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[[数学]]の分野における'''測度収束'''(そくどしゅうそく、{{Lang-en-short|convergence in measure}})とは、[[確率変数の収束|確率収束]]の概念を一般化する、二つの異なる数学の概念に対して用いられる語である。 == 定義 == <math>f, f_n\ (n \in \mathbb N): X \to \mathbb R</math> を、[[測度空間]] (''X'',Σ,''μ'') 上の[[可測関数]]とする。関数列 (''f''<sub>''n''</sub>) が ''f'' へと'''大域的に測度収束する'''とは、すべての ''ε'' > 0 に対して :<math>\lim_{n\to\infty} \mu(\{x \in X: |f(x)-f_n(x)|\geq \varepsilon\}) = 0</math> が成立することを言う。また、同様の関数列が ''f'' へと'''局所的に測度収束する'''とは、すべての ''ε'' > 0 および <math>\mu (F) < \infty</math> であるようなすべての <math>F \in \Sigma</math> に対して :<math>\lim_{n\to\infty} \mu(\{x \in F: |f(x)-f_n(x)|\geq \varepsilon\}) = 0</math> が成立することを言う。 '''測度収束'''という語は、人によって、上述の大域的あるいは局所的のいずれかの場合に対して用いられる。 == 性質 == 以下では、''f'' と ''f''<sub>''n''</sub> (''n'' <math>\in</math> '''[[自然数|N]]''') は ''X'' → '''[[実数|R]]''' の可測関数とする。 * 大域的な測度収束は、局所的な測度収束を意味する。しかし逆は成立しない。すなわち、一般的に、局所的な測度収束は大域的な測度収束よりも厳密に弱い概念となっている。 * しかし、もし <math>\mu (X)<\infty</math> であるか、あるいは一般的に、すべての ''f''<sub>''n''</sub> がある有限測度の集合の外部で消失するのであれば、局所的な測度収束と大域的な測度収束の間に違いは無くなる。 * ''μ'' が{{仮リンク|シグマ有限|en|sigma-finite}}で、列 (''f''<sub>''n''</sub>) が ''f'' へと(局所的あるいは大域的に)測度収束するのであれば、[[ほとんど (数学)|ほとんど至る所で]] ''f'' へと収束する部分列が存在する。大域的な測度収束の場合は、シグマ有限性は必要とはされない。 * ''μ'' がシグマ有限であるなら、(''f''<sub>''n''</sub>) が ''f'' へと局所的に測度収束するための[[同値|必要十分条件]]は、すべての部分列が、ほとんど至る所で ''f'' へと収束する部分列をさらに持つことである。 * 特に、(''f''<sub>''n''</sub>) が ''f'' へとほとんど至る所で収束するのであれば、(''f''<sub>''n''</sub>) は ''f'' へと局所的に測度収束する。その逆は成り立たない。 * ほとんど至る所での収束が(局所的あるいは大域的な)測度収束に置き換えられても、[[ファトゥの補題]]および[[単調収束定理]]は成立する{{要出典|date=2012年9月}}。 * ''μ'' がシグマ有限であるなら、ほとんど至る所での収束が(局所的あるいは大域的な)測度収束に置き換えられても、ルベーグの[[優収束定理]]は成立する{{要出典|date=2012年9月}}。 * ''X'' = [''a'',''b''] ⊆ '''R''' であり ''μ'' が [[ルベーグ測度]]であるなら、''f'' へと大域的に測度収束するような階段関数の列 (''g''<sub>''n''</sub>) および連続関数の列 (''h''<sub>''n''</sub>) が存在する。 * ''f'' と ''f''<sub>''n''</sub> (''n'' ∈ '''N''') が、ある ''p'' > 0 に対して[[Lp空間|''L''<sup>''p''</sup>(''μ'')]]に含まれ、''p''-ノルムにおいて (''f''<sub>''n''</sub>) が ''f'' へと収束するなら、(''f''<sub>''n''</sub>) は ''f'' へと大域的に測度収束する。その逆は成立しない。 * ''f''<sub>''n''</sub> が ''f'' へと測度収束し、''g''<sub>''n''</sub> が ''g'' へと測度収束するなら、''f''<sub>''n''</sub> + ''g''<sub>''n''</sub> は ''f'' + ''g'' へと測度収束する。加えて、もしその測度空間が有限であるなら、''f''<sub>''n''</sub>''g''<sub>''n''</sub> は ''fg'' へと収束する。 == 反例 == <math>X = \mathbb R</math> とし、''μ'' をルベーグ測度とし、''f'' を値がゼロであるような定数関数とする。 * 関数列 <math>f_n = \chi_{[n,\infty)}</math> は ''f'' へと局所的に測度収束するが、大域的には測度収束しない。 * <math>k = \lfloor \log_2 n\rfloor</math> とし、<math>j=n-2^k</math> とした関数列 <math>f_n = \chi_{[\frac{j}{2^k},\frac{j+1}{2^k}]}</math> (この初めの五つの項は <math>\chi_{\left[0,1\right]},\;\chi_{\left[0,\frac12\right]},\;\chi_{\left[\frac12,1\right]},\;\chi_{\left[0,\frac14\right]},\;\chi_{\left[\frac14,\frac12\right]}</math> である)は、''f'' へと局所的に測度収束する。しかし、''f<sub>n</sub>(x)'' がゼロへと収束するような ''x'' は存在せず、したがって ''(f<sub>n</sub>)'' は ''f'' へとほとんど至る所で収束するという訳ではない。 * 関数列 <math>f_n = n\chi_{\left[0,\frac1n\right]}</math> は ''f'' へとほとんど至る所で収束(したがって、局所的に測度収束)する。しかし、どのような <math>p \geq 1</math> に対しても、''p''-ノルムにおける収束はしない。 == 位相 == ''X'' からの可測関数の系(collection)で、局所的な測度収束が位相上の収束に対応するようなものについて、'''(局所)測度収束の位相'''と呼ばれる[[位相空間|位相]]が存在する。この位相は、[[擬距離空間|擬距離]]の族 : <math>\{\rho_F : F \in \Sigma,\ \mu (F) < \infty\},</math> によって定義される。ここで : <math>\rho_F(f,g) = \int_F \min\{|f-g|,1\}\, d\mu</math> とする。 この位相は擬距離の族によって生成されているため、[[一様空間|一様化可能]]である。位相の代わりに一様構造を考えることで、[[コーシー列|コーシー性]]のような{{仮リンク|一様性|en|uniform property}}を構成することが出来る。 == 参考文献 == * D.H. Fremlin, 2000. ''[http://www.essex.ac.uk/maths/people/fremlin/mt.htm Measure Theory]''{{リンク切れ|date=2018年12月}}. Torres Fremlin. ISBN 978-0-9538129-8-1. * H.L. Royden, 1988. ''Real Analysis''. Prentice Hall. ISBN 0-02-404151-3. * G.B. Folland 1999, {{google books quote|id=wI4fAwAAQBAJ|page=PT59|2.4 Modes of convergence}}. ''Real Analysis''. John Wiley & Sons. ISBN 0-471-31716-0. {{DEFAULTSORT:そくとしゆうそく}} [[Category:測度論]] [[Category:数学に関する記事]]
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