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[[数学]]において,'''点ごと'''(てんごと)ということばは,ある性質がある関数 {{mvar|f}} の各値 {{math|''f''(''x'')}} を考えることによって定義されることを指し示すために用いられる.点ごとの概念の重要なクラスは''点ごとの演算''である,つまり,関数に演算を関数の値に[[定義域]]の各点に対して別々に適用することによって定義される演算である.重要な{{仮リンク|Theory of relations|label=関係|en|Theory of relations}}もまた点ごとに定義できる. == 点ごとの演算 == 以下のような例がある. :{{math|1=(''f'' + ''g'')(''x'') = ''f''(''x'') + ''g''(''x'')}} (点ごとの加法) :{{math|1=(''f'' ⋅ ''g'')(''x'') = ''f''(''x'') ⋅ ''g''(''x'')}} (点ごとの乗法) :{{math|1=(''λf'')(''x'') = ''λ'' ⋅ ''f''(''x'')}} (点ごとのスカラー乗法) ただし {{math|''f'', ''g'': ''X'' → '''R'''}}. [[点ごとの積]],[[スカラー (数学)|スカラー]]を参照. 点ごとの演算は[[終域]]上の対応する演算から[[結合律|結合性]],[[可換性]],[[分配律|分配性]]などの性質を引き継ぐ.点ごと''でない''関数の演算の例は[[畳み込み]]である. {{math|'''R'''}} の代わりに[[代数的構造]] {{mvar|A}} をとることで,{{mvar|X}} から {{mvar|A}} への関数全体の集合を類似の方法で同じタイプの代数的構造にすることができる. == 成分ごとの演算 == 成分ごとの演算は通常ベクトルに定義され,ここでベクトルはある[[自然数]] {{mvar|n}} とある[[可換体|体]] {{mvar|K}} に対して集合 {{mvar|K{{sup|n}}}} の元である.ベクトル {{mvar|v}} の {{mvar|i}} 番目の成分を {{mvar|v{{sub|i}}}} と書けば,成分ごとの加法は {{math|(''u'' + ''v''){{sub|''i''}} {{=}} ''u{{sub|i}}'' + ''v{{sub|i}}''}} である. {{仮リンク|タプル|en|Tuple#Tuples as functions|preserve=1}}は関数と見ることができ,ベクトルはタプルである.したがって,任意のベクトル {{mvar|v}} は {{math|1=''f''(''i'') = ''v{{sub|i}}''}} なる関数 {{math|''f'': ''n'' → ''K''}} に対応し,ベクトルの任意の成分ごとの演算はそれらのベクトルに対応する関数の点ごとの演算である. == 点ごとの関係 == [[順序理論]]において関数の点ごとの[[半順序]]を定義することが一般的である.{{mvar|''A'', ''B''}} を半順序集合として,関数 {{math|''A'' → ''B''}} 全体の集合は,すべての {{math|''x'' ∈ ''A''}} に対して {{math|''f''(''x'') ≤ ''g''(''x'')}} であるときに {{math|''f'' ≤ ''g''}} とすることで順序付けられる.点ごとの順序は半順序集合のいくつかの性質を受け継ぐ.例えば {{mvar|A}} と {{mvar|B}} が{{仮リンク|連続束|en|continuous lattice}}であれば,関数 {{math|''A'' → ''B''}} 全体の集合も点ごとの順序で連続束である<ref>Gierz, p. xxxiii</ref>.関数の点ごとの順序を用いて,他の重要な概念を簡潔に定義できる,例えば<ref>Gierz, p. 26</ref>: * 半順序集合 {{mvar|P}} 上の{{仮リンク|閉包演算子|en|closure operator}}は {{mvar|P}} 上の[[単調写像|単調]]かつ[[冪等]]な自己写像(すなわち{{仮リンク|射影 (順序理論)|label=射影作用素|en|projection (order)}})であってさらに {{math|id<sub>''A''</sub> ≤ ''c''}} なるものである,ただし {{math|id}} は[[恒等写像]]である. * 同様に,射影作用素 {{mvar|k}} が[[核作用素]]であることは,{{math|''k'' ≤ id<sub>''A''</sub>}} であることと同値である. [[有限演算|無限項の]]点ごとの関係の例は関数の[[各点収束]]である――関数[[列 (数学)|列]] :<math>\{f_n \colon X \to Y \}_{n=1}^\infty</math> が関数 {{mvar|f}} に各点[[点列の極限|収束]]するとは,{{mvar|X}} の各元 {{mvar|x}} に対して :<math>\lim_{n \rightarrow \infty} f_n(x) = f(x)</math> となることをいう. == 脚注 == {{reflist}} == 参考文献 == ''For order theory examples:'' * T.S. Blyth, ''Lattices and Ordered Algebraic Structures'', Springer, 2005, ISBN 1-85233-905-5. * G. Gierz, K. H. Hofmann, K. Keimel, J. D. Lawson, M. Mislove, D. S. Scott: ''Continuous Lattices and Domains'', Cambridge University Press, 2003. {{PlanetMath attribution|id=7260|title=Pointwise}} {{DEFAULTSORT:てんこと}} [[Category:数学の慣用表現]] [[Category:関数]] [[Category:数学に関する記事]]
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