液状化現象のソースを表示

{{複数の問題|出典の明記=2015年7月|参照方法=2015年7月}}
[[ファイル:Liquefaction at Niigata.JPG|サムネイル|1964年に発生した[[新潟地震]]による液状化で大きく傾いた県営川岸町アパート]]
[[ファイル:Liquefaction in Peterborough St.JPG|サムネイル|[[カンタベリー地震 (2011年2月)|カンタベリー地震]]による液状化で噴出した泥が駐車場を覆い、車のタイヤの半分が埋まった（[[2011年]][[2月22日]]、[[ニュージーランド]]・[[クライストチャーチ]]市[[クライストチャーチ・シティ・センター|中心部]]）]]
[[ファイル:Minatojimanakamachi c184.jpg|サムネイル|阪神・淡路大震災による液状化]]
'''液状化現象'''（えきじょうかげんしょう）は、[[地震]]の際に、[[地下水位]]の高い砂[[地盤]]が[[振動]]により[[液体]]状になる[[現象]]。単に'''液状化'''（えきじょうか、{{Lang-en-short|liquefaction}}）<ref name="terms">{{Cite book|和書|author=文部省編|authorlink=文部省|title = [[学術用語集]] 地学編|year = 1984|publisher = [[日本学術振興会]]|isbn =|page = 19}}</ref>ともいう。

これにより[[比重]]の大きい[[構造物]]が埋もれ、倒れたり、地中の比重の小さい構造物（[[下水道#管渠|下水道管]]等）が浮き上がったりする。この現象は[[日本]]国内では、[[1964年]]の[[新潟地震]]の際に[[鉄筋コンクリート]]製の建物が丸ごと（潰れたり折れたりではなく）沈んだり倒れたりしたことで注目されたが、この地震当時は「[[流砂]]現象」という呼び方をされていた<ref name="防災と自然改造">伊佐喬三「9-地球と人間　防災と自然改造」 『原色現代科学大事典2 地球』 株式会社学習研究社、竹内均 責任編集、1967年、P450。</ref>。

== 概要 ==
[[地表]]付近の含水状態の砂質土が、地震の震動により[[固体]]から液体の性質を示すことにより、上部の[[舗装]]や構造物などが[[揚圧力]]を受け破壊、沈み込みを起こすものである。[[砂丘]]地帯や[[三角州]]、[[埋立地|埋め立て地]]・旧[[河川]]跡や池[[沼]]跡・[[水田]]跡などの人工的な改変地で発生しやすい<ref name=":1">{{Cite web |url=https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_tobou_tk_000038.html |title=地形区分に基づく液状化の発生傾向図等 |access-date=2024-07-28 |publisher=国土交通省 |archive-url=https://web.archive.org/web/20240204005057/https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_tobou_tk_000038.html |archive-date=2024-07-28}}</ref>。近年、[[都市化]]が進んだ地区で該当地域が多いことから被害拡大の影響が懸念される。

[[1964年]]（[[昭和]]39年）[[6月16日]]に発生した[[新潟地震]]の際に、[[信濃川]]河畔や[[新潟空港]]などでこの現象が発生したことから[[日本]]でも知られるところとなった<ref>西田彰一, ほか35名：新潟地震地盤災害図 カラーA0版6葉, 新潟大学, 1964.</ref>。また同年に発生した[[アラスカ地震]]でも液状化による被害が発生し、これ以降は[[土質力学]]の分野で活発に研究が行われるようになった<ref>{{Cite journal|author=R. Kachadoorian|year=1965|title=Effects of the earthquake of March 27, 1964, at Whittier, Alaska: Chapter B in The Alaska earthquake, March 27, 1964: effects on communities|journal=Environmental Science, Geology, Engineering|doi=10.3133/pp542B}}</ref>。

[[東京]]都心部は[[河口]]に位置する上に[[埋立地]]が多く存在するため、大地震の発生時には液状化対策が施されていない箇所で液状化現象が発生し、道路や[[堤防]]、[[ライフライン]]の破損、基礎のしっかりしていない建物の傾斜などの被害が発生する可能性もある。

現在、液状化現象の発生危険箇所をとりまとめた[[ハザードマップ]]が整備されつつあり<sup>例えば</sup><ref>{{Cite web |url=https://doboku.metro.tokyo.lg.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/top.aspx |title=東京の液状化予測図 令和5年度改訂版 |access-date=2024/09/14 |publisher=東京都}}</ref>、堤防の補強などの措置が図られている。ライフラインの被害も懸念されるため、[[水道管]]は耐震管に布設替えが進みつつあり、[[ガス管]]は[[ポリエチレン]]化が進んでいる<ref>{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/content/10908000/001228272.pdf |title=水道事業における耐震化の状況（令和４年度） |access-date=2024/09/14 |publisher=厚生労働省}}</ref>。一方で、[[下水道管]]は耐震化が難しく復旧も遅いため、居住困難な状態が長引く場合がある（2011年の[[東日本大震災]]での[[福島第一原子力発電所]]免震棟、[[Jヴィレッジ]]、[[浦安市]]、[[いわき市]]など）。

ゆるく[[堆積]]した砂質土層では、[[標準貫入試験]]で得られる[[N値]]が10程度以下と小さい場合が多い。一般に液状化現象が生じるかどうかは[[FL値]]、液状化の程度は[[Dcy]]や[[PL値]]などの[[指標]]{{要曖昧さ回避|date=2024年9月}}を用いて判定する。

== 液状化のプロセス ==
[[ファイル:Liquefaction.gif|サムネイル|緩詰めの砂粒子が振動によって液状化する様子（模式図）]]
[[砂]]を多く含む砂質土や砂地盤は、砂の粒子同士の[[せん断応力|剪断応力]]による[[摩擦]]により地盤が安定を保っている。このような地盤で、地下水位の高い場所もしくは地下水位が何かの要因で上昇した場所で、地震や建設工事などの連続した振動が加わると、その繰り返し剪断によって体積が減少し、[[間隙水圧]]が増加し、その結果、有効[[応力]]が減少する。これに伴い剪断応力が減少して、これが0になったとき液状化現象が起きる。このとき地盤は急激に[[耐力]]を失う。

またこのとき、間隙水圧は土被り圧（全応力）に等しい。この状態は波打ち際などで、水が押し寄せるまでは足元がしっかりしていても、水が押し寄せた途端に足元が急に柔らかくなる状態に似ている。また雨上がりの[[地面]]を踏み続けると、地面に水が吹き出てくる状態にも似ていると言える。

地震や建設工事などにより連続した振動が砂地盤等に加わると、液状化現象が生じ、地盤は急激に支持力を失う。建物を地盤に固定する[[基礎]]のうち、[[礫]]層や岩盤等の適当な支持層に打ち込む支持[[杭基礎|杭]]と異なる摩擦杭では、建物を支えていた摩擦力を失い、建物が傾く[[不同沈下]]を起こす場合がある。重心の高い建物や、重心が極度に[[偏心]]した建物では、より顕著に不等沈下が生じ、転倒ないし倒壊に至る場合がある。

この転倒は（建物自体が途中で壊れなければ）ゆっくりしたもので、新潟地震で倒れた[[県営住宅]]で地震に遭った人の証言では、「家はゆっくりと船が沈むように傾き、そのため（建物が横倒しになったのに）けがをせずに済んだ。」という<ref name="防災と自然改造" />。

下層の地盤が砂質土で、表層を[[粘土]]質で覆った[[水田]]等で液状化が起きた場合は、液状化を起こした砂が表層の粘土を突き破り、水と砂を同時に吹き上げる噴砂<ref>{{Cite web |url=https://www.jishin.go.jp/main/yogo/a.htm |title=液状化現象 |access-date=2024/09/14 |publisher=地震本部}}</ref>と呼ぶ現象を起こすことがある。1964年の新潟地震では、県内の各地でボイリングが観測された。

地震に伴って液状化が発生しうる地点の[[震央距離]] <math>R</math>（km）と[[マグニチュード]] <math>M</math> の関係は、<math>\log R = 0.77M - 3.6</math> で表すことができる<ref>{{Cite journal|author=栗林栄一, 龍岡文夫, 吉田精一|year=1974|date=1974-12-01|title=明治以降の本邦の地盤液状化履歴|url=https://thesis.pwri.go.jp/public_detail/105879/|journal=土木研究所彙報|volume=30|publisher=土木研究所 振動研究室}}</ref><ref>{{Cite journal|和書
|author = 植竹富一ほか|year = 2005|title = 1828年越後三条地震の地変等の記事について|journal = 歴史地震|volume = |issue = 20|pages = 233-242|publisher = [[歴史地震研究会]]|issn = 1349-9890|doi = |naid = 40007024362|url = http://www.histeq.jp/kaishi_20.html|format = PDF}}</ref>とされている。

== 液状化の予測 ==
構造物を建築する際には対象となる地盤で、液状化が起こるのか（発生の予測）、起きた場合にどの程度変形するのか（変形の予測）を事前に検討する必要がある。この予測手法は、1964年の新潟地震以降、土質力学や地盤工学の分野で研究と実用化が進み、現在ではそれぞれ簡便法、詳細法という形でまとめられている<ref>{{Cite web |url=https://committees.jsce.or.jp/sekou05/system/files/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%83%BB%E8%A9%A6%E9%A8%93.pdf |title=液状化判定のための調査・試験 |access-date=2024-09-14 |publisher=土木学会 建設技術研究委員会 建設技術体系化小委員会}}</ref>。

=== 簡便法 ===
簡易法や簡易判定法<ref>{{Cite web |url=https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/nousin/gizyutu/h26_4/pdf/siryou3_2_5.pdf |title=土地改良事業設計指針「耐震設計」（案） 第6章 液状化の検討 |access-date=2024-09-14 |publisher=農林水産省 農村振興局}}</ref>などとも呼称される。簡便法は更にいくつかの手法から構成されており、設計基準や指針によって採用される手法が異なる。

* [[地形分類|微地形区分]]に基づく手法<ref name=":1" />
* 粒度分布に基づく手法<ref>{{Cite journal|last=山﨑|first=浩之|last2=善|first2=功企|last3=小池|first3=二三勝|year=1998|title=粒度・Ｎ値法による液状化の予測・判定に関する考察|url=https://www.pari.go.jp/1998/09/199809091401.html|journal=港湾空港技術研究所　資料　0914|publisher=港湾空港技術研究所}}</ref>
* 応力法（FL法）<ref name=":2">{{Cite book|和書 |title=道路橋示方書・同解説 V耐震設計編 (平成29年11月) |year=2017 |publisher=日本道路協会 (丸善) |isbn=9784889502831}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |title=建築基礎構造設計指針 |year=2019 |publisher=一般社団法人 日本建築学会 |isbn=9784818906525}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |title=港湾の施設の技術上の基準・同解説 |edition=平成30年改訂版 |date=2018-05-01 |publisher=日本港湾協会}}</ref>

==== 応力法（FL法） ====
ある地盤ある深度において液状化が発生するかどうかを判定する方法であり、計算上は液状化に対する抵抗率 <math>F_\mathrm{L}</math> が1を下回るかどうかで判定される。 <math>F_\mathrm{L}</math> は、地盤がもつ液状化に対する抵抗力（液状化強度）<math>R</math> と地震による外力 <math>L</math> を用いて 、<math display="inline">F_\mathrm{L}=R/ L</math> という式で計算される。

<math>R</math> は[[標準貫入試験]]によるN値や粒度分布、単位体積重量などの原位置での観測値から計算されるが、対象地盤での観測値が存在しない場合には、[[道路橋示方書]]<ref name=":2" />等に記載されている標準値が利用される場合もある。また、<math>L</math> は想定された水平震度や最大地表面加速度、単位体積重量、対象層の深度から計算されることが多い。<math>R</math> や <math>L</math> の具体的な計算式は、設計指針や基準で異なる。

=== 詳細法 ===
詳細法は[[数値解析]]を用いる手法であり、主に[[有限要素法]]を用いて、地盤を微小要素にモデル化し、地震による外力の変化により、時間とともに地盤がどのように変形するかを検討する。詳細法には大きく分けて、全応力解析と[[有効応力]]解析の2つが存在する。

==== 全応力解析 ====
全応力解析では、地盤内の間隙水と土骨格の相互作用を考慮せずに、地盤をモデル化する。全応力解析は更に2つに大別でき、具体的にはSHAKE<ref>{{Cite journal|author=Schnabel, P.B., Lysmer, J. and Seed, H.B.|year=1972|title=SHAKE - A Computer Program for Earthquake Response Analysis of Horizontally Layered Sites|journal=Earthquake Engineering Research Center Report|volume=72|issue=12|publisher=Earthquake Engineering Research Center, University of California, Berkeley}}</ref>に代表される重複反射理論に基づく等価線形解析や、Ramberg-Osgoodモデル<ref>{{Cite journal|author=Paul C. Jennings|year=1964|title=Periodic Response of a General Yielding Structure|journal=Journal of the Engineering Mechanics Division|volume=90|issue=2|doi=10.1061/JMCEA3.0000463}}</ref>や双曲線モデル<ref>{{Cite journal|author=Bobby O. Hardin, Vincent P. Drnevich|year=1972|title=Shear Modulus and Damping in Soils: Design Equations and Curves|journal=Journal of the Soil Mechanics and Foundations Division|volume=98|issue=7|doi=10.1061/JSFEAQ.0001760}}</ref>によって、地盤の剛性のひずみ依存性を考慮した非線形地震応答解析が存在する。

==== 有効応力解析 ====
有効応力解析では、地盤内の間隙水と土骨格の相互作用を考慮し、地盤をモデル化する。その際、間隙水と土骨格の関係をどのように表現するのか、構成則をどのように定式化したのかによって、多くのバリエーションが存在する<ref>{{Cite web |url=https://www.jsce.or.jp/library/eq10/book/50102/0321.pdf |title=液状化解析コードの現況と動向 |access-date=2024-09-14 |publisher=土木学会}}</ref>。代表的なプログラム・モデルとして国内ではFLIP、LIQUAなどが、国外ではPM4SandやSaniSAND、UBCSandなどがある。

== 側方流動 ==
[[ファイル:Soil liquefaction 4,Katori-city,Japan.jpg|サムネイル|液状化による側方流動により川底が埋塞した[[小野川 (千葉県)|小野川]]]]
'''側方流動'''（そくほうりゅうどう、{{Lang-en-short|lateral flow}}、{{Lang|en|lateral spreading}}）は、地盤流動現象の1つで、[[傾斜]]や段差のある[[地形]]で液状化現象が起きた際に、いわゆる泥水状になった地盤が水平方向に移動する現象をいう。

側方流動には大きく分けて2つのタイプがある。1つは、地表面が1 - 2%程度のゆるい[[勾配]]になっており、地中部には液状化層が存在するものである。この場合、地盤が傾斜に沿って移動することとなる。もう1つは[[護岸]]などに見られるタイプで、地震の揺れおよび地盤の液状化で護岸などが移動することで、後背の地盤が側方流動を引き起こすものである。

このような側方流動が発生した場合、地中構造物に多大な影響を与える。例えば杭基礎であれば、側方流動が発生することにより、杭は地盤から水平方向に[[剪断]]や[[曲げモーメント|曲げ]]の力を受けることとなる。この地盤からの力が杭の[[耐力]]を超過し、杭の剪断破壊等を起こす。このため杭基礎は上部構造物を支える事ができなくなり、場合によっては構造物の転倒などを引き起こすことにつながっていく。

== 発生例 ==
=== 日本 ===
[[File:Chuetsu earthquake-earthquake liquefaction1.jpg|thumb|[[新潟県中越地震]]に伴う液状化現象により破損した道路（[[新潟県]][[小千谷市]]）]]
[[ファイル:Soil-liquefaction at Shinkiba after 2011 Tohoku Pacific Ocean offshore earthquake.jpg|サムネイル|[[東北地方太平洋沖地震]]における液状化現象（[[東京都]][[新木場]]）]]
[[File:北海道胆振東部地震により札幌市清田区で発生した液状化現象.jpg|thumb|[[北海道胆振東部地震]]により[[札幌市]][[清田区]]で発生した液状化現象]]
[[ファイル:Some effects of soil liquefaction after the 2024 Noto earthquake at zenku,nishi-ku,Niigata-city 2.jpg|サムネイル|[[令和6年能登半島地震]]による液状化現象で破壊された住宅街]]
; [[1858年]][[4月9日]]（安政5年2月26日）[[飛越地震]]
: [[富山市]]にて「井戸から水とともに白砂が吹き出す」「屋敷の地面が割れて水が吹き出す」等の記録が残る<ref>北日本放送株式会社「復刻版越中安政大地震見聞録 立山大鳶崩れの記」地震見聞録 P60,61 2007年</ref>。
; [[1927年]][[3月7日]] [[北丹後地震]]
: 震源（[[京都府]][[丹後半島]]北部）からやや離れた[[大阪市]][[鶴町 (大阪市)|鶴町]]で、地震の揺れにより地割れや陥没から海水（出典ママ）が噴出。水道管の破損も加わり、一面が泥田のようになった<ref>海水吹き出し洪水、大阪で液状化現象『大阪毎日新聞』昭和2年3月8日号外（『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p220 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年）</ref>。
; [[1964年]][[6月16日]] [[新潟地震]]
: [[信濃川]]河畔や[[新潟空港]]などで発生した。
; [[1995年]][[1月17日]] [[兵庫県南部地震]]（[[阪神・淡路大震災]]）
: [[神戸市]]の[[ポートアイランド]]・[[六甲アイランド]]で大規模な液状化現象の発生が確認されている。
; [[2004年]][[10月23日]] [[新潟県中越地震]]
: [[小千谷市]]や[[長岡市]]、[[与板町]]、[[柏崎市]]など、水田や湖沼を埋め立てた箇所等で液状化の発生が見られた。
; [[2011年]][[3月11日]] [[東北地方太平洋沖地震]]（[[東日本大震災]]）
: 関東地方では1都6県96市町村で液状化被害が確認されている<ref>{{Cite web|和書|author=[[国土交通省]] 関東地方整備局 企画部 広域計画課 |date= |url=http://www.ktr.mlit.go.jp/bousai/bousai00000061.html |title=東北地方太平洋沖地震による関東地方の地盤液状化現象の実態調査結果について|work=防災 |publisher=国土交通省 関東地方整備局 |accessdate=2012-02-05}}</ref>。世界最大の被害になった<ref>{{Cite web|和書|author=[[大成建設]] 船原英樹 |date=2012-03-14 |url=http://www.taisin-net.com/solution/taiseis_eye/87lvn70000017zxs.html |title=1.過去の地震と液状化現象 |work=防災 |publisher=耐震ネット |accessdate=2016-02-21}}</ref>。
; [[2016年]][[4月16日]] [[熊本地震 (2016年)|熊本地震]]
: [[阿蘇カルデラ]]内の[[黒川 (熊本県)|黒川]]沿いにおいて、大規模な[[地盤]]の移動に伴って液状化や噴砂、側方流動が発生した<ref>{{Cite web|和書|date=2017-04 |url=http://irides.tohoku.ac.jp/media/files/earthquake/eq/2016_kumamoto_eq_report/2016_KumamotoEqReport_1-6.pdf |title=平成28年熊本地震に関する報告書 第1章～第6章 |format=PDF |publisher=[[東北大学災害科学国際研究所]] |accessdate=2017-04-14}}</ref>。
; [[2018年]][[9月6日]] [[北海道胆振東部地震]]
: [[札幌市]][[清田区]][[里塚]]<ref name="HOKKAIDO-NP-Earthquake-01">[https://www.hokkaido-np.co.jp/article/226384 北海道新聞どうしん電子版「谷に盛り土　液状化誘発　釜井・京大斜面災害研センター長が札幌・里塚調査　緩い地盤、地下で地滑り」] 2018年9月20日閲覧。</ref>・[[北広島市]]大曲並木地区<ref name="HOKKAIDO-NP-Earthquake-02">[https://www.hokkaido-np.co.jp/article/227278 北海道新聞どうしん電子版「北広島でも大きな被害　陥没や傾き　１３棟『危険』」] 2018年9月20日閲覧。</ref>などで発生した。また、札幌市[[東区 (札幌市)|東区]]東15丁目屯田通の一部（[[札幌市営地下鉄東豊線]]・[[栄町駅 (札幌市)|栄町]] - [[環状通東駅|環状通東]]間およびその北側道路）約4km間でも地下鉄路線上を含めた箇所の道路陥没が発生し、液状化現象が発生したと考えられている<ref name="HOKKAIDO-NP-Earthquake-03">[https://www.hokkaido-np.co.jp/article/227710 北海道新聞どうしん電子版「液状化、地下鉄建設が影響？　専門家『抜本策必要』」] 2018年9月20日閲覧。</ref><ref name="HOKKAIDO-NP-Earthquake-04">北海道新聞「札幌『東15丁目屯田通』要の市道　復旧いつに」2018年9月16日記事、2018年9月22日閲覧。</ref>。
; [[2019年]][[6月18日]] [[山形県沖地震]]
: 山形県鶴岡市の鶴岡駅付近で発生した<ref>{{Cite web|和書|title=鶴岡の液状化、埋め立て影響か 専門家「余震で被害拡大も」 |url=https://www.sankei.com/article/20190619-HW4BI5EI75MV3P7KSAEJUACLIM/ |website=産経ニュース |date=2019-06-19 |access-date=2022-10-20 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。駅前駐車場にて1メートルほどの範囲で茶色い水が見られたほか、その敷地内では車の一部が埋没して動けなくなった事例もあった。　

; [[2024年]][[1月1日]] [[能登半島地震 (2024年)|能登半島地震]] 
: [[西区 (新潟市)|新潟市西区]]<ref name=":0">{{Cite web |title=能登半島地震で新潟市西区は液状化、石塀は倒壊、水道管破裂 |url=https://www.sankei.com/article/20240102-CHTQSX4BHZMY7DQB5OKXBPM6M4/ |website=産経ニュース |date=2024-01-02 |access-date=2024-01-02 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>や[[高岡市]]<ref>{{Cite web |title=電柱や家傾く・・・高岡市伏木で液状化現象 能登半島地震 （北日本放送） |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/f35e17c51b1d43eee13134b182941c9d31270cc0 |website=Yahoo!ニュース |access-date=2024-01-02 |language=ja}}</ref>など、広い範囲で液状化が発生した。郵便局の駐車場では一部の車両が水没したほか、破裂した水道管からは水が溢れ出していた<ref name=":0" />。

=== 日本国外 ===
[[ファイル:LomaPrieta-Marina2.jpg|right|サムネイル|サンフランシスコ市マリーナ地区。ロマ・プリータ地震が発生した際の液状化によって損傷した歩道]]
; [[1906年]] [[サンフランシスコ地震]]
: まだ液状化という用語は用いられていなかったが、それが原因と見られる地盤変状は多く記録され、文書にまとめられている。[[サンフランシスコ]]市{{仮リンク|エンバカデロ (サンフランシスコ)|en|Embarcadero (San Francisco)|label=エンバカデロ}}沿いの[[フィッシャーマンズワーフ (サンフランシスコ)|フィッシャーマンズ・ワーフ]]近くの地域、[[サンフランシスコ湾]]に沿った[[オークランド (カリフォルニア州)|オークランド]]市を含めた[[埋立地|埋め立て地]]、[[モンテレー湾]]に沿った[[サンタクルーズ (カリフォルニア州)|サンタクルーズ]]市と[[ワトソンビル (カリフォルニア州)|ワトソンビル]]市と国勢調査指定地域の{{仮リンク|モスランディング (カリフォルニア州)|en|Moss Landing, California|label=モスランディング}}など、1989年のロマ・プリータ地震と液状化発生地域の大部分が一致している<ref>[[#建築学会（1991年）|建築学会（1991年）]] pp.142-143</ref>。その一方で、サンフランシスコ湾南部の{{仮リンク|アラメダ・クリーク|en|Alameda Creek}}と{{仮リンク|コヨーテ・クリーク (サンタクララ郡)|en|Coyote Creek (Santa Clara County)|label=コヨーテ・クリーク}}に沿った地域などのようにサンフランシスコ地震では大規模な液状化が発生したが、ロマ・プリータ地震では液状化が発生しなかった地域もあった<ref>[[#建築学会（1991年）|建築学会（1991年）]] p.143</ref>。全体の液状化の程度としては地域の一部が液状化しただけの83年後の地震のそれとは比較にならないほどの大規模なものになった<ref>[[#磯山（1989年）|磯山（1989年）]] p.78</ref>。
; 1964年 [[アラスカ地震]]
; [[1985年]] [[メキシコ地震 (1985年)|メキシコ地震]]
: メキシコシティで発生。
; [[1989年]] [[ロマ・プリータ地震]]
: サンフランシスコ市の{{仮リンク|マリーナ地区 (サンフランシスコ)|en|Marina District, San Francisco|label=マリーナ地区}}は地盤の液状化現象が顕著に見られた<ref>[[#建築学会（1991年）|建築学会（1991年）]] p.99</ref>。地震による被害が特に大きかった建物が集中している地区である<ref>[[#レッドファーン（2013年）|レッドファーン（2013年）]] p.180</ref>。マリーナ地区ではほとんどすべての建物が何らかの被害に見舞われた<ref>[[#大久保（1990年）|大久保（1990年）]] p.34</ref>。この地区の埋め立て地と砂丘砂の地域では地震動の大きさにあまり差はないが、液状化被害の程度は両者で大きく差が開いた<ref>[[#衣笠（1990年）|衣笠（1990年）]] p.13</ref>。また、同市の[[マーケット・ストリート (サンフランシスコ)|マーケット・ストリート]]の通りに沿った3つの埋め立て地のいずれの地域においても大規模な液状化現象が発生した<ref>[[#建築学会（1991年）|建築学会（1991年）]] p.132</ref>。比較的新しい埋め立て地であった[[サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ]]のオークランド側取り付け部でも大規模な液状化が発生し、地表面での沈下量は最大40cmにも及んだ<ref>[[#建築学会（1991年）|建築学会（1991年）]] p.137</ref>。[[サンフランシスコ・ベイエリア]]ではこの他に[[オークランド国際空港 (カリフォルニア州)|オークランド国際空港]]（西側部分）、{{仮リンク|オークランド港|en|Port of Oakland}}、{{仮リンク|アラメダ海軍航空基地|en|Naval Air Station Alameda}}、{{仮リンク|ベイファーム島 (カリフォルニア州アラメダ)|en|Bay Farm Island, Alameda, California|label=ベイファーム島}}、[[人工島]]の{{仮リンク|トレジャー島 (サンフランシスコ)|en|Treasure Island, San Francisco|label=トレジャー島}}などで大規模な液状化が発生している<ref>[[#建築学会（1991年）|建築学会（1991年）]] pp.138-139</ref>。また、震源南側地域ではサンタクルーズ市内、ワトソンビル市近郊の{{仮リンク|パハロ川|en|Pajaro River}}流域、モスランディング（河川に沿った地域や太平洋沿岸）などで大規模な液状化が発生している<ref>[[#建築学会（1991年）|建築学会（1991年）]] pp.140-142</ref>。
; 2011年 [[カンタベリー地震 (2011年2月)|カンタベリー地震]]
: クライストチャーチ市で発生。
; 2018年 [[スラウェシ島地震]]
: [[パル (インドネシア)|パル市]]サウスパルのペトボ地区で発生。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
{{参照方法|section=1|date=2013年8月23日 (金) 12:21 (UTC)}}
* {{Cite book|和書|author = 吉見吉昭|title = 砂地盤の液状化|edition = 第2版|year = 1991|publisher = [[技報堂出版]]|series = 土質基礎シリーズ |id = {{全国書誌番号|91048164}}|isbn = 4-7655-1511-7|page = }}
* {{Cite book|和書|author = 若松加寿江|title = 日本の液状化履歴マップ : 745-2008 : DVD+解説書|year = 2011|publisher = [[東京大学出版会]]|isbn = 978-4-13-060757-5|page = }}
* {{Cite book|和書|author=阿部勝征（1章：pp.1-15），石丸辰治（2章：pp.16-109，5章：153-231），あべ木紀男（3章：pp.110-116），吉田望（4章：pp.117-152），木内俊明（6章：pp.232-242），大町達夫（7章：pp.243-270），亀田弘行（8章：pp.271-315），北川良和（9章：pp.316-348），村上處直（10章：pp.349-382），広井脩（11章：pp.383-433）･･･以上の各章編集責任者他多数|date=1991年|title=1989年ロマプリータ地震災害調査報告|publisher=日本建築学会|isbn=978-4818900691|ref=建築学会（1991年）}}
* {{Cite book|和書|author=磯山龍二|date=1989年|title=土木施工30巻12号「サンフランシスコ地震土木構造物の被害」（PDF）|url=http://www.ejec.ej-hds.co.jp/bousai/kb/19891017lomapreita.pdf|publisher=オフィス・スペース|ref=磯山（1989年）}}
* {{Cite book|和書|author=Martin Redfern (原著)，川上紳一 (翻訳)|date=1994年|title=地球-ダイナミックな惑星 (サイエンス・パレット)|publisher=[[丸善出版]]|isbn=978-4621086681|ref=レッドファーン（2013年）}}
* {{Cite book|和書|author=大久保泰邦|date=1990年|title=地質ニュース 1990年5月号 No.429「サンフランシスコから」（PDF）|url=https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/90_05_04.pdf|publisher=実業公報社|ref=大久保（1990年）}}
* {{Cite book|和書|author=衣笠善博|authorlink=衣笠善博|date=1990年|title=地質ニュース 1990年8月号 No.432「サンフランシスコ(ロマプリータ)地震」（PDF）|url=https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/90_08_02.pdf|publisher=実業公報社|ref=衣笠（1990年）}}

== 関連項目 ==
{{Commonscat}}
* [[流砂]]
* [[相転移]]
* [[地震考古学]]
* [[泥漿]]
* [[雨水浸透ます]]
* [[地下水]] / [[井戸]]
* [[地盤沈下]]

== 外部リンク ==
* [https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_fr1_000010.html 液状化現象について] - 国土交通省
* {{Cite web|和書|author = 新潟地震対策連絡会|url = http://www.hrr.mlit.go.jp/bosai/niigatajishin/paneru/ekijoka/introduction.html|title = 液状化現象とは|publisher = [[国土交通省]]北陸地方整備局|accessdate = 2013-08-23|archiveurl = https://web.archive.org/web/20140219235453/http://www.hrr.mlit.go.jp/bosai/niigatajishin/paneru/ekijoka/introduction.html|archivedate = 2014-02-19}}
* {{Cite web|和書|author = 神戸市 市民参画推進局 広報課|url = http://www.city.kobe.lg.jp/safety/hanshinawaji/data/photo/p-index.html|title = 震災記録写真集|work = 阪神・淡路大震災の記録|publisher = [[神戸市]]|accessdate = 2013-08-23|archiveurl = https://web.archive.org/web/20130521003939/http://www.city.kobe.lg.jp/safety/hanshinawaji/data/photo/p-index.html|archivedate = 2013-05-21}}
*{{Wayback|url=https://web.archive.org/web/20080309014415/http://kjs.nagaokaut.ac.jp/asai/lab/jisin/index.htm|title=写真エンジニアの目から見た中越地震|date=20080309014415}}（長岡技術科学大学 経営情報系 情報システム計画研究室）
* {{Cite web|和書|author = 納口恭明|coauthors = 宮本浩江|date = 2007-03|url = http://dil-opac.bosai.go.jp/publication/pdf/ecky.pdf|title = 感性でとらえる地盤液状化の科学おもちゃエッキー|format = PDF|work = 
|publisher = [[防災科学技術研究所]]|accessdate = 2013-08-23|archiveurl = https://web.archive.org/web/20130516002232/http://dil-opac.bosai.go.jp/publication/pdf/ecky.pdf|archivedate = 2013-05-16}}

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[[Category:土質力学]]
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[[Category:地盤工学]]
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[[Category:土砂災害]]