、[[沸点]]である。逆に温度を下げれば、気体→(液化)→液体→(凝固)→固体となる。[[過冷却]]が起きない限り、[[凝固点]]は融点と等しい。但し、融点、沸点は、圧力など外的条件の影響により変化する。 液体状態では、原子、分子は比較的自由かつ[[ランダム]]に動き回っている([[ブラウン運動]])。 == 液体の物質 == [[周期表]]において[[常温]]、[[常圧]]で[[単体]]が液体である[[元素]]は、[[水銀]]と[[臭素]]のみである。常温よりやや高い温度が融点となっている(融点が25度~100度)元素として、[[フランシウム]]、[[セシウム]]、[[ガリウム]]、[[ルビジウム]]、[[リン]]、[[カリウム]]、[[ナトリウム]]がある<ref>Theodore Gray, The Elements: A Visual Exploration of Every Known Atom in the Universe New York: Workman Publishing, 2009 p.127 ISBN 1579128149</ref>。常温で液体の[[合金]]として[[ガリンスタン]]などがある。 [[純物質]]で常温常圧で液体のものとして、[[水]]、[[エタノール]]、各種[[有機溶媒]]がある。液体の水は化学と生物学においてきわめて重要である。生きるために水溶液環境で行われる[[蛋白質]]の[[化学反応]]を用いる[[生命]]にとっても液体の水が必須だといわれ、地球外生命体の探索において氷や水蒸気しかない星は除外される<ref group="注">{{cite book|和書|title=空想自然科学入門|chapter=第一部 生物学 4.われわれの知らないようなやつ|pages=69-87|author=アイザック・アシモフ|authorlink=アイザック・アシモフ|translator=小尾信彌、山高昭|publisher=ハヤカワ文庫|edition=18刷|origdate=1978|year=1995|isbn=4-15-050021-5}} ただしアシモフは、この定義は「われわれの知っている生命」すなわち地球の生命体が対象であるという。同項でアシモフは異なる温度や圧力下での生命に関する思考実験を行い、高温から低温にわたり[[フッ化物|フッ化]][[珪素]]・[[硫黄]]・[[水]]・[[アンモニア]]・[[メタン]]・[[水素]]という物質がそれぞれ生命活動の環境になりうると言うが、それらは各温度域で液体であることを前提に置いている。</ref>。 日常において重要な液体として、家庭用[[漂白剤]]のような水[[溶液]]、[[鉱油]]や[[ガソリン]]のような複数の物質の[[混合物]]、[[ヴィネグレットソース]]や[[マヨネーズ]]のような[[エマルジョン]]、[[血液]]などの[[懸濁液]]、[[塗料]]や[[乳]]のような[[コロイド]]がある。 多くの気体は冷却によって[[液化]]でき、[[液体酸素]]、[[液体窒素]]、[[液体水素]]、[[液体ヘリウム]]などの液体を作ることができる。常圧では液化できない気体もあり、例えば[[二酸化炭素]]は5.1[[標準気圧|気圧]]以上でないと液化できない。 古典的な物質の三態では分類できない物質もある。例えば固体と液体の特性をあわせ持つ物質として[[液晶]]があり、表示装置に使われているだけでなく、[[生体膜]]も多くが液晶である。 == 利用 == 液体には様々な用途があり、[[潤滑剤]]、[[溶媒]]、[[冷却材|冷却剤]](または[[冷媒]])などに使われている。[[油圧]]システムでは液体を使って動力を伝達する。 [[トライボロジー]]では、液体の潤滑剤としての特性を研究する。[[油]]などの潤滑剤は、対象装置の運用温度範囲における[[粘度]]と流動特性を考慮して選択する。潤滑油は[[エンジン]]、[[トランスミッション]]、[[金属加工]]、液圧システムなどに使われている<ref>Theo Mang, Wilfried Dressel [https://books.google.co.jp/books?id=UTdfxf2rkNcC&redir_esc=y&hl=ja ''Lubricants and lubrication''], Wiley-VCH 2007 ISBN 3527314970</ref>。航空機の揚力発生等、流体機械の広い範囲でその特性が応用されている。 他の液体や固体を溶かす溶媒には様々な液体が使われている。溶媒には[[塗料]]、[[コーキング]]材、[[接着剤]]など様々な用途がある。[[ナフサ]]や[[アセトン]]は部品や機械に付いた油・油脂・タールなどを洗浄するのによく使われる。[[界面活性剤]]は[[石鹸]]や[[洗剤]]によく見られる。[[アルコール]]などの溶媒は[[殺菌剤 (医薬品)|殺菌剤]]としてもよく使われる。また、[[化粧品]]、[[インク]]、液体[[色素レーザー]]でも使われている。食品加工でもよく使っており、[[植物油]]の抽出などの工程で使われている<ref>George Wypych [https://books.google.co.jp/books?id=NzhUTvUkpDQC&pg=PA847&redir_esc=y&hl=ja ’’Handbook of solvents’’] William Andrew Publishing 2001 pp. 847-881 ISBN 1895198240</ref>。 液体は気体に比べて[[熱伝導率]]が高く、また流動性があるため、機械部品の余分な熱を奪うという用途に適している。[[ラジエター]]のような[[熱交換器]]に液体を通して熱を除去したり、液体を[[蒸発]]させて[[気化熱]]を奪うことで冷却することもある<ref>N. B. Vargaftik ''Handbook of thermal conductivity of liquids and gases'' CRC Press 1994 ISBN 0849393450</ref>。[[エンジン]]の冷却には水や[[グリコール]]が冷却剤として使われている<ref>Jack Erjavec [https://books.google.co.jp/books?id=U4TBoJB2zgsC&pg=PA309&redir_esc=y&hl=ja ''Automotive technology: a systems approach''] Delmar Learning 2000 p. 309 ISBN 1401848311</ref>。[[原子炉]]の冷却剤としては、水の他に[[ナトリウム]]や[[ビスマス]]といった液体金属も使われている<ref>Gerald Wendt ''The prospects of nuclear power and technology'' D. Van Nostrand Company 1957 p. 266</ref>。[[ロケット]]の燃焼室を冷却するのに[[プロペラント|液体推進剤]]を使ったフィルム冷却が行われている<ref>''Modern engineering for design of liquid-propellant rocket engines'' by Dieter K. Huzel, David H. Huang – American Institute of Aeronautics and Astronautics 1992 p. 99 ISBN 1563470136</ref>。[[機械加工]]では摩擦熱などの余分な熱が加工対象と道具の両方を劣化させるため、水や油を使って冷却する。人間の場合も、[[汗]]を蒸発させることで余分な熱を除去している。[[空気調和|空調]]の分野では、水などの液体を使ってある場所から別の場所へ熱を移動させる<ref>Thomas E Mull ''HVAC principles and applications manual'' McGraw-Hill 1997 ISBN 007044451X</ref>。 液体は流体であるが、気体と比較すると[[圧縮率|圧縮性]]が非常に小さい。これを固体の容器に閉じこめた場合、気体の場合とはやや異なったものが出来る。柔らかい容器に入った液体は、体積は変わらないが変形はするため、気体の場合よりはしっかりとした手応えの衝撃吸収素材となる。ウォーターベッドはこれを利用している。また、内部の容積が変わらないような素材で出来た[[管]]に液体を閉じこめた場合、[[パスカルの原理]]に従って片方からかかった圧力がもう片方へ直接に伝わる。[[油圧]]系はこれを利用している。[[ポンプ]]や[[水車]]のような装置は古代から液体の動きを[[仕事 (物理学)|仕事]]に変換するのに使われてきた。油圧系では[[ポンプ]]で[[油]]に圧力をかけて押し出し、その力を[[圧力モーター]]で動力に変換する。油圧系には様々な用途があり、[[ブレーキ]]、[[トランスミッション]]、[[建設機械]]、[[航空機]]の制御系などに使われている。液圧式[[プレス機械]]は様々な加工や修理に使われている<ref>R. Keith Mobley [https://books.google.co.jp/books?id=8DyLdlfJzoMC&pg=PA1&redir_esc=y&hl=ja ''Fluid power dynamics''] Butterworth-Heinemann 2000 p. vii ISBN 0750671742</ref>。 液体は計測装置にも使われることがある。[[温度計]]は液体の[[熱膨張率|熱膨張]]と流動性を利用することが多く、[[水銀]]などが使われている。[[圧力測定#液柱|マノメーター]]は液体の重さを使って圧力を測定する<ref>Bela G. Liptak [https://books.google.co.jp/books?id=pPMursVsxlMC&pg=PA807&redir_esc=y&hl=ja ''Instrument engineers’ handbook: process control''] CRC Press 1999 p. 807 ISBN 0849310814</ref>。 == 性質 == 液体は気体と同様に流体としての特性を示す。液体は容器に合わせて形状を変化させ、水密な容器ならばかけられた圧力が容器内の全ての表面に均等にかかる。分子が引力を及ぼしあっている状態なので、体積は固体とさほど変わらず、気体のように圧力で大きく変化することはない。気体と異なり、複数の液体がすぐに混ざり合うわけではなく、容器内全体に広がることもなく、それ自身の表面(水面)を形成する。このような特性を応用して[[油圧]](液圧)システムが生まれた。 [[ファイル:2006-01-14 Surface waves.jpg|thumb|[[水]]の[[表面波]]]] 液体の量は一般に[[体積]]あるいは容積で計測される。単位としては[[国際単位系|SI単位]]の[[立方メートル]] (m<sup>3</sup>) やその分量単位である1立方デシメートル、すなわち1[[リットル]] (1 dm<sup>3</sup> = 1 L = 0.001 m<sup>3</sup>)、[[立方センチメートル]]、すなわちミリリットル (1 cm<sup>3</sup> = 1 mL = 0.001 L = 10<sup>−6</sup> m<sup>3</sup>) などがある。 液体の体積は[[温度]]と[[圧力]]によって決まる。一般に熱すると膨張し、冷却すると収縮する。ただし、0 {{℃}} から 4 {{℃}} の間の[[水]]は例外である。 [[重力場|重力下]]では、液体は容器および液体内のあらゆるものに[[圧力]]をかける。この圧力は全ての方向に加わり、深くなるにつれて増加する。液体が一様な重力場にあるとき、深さ ''z'' における圧力 ''p'' は次のようになる。 :''p'' = ''ρgz'' ここで、 * ''ρ'' は液体の[[密度]](定数と仮定) * ''g'' は[[重力加速度]] である。なお、この式では表面(水面)での圧力をゼロと仮定しており、[[表面張力]]の効果を無視している。 液体に沈められた物体には、[[浮力]]([[アルキメデスの原理]])が働く。浮力は他の流体でも見られるが、密度の高い液体で最も強く働く。 液体の[[圧縮率|圧縮性]]は小さい。例えば、水の[[密度]]は圧力が100[[バール (単位)|バール]]のオーダー(水面下 1 km の圧力)にならないと目に見える変化をしない。[[流体力学]]では液体を[[非圧縮性]]のものとして扱うことが多く、特に[[非圧縮性流体]]の研究ではそのように扱う。 液体表面(水面)は一種の弾性膜のように振る舞い、[[表面張力]]が見られ、[[滴]]や[[泡]]が形成される。[[表面張力]]によって生じる現象としては他に[[毛細管現象]]、[[濡れ]]、[[表面張力波]]などがある。 せん断応力や延伸応力に対して液体が示す抵抗の度合いを[[粘度]]で表す。 液体は[[非混和性]]を示すことがある。混ぜることができない液体の組み合わせとしては油と水があり、[[サラダドレッシング]]で日常的に見かける。逆に混ぜることが可能な組み合わせとしては水とアルコールがある。混合した液体は[[蒸留]]によって分離することが可能な場合が多い。 == 相転移 == [[ファイル:Phase-diag2.svg|class=skin-invert-image|thumb|300px|典型的な[[相図]]。緑の線は圧力による[[融点]]の変化を表す。青い線は圧力による[[沸点]]の変化を示す。赤い線は[[昇華 (化学)|昇華]]の起きる温度と圧力の組み合わせを示している]] [[沸点]]未満の温度では、どんな液相の物体も平衡状態になるまで蒸発する。平衡状態に達すると液体の蒸発と気体の凝縮が同じ速度で起きるようになる。したがって、蒸発した気体を継続的に取り去ると液体は最終的には全て蒸発してしまう。[[沸点]]に達すると液体はさらに急速に蒸発するようになる。沸点に達した液体は[[沸騰]]するのが普通だが、条件によっては[[過熱 (相転移)|過熱]]状態になる。 [[凝固点]]以下の温度では、液体は[[凝固]]し固体となる。蒸発と凝縮の場合とは異なり、常圧下では平衡状態にはならない。[[過冷却]]がおきない限り、液体は最終的には完全に固体となる。ただし常圧でない場合は必ずしもそうではなく、例えば水と氷を密閉された圧力容器に入れると、固相と液相が混在した平衡状態となることもある。 == 構造 == [[ファイル:Teilchenmodell Flüssigkeit.svg|thumb|left|200px|古典的な単原子分子の液体の構造。原子は多数の原子に囲まれているが、原子間の距離の秩序は存在しない]] 液体では、原子は結晶格子を形成しておらず、いかなる[[長距離秩序]]も存在しない。そのため[[X線回折]]や[[中性子回折法|中性子回折]]で[[ブラッグ曲線|ブラッグピーク]]が現れない。通常条件下では回折パターンは点対称になるが、これは液体の[[等方性媒質|等方性]]を示している。中心から径方向に見てみると、回折強度は滑らかに振動している。これはプローブ(光子や中性子)の波長 ''λ'' と[[ブラッグの法則|ブラッグ角度]] ''θ'' で与えられる波数 ''q'' = (4π/''λ'')sin ''θ'' の関数である[[構造定数 (バンド計算)|静的構造因子]] ''S''(''q'') で説明される。''S''(''q'') の振動は液体の近傍の原子間の相関関係を表している。 それらの相関関係のより直観的な指標として[[動径分布関数]] ''g''(''r'') があり、これは基本的には ''S''(''q'') の[[フーリエ変換]]である。これはある時点の液体内の二体相関の空間的平均を表している。''g''(''r'') はある中心点から距離 ''r'' までの球の体積内にある粒子数の平均から計算によって決定される。与えられた半径における原子の平均密度は次の式で表される。 :<math>g(r) = \frac{n(r)}{\rho 4\pi r^2 \Delta r}</math> ここで、''n''(''r'') は距離 ''r'' における幅 Δ''r'' に存在する原子の平均個数、''ρ'' は平均原子密度である<ref>McQuarrie, D.A., ''Statistical Mechanics'' (Harper Collins, 1976)</ref>。 ''g''(''r'') は、回折実験とコンピュータシミュレーションの比較手段となっている。原子間ペアポテンシャル関数と組み合わせて使い、乱雑系の内部エネルギー、ギブスの自由エネルギー、エントロピー、エンタルピーといったマクロな熱力学的パラメータを計算することもできる。 [[ファイル:Lennard-Jones Radial Distribution Function.svg|class=skin-invert-image|thumb|300px|[[レナード-ジョーンズ・ポテンシャル|レナード-ジョーンズのモデル流体]]の動径分布関数]] ''g'' と ''r'' の対応を示した典型的なグラフには次のような重要な特徴がある。 # 距離が短い部分(r が小さい)では、''g''(''r'') = 0 である。つまり原子自体に大きさがあるため、ある程度以上に原子同士が近づくことができないことを示している。 # ピークがいくつか現れるが、距離が離れるとピークも小さくなっていく。このピークは原子が互いに近接する原子に取り囲まれていることを示す。距離が離れると1に漸近していくが、これはその液体の平均密度に対応している。 # 距離が離れるに従ってピークが徐々に小さくなるのは、中心の粒子から見た秩序の減少を示している。これは、液体やガラスに見られる「短距離秩序」を表している。 単純液体の動径分布の実験的検証はX線散乱などの手法を用いる。構造的干渉は半径 r の範囲内のピークに限られる。したがって、X線の[[干渉 (物理学)|干渉]]の条件が満たされたときだけ振幅の減衰したピークが現れる。結果として結晶面に対応したX線回折パターンに似た明暗の帯が周期的に配された結果が得られる<ref>Berry, R.S. and Rice, S.A., ''Physical Chemistry'', App.23A: ''X-Ray Scattering in Liquids: Determination of the Structure of a Liquid'' (Oxford University Press, 2000)</ref>。 == 力学 == === 弾性波 === 一般に液体と固体の基本的違いとして、固体が[[せん断応力]]に対して弾性的抵抗を示すのに対して、液体はそうではないという点が挙げられる。したがって液体の[[気体分子運動論|分子運動]]は[[縦波と横波|縦波]]([[フォノン]])に分解でき、[[縦波と横波|横波]]は非常に秩序立った結晶質の固体でのみ現れる。すなわち、単純液体は[[せん断応力]]という形で加えられた力に耐えることができず、力学的にそれに降伏し巨視的には[[塑性]]変形([[粘性]]流)を起こす。さらに言えば、[[固体]]は[[せん断応力]]に対して局所的に変形するだけで全体の形が保たれるのに対して、液体は[[ナビエ-ストークス方程式]]で表される粘性流となって大きく変形・流動する。この点が固体と液体の力学的な違いとされている<ref>Born, M., The Stability of Crystal Lattices, Proc. Camb. Phil. Soc., Vol. 36, p.160, (1940) doi=10.1017/S0305004100017138; Thermodynamics of Crystals and Melting, J. Chem. Phys., Vol. 7, p. 591 (1939) doi=10.1063/1.1750497; A General Kinetic Theory of Liquids, University Press (1949)</ref>。 しかし連続性についての観測によれば、横波は必ずしも固体のみで伝わるわけではなく、液体でも伝わると結論付けられる。通常の液体での実験でこの結論が確認できないのは、現代の[[音響学]]や[[光学]]の技法([[超音波]]や[[レーザー]])で得られる振動[[周期]]に対して液体中での横波の[[減衰]]が極めて素早く起きるためである。そのような条件下では、液体での横波は急激に減衰する。 それらの結論の検証には、[[単原子分子]]の液体や[[ガラス]]の[[分子動力学法]]のコンピュータシミュレーションが使われ、短い[[波長]]では液体が横波を伝播できることが確認された。この[[粘弾性]]の振る舞いは[[波数]]が増加するにつれて液体の[[剛性]]が重要な要素になるという事実と結びついている<ref>{{cite journal |author=C.A. Angell, J.H.R. Clarke, I.V. Woodcock |title=Interaction Potentials and Glass Formation: A Survey of Computer Experiments |journal=Adv. Chem. Phys. |volume=48 |page=397 |year=1981 |doi=10.1002/9780470142684.ch5}}</ref><ref>{{cite journal |author=C.A. Angell |title=The Glass Transition: Comparison of Computer Simulation and Laboratory Studies |journal=Trans. N.Y. Acad. Sci. |volume=371 |page=136 |year=1981 |doi=10.1111/j.1749-6632.1981.tb55657.x}}</ref><ref>{{cite journal |author=D. Frenkel, J.P. McTague |title=Computer Simulations of Freezing and Supercooled Liquids |journal=Ann. Rev. Phys. Chem. |volume=31 |page=491 |year=1980 |doi=10.1146/annurev.pc.31.100180.002423}}</ref><ref>Levesque, D. et al., ''Computer "Experiments" on Classical Fluids'', Phys. Rev. A, Vol. 2, p. 2514 (1970); Phys. Rev. A, Vol. 7, p. 1690 (1973); Phys. Rev. B, Vol. 20, p. 1077 (1979)</ref><ref>{{cite journal |author=G. Jacucci, I.R McDonald |title=Shear waves in liquid metals |journal=Molec. Phys. |volume=39 |page=515 |year=1980 |doi=10.1080/00268978000100411}}</ref><ref>{{cite journal |author=M.H. Cohen and G.S. Grest |title=Liquid-glass transition: Dependence of the glass transition on heating and cooling rates |journal=Phys. Rev. B |volume=21 |page=4113 |year=1980 |doi=10.1103/PhysRevB.21.4113}}</ref><ref>{{cite journal |author=G.S. Grest, S.R. Nagel, A. Rahman |title=Longitudinal and Transverse Excitations in a Glass |journal=Phys. Rev. Lett. |volume=49 |page=1271 |year=1980 |doi=10.1103/PhysRevLett.49.1271}}</ref>。 [[高周波]]の横波と縦波の減衰機構は、粘性の液体や[[重合体]]やガラスを考慮していた<ref>Mason, W.P., et al., ''Mechanical Properties of Long Chain Molecule Liquids at Ultrasonic Frequencies'', Phys. Rev., Vol. 73, p. 1074 (1948); ''Measurement of Shear Elasticity and Viscosity of Liquids by Means of Ultrasonic Shear Waves'', J. Acoust. Soc. Amer., Vol. 21, p. 58 (1949)</ref>。その後、広範囲の時間的・空間的スケールで観測される[[構造緩和スペクトル]]を使って粘性液体の[[ガラス転移]]を解釈する新たな成果が生まれた。[[動的光散乱法]](または光子相関法)を使った実験では、10<sup>−11</sup>秒という短い時間における分子の動きを研究できる。これは、周波数の範囲を 10<sup>9</sup> Hz かそれ以上に拡張したのと等価である<ref>Litovitz, T.A., et al., ''Ultrasonic Spectroscopy in Liquids'', J. Acoust. Soc. Amer., Vol. 431, p. 681 (1959); ''Ultrasonic Relaxation and Its Relation to Structure in Viscous Liquids'', Vol. 26, p. 566 (1954); ''Mean Free Path and Ultrasonic Vibrational Relaxation in Liquids'', J. Acoust. Soc. Amer., Vol. 32, p. 928 (1960); ''On the Relation of the Intensity of Scattered Light to the Viscoelastic Properties of Liquids and Glasses'', Vol. 41, p. 1601 (1967); Montrose, C.J., et al., B''rillouin Scattering and Relaxation in Liquids'', Vol. 43, p. 117 (1968); Lamacchia, B.T., ''Brillouin Scattering in Viscoelastic Liquids'', Dissertation Abstracts International, Vol. 27-09, p. 3218 (1967)</ref><ref>{{cite journal |author=I.L. Fabelinskii |title=''Molecular Scattering of Light in Liquids'' |journal=Uspekhi Fizicheskikh Nauk |volume=63 |page=355 |year=1957}}</ref>。 したがって、横音響[[フォノン]](横波)と硬化あるいはガラス化の開始には密接な関係があることがわかる。硬化が観測される波長の増大を考慮すると、その現象の周波数への依存性が明らかになる。 液体の熱運動を[[弾性波]]の[[重ね合わせの原理|重ね合わせ]]で表すという方法は Brillouin が最初に導入した。したがって凝集系の原子の動きは[[定常波]]の[[フーリエ級数]]で表され、それらは物理的には様々な方向や波長の原子の振動(密度のゆらぎ)の縦波や横波の重ね合わせと解釈できる。音波の伝播という意味では、縦波すなわち粗密波の速度は物質の[[体積弾性係数]]に制限される。[[密度]]ρと体積弾性係数 ''K'' の比の平方根、すなわち√(''K'' /ρ)は、縦フォノンの伝播速度と等しい。横波の場合[[密度]]は一定なので、伝播速度は剛性率によって制限される<ref>{{cite journal |author=L. Brillouin |title=Diffusion de la lumière et des rayons X par un corps transparent homogène; influence de l'agitation thermique |journal=Annales de Physique |volume=17 |page=88 |year=1922 |doi=}}</ref>。 密度と剛性率 ''G'' の比の平方根は、横フォノンの[[速度]]に等しい。従って、波動の速度は次のようになる{{要出典|date=2012年9月}}: :<math>V_\text{long}=\sqrt{K/\rho}</math> :<math>V_\text{trans}=\sqrt{G/\rho}</math> <!-- 2012年6月5日 (火) 20:56時点でこの式は下記のようでしたが、弾性波の速度としてはおかしいので書き直しました。出典はないのでどなたか確認をお願いします。 :<math>V_{long}=\rho \sqrt{K}</math> :<math>V_{trans}=\rho \sqrt{G}</math> --> ここでρは、粒子密度または[[比体積]]の逆数である。 === 分子振動 === [[:en:Edward Andrade|E.N. Andrade]] は、液体における構造変換([[マルテンサイト変態|無拡散変態]])の機構を研究した。彼は固体と液体の分子間力は極めて近いとし、リンデマンの[[融解]]則を引用した。それは、単純固体における[[固有振動]]の原子振動[[周波数]]の正確な値を求めることに成功している。リンデマンは原子の振動の[[振幅]]が原子間距離のある割合に達したときに融解が始まるとした<ref name="Andrade1934">{{cite journal |author=E.N. Andrade |title=Theory of viscosity of liquids |journal=Phil. Mag. |volume=17 |page=497, 698 |year=1934 |doi=}}</ref><ref>{{cite journal|author=C. Lindemann|title=Kinetic theory of melting|journal=Phys. Zeitschr.|volume=11 |page=609|year=1911|doi=}}</ref>。 したがって液体と固体の基本的な違いは分子間力の大きさではなく、分子の振動の[[振幅]]だということになる。液相では分子の振動は極めて大きく、分子同士が衝突することも珍しくない。結果として、固体では固定されていた「平衡位置」が液体ではゆっくりと変化していき一定しない。分子の振動周波数は液体と固体で同じである。 Frenkel はまた、硬い弾性ネットワークにおける原子の静的平衡位置について熱運動の力学を考慮した。結晶の硬さは、原子が不変の平衡位置を占めているために熱運動が小振幅の振動にしかならないことによる。一方、液体では原子が恒久的な平衡位置を占めることはないため流動性が生じる。原子または分子の振動周期が適用された外力の時間的尺度にくらべて大きいとき、弾性変形が起きる。逆に振動周期が小さい場合、不可逆な塑性変形が起きる<ref>Frenkel, J., ''Kinetic Theory of Liquids'', Translated from Russian (Oxford University Press, 1946)</ref>。 融点付近の単純液体および固体の高周波力学の研究において、振動周波数がゼロとなる条件を「熱力学的極限」 (υ → 0) と呼ぶ。融点付近での非弾性光散乱の研究では、十分に高い周波数の振動スペクトルは液体と固体で識別可能な差異が全く見られない。つまり、十分に短くかつ小さい範囲では、融解が起きても物質の力学においては断続的な変化が全く起きない。周波数が低いほど、液体と固体の振る舞いの差異は大きくなる<ref>Fleury, P.A., ''Central-Peak Dynamics at the Ferroelectric Transition in Lead Germanate'', Phys. Rev. Lett., Vol. 37, p. 1088 (1976); in '''Anharmonic Lattices, Structural Transitions and Melting''', Ed. T. Riste (Noordhoff, 1974); in '''Light Scattering Near Phase Transitions''', Eds. H.Z. Cummins, A. P. Levanyuk (North-Holland, 1983)</ref>。 === 会合 === 固体における原子/分子の[[拡散]](または粒子変位)のメカニズムは、液体における粘性流と凝固の機構と密接に関連している。液体中の分子間の「自由空間」を使った[[粘度]]の説明は<ref name="Macleod1923">{{cite journal|author=D.B. Macleod|title=On a relation between the viscosity of a liquid and its coefficient of expansion|journal=Trans. Farad. Soc.|volume=19 |page=6|year=1923|doi=10.1039/tf9231900006}}</ref>、常温で液相となる分子同士の「会合」が見られる液体を説明するために修正されてきた。様々な分子が集まって分子会合を形成するとき、それまで分子が自由に動き回っていたある範囲の空間を半ば固体のような系で取り囲む。したがって冷却されると分子の多くが「会合」し、粘度が増す<ref name="Stewart1930">{{cite journal|author=G.W Stewart|title=The Cybotactic (Molecular Group) Condition in Liquids; the Association of Molecules|journal=Phys. Rev.|volume=35 |page=726|year=1930|doi=10.1103/PhysRev.35.726}}</ref>。 粘度は有限の[[圧縮率]]を持つ液体では体積の関数とみなすこともでき、同様の議論は粘度への[[圧力]]の効果を説明するのにも使える。したがって、圧力増加に伴って粘度も上昇することが予測される。さらに体積は熱によって膨張するが、同時に圧力を増加して体積を一定に保てば、粘度は一定となる。 === 構造緩和 === 原子が平衡状態から非平衡状態に遷移するのにかかる平均時間を[[緩和時間]]と呼び、マクスウェルの気体分子運動論で最初に言及された。最も単純化した単原子分子の液体の場合、構造緩和 (structural relaxation) とは、液体に圧力がかかってより高密度でコンパクトな分子配置になる場合、あるいは逆に圧力が弱まって低密度な分子配置に変化する場合といった局所構造の秩序の度合いが変化することを指す。相互配向の転位と再配分に関わるため、体積(あるいは圧力)が変化し始めてから局所構造が変化するまで一般に遅れが存在する。そういったプロセスには一定の賦活エネルギーが必要であり、有限の速度でしか進行しない。過冷却液体が[[ガラス転移点]]付近で不可逆な塑性変形による粘性の緩和を起こすのもこれが原因である<ref>Scherer, G.W., Relaxation in Glass and Composites, Krieger, 1992 ISBN 0471819913</ref><ref>{{cite journal |author=Mason, W.P., et al. |title=Mechanical Properties of Long Chain Molecule Liquids at Ultrasonic Frequencies |journal=Phys. Rev. |volume=73 |page=1074|year=1948 |doi=10.1103/PhysRev.73.1074}}</ref><ref>{{cite journal |author=Montrose, C.J., et al. |title=Brillouin Scattering and Relaxation in Liquids |journal=J. Acoust. Soc. Am. |volume=43 |page=117 |year=1968 |doi=10.1121/1.1910741}}<br/> {{cite journal|author=Litovits, T.A.|title=Ultrasonic Spectroscopy in Liquids|journal=J. Acoust. Soc. Am. |volume=31|page=681|year=1959}}<br/> {{cite journal|title=Ultrasonic Relaxation and Its Relation to Structure in Viscous Liquids|journal=J. Acoust. Soc. Am.|volume=26|page=566|year=1954}}{{cite journal |author=Candau, S., et al. |title=Brillouin Scattering in Viscoelastic Liquids |journal=J. Acoust. Soc. Am. |volume=41 |page=1601 |year=1967 |doi=10.1121/1.2143675}}<br/> {{cite journal|author=Pinnow, D. et al.|title=On the Relation of the Intensity of Scattered Light to the Viscoelastic Properties of Liquids and Glasses|journal=J. Acoust. Soc. Am.|volume=41|page=1601|year=1967|doi=10.1121/1.2143676}}</ref>。 == 天体中の液体 == [[地球]]は[[太陽系]]において表面に液体の水を湛えた唯一の[[惑星]]であり、これが[[プレートテクトニクス]]や[[大気]]中の[[二酸化炭素]]濃度調整、そして生命の存在を許容する特徴づけを行っている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~keikei/enlighten/earth.html|title=惑星としての地球|author=倉本圭|publisher=[[北海道大学]]理学部地球惑星科学課|accessdate=2012-02-18}}</ref>。このように、液体の水が惑星表面に存在可能な[[恒星]]からの距離領域を[[ハビタブルゾーン]]と言う<ref>{{Cite web|和書|url= https://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000217.html |title=アストロ・トピックス (217) 太陽系外で発見されたハビタブルゾーンに位置する惑星|publisher=[[国立天文台]] |accessdate=2012-02-18}}</ref>。 [[火星]]の北半球にかつて液体の水が大量に存在したか否か、そしてどのような理由で現在の姿になったのは議論が分かれるところである。[[マーズ・エクスプロレーション・ローバー]]による探査で見つかった[[扇状地]]状地形などから、火星には少なくとも[[地殻]]上に広く水が溜まった箇所が1つは存在することを突き止めたが、この規模については未だ分かっていない<ref>{{Cite book|和書|author=ジム・ベル/[[コーネル大学]] |year=2009|title=別冊日経サイエンス no.167 見えてきた太陽系の起源と進化|chapter=火星の海の歴史|pages=64-73|isbn=978-4-532-51167-8|publisher=日経サイエンス社}}</ref>。[[金星]]表面からは河川跡のようなチャネル地形が発見されているが、これは粘度が低い液体の[[溶岩流]]が流れた跡である<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/res-edu/space/miyamoto.html|title=研究・プロジェクト紹介|author=宮本英昭|publisher=[[東京大学]]大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻|accessdate=2012-02-18}}</ref>。[[木星]]中心にある[[岩石]]質の中心部にはまわりに広大な液体の[[大洋]]がある可能性を、[[ハーバード大学]]教授の[[カール・セーガン]]が示唆した。その[[体積]]は地球の海の620倍と試算した<ref>{{Cite book|和書|author=アイザック・アシモフ|authorlink=アイザック・アシモフ|year=1963|title=空想自然科学入門|chapter=16.もちろん木星だとも|pages=294-310|publisher=[[早川書房]]|edition=第一八刷|isbn=4-15-050021-5 }}</ref>。 [[マントル]]と分離している充分な量の水や[[メタン]]などの液体は、[[衛星]]である[[タイタン (衛星)|タイタン]]、[[エウロパ (衛星)|エウロパ]]、[[カリスト (衛星)|カリスト]]、[[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]]等にも地下に存在すると考えられる<ref name=Hussman2006>Hussmann, H.; Sohl, Frank; Spohn, Tilman (November 2006). "Subsurface oceans and deep interiors of medium-sized outer planet satellites and large trans-neptunian objects". Icarus 185 (1): 258–273. </ref>。同様に、[[イオ (衛星)|イオ]]には[[マグマ]]の海があると考えられる。液体の水が存在する決め手にはなっていないが、[[土星]]の衛星[[エンケラドゥス (衛星)|エンケラドゥス]]には[[間欠泉]]が見つかっている。その他の氷状衛星や[[太陽系外縁天体]]も内部に液体か、現在は氷結しているが過去には液体であった水を持っていた可能性がある<ref name=Hussman2006/>。 [[太陽系外惑星]]では、[[グリーゼ581c]]がハビタブルゾーンにあると判明した。しかしながら、もし[[温室効果]]が過剰ならば、表面に液体の水を維持する以上の[[気温]]にある可能性は捨てられない。逆に[[グリーゼ581d]]は温室効果によって表面が液体の水を持ちうる温度まで引き上げられている可能性もある<ref>{{cite web|url=https://www.eso.org/public/news/eso0915/|title=Lightest exoplanet yet discovered | publisher=European Southern Observatory|language=英語 |accessdate=2012-01-20}}</ref>。系外惑星[[オシリス (惑星)|オリシス]]も、その大気が水蒸気を含んでいるかが議論となっている。[[グリーゼ436b]]は、「高温の氷」が存在すると考えられている<ref>{{cite journal | url =http://www.aanda.org/articles/aa/pdf/2007/35/aa7799-07.pdf | title=Detection of transits of the nearby hot Neptune GJ 436 b | author=M. Gillon ''et al.'' | journal=[[:en:Astronomy and Astrophysics|Astronomy and Astrophysics]] | volume=472 2 |year=2007| page=L13-L16 |format=PDF}}</ref>。これらの惑星は液体の水を保持するには高温過ぎるが、そこに水の分子が存在するとすれば、他に適当な温度の惑星が発見される可能性がある<ref>{{cite web|url=http://uk.reuters.com/article/2007/05/16/science-space-planet-dc-idUKN1621607620070516|title=Hot "ice" may cover recently discovered planet| publisher=Reuters|language=英語 |accessdate=2012-01-20}}</ref>。 惑星内部にも液体状の構造が存在する可能性が示唆される。[[地震波]]による測定から、地球半径の約半分程度の大きさを持つ[[核 (天体)#地球|核]]は、外側に液体の外核を持つことが分かった。これは溶融した[[鉄]]・[[ニッケル]]・[[硫黄]]が混ざり合った高[[密度]]の[[流体]]であり、[[地磁気]]を発生させる原動力([[ダイナモ効果]])となっている<ref>{{Cite web|和書|url= http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/stern-j/dynamos2_j.htm|title=地磁気の起源|author=David P. Stern|publisher=[[京都大学]]大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター |accessdate=2012-02-18}}</ref>。同じ[[地球型惑星]]の中では、[[水星]]からも[[磁場]]が観測されており、これは逆に水星内部にも液体の核が存在する可能性が指摘されている<ref>{{Cite web|和書|url= http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~keikei/study.html|title=研究|author=倉本圭|publisher=[[北海道大学]]理学部地球惑星科学課|accessdate=2012-02-18}}</ref>。[[木星型惑星]]惑星の内部では、高い圧力によって[[金属水素]]が液体状になっていると考えられる<ref>{{Cite web|和書|url= http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~kanamitu/study/tnp/tnpjp/nineplan/jupiter.htm|title=木星|author=ビル・アーネット|translator=久島昌弘|publisher=[[福岡教育大学]] |accessdate=2012-02-18}}</ref>。天王星型惑星も内部にアンモニアやメタンが高温・高圧の環境下で[[凝縮]]液体となっており、これらの対流が惑星磁場を発生させる元となっている<ref>{{Cite web|和書|url= https://www.wakusei.jp/book/pp/2011/2011-1/2011-1-036.pdf|format=PDF|title=高強度レーザー衝撃圧縮を用いたメガバール領域における水の状態方程式計測|author=木村友亮ら|publisher=日本惑星科学会誌 Vol.20, No.1, 2011 |accessdate=2012-02-18}}</ref>。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} === 注釈 === {{Reflist|group="注"}} === 出典 === {{Reflist|2}} == 関連項目 == {{Wiktionary|液体}} * [[融液]] - [[溶液]] * [[相]] - [[固体]] - [[気体]] - [[蒸気]] * [[相転移]] - [[凝固点]] - [[融点]] - [[沸点]] - [[臨界点]] - [[昇華 (化学)|昇華]] - [[三重点]] * [[融解熱]] - [[気化熱]] * [[化学]] - [[物理学]] - [[物性物理]] - [[流体力学]] * [[滴]] * [[非圧縮性]] == 外部リンク == * {{Kotobank}} {{物質の状態}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:えきたい}} [[Category:液体|*]] [[Category:物質の相]] [[Category:相転移]] [[Category:流体力学]] [[Category:体積]]
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